更年期企画 第3回「更年期の倦怠感にイライラ、ホットフラッシュ…。つらい更年期障害の症状と上手につきあう方法」

監修:善方 裕美(よしかた ひろみ)
ライター:UP LIFE編集部
2021年12月1日
健康

前回の記事「30代からできる更年期障害の予防!プレ更年期の特徴と対策」では、更年期障害に陥りやすい方の性格的な特徴や、予防につながる生活習慣についてご紹介しました。

今回は予防をしてきたつもりだけれど、“更年期になってしまったら?”がテーマです。

つらい症状がつづき、いよいよ更年期障害と診断されたら、どうすればよいのでしょうか?

記事の監修は、更年期医療のエキスパート・「よしかた産婦人科」の善方 裕美先生です。

更年期障害の症状の中で、特につらいものは?

写真:女性が辛そうに額をタオルで押さえているイメージ

多彩な症状がある更年期障害は、症状の出かたや、重さも人によってまちまち。

症状には疲労と勘違いしやすい肩こりや、頭痛も含まれるため、更年期障害とは気づかず、長らくつらい日々を送ってしまう方も少なくありません。

しかし、症状に差こそあれ、多くの患者さんがつらいと感じる代表的な症状というものもあるそうです。

更年期障害で最もよく聞く症状「イライラ」「うつ」「倦怠感」と「ホットフラッシュ」

「更年期障害の症状で多いのは、まずホットフラッシュ。
次にイライラや鬱っぽさ、倦怠感が続きます。

つらさも患者さんによって異なりますが、関節痛や腰痛などの身体の痛みも多いです」と善方先生。

ホットフラッシュの症状は、急に暑くなったと思ったら、しばらくすると落ち着くという状態を繰り返すもの。
ひどい方だと、1日に20回近く悩まされる方も。

ホットフラッシュは季節に関係なく起こりますが、冬場はやや楽になる場合も。

身体の痛みやイライラは、更年期障害以外でも起こり得るものなので、患者さん本人も疑いにくく、厄介といえます。

手足の冷えやしびれもよくある更年期の症状

また、手足の冷えやしびれもよく聞かれるそう。
冬場に冷えた指先は、入浴して身体をあたためてもなかなか温まりにくいといいます。

更年期障害によって自律神経に狂いが生じているため、体温の調整機能も衰えるのです。

更年期障害かもと思ったら、どうすればいい?

それでは、実際に「更年期障害かも?」と思ったら、どうすればよいのでしょうか?

善方先生に聞くと、すぐに婦人科を受診するのがよいそう。

「あまり我慢せず、サッと受診することをおすすめします。
人によっては、急激に症状がすすんでつらくなる方もいれば、ゆっくりと進行していく方も。

いずれにせよ、婦人科で相談することで、今の状態が更年期障害に入るか否かを判断できるので、かまえず、軽い気持ちで病院にかかるのがいいでしょう」と善方先生。

更年期障害の疑いで婦人科を受診すると、まずは月経状態や症状について詳しく問診で把握します。

また、鑑別診断のために採血検査や超音波検査などをおこないます。

検査を受けることで、リウマチや甲状腺機能亢進症などの疾患との区別もしていきますので、健康診断にいくような気持ちで考えるとよいのかもしれません。

更年期障害のつらい症状と、上手につきあう方法

写真:女性が女性医師に相談しているイメージ

検査を受けて、更年期障害と確定したら、どのように症状と向き合っていけばよいのでしょうか?

善方先生は、ホットフラッシュや身体の痛みなど急激な症状悪化に悩んでいるときは、ホルモン補充療法が一般的だと話します。

更年期の症状が重い場合にはホルモン治療

「ホルモン補充療法というと、怖いイメージがあるかもしれませんが、症状が重い場合には最も効率的な治療法です。

ホットフラッシュなどは、1~2週間で楽になる場合も。

逆に心の症状は、ゆっくりと診ていくことが多いです。
私のクリニックもそうですが、最近ではカウンセリングを行っている更年期外来もありますよ。

カウンセリングで、患者さんを取り巻く環境や1日の過ごし方、一番困っていることは何かを聞き、改善すべき点に気づいていただくと、特別な投薬をしなくても、症状が軽くなるという方も多いのです」と善方先生。

更年期障害は、漢方もおすすめ

更年期障害は、漢方もおすすめまた、更年期障害の諸症状には、漢方薬も選択肢の1つ。

「身体全体の調整をするのが漢方薬なので、効き目はゆっくりですが、副作用がほぼなく安心して服用できます。即効性のある漢方薬もあり、イライラした時に服用する抑肝散(よくかんさん)は、頓服(とんぷく)でも効果があります」。

規則正しい生活と睡眠、頑張りすぎず、人に頼ることも大切。
日々の暮らし方の工夫は、更年期症状を軽くしてくれます。

第2回目の記事にあった「更年期障害の予防テク」も役立つので参考にしてみてくださいね。

「更年期障害へのアプローチは、お話したように、いくつか方法があります。

でも一番大切なのは、患者さんが更年期症状はいつか終わるものとして気を楽に持つこと。

そして、大変なときには、私たち専門医をたよってくだされば、並走させていただきます」。

※ ホルモン補充療法(HRT)とは?
内服薬や貼り薬などで、足りなくなったエストロゲン(女性ホルモン)を補う治療。

監修

善方 裕美(よしかた ひろみ)さん

善方 裕美(よしかた ひろみ)

よしかた産婦人科院長、横浜市立大学産婦人科客員准教授。横浜市立大学附属市民総合医療センター・女性ヘルスケア外来担当。女性ヘルスケア外来では、骨粗しょう症治療のほか更年期障害も扱い、ホルモン補充療法だけでなく、漢方治療やカウンセリング、生活習慣の指導を通した多角的なアプローチを行っている。また、「妊娠後骨粗しょう症」啓発プロジェクトの発起人も務める。著書や監修書に「最新版 だって更年期なんだもーん 治療編」(主婦の友社)、「マタニティ&ベビーピラティス-ママになってもエクササイズ!」(小学館)「女性ホルモンの教科書(日経BP)」など。NHK健康チャンネルへの出演も。

2021年12月1日 健康

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