やっぱり気になるエアコンの電気代、省エネエアコン選びとは

エアコンの電気代や省エネエアコンの選び方についての監修:戸井田 園子(といだ そのこ)
ライター:UP LIFE編集部
2020年2月13日
空気

エアコンを選ぶ際は、機能だけでなく省エネ性能も気になるもの。「電気代を安くしたいから」といくら使い方を工夫しても、省エネ性能が高いモデルの方が効率良く節電できるんです。では、省エネエアコンはどうやって選べばいい? 家電エキスパートの戸井田園子さんに聞いてみました。

エアコンの電気代はホントに高い? 省エネできる運転モードは?

冷暖房でエアコンを使い始めてから、電気料金のお知らせを見ると請求額が高くなっていて「エアコンは電気代がかかる」なんて思ってしまいがち。でも、家電コーディネーターの戸井田さんによれば、「それは思い込み」なのだそうです。

「365日通電している冷蔵庫や、毎日使う照明などと違ってエアコンは季節家電です。春や秋に使うことはほとんどないため、使い始めると電気代が上がるのは当然のこと。でも、電気料金のお知らせを見て前月より高くなっていると、つい”エアコンは電気代がかさむ”と思ってしまいがちなんです」

もうひとつ、部屋全体を冷やしたり暖めたりできることも、電気代が高いと感じやすい要因だとか。

「広い空間の温度をコントロールしている分、何となく消費電力量が多いように感じるかもしれません。でも、エアコンは非常に熱効率が良い家電。例えば他の暖房器具が100Wの電力で作れる熱を100とした場合、エアコンはその6倍の600もの熱を生み出すことができるんです。また、ホットカーペットの場合、2畳用程度でも消費電力量は600〜1000W程度ですが、エアコンは高くても900Wほど。運転が安定してきたら、400W程度で快適な室温をキープしてくれます」

そう聞くと、電気料金が上がったからといって、「エアコンの電気代は高い」と考えるのは確かに早計ですね。とはいえ、電気代はできるだけ抑えたいことに変わりはありません。暖房時は特に電気代アップが気になるのですが、より効率良く使う方法はあるのでしょうか?

「冷房より暖房の電気代の方がかさむのは、単純に温度差の問題。外気温38℃を26℃に下げるときは12℃の温度差ですが、外気温5℃を28℃に上げるときは温度差23℃となり、暖房時の方がよりパワーを必要とするからです。この暖房時に効率良く使いたいなら、自動運転がオススメ。暖房運転にして自分で設定温度をいちいち変えるより、エアコンにおまかせした方が上手にコントロールしてくれますよ。

ちなみに、”冷房と除湿はどう使い分けるか?”という疑問もよく聞かれますが、これも自動運転が良いでしょう。自動運転なら、その時々の部屋の温度や湿度といった条件に合わせるので、消費電力量も少なく済みます。今どきのエアコンは賢いので、もっと信じてあげましょう」

電気代節約のために選びたい! 省エネエアコンのチェックポイント

それでは、実際に省エネエアコンを選ぶ際は、どこに注目すれば良いのでしょうか?

「今のエアコンは省エネ性能が高いため、店頭に並ぶものはほぼすべて省エネエアコンといえると思います」

電気代節約のために選びたい! 省エネエアコンのチェックポイント

例えばカタログなどでこのような表記がある場合、注目すべきは、”APF”と”期間消費電力量”の数値。APFとは、規定の条件下でエアコンを運転したときのエネルギー消費効率のことです。数値が大きいほど冷・暖房時の消費電力量が少なくなります。例えばAPF6.5より、7.2の方が効率が良く、省エネ性能が高くなります。一方の”期間消費電力量”は、年間を通じてエアコンを使用した際の消費電力量の目安。こちらは、数値が小さいほど優秀といえます」

また店頭などよく見る、”多段階評価制度”も省エネ性能の指標のひとつ。省エネ性能が高い順に、5つから1つの星の数で表示されます。

「星の数が多いほど良いですが、単純な比較はできません。また、クラス(kWで表示される冷房能力やサイズ)によって省エネ達成基準の数値も違うため、14畳と18畳など違うクラスを比べた場合は比較しづらいもの。そのような時はAPFの値を見ると良いでしょう。なお、省エネ達成基準の数値は年々、上がっており、ハード面で劇的に省エネ性能を極端に高めるのは難しいのが現状。そのため、メーカーは感知センサーやAIを搭載するなどで、ムダな使い方を減らすことに尽力しています。APFに大きな差がなければ自分に使いやすそうな機能を比較して検討するのが良いでしょう」

買うならハイスペック機種? 電気代を比べてみました!

買うならハイスペック機種? 電気代を比べてみました!

APFが高く、期間消費電力量が少ない省エネエアコンですが、クラスによっても各数値はバラバラ。これを電気代で考えたとき、どれほど変わってくるのかを戸井田さんに試算してもらいました! 比較したのは『エオリア』の最上位機種『X』と、省エネ性を謳う『EX』の2機種。どちらも冷房能力4.0KWクラスで、前者のAPFはシリーズ中で最も高い7.2、後者は5.3となっています。

買うならハイスペック機種? 電気代を比べてみました!

「『EX』を基準とした場合、『X』の期間消費電力量の差は419kWh※1。消費電力量1kWhを27円で換算すると※21年間で1万1313円多くなります。エアコンの平均寿命は13年程度※3といわれていますから、14万7069円の差が出てきます。ただし、これはあくまでJISの基準で使用した場合。家庭によってはそれよりも使用しない場合もあると思うので、あくまで目安と思ってください」

では、上位機種は購入時の価格が高くても、使っていく内に元が取れるといえるでしょうか?

「最近はエアコン全体の省エネ性能が底上げされているため、必ず価格面がお得になるとはいえません。トントンか購入価格や使い方によっては上位機種の方が高い場合もあるでしょう。ただ少しの価格差で十年以上も快適に暮らせるのなら、やはり最上位機種に分があるといえます。冷暖房能力が高い、運転音が静かというハード面でも、自動お掃除やつけっぱなし防止などの機能面でも充実した暮らしになるでしょう」

※1 JIS C 9612:2013に準拠した期間消費電力量、CS-X400D2 (1,036kWh)と、CS-EX400D2(1,455kWh)との比較。
※2 平成26年4月28日 公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会 製造業部会 表示委員会・広告委員会「電力料金の目安単価」の改定に関する件
※3 内閣府2017年「消費動向調査」より

怠ってはダメ! 掃除と電気代の密接な関係

「エアコンはお手入れを怠ると、電気代が余計にかかることがあります」と、戸井田さん。

「最近は自動でフィルター掃除をしてくれるモデルも多いですが、非搭載のエアコンでフィルター掃除をしないままでいると、ホコリによる目詰まりで落ちる風量をカバーしようとして、ムダなパワーを使うことになります。自動お掃除機能が搭載されているモデルの場合は、運転後やシーズンオフ時でも自動でお掃除をして初期能力に近い状態を保とうとしてくれるので、使わないときでもコンセントを抜かないようにしましょう」

また、室内機だけでなく室外機の状態も、省エネ性能に関わってくるそうです。

「普段、あまり目にしない室外機ですが、屋外に設置しているだけあって、よくよく見るとかなり汚れていることも。メッシュの部分にホコリや落ち葉、虫などがたまりがちなので、汚れていたら外掃き用のホウキで払うと良いでしょう。1シーズンに1回でもいいので確認することをオススメします。

このほか、室外機の周囲にモノを置いて風通しを悪くするのもNG。夏は直射日光が当たると熱交換器の働きが悪くなるので、風を妨げないように気を付けながら影を作るようにしたいですね」

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エアコンの電気代や省エネエアコンの選び方についての監修

監修:戸井田 園子(といだ そのこ)

戸井田 園子(といだ そのこ)

大手プレハブメーカーでインテリアコーディネートを担当し、インテリア研究所を経て商品企画部へ。そこで性能・デザイン・価格などをトータルに比較し、商品の優劣を見極める技術を身につけた後、独立を果たす。現在はインテリア&家電コーディネーターとして活動中。総合情報サイト『All About』家電ガイド。

2020年2月13日 空気

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