キレイな空気のお部屋で過ごしたい! 換気のコツや、エアコンのフィルターや内部の正しいお掃除方法
部屋の空気をキレイに保つ換気のコツやエアコンのフィルター掃除の方法についての監修:藤原 千秋(ふじわら ちあき)
ライター:UP LIFE編集部
2022年5月20日
空気
お部屋の空気のケアやエアコンの日々のお手入れ、どうしていますか? エアコンから出てくる空気はキレイなのか、気になりますよね。そこで今回は、掃除の専門家、藤原千秋さんに聞いたお部屋の空気をキレイに保つ秘訣や正しいエアコンのフィルター掃除のコツをご紹介します。
ご存知でしたか? 一般的なエアコンに換気機能はない! 室内の空気は外より汚れている!?
「エアコンフィルターの掃除についてユーザーの方とお話しすると、大きくふたつのことを誤解されているように感じます」と語るのは、お掃除エキスパートの藤原さん。一体、どんな誤解があるのでしょうか?
誤解①「一般的なエアコンは外気を取り込む構造」
「誤解のひとつは、エアコンの構造です。基本的に、エアコンは室内機で室内の空気を取り込み、熱交換を行って冷暖房運転をする内部循環式ですが、屋外の空気を取り込む外部循環式と思っている方は意外と多いもの。冷房時は室外機から温かい風が出ているため、室内の空気を排出していると思うかもしれませんが、これはあくまでも熱を出しているだけ。つまり、一般的なエアコンには屋外の新鮮な空気に入れ替える換気機能はないということです」
誤解②「家の中の空気は外気よりもキレイ」
「花粉やPM2.5など、外気の汚れについて語られることは多いですが、室内の空気も衣類からのホコリやハウスダスト、カビ胞子、二酸化炭素など、汚れる要素がいっぱい。交通量の多い幹線道路沿いでもない限り、実は外気の方がキレイなんです。空気清浄機という道具もありますが、これでも二酸化炭素の除去まではできません。新鮮な酸素を取り込むためにも、換気は必要なものと考え、1日に1度は行いたいですね。
なお、換気をするときはただ換気扇をまわすだけでなく、対角線上の窓や玄関を開けるなど、空気の通り道をつくることが大切。玄関が屋内にあるマンションのように空気が出て行きにくい家は、キッチン、トイレ、浴室の換気扇をすべて回して窓を開けると良いでしょう。また24時間換気システムがついていても、案外止めてしまっている家も多いのでしっかり使用しましょう」
換気や加湿までできるエアコンがパナソニックから登場!
エアコンに換気機能はないとのことですが、藤原さんもお話ししているように、これはあくまでも一般的なモデルのこと。実は今回、新たに換気機能を搭載したパナソニックのエアコンが登場したんです。
2022年モデルの『エオリア LXシリーズ』は、室外機に給気ファンを搭載。新鮮な外気を取り込んで室内に送り出すことで、給気換気を実現しています。換気機能はリモコンのボタンひとつで使用できるほか、換気量を3段階で選択可能。冷暖房時の併用はもちろん、換気機能のみで連続運転させることもできます。
『LXシリーズ』のもうひとつの特徴が、加湿機能。室外機に吸湿・放湿力に優れた“高分子吸着剤”を備えており、外気に含まれる水分を集めて室内機に送ることで、室内の加湿を可能としました。給水の手間などがなく、エアコン暖房時の乾燥対策が手軽にできるのもポイントです。
今までの一般的なエアコンには、ほぼ搭載されていなかった換気機能と加湿機能。でもこれからは、このふたつの機能を搭載したモデルが一般化し、どこの家庭にもより一層“いい空気”が届くようになるかもしれませんね。
「換気機能」は、燃焼器具を使用するときの換気に使わないでください。また、窓を開ける換気もあわせてご使用ください。●屋外の空気を、室外機の「換気・除加湿」ユニット(給気ユニット)から取り入れる給気式の換気運転を行います。(室内の空気を外に排出する換気ではありません)●建築基準法に定められた、住宅の必要換気量をすべてまかなうものではありません。●換気運転中は、室外機周辺のニオイを吸い込んで、室内に給気することがあります。
●屋外の空気中の水分を取り込んで加湿します。加湿量は外気条件により変化します。屋外温度や屋外湿度によっては充分に加湿できない場合があります。●加湿条件は室内湿度70%以下、屋外温度-10℃~24℃です。運転条件以外では加湿を行いません。●運転中、運転音が大きくなる場合があります。●運転中は、室外機周辺のニオイを吸い込んで、室内に給気する場合があります。●運転後は、給気ホースの乾燥と次回運転時の加湿準備のために室外機のみ運転を続けることがあります。
夏の間に生えてしまっている? エアコン内部のイヤなカビ
意外と汚れている室内の空気も吸い込んでしまうのが、エアコン。そう考えると、エアコンのフィルターがどれだけ汚れているのか、気になってきますよね。もし掃除もせずに放っておくと、どうなるのでしょうか?
室内機が空気を取り込むとき、最初に通るのがフィルター。大きな粒子の汚れを除去するために不可欠な存在です。
汚れたエアコンフィルターが引き起こす困りごとは?
「フィルターが目詰まりしていると、取り込む空気量が減るうえに、風量が弱くなります。一定の風量に上げるまでに余分な電気代がかかりますし、精密機器だからこそ故障リスクも高まりますね。また、フィルターが取り切れなかった微細な汚れはそのまま網目をすり抜け、室内機内部へと届きます。汚れが付着したままだと、室内機内部にカビが生える原因になる可能性が高いですね」
栄養+水分が発生したエアコン内部は、カビにとって快適な環境
わが家のエアコンも、内部にカビが生えているかも? そう考えると、ちょっと不安になってきますよね。
「水分と適切な温度と栄養があれば、カビはどんどん育成されます。夏の間、冷房運転を続けていたエアコンも、涼しくなるにつれて使わなくなるもの。うっかりお手入れを忘れて放置しがちですが、吸い込んだ汚れと冷房運転で発生した結露が内部に残ったままでは、カビが生える手助けにしかなりません。さらに、綿ボコリや花粉、ダニの死がいといった空気由来の汚れのほとんどはカビの栄養となるため、室内機の内部はカビにとって絶好の生息環境なのです。
こうして生えたカビは、シーズンオフの間にどんどん繁殖。冬を迎え、再びエアコンを使い始めるようになれば、カビの胞子が暖房の風と共に室内へ吐き出されることになります。さらにその胞子が部屋の中で成長したり、体内に取り込まれたりといった負のループに陥る可能性もあるので、最近、フィルターの点検すらしていないという方は、エアコンの前面パネルをそっと開けて見てみてください。白っぽい汚れは大半がホコリですが、黒い点やシミがあったらカビのコロニーかも。エアコンが“カビまき散らし機”になっている可能性もありますよ」
室温と湿度をチェックし、自動で内部をキレイにするエアコンも
パナソニックのエアコン『エオリア』は、運転停止中に部屋の温度と湿度を検知する“カビみはり”機能を搭載しています。室温10℃以上+湿度80%以上、あるいは室温20℃以上+湿度65%以上の状態が一定時間続くと、自動で“新「ナノイーX」内部クリーン”をスタートし、カビの成長を抑制※1。シーズンオフのときもずっとみはってくれるので、再び使い始めるときも安心です。
自分でできる最後の砦がフィルター掃除。秋口や春先のチェックも大切
藤原さんのお話を聞けば聞くほど、フィルター掃除をしていないエアコンを使いたくないと思うもの。よく「こまめな手入れを」と聞きますが、どのくらいの頻度で行えば良いのでしょうか?
使用状況によるものの、基本は2週間に1度
「フィルターの自動お掃除機能がないエアコンの場合、メーカーは目安として2週間に1度を推奨しています。ただし、リビングか寝室かなどによって稼働時間は変わりますし、部屋の汚れ方や掃除の頻度にも関わってくるもの。ご自宅での使い方を把握したうえでチェックして、適切な頻度をつかんでいくのが良いでしょう。エアコン内部と違って、フィルターの掃除は個人でもできるもの。健康を守る防波堤として、しっかり行いたいですね」
シーズン前後の汚れ&動作チェックも忘れずに
「夏の間、冷房運転で使い続けたエアコンも、涼しくなるにつれて使わなくなってきますよね。もうシーズンオフになったと思ったときは、フィルター掃除を確実に行いましょう。フィルターを外した際は、目視でカビのような汚れがないかも確認を。また、しばらく使わないままだと、故障などのトラブルも起こり得ます。使い始めるようになってから修理や買い替えを行うとなると時間がかかるので、シーズンに入る前に試運転を行っておくことも大切です」
意外と簡単! フィルター掃除の正しい手順
エアコンフィルターを掃除する際の基本的な手順は、コンセントから電源プラグを抜き、前面パネルを開けてフィルターを外し、掃除機をかけるか洗って乾かしてからまた戻す、という流れです。
「久しぶりにパネルを開けるなら、ひどく汚れていることもあるので、窓を開けてマスクをした状態で。一般家庭の場合、室内の空気には油分が含まれており、たとえキッチンから離れた部屋のエアコンでも、フィルターには油性の汚れが付着します。また、タバコを吸う家庭の場合はヤニ汚れもこびりつくので、汚れがひどい場合は薄めた中性洗剤で浸け置き洗いを行いましょう」
使い終えた歯ブラシはNG! フィルター掃除専用が便利
「あると便利なのは、エアコンフィルター掃除専用のブラシ。程良い固さで、フィルターの汚れを落としやすい形状になっています。古い歯ブラシを使うという方もいますが、口内細菌が付着していることを考えるとオススメできません。専用ブラシを買いたくないなら、新品の歯ブラシを使うようにしてください」
洗浄後は陰干しが基本。ドライヤーの温風は避けて
「洗い終えたら、しっかり乾燥させることも大切。広げた新聞紙を敷き、フィルターを立てかけて陰干ししましょう。プラスチックが変質する可能性があるので、直射日光やドライヤーの温風に当てるのは避けてください。もし、カビを発見した場合は、できるだけ速やかに除去しましょう。カビの胞子をまき散らさないようにそっと浴室に運び、丁寧に洗い落としてください。
なお、カビがエアコン内部にまで発生していることが確認できたとしても、市販のエアコン洗浄用スプレーを使って自分で掃除することはオススメできません。エアコンの内部には金属パーツも多く使われており、スプレーの成分によってはダメージを与える可能性もあるほか、細部の構造を知らないとすすぎきれず、スプレーの成分を残してしまうケースも考えられます。いずれも本体の故障につながる可能性があるので、専門業者にクリーニングを依頼するようにしましょう」
ホコリが付着しやすい室内機の外装を掃除するには
エアコン室内機の外装はプラスチック製なので、静電気を帯びてホコリを引き寄せがちです。前面パネルやその周囲、リモコンなども、汚れている場合は柔らかい布でから拭きを。汚れがひどいときは、水かぬるま湯を含ませ、よく絞った布で拭きましょう。
「意外と見落としがちなのが、エアコンの上側に降り積もったホコリ。掃除の際は、伸縮できるハンディモップなどがあると便利ですね」
フィルターの自動お掃除機能は万能? 自分で掃除しなくていい?
誕生から20年近くを経て、すっかりお馴染みになってきたエアコンフィルターの自動お掃除機能。お手入れの手間がグンと減らせる便利な機能ですが、まったく掃除しなくていいというわけではないそうです。
「先ほどもお話ししたように、油やヤニなどで汚れている可能性を考えると、外して洗浄するとことも必要。また、お掃除機能付きのエアコンでもフィルターから取り除いたホコリを屋外に排出するタイプなら手間は掛かりませんが、主流は本体内のダストボックスに溜めるタイプ。これを知らずに放置して溜め込んでしまっていた、なんて方もいるので、ご自宅のエアコンがどのタイプかは、しっかりと把握しておいてください」
ちなみに最近では、フィルターだけでなく内部までお掃除してくれるモデルも人気です。
「内部までキレイにしてくれるのは、カビのリスクも減らせていいですね! ただ、たまには前面パネルを開けてチェックするようにしましょう。なお、こうした自動お掃除機能は運転停止中に行われます。“オフにしたのに動いているから”と、掃除が終わる前に主電源を切ってしまわないようにご注意ください」
この記事で紹介した商品
部屋の空気をキレイに保つ換気のコツやエアコンのフィルター掃除の方法についての監修
藤原 千秋(ふじわら ちあき)
主に住まい・暮らしまわりの記事を専門に執筆して21年目。現在はライティングの傍ら監修、企画、広告、アドバイザリーなどの業務に携わる。プライベートでは三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など著書監修、マスコミ出演多数。総合情報サイト『All About』家事・掃除・子育てガイド。
※1 【試験機関】環境生物学研究所 【試験方法】環境試験室(39㎥)での試験。エアコン内部にカビセンサーを設置。室温25℃、湿度70%で、冷房運転を約3時間運転した後に、カビみはり有無の条件において、1週間後のカビセンサーの菌糸長を比較 【防カビの方法】内部クリーン運転を約12時間ごとに動作【対象】エアコン内部に付着したカビ【試験結果】カビ菌糸の発芽なし(No.140703)。
2022年5月20日 空気
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