LEDでのくすみや色ムラ改善を目指す、光美容の肌悩みに挑む先行研究者。
パナソニック ビューティには、さまざまな形で先行研究をしている人がいます。
山崎雅子もそのひとり。LEDを始めとする光による生体反応を研究し、さまざまな効果を導き出しています。その仕事のやりがいや、広がる夢について取材しました。
入社初仕事は、先行研究の実験室作り
大学と大学院で生物学を専攻し、大学では植物の研究、大学院では毛髪の研究をしていました。大学院で在籍した研修室が松下電工(注:現パナソニック)と共同研究契約を結んでいたため、実は在学中から松下電工の仕事に関わっていたのです。そして卒業後、面接を受けてそのまま入社しました。
入社1年目の仕事は、美容研究のための実験室を作ることでした。部屋の間取りから考え、必要な機器をリストアップして、予算内に収めるという作業を上司と共に行いました。当時は今のように簡単に情報が得られる時代ではなかったので、よく大学院に戻って教授に質問をしていました。15年前のことです。大学との共同研究のみに頼るのではなく、メーカーとしてのより主体的な研究が、ここから始まりました。
育毛と白髪予防の先行研究
入社当初は大学院からの流れで毛の研究を行なっており、ムダ毛と美肌にアプローチするIPL美容器「光エステ」の開発に携わりました。家庭用美容機器として、効果と安全性のバランスを取ることの難しさを知った仕事のひとつです。
どんな方が使っても安全に、かつ、多くの方に納得いただける効果を出せるように。たくさんの看護師さんにご協力いただき、モニターテストを行いました。安全性については、文献や専門家の意見を参考にしながら社内の厳しい基準をクリアした上で、さらにモニター試験で効果を検証していますが、万が一何かあった場合、すぐに医師に診ていただける想定からです。
このように安全性への配慮を最優先する姿勢は、今も変わっていません。社内外のモニターテストで不備があれば見直し、要望がでれば取り入れて改良する、の繰り返しで、研究開発に驚くほど時間をかけているというのも当社の商品開発の特徴です。
毛については、頭髪の育毛や白髪予防の研究も行いました。数年頑張ったのですが、その時は一旦ストップしようという結論に至りました。その理由は、時間や費用の問題です。皮膚の疾患と違い、薄毛や白髪は病気ではないため研究が進んでいない分野です。評価の指標もなく、研究はまさに手探りの状態。効果が確認できたとしても、国の承認を得ないと効果を表現することはできず、ここにもかなりの時間と労力がかかります。とはいえ完全に諦めたわけではなく、この先いつか、毛髪問題に光を見出す技術を開発できたらと思っています。
無限大に広がる光の可能性
パナソニックでは長年、光による皮膚の生体反応を研究しています。私も約5年前からこの研究に加わりました。LEDを使って肌のくすみや色ムラ改善ができないか、細胞や3次元皮膚モデル、人でのモニター試験などを実施しています。また、肌表面にいる「皮膚常在菌」を光でコントロールできないか、検証を始めたところです。
光には大きな可能性を感じています。LEDの肌色悩みへのアプローチはある程度研究が進みましたが、波長やあて方、条件を変えることでさまざまな肌悩みを解決できると思っています。私たちは日々光を浴びて生きています。たとえば太陽光でも、紫外線のように肌に悪影響をもたらす波長の光もあれば、肌にいい影響を与える波長の光の研究もされています。つまり、光の中から一部を取り出すことで、生体反応をコントロールできるのです。いろんな光を細胞などに照射したときに、予想通りの効果や、逆に思ってもいなかった効果が出ると、とてもワクワクします。
光で多くの方の悩みを解決したい
先行研究は本来終わりがないものですが、実際には開発のスケジュールがありますので期日が決まっています。もちろん仕事なので当然のことですが、もっといろんな波長の光で生体効果の可能性を明らかにして、多くの方の悩みを解決したいという夢は持ち続けています。人が本来もつ美しさを引き出すことができれば、見た目はもちろん内面的にも輝く。そのお手伝いを、これからも続けていきたいです。
プロフィール
山崎雅子(やまさきまさこ)
幼少期の夢は考古学者だった。大学2年生のときに理系に転向し、生物学を9年学んだ後、松下電工へ入社。現在はコアテクノロジー開発センター ライフサイエンス部に所属し、光を使った生体反応を研究している。
- インタビュー内容は2023年3月現在のものです
- 「Panasonic Beauty Laboratory」に掲載の情報は、当社の研究や開発の取組み内容です