秋の空はなぜ高い? 大きな理由は空気にあった!
気候についての監修:喜田 勝
ライター:UP LIFE編集部
2020年10月1日
空気
「天高く馬肥ゆる秋」なんて言葉にもあるように、秋の空に目をやると高く感じるもの。実はこれ、気のせいではなく本当に高く見える理由があるんです。では、その理由とは?
テレビ番組でもお馴染みの気象予報士、喜田 勝さんに教えてもらいました。
高気圧の出身地と雲の種類が、秋の空を高く見せる要因
今回は、テレビ番組でも活躍中の気象予報士、喜田さんがレクチャー
「晴天をもたらす高気圧は季節によって出身地が変わり、秋に日本列島を覆うのは、大陸からの高気圧。水蒸気が多いと空は白っぽく見えますが、大陸からの高気圧は乾燥しているため、スッキリした青空になるんです。春の高気圧も大陸出身ですが、この季節はまだ草木が生長しておらず、土や砂が舞い上がりやすいもの。これらが空気中に多く含まれるため、春の空はかすんで見えることが多くなります」
また、日射の強さが異なることも春と秋の空の違いだとか。
「日射は春分の日を境に強まり、秋分の日を境に弱まっていくもの。日射が強い春は空気が暖まって上昇するため、対流が生まれて地上の土やホコリ、スモッグなどを舞い上がらせます。一方、秋は空気の対流が起こりにくく、チリやホコリなどが空気中に少ないため、空を青々と見せることになるのです」
そして秋の空が高く見えるもうひとつの理由は、雲の種類。
「秋は上空の高いところにできる雲が多く、青空の見える範囲が広くなるので、空がより高く見えるのだと思います。秋に多い雲は、ひつじ雲やうろこ雲。ハケでサッと書いたような雲などもよく見られますね」
春夏秋冬、季節ごとに変わる天気と空の見え方
四季折々の気象が異なるせいか、日本には天気に関係したことわざも多くあります。たとえば秋なら、「女心と秋の空」なんて言葉もありますね。
「秋は低気圧と高気圧が交互に通過し、およそ1週間周期で雨が降ったり晴れたりを繰り返します。この変わりやすい気象を表したのが、“女心と秋の空”。一般的には“女心”が馴染み深いですが、もともとは“男心と秋の空”と言われていたそうです」
「春のポコポコした綿雲や夏の入道雲、秋のすじ雲などを巧みに言い表していますよね。冬の“鉛”は関東など晴れが多い地域ではピンと来ないかもしれませんが、日本海側のどんよりとした冬空は、まさに鉛のようだと思います」
こうした四季折々の違いを感じ取るには、「風に意識を向けてもらうのもよいのでは?」と、喜田さん。
「風向きは毎日変わるものすが、季節ごとの特徴もあります。特にハッキリしているのが、夏と冬。夏なら南風、冬なら北風がよく吹きますね。秋と冬に吹く風にはいろいろあり、地域によっても微妙に変わりますが、一般的には南風が吹くと天気が崩れ、北風だと回復すると言われています。雨が降る前に南からの湿った空気が流れ、降った後に北から乾いた風が吹いて回復するので、感じやすいのではないでしょうか」
私たちにとって大切な空気のこと、今一度考えてみませんか?
仕事に関わらず、普段から気象を気に掛けているという喜田さん。
「秋に多いうろこ雲やいわし雲が夏に見えたら、“上空に冷たい空気が入ってきたから、雷雨になるかも」なんて思うこともよくあるそうです。他にも、私たちが天気を予想できるような因果関係をもつものはあるのでしょうか?
「地域によって微妙に変わってくるので、一概には言えませんが、夏場だとセミが鳴き止んだときや、暑い中で涼しい風が吹いたときは雷雨になることはありますね。でも、“空が急に暗くなったから夕立になる”といったことをご存知の方も多いもの。実は皆さん、意識していなくても経験に則って予測しているのだと思います」
そう言って、「世界的に見ても、日本は天気に敏感な国だと思います」と続ける喜田さん。
「天気が安定している国や、毎日同じような時間にスコールが降るような国では、天気予報はそれほど必要とされていません。でも、日本だと仕事の打ち合わせなどでも本題の前に天気のお話をしたりしますから。最近では、花粉やPM2.5などの予測もよく気にされています。こうした物質が含まれた空気は家の中に入り込み、室内環境にも影響を及ぼしますから」
ちなみに、PM2.5は中国からやって来ると思われがちですが、「九州など、黄砂が多く飛来する地域を除けば、実は日本で発生したものも多い」と喜田さん。これもまた、意外な事実です。
秋の空を高く見せる一方で、そんな物質を家の中に運び込むこともある空気。さまざまな影響を及ぼすものだけに、これからはもっと意識していきたいですね。
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気候についての監修
喜田 勝(きだ まさる)
気象予報士。株式会社ウェザーニューズ所属。小学生時代に気象に興味を持ち始め、自ら天気図を書いていた。1996年に気象予報士となる。やさしい語り口とわかりやすい解説が人気で、現在は『報道ステーション』(テレビ朝日)のお天気キャスターを中心に活躍中。
2020年10月1日 空気
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