オール電化住宅の電気代は平均いくら? 電気代高騰の影響と節約する方法
オール電化住宅の電気代の目安とメリット・デメリット、節約方法についての監修:和田由貴(わだゆうき)
ライター:UP LIFE編集部
2023年8月23日
空気
電気代の高騰に悩まされる昨今。「わが家はオール電化だから、1か月の料金がこんなに上がった!」といった声も聞こえてきますが、どのオール電化住宅でも同じように電気代がかかるもの? そんな疑問を節約アドバイザーの和田由貴さんにぶつけたところ、家庭によっては抑えられるケースもあるのだとか。そのための方法を、オール電化住宅のメリット&デメリットと一緒に教えてもらいました! オール電化住宅にかかる電気代の目安などもご紹介するので、オール電化を検討している方も必読です。
オール電化住宅とガス併用住宅では、光熱費はどのくらい変わる?
オール電化住宅の電気料金を考える前に、まずはオール電化の基礎知識を抑えておきましょう。
電気給湯器が要(かなめ)! オール電化住宅の基礎知識
オール電化とは、家庭で使用するエネルギーのすべてを電力でまかなうこと。和田さんによると、「そのキモとなるのが電気給湯器」なのだそうです。
「オール電化住宅のベースにはエコキュート、もくしは電気温水器のどちらかがあり、IHクッキングヒーターや床暖房などはプラスアルファの要素となります。オール電化と聞くと太陽光発電を連想する方がいるかもしれませんが、必須というわけではありません。ちなみにわが家も、ソーラーパネルを導入していないオール電化住宅です」
お湯を安く沸かせることも、オール電化のメリットのひとつ
オール電化のメリットはさまざまですが、光熱費という点で見ると「電気料金の安い時間帯にお湯を沸かせる」というものがあります。
「オール電化住宅向けの電気料金プランは、時間帯によって電力量料金が異なり、昼間よりも夜間の方が割安な設定です。電気給湯器なら、この安い時間帯にわかしたお湯をタンクにためられるため、給湯にかかる電気代を抑えることが可能。家庭で使われるエネルギーのうち、給湯は全体の1/3近くを占める※1ので、これは大きなメリットです。特に、電気給湯器の主流であるエコキュートは省エネ性が高いため、給湯にかかる費用はより安くなります」
これに加え、蓄熱式暖房器具を使っている場合は、暖房コストが抑えられるというメリットも。夜間、割安な電気でつくった熱をためておけるので、割高な日中は電気を使うことなく部屋を暖めることができます。
※1 経済産業省 資源エネルギー庁『令和3年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2022)』より
夜間が割安という利点は、ひとつ間違えればデメリットに
日中と夜間で電力量料金が変わるのなら当然、電気を使う時間帯には注意したいところ。
「たとえば、エコキュートは貯湯タンクが空になれば、再び水を足して沸き上げますが、これが日中に行われたらかなりの電気代がかかります。また、洗濯乾燥機や食洗機などの家電も、夜間に使う方が断然おトク。洗濯や食器洗いは、電気代の安い夜間にまとめて行うようにしたいですね」
【世帯人数別】オール電化でかかる電気代の平均は?
オール電化住宅を検討するなら、やはり気になるのは具体的な電気代。設備や使い方によっても変わるので一概に言えませんが、関西電力が算出したデータによると、世帯人数別の平均光熱費は下記の通りとなります。
世帯人数が変わっても、金額はほぼ同じ。電気代にしては高く感じるかもしれませんが、ガス代も含まれる「光熱費」として見れば決して割高ではないはず。現在、ガスを併用している方は、1か月分のガス代と電気代を合算した額と比較してみましょう。
出典:関西電力「オール電化世帯人数別の電気代平均額」(2020年~2021年の年間使用量の平均値)
オール電化住宅で電気代が増える3つの理由
これまで触れてきたように、オール電化住宅では電気を適切に使わないと、電気代が高くついてしまいます。具体的な要因として大きいのは以下の3点。
オール電化向け料金プランに合わせた使い方をしていない
「オール電化住宅に住む人のほとんどは、夜間に割安となるオール電化向けの料金プランを選んでいると思います。でも、せっかく夜間がおトクなプランで契約しているのに、時間を気にせず電気を使っていれば電気代も増えてしまうことに。ちなみに新電力会社の中には、オール電化向けの料金プランを設定していない会社もあります」
給湯器の能力が不足している
「使うお湯の量が貯湯タンクの容量を上回り、日中に沸き上げを行ってしまうと電気代は大幅にアップします。能力不足の給湯器を使っていたり、家族の人数が多かったりする場合は注意したいですね。なお、最近のオール電化住宅ではほぼ見られないケースですが、給湯器が電気温水器だと、エコキュートに比べてかなり多くの電気が必要となります」
省エネ性の低い家電を使っている
「オール電化に限ったことではありませんが、省エネ性が低い家電を使っていると電気代がかさみます。中でもエアコンや冷蔵庫、照明などは、家庭で消費される電力の中でも多くのウエイトを占める家電。省エネ性が低いものを使っている場合は、ぜひとも見直したいですね」
オール電化で電気代を抑える方法4選
すべてのエネルギー源を電気でまかなうオール電化だからこそ、電気代はできる限り抑えたいもの。下記のように電気の使い方や機器を見直すことで改善できるケースも多いので、できることから始めてみましょう。
オール電化向け料金プランに合わせた使い方をする
「オール電化向けの料金プランに契約しているなら、日中に電気を使う行動はできるだけ避けたいところ。たとえば食器洗いは、食後すぐに済ませたいと思うかもしれませんが、電気代を考えるなら夜間にまとめて食洗機で洗うのがオススメです」
割安な時間と料金をしっかり把握する
「オール電化向けの料金プランに合わせた使い方をするために必要なのが、プラン内容をしっかりと把握すること。せっかく契約しているのに、割安な時間帯を十分に把握していない人は意外といるものです。なんとなく“夜なら安い”と考えるのではなく、“夜の○時から○時までなら、いくら安くなる”と正確に知っておけば、電力消費量が大きい家電は日中の使用を控えたくなるはず。行動に変化が表れやすくなるので、ぜひ実践してみてください」
能力が見合い、省エネ性に優れた給湯器に交換する
「給湯器で日中にお湯を沸かすと余計な電気代がかかるので、貯湯量とお湯の使用量が見合わない場合は交換も視野に入れて。また、あてはまる人は多くないでしょうが、電気温水器は省エネ性がかなり低いので、使っている場合はできるだけ早くエコキュートに交換しましょう。
エコキュートの省エネ性が高い理由は、エネルギーを効率良く使えるヒートポンプ式を採用しているから。ヒーター式の電気温水器に比べ、使用電力量を半分程度に抑えられることができるんです。ちなみにヒートポンプは、エアコンにも採用されている方式。もし、ヒーター式の蓄熱暖房機を使っているなら、エアコンに乗り換えることで電気使用量が大幅に抑えられますよ」
省エネ性に優れた家電を使う
「オール電化住宅に限らず、電気代を抑える方法として非常にオススメの方法です。特に、家庭内で電力消費量が多いエアコン、冷蔵庫、照明に対しては効果的。古い家電は消費電力量が高いものが多いので、最新モデルに交換することでかなりの節電になります。照明もLEDではないなら、ぜひ交換してください」
もちろん、パナソニックでも省エネ性に優れた家電を数多く展開中。たとえば『エオリア LXシリーズ』は、家庭用ルームエアコンでは唯一、“2022年度省エネ大賞”を受賞したモデル。冷房による乾燥や冷えを抑えながら、省エネ※2を実現できる"しっとり冷房"や、室外機の排熱を有効活用し、冷房時も暖房時もすばやく快適に運転できる「エネチャージ」といった省エネ機能が評価されています。そのほか、その家ごとの断熱性や気密性の性能による温度変化や、日射状況、おうちの中での人の活動量などをAIが学習しながら最適に運転してくれるモードも搭載。
“エオリアアプリ”を使えば、切り忘れ通知や電気代の見える化もできて、節電意識の向上にもつながります。家の中での電力消費量が1位と言われるエアコンだからこそ、省エネ性能にこだわって選んでみてください。
また、パナソニックの省エネ家電を語るうえで、外せないのが“AIエコナビ”。こちらはAIを利用して自動で節電できる技術の総称で、パナソニックのさまざまな家電に採用されています。たとえば、『ななめドラム洗濯乾燥機 NA-LX129BL/R』のAIエコナビは、衣類の量や水温などをセンサーで検知して自動でエコ運転が可能。また、庫内の食品やドアの開閉頻度が少ないときは自動で省エネ運転を行う冷蔵庫『WPXタイプ』や、部屋の明るさを検知して照明の照度を自動で調整する照明『パルック LEDシーリングライト』などもラインアップしています。
こうした最新モデルは高い省エネ性に加え、機能が充実しているのもうれしいポイント。和田さんも子育て期間中にパナソニックのななめドラム洗濯乾燥機を使っていて、大いにQOLが上がったそうです。
「ななめドラムには本当に助けられましたね。もう、これがなければ生きていけない、と思っていたくらい(笑)。ちなみにこのとき使っていたのは、省エネ性の高いヒートポンプ式。洗濯乾燥機もモデルによってはヒーターを使って乾燥するものがありますが、試算では電気代が倍近く変わるので、この点もぜひチェックしてください」
電気代の高騰で、オール電化の電気代はどう変わる?
輸入燃料費の高騰を受け、大手電力7社の電気料金は2023年6月使用分より引き上げられることとなりました。値上がり幅は各社で異なり、最も大きい北陸電力で平均39.7%、最も小さい東京電力で平均15.9%となっています。この値上げは、オール電化住宅にどのような影響を及ぼすのでしょうか?
「6月からの値上げは電力の小売り自由化以前から提供されている電気料金プラン(規制料金)に対するものです。オール電化向けプランが該当することの多い、電力自由化後に提供された自由料金プランにはあてはまりませんが、料金の見直しは行われています。東京電力エナジーパートナーが発表したモデルケースを見ると、オール電化向け料金プランの見直し率は1.3%〜4.2%。この数字はあくまで参考なので、自宅の料金がどう変わるかはこれまでの使用状況などから試算する必要があります。
各電力会社のサイトに登録していれば、過去の電気料金のほか、夜間と日中の使用量などが見られるので、契約している電力会社の値上げ後の金額に合わせて計算してみましょう。なお、電力会社のWEBサイトでは、マイページなどに登録することで、似ている世帯の電力料金を確認したり、おトクなポイントサービスの利用などが可能に。まだ登録していない方は、これを機に始めてみるのもオススメです」
オール電化なら、工夫次第で電気代が抑えられる!
今回の電気代引き上げに対し、和田さんは「もうしばらくはガマンが必要ですが、今後はここまで大幅な値上がりはそうないのでは?」と予測しています。
「今回のように電気料金が値上げされると、オール電化のデメリットが取り上げられがち。“オール電化にしたのは失敗”などと言われることもありますが、オール電化の場合は電気を使う時間帯を工夫したり、機器を見直したりすることで節電につながります。大切なのは、何となく“電気代高騰=オール電化の方が損をしそう”と思わずに、電気代の試算などで事実を把握して判断すること。オール電化を検討しつつ、電気代高騰を理由に諦めた方もいるかもしれませんが、実際のメリットとデメリットを考慮したうえで、どちらにするか決断していただければと思います」
オール電化住宅の電気代の目安とメリット・デメリット、節約方法についての監修
和田由貴(わだゆうき)
節約アドバイザー。講演、執筆、テレビ出演などをこなす傍ら、現役の節約主婦兼2児の母として、日々節約生活を実践。「節約は無理をしないで楽しく!」をモットーに、日常生活に密着したスマートで賢い節約生活を提案。現在は環境省3R推進マイスターなど、環境関連の活動にも多数携わっている。
※2 CS-403DLX2において、当社独自の条件により評価。安定運転時約1時間の積算消費電力量が、通常の「冷房」モード時=269 Whと、「しっとり冷房」モード時=229 Whとの比較。当社環境試験室(約14畳)、外気温35℃、体感温度25℃が得られるように設定、冷房安定時。実際の消費電力量は条件により異なります。
2023年8月23日 空気
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