エアコンのトラブルを解決。水漏れ、ガス漏れの原因と対処法

エアコンのトラブルの原因と対策についての監修:田中 真紀子(たなか まきこ)
ライター:UP LIFE編集部 
2020年6月5日
空気

エアコンにまつわるトラブルは、意外に少なくありません。中でも「水漏れ」と「ガス漏れ」は冷暖房の効きに関わってくるため、エアコンが活躍する季節に起こると困ってしまうものです。では、こうしたトラブルは具体的にどのような症状が見られるのでしょうか? そして、それぞれの対処法は? 家電の専門家、田中 真紀子さんに聞きました。

わが家のエアコンは大丈夫? 気になるトラブルあれこれ

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エアコンの耐用年数は、およそ10年〜13年と言われています。田中さんによれば、「長年使い続ければ経年劣化から、さまざまなトラブルを引き起こすこともある」のだとか。

「症状としては、電源が入らない、運転中に勝手に停止するといったもののほか、冷えない、もしくは暖まらないなど効きに関するものもあります。電源がONにならない場合、意外にありがちなのがリモコンの電池切れ。また、使わない時期にエアコン本体のコンセントを抜いたまま、あるいはエアコン用ブレーカーを落としたままだったなど、基本的なことが原因となる場合もあるので、まずはこれらを確認してみましょう」

こうした電池切れやコンセントの抜け、ブレーカーOFFなどがない場合は、リモコンとエアコン本体の赤外線通信の不具合が疑われるそうです。

「赤外線は肉眼だと認識できませんが、スマートフォンのカメラなどで捉えられます。カメラを通してリモコンの発信部を覗き、使えなくなったボタンを押したときに発信部が光れば、リモコンは赤外線の信号を発しているということ。光っていないときはリモコンに不具合があるため、リモコンの買い替えを検討しましょう。

一方、光っているのに動作しないときはエアコン本体に問題があり、信号を受信できていないか、動作自体できなくなっていることが考えられます。室内機には手動で操作できる応急運転用のスイッチが搭載されていますが、これをONにして動けば受信部の問題。動かなければエアコン内部の問題となるので、室内機をリセットしてみましょう。リセットの仕方は製品によって異なるので、取扱説明書を確認してください。リセットしても動かないとなると、内部にある基盤が故障しているかもしれません。そのときは、販売店やエアコン修理業者などのプロに相談してください」

これらに加え、エアコンのトラブルでよく聞かれるのは「水漏れ」と「ガス漏れ」だとか。どちらも「トラブルとしては重症」とのことですが、何が原因で起こるのでしょうか?

エアコンから水が漏れる! 何が原因? どう対処する?

エアコンから水が漏れる! 何が原因? どう対処する?

田中さん曰く、エアコンの水漏れはありがち、かつ重症と言えるトラブル。では一体、何が原因で水が漏れてしまうのでしょうか?

「エアコンは室内機と室外機で構成されており、壁に開けられた穴を通る配管パイプがそのふたつを繋ぐ形で設置されています。配管パイプは断熱剤にくるまれ、上からテープが巻かれていますが、この断熱材やテープが経年劣化などで破損すると、雨天時などに隙間から水が入り込んで室内に漏れてくることがあるんです。また、配管パイプを取り付ける際は水が伝わりにくいよう、傾斜をつける必要がありますが、これが十分でないと配管パイプを伝った水が壁の穴や室内機の接合部分から侵入する可能性が高まります」

凹んだり、傾斜が変わると排水(=室外機で発生する結露水)が流れず、室内機から漏れる

さらに、エアコン内部で発生した結露を排出するドレンホース(排水用ホース) が原因で、水漏れが起きることも多いとか。

「ドレンホースは配管パイプと共に室内から室外に通じていますが、室外機に繋がらずにそのままの状態で排水します。取り付け時には水が下へ流れやすいように傾斜をつけておかないと、水がたまって室内機側から漏れ出す原因に。また、ドレンホースが詰まるとうまく排水できず、水漏れに繋がることもあるので、たまに様子を見て室外機の周辺を掃除するようにしたいですね」

屋外のドレンホースは虫や砂が詰まることがある

では、上記のようなトラブルは、どのように対処すれば良いのでしょうか?

「配管パイプに巻かれたテープの劣化具合を見たり、ドレンホースの周辺をチェックしたりしてある程度の原因は掴めても、素人目には判断し難いことも多いもの。こうしたトラブルは、プロに解決してもらうのが一番です。エアコン修理業者なら、専門家としての知識と経験に基づいて的確に対処してくれることでしょう。

相談時に大切なのは、できるだけ具体的かつ正確に状況を伝えること。“雨の日は水漏れしやすい”などトラブルが発生する状況まで伝えれば、相手も具体的な対処法や必要な工具などが予想できるので、作業もスムーズに進むはずです。水が漏れている位置や原因と疑われる箇所を写真に撮って送るのも良いでしょう。なお、どの業者に依頼しようかと悩む方は、メーカーのカスタマーセンターに連絡すれば紹介してもらえます。もし、購入した店舗の長期保証に加入しているなら、そちらを利用するのも良いでしょう」

冷えない、もしくは暖まらない! 冷媒ガスが漏れているなら…

水漏れと並んで多いエアコンのトラブルが、ガス漏れ。ここで言うガスとは、冷媒ガスを指しています。

「冷房運転時には室内の空気から取り除いた熱を大気中へ排出し、暖房運転時には大気から集めた熱を室内へ送り出すエアコン。この熱を運ぶのが冷媒ガスで、室内機と室外機をつなぐ配管パイプに充填されていますが、ガス漏れが起きると熱がうまく運べず、冷暖房の効きが悪くなってしまいます」

冷媒は熱の輸送トラックのようなもの。室内の空気中にある「熱」を運び、熱交換器が「熱」を交換。冷たくなった空気をまた冷媒が室内に運んでくれる

ガス漏れの原因として、「室外機の冷媒ガス開閉バルブに不具合がある」「コンプレッサーなど内部配管の劣化」などが挙げられますが、特に多いのは「配管パイプの劣化や接合部の破損」だそうです。

「配管パイプは経年による劣化はもちろん、設置後に室外機を動かすことで破損につながるケースもあります。意外とデリケートなので、室外機の裏側を掃除するときもホウキをガンガン当てたりせず、掃除機に隙間用ノズルを取り付けて吸い取るのがオススメ。ノズルを屋外で使うのに抵抗があるなら、トイレットペーパーの芯で代用しても良いでしょう。もし、地震や台風などで室外機が倒れた場合は、その状態のまますぐに修理業者に連絡を。起こそうとすると配管パイプに無理な力がかかり、破損に繋がることもあるので気を付けてください」

では、ガス漏れの有無は、どのように確認できるのでしょうか?

「しばらく冷房運転を行った上で、室外機と配管パイプの接合部を確認してみましょう」

室外機と配管パイプの接合部

「ここに霜が付着して白くなっていたら、冷媒ガスが漏れている可能性があります。こうなると漏れている箇所を修理したり、冷媒ガスを再度充填したりといったことが必要ですが、自分で行うのは難しいもの。自分で触れると故障の原因になることもあるため、先ほど水漏れの話でもお伝えしたとおり、必ずプロの方に依頼しましょう」

室外機

「また、配管パイプの接合部にカバーがついているタイプの室外機もあります。この場合は目視で確認することはできません。カバーを自分で開けて、確認してしまうとメーカー保証の対象外となる場合もあります。リモコンのオンオフやブレーカーの電源など前述の確認方法で、解決しない場合は修理業者を呼ぶのが賢明です。なお、修理する場合の費用は、出張費や点検費、パーツ代、技術料などがかかるもの。10年近く使っているエアコンなら、いっそ最新モデルに買い替えるのも良いと思いますよ」

エアコンのトラブルの原因と対策についての監修

田中 真紀子(たなか まきこ)

田中 真紀子(たなか まきこ)

白物家電をはじめ生活雑貨、家事、住まいなど、暮らしにまつわるモノ・コトの取材・執筆を行うフリーライター。美容家電も得意分野で、働く女性として、一児の母として、忙しくてもきれいになれる美容家電を見つけ、各媒体でも紹介している。総合情報サイト『All About』美容家電・育児用品ガイド。

2020年6月5日 空気

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