加湿器の種類は4タイプ。それぞれの違いと正しい選び方を紹介!
加湿器の種類や特徴、選び方についての監修:田中 真紀子(たなか まきこ)
ライター:UP LIFE編集部
2021年11月25日
空気
空気が乾燥する季節になると、加湿器が欠かせないという方も多いのでは?ただ加湿器とひと口に言ってもリビングに置くような大型のものから卓上用のものまで。実は加湿器の種類は4タイプあり、加湿方式や、購入費用・電気代・衛生面などが異なります。それぞれの特徴や正しい選び方を、家電エキスパートの田中真紀子さんに解説いただきます。加湿器選びに悩んだら、ぜひ参考にしてください。
まずは知っておきたい、加湿器選びのための基礎知識
ひと口に加湿器と言っても、種類はさまざま。価格帯も数千円から数万円までと幅広く、何が違うのか疑問に思う声も聞こえてきます。加湿器を選ぶ際は、加湿方式ごとの特徴を見極めることが大切。もちろん、部屋の広さに合った加湿量を選ぶことも忘れてはいけません。
加湿方式は主に4タイプ。特徴を見極めてチョイスを
加湿器の加湿方式を大別すると、「超音波式」「スチーム式(加熱式)」「ハイブリッド式(加熱気化式)」「気化式」の4タイプ。水を空気中に放出する方法ごとに分類されますが、それぞれ衛生面や電気代、価格といった点でメリット、デメリットがあります。各方式の違いは後述するので、使い方などと合わせて選ぶようにしましょう。
部屋の広さやタイプに合わせて加湿能力を決める
加湿方式だけでなく、加湿できる能力も製品によって異なる加湿器。加湿能力は、一般社団法人日本電機工業会の規格により、「室温20℃、湿度30%時に、1時間あたりで放出できる水分量mL/h(ミリリットルパーアワー)」で表されます。また、この加湿能力に応じた、「加湿可能な広さの目安(適用床面積)」も定められています。加湿能力・適用床面積は、気密性が高いお部屋を想定したプレハブ洋室と、気密性の低いお部屋を想定した木造和室の2パターンがあります。
例えば、8畳の和室で使用する場合、木造和室の適用床面積が8畳(14㎡)以上の加湿器を選びましょう。使用場所よりも適用床面積が狭い場合、常にフルパワーで運転しても、最適湿度(相対湿度40~60%)まで到達しない可能性があります。吹き抜けなど天井高が2.4m以上の場合も、ご使用場所よりも適用床面積が広いものを選びましょう。
給水やお手入れのしやすさも要チェック
乾燥する季節にはほぼ毎日使うことから、使い勝手の良さも注目すべきポイントです。たとえば水タンクは、容量が小さいとたびたび水を入れなくてはならず、面倒に思うことも。かと言って大きければ満水時に重くなり、持ち運びが大変になる可能性があるので、どちらを重視するか考えて選びたいですね。
また、給水時にタンクを取り外して水道まで持っていくか、取り外さずに上から注ぐかといった給水方式の違いもあるほか、加湿トレーの形状や加湿フィルターの素材などでお手入れのしやすさも変わってきます。さらに、清潔さを保つ除菌性能なども備えていると便利なので、事前に確認しておくと良いでしょう。
【パナソニック製 加湿機用 各種フィルター】
加湿フィルターの「汚れの落ちにくさ」、「加湿能力の低下」、「強いにおい」が気になってきたら、加湿フィルターごと交換することをおすすめします。加湿フィルターを購入される際は、加湿機本体品番と対応しているか、加湿フィルターの形がどうなっているかを確認するようにしてください。
*パナソニック製以外の加湿機や加湿機本体品番と対応していないフィルターは使用できませんので、ご注意ください。
加湿しすぎにはご用心
また、加湿はただやみくもにし続ければよいというものではなく、最適湿度を維持することが大切です。空気中に気体として含むことのできる水分量は気温に応じて決まっていて、気温が低いほど、空気中に含むことのできる水分量は少なくなります。そのため加湿しすぎると、室内の気温よりも低い温度のところ(外気によって冷やされた窓ガラス等)に余分な水蒸気が水滴(結露)として発生します。
過度な加湿はカビ・ダニの発生原因となったり、家の建材を傷めることにつながりかねないため、人や家屋にとって快適どころか逆効果となってしまいます。お部屋の湿度が低いときはしっかり加湿し、空気が水分で満たされたら自動で加湿量を調整してくれる自己調湿機能があれば過加湿を防いでくれます。加湿器の各方式の特徴については後述しますが、気化式やハイブリット式ならこの自己調湿機能を備えた機種があります。
振動で水をミストに変える「超音波式」の加湿器
続いては、主に4タイプある加湿方式について。超音波式加湿器から順にご説明しましょう。
超音波式加湿器の仕組み
超音波でミスト(霧)を発生させる技術を使った方式です。超音波の振動が水面に伝わると水面の一部分が隆起し、微細なミストが発生。このミストにファンで風を当て、空気中に拡散することで部屋の加湿を行います。ヒーターを搭載しないシンプルな構造で、さまざまなメーカーが参入しているのも特徴です。
超音波式加湿器のメリット・デメリット
メリット:
ヒーターを搭載していないため本体が熱くならず、室温に影響を与えません。本体価格が安く、電気代も控えめ。また、コンパクトで設置しやすいほか、デザイン性の高いモデルが多いのもうれしいポイント。ディフューザーのようにアロマオイルを入れ、香りを楽しめるモデルもあります。
デメリット:
水蒸気ではなく水の粒子として放出するので、手入れを怠り、タンクやトレー、フィルターに雑菌を繁殖させてしまうと、そのまま水滴に載せて雑菌を空中に放出される可能性があります。
水の粒子が大きいため、壁紙やカーテンなど周囲にあるものを湿らせたり傷めたりする場合も。水滴が落ちて床が濡れて滑りやすくなるリスクもあるほか、空気が含める水分限界量に関係なく加湿し続けることができるため、過加湿にもつながりやすくなります。また、水滴が乾いた箇所にカルキだけが残って白い跡になってしまうこともあります。
電気代の目安は?
消費電力は製品によって異なりますが、平均すると20W〜25W程度。これを1kWh=27円で換算した場合、1時間あたりの電気代は約0.5円と安価です。
こんな方におすすめ
毎日こまめにお手入れできる方
手ごろな価格で購入したい
場所を取らずに使用したい
沸騰した水の湯気で潤す「スチーム式(加熱式)」の加湿器
スチーム式(加熱式)加湿器の仕組み
水をヒーターで加熱して蒸発させ、その湯気(水蒸気)をファンで空中に送り出して加湿します。やかんでお湯を沸かすイメージの加湿器です。大量の蒸気で空気が加湿されますが、加湿量が多すぎると、空気中に受け入れられなかった水分が窓や壁で結露することがあります。
スチーム式(加熱式)加湿器のメリット・デメリット
メリット:
水を沸騰させるため、菌が繁殖しにくく衛生的。またヒーターを使って高温の蒸気を放出するため室温を上げる効果もあり、寒い時期には重宝します。加湿し始めてからはパワフルで加湿能力は抜群、短時間で湿度をあげることができますし、広い空間にも対応しやすいタイプでしょう。
デメリット:
ヒーターの加熱に電力を使うので、電気料金は高くなります。また吹き出し口が熱くなり、蒸気に触れたり転倒させてしまうと火傷のリスクもありますし、小さい子どもがいる場合、安全面は気をつけたいところです。また加湿しはじめれば一気に湿度をあげることができますが、水が沸騰するまでに少し時間がかかります。蒸発スピードが速い分、カルキが付着しやすく、吹き出し口などに付いたまま放置していると加湿能力の低下につながるので注意しましょう。
電気代の目安は?
適用床面積8畳のプレハブ洋室対応モデルなら、消費電力は300W程度。1時間あたりの電気代は8円ほどです。中には消費電力500Wとなるモデルもあり、沸騰時には900Wから1000Wに達するものもあります。
こんな方におすすめ
清潔な水蒸気で加湿したい
早く湿度を上げたい
冬、室温を上げながら使いたい
温風を当てて気化した水分を放出する「ハイブリッド式(加熱気化式)」の加湿器
ハイブリッド式(加熱気化式)加湿器の仕組み
水を含ませたフィルターにヒーターとファンでつくった温風を当て、水分を気化して放出します。濡れたタオルをドライヤーの温風で乾かすようなイメージです。
ハイブリッド式(加熱気化式)加湿器のメリット・デメリット
メリット:
温めた風を当てることにより、スピーディーな加湿が可能。フィルターに風を通し気体として放出するので、水の粒子が小さく、雑菌の放出が抑えられるほか、加湿した風を遠くまで届かせることができます。
デメリット:
ヒーターを搭載する分、気化式より消費電力が大きく、本体価格も数万円代と高くなります。
電気代の目安は?
適用床面積8畳のプレハブ洋室対応モデルで、消費電力は100Wから150W程度。1時間あたりの電気代は約4円となります。
こんな方におすすめ
清潔に加湿したい
早く湿度を上げたい
子どもがいても安全に使用したい
風を当てて気化した水分を放出する「気化式」の加湿器
気化式加湿器の仕組み
水を含ませたフィルターに、ファンで風を当てて気化した水蒸気を放出する仕組み。濡れたタオルに強風の扇風機の風を当てるようなイメージです。
気化式加湿器のメリット・デメリット
メリット:
ハイブリッド式と同様に、フィルターに風を通し気体として放出するので、水の粒子が小さく、雑菌の放出が抑えられます。ヒーターレスなので電気料金がほとんどかからず、熱くならないのもメリット。お部屋の空気が水分で満たされたら自動で加湿量を調整、加湿し過ぎを防ぐ自己調湿機能があります。
デメリット:
加湿能力を得るためには送風量が多くなりがち。モデルによっては、モーター音やファンの風切り音がうるさく感じることも。
電気代の目安は?
適用床面積8畳のプレハブ洋室対応モデルで、消費電力は5W程度。電気料金も最も少なく、1時間あたり0.2円ほどとなります。
こんな方におすすめ
電気代を抑えたい
清潔に加湿したい
子どもがいても安全に使用したい
広いリビングをずっと加湿し続けたい
結露やカビを抑えて、加湿したい
パナソニックの気化式加湿機の特徴
パナソニックの気化式加湿機は、ヒーターレスの省エネ性はそのままに、高性能モーターでファンを小型化、本体サイズを小さくしながら必要風量を確保することで、たっぷり加湿と省エネを両立しました。
「ナノイー」搭載でフィルター清潔&うるおい
ナノサイズの微粒子イオン「ナノイー」を発生させる機能が搭載されています。「ナノイー」運転時には、運転停止時と比べて肌の水分量が約2倍、そして肌のうるおい速度は約3倍になります※1。多くの美容家電を開発してきたメーカーならではのうれしい機能です。
ハイパワーで高効率のDCモーター搭載
少ない電力で大きな出力を得られる高性能DCモーターにより、小さなファンでも多くの風量を生み出します。小型化とパワフル加湿の両立を実現。
ヒーターレスだからお得
電気代は、ヒーターを使用しているか否かで大きな違いが出てきます。消費電力が多いヒーターを使用していないので、電気代が控えめです。
フィルター清潔モード
運転停止中に「ナノイー」を加湿フィルターに充満させるフィルター清潔モードを搭載。加湿フィルターを清潔に保ちます。
「お急ぎモード」で素早く加湿
「お急ぎモード」を使用すると、適度な湿度になるまでの時間を通常運転に比べて約26%も短縮※2することが可能。「お肌やのどの乾燥が気になり、お部屋のうるおい不足をすぐに解消したい」という場合に便利です。
パナソニックの気化式加湿機『FE-KXU07』
先ほどご紹介した機能の搭載に加えて、『FE-KXU07』には5つの運転モードがあり、お好みで選択できます。
「のど・肌モード」
高めの湿度約60~65%にするので、のどやお肌の乾燥が気になるときにおすすめです。
「静かモード」
木の葉が触れ合う音よりも静かな15dBで運転。赤ちゃんが眠るお部屋などでも、睡眠を妨げることなく加湿ができます。せっかく寝かしつけをした子どもを運転音で起こしたくないというママの強い味方です。
「お急ぎモード」
ファンを高速回転させ、加湿スピードがアップ。リビングや寝室などをすばやく快適空間に。
「おやすみモード」
入眠時も眠りを妨げないよう、15dBの静音で運転します。おやすみ中は加湿量をアップし、心地よい睡眠環境へ。
「おまかせモード」
センサーでお部屋の湿度を自動感知して、目安となる湿度(約60%)になるように自動運転します。
お手入れが面倒、という方もご安心を。『FE-KXU07』は、お手入れもとても簡単です。「どっちでもタンク」は、給水作業がらくにできるように左右どちら向きでもセット可能で、ハンドルも握りやすい設計。タンクの口が広い設計なので、手がすっぽり入って奥まできれいに洗うことができます。フィルターには、旭化成株式会社と共同開発した「フュージョン」素材を採用。10年間交換不要※3の長寿命フィルターで、押し洗いしやすいのも特徴です。
DCモーターの採用により、少ない電力で、より強力な加湿を実現。強モードで1日8時間稼働した場合、1ヶ月の電気代は缶ジュースよりも安い約92円※4です。
加湿機は、「何を重視するか」を考えて選択することが大切。購入費用・電気代・衛生面を比べてみて、よりご自身の希望に近い機種を購入してください。
※1 実際の使用空間での実証結果ではありません。9畳試験室にて、FE-KXT05相当試験機を60分間運転。15分経過毎に頬の角質水分量を測定。うるおい効果は30分運転後の変化量が、「ナノイー」停止時:25μSと「ナノイー」運転時:50μSを比較して約2倍、うるおいスピードは変化量25μSまでの到達時間が、「ナノイー」停止時:30分と「ナノイー」運転時:10分を比較して約3倍。
※2 FE-KXU05/FE-KFU05「お急ぎ」モード:30分と「強」モード:41分との比較。FE-KXU07/FE-KFU07「お急ぎ」モード:29分と「強」モード:37分との比較で約21%短縮。当社独自の試験条件による評価。なお、「お急ぎ」モードは約30分間運転後に、前に設定している運転モードに戻ります。
※3 加湿フィルター交換の目安は定格加湿能力に対し、加湿能力が約50%に落ちるまでの期間。1日8時間運転に基づき当社で算出。ご使用状況によっては寿命が短くなることがあります。定期的にフィルターのお掃除が必要です。
※4 「強」モード時。消費電力14W。電力料金目安単価:27円/kWh(税込) [2014年4月改定]。1日8時間運転×30日で計算(当社調べ)。2021年8月2日現在。
この記事で紹介した商品
加湿器の種類や特徴、選び方についての監修
田中 真紀子(たなか まきこ)
白物家電、美容家電の専門家兼ライターとして活躍。日々発売される新製品をチェックし、製品の紹介記事やレビュー記事を雑誌、web、新聞などで紹介している。日常的にも話題の新製品を使っており、ライフスタイルに合わせた選び方や、上手な採り入れ方の提案も得意。テレビ出演も多数。総合情報サイト『All About』白物・美容家電ガイド。
2021年11月25日 空気
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