空気清浄機の効果的な置き方や、部屋ごとの最適な置き場所をご紹介
空気清浄機の効果的な置き方や、部屋ごとの最適な置き場所についての監修:Yuu(本名:尾間 紫)
ライター:UP LIFE編集部
2024年12月12日
空気
室内の空気をキレイにする空気清浄機ですが、ただ置けばいいというわけではありません。実は設置する場所や向きなどによって、その効果のほどは変わってくるんです。空気清浄機の実力を最大限発揮させるには、どのように置けば良いのでしょうか? 一級建築士でリフォームコンサルタントのYuuさんこと、尾間 紫さんに聞きました。
空気清浄機の基本的な置き場所。大切なのは空気の流れをつかむこと
効率良く運転させるには、吸気口や吹出口をふさがないことが大切
「空気清浄機は吸気口や吹出口をふさがない場所に置くのが原則です」と、Yuuさん。これは、室内の空気を吸い込み、キレイにして吹き出すという空気清浄機の構造に則した基本の設置方法です。
「壁際にピタッとくっつけて置きたくなるかもしれませんが、空気の吸い込みやすさや吹き出しやすさ、さらには室内の空気の流れなども考えると、それでは効率が落ちてしまいます。もちろん、部屋の形や何をする部屋なのか、エアコンを使っているのかといった要素によっても変わってきますが、基本的には壁から少し離して置いてください」
壁からどれくらい離せば良いのかは、空気清浄機のメーカーや機種によっても変わってくるので、説明書を確認しましょう。なお、一般的には本体の左右と上方は約30cm以上、後方は約1cm以上離すことを提唱しているケースが多いようです。
空気清浄機の設置をオススメできないのはこんな場所
吸込口や吹出口をふさがないこと以外にも、空気清浄機を置く際はいくつかの注意点があります。理由とともに、Yuuさんに教えてもらいました。
① 直射日光やエアコンの風、熱が当たる場所
「強い日差しが当たる場所に、空気清浄機のような精密な機器類を置くのはNG。直射日光はとても強く、当たっている部分を高温にするため、外装が変形したり、紫外線による変色をしたりする可能性があります。また、エアコンの冷暖房の風が直接当たると急激な温度変化が起こるため、本体の変形やセンサーの誤作動を招く可能性もあるのでご注意ください」
② 窓際
「窓際は直射日光が入るのに加え、寒暖差が激しい場所なので避けたいところ。結露が発生すれば、湿度センサーを搭載した空気清浄機の運転に影響を与える可能性もあります。また、カーテンが触れることで、空気の流れを妨げてしまう場合も。また加湿機能を使ったとき、カーテンに湿気がたまってカビが発生しやすくもなるので、窓の近くには置きたくないですね」
③ キッチンなど、油分が浮遊する場所
「キッチンの照明器具などがベタベタになるのは、調理中に発生する油を含んだ煙=油煙(ゆえん)が原因です。この油煙を空気清浄機が吸い込めば、フィルターがベタついて劣化が早まったり、変形したりする可能性もあります」
④ 油や可燃性ガスなどを使用している、または漏れるおそれがある場所
「電気製品が油や可燃性のガスを吸い込むと、引火して火事につながりかねません。これはもう、本当に危険なので絶対に避けてくださいね」
⑤ 動植物に直接、風が当たる場所
「空気清浄機でキレイにした空気が当たるのだから良い、と思う人も意外といるようですが、常に風が当たり続けると乾燥しすぎたり、成長を阻害したりしてしまうことがあります。植物ならその部分が枯れたり、葉が変色したりする可能性も。動物でも、ケージに入っているハムスターや鳥などは逃げ場がないため体調を崩してしまうこともあるので、風が当たらない場所に置くようにしてください」
⑥ 吹出口の風が、家具や壁に直接当たる場所
「長時間、風を当て続けることで、シミや変形が発生するおそれがあります。特に木製品は、乾燥が進むことで風合いが変わったり、変形、変色しやすかったりするのでご注意ください」
タバコのニオイ対策を重点的に行いたいなら……
「タバコの煙やニオイは上にあがっていく性質があるため、空気清浄機を少し高い位置に置くと、室内に広がる前に抑えることができます。ただし、煙を本体に直接吹きかけるのは避けましょう。センサーやフィルターに負荷がかかったり、ニオイや汚れが付着したりして、劣化につながりやすくなります」
ちなみに、タバコ以外のニオイ対策を中心にする場合は、次亜塩素酸 空間除菌脱臭機『ジアイーノ』もオススメなのだとか。
「『ジアイーノ』は脱臭機能に優れており、ニオイが気になる介護施設などでも実際に採用されています。花粉やハウスダストの集じん能力も備えています。もちろん、空気清浄機にも脱臭機能はあるので、空気清浄機か『ジアイーノ』かで迷ったら、目的に合わせて選ぶようにしましょう」
ただし、『ジアイーノ』は喫煙環境では次亜塩素酸の濃度が不足し、除菌・脱臭効果が低下します。これは、タバコに含まれる有害物質がトレー内の次亜塩素酸水溶液に溶け込み、電極部分に悪影響を及ぼすため。電極が著しく劣化し、寿命が短くなるため、喫煙環境で使うことを重視するなら空気清浄機を選んでください。
部屋ごとに見る、空気清浄機の置き場所と設置のポイント
冒頭でYuuさんが触れていたとおり、空気清浄機の置き場所は設置する部屋によっても変わってきます。部屋別にどんなポイントがあるのか、ここで教えてもらいましょう。
リビング
「家族みんなが集まるリビングは、ホコリや汚れも多くなりがちなので、空気はしっかりキレイにしておきたいところ。他の部屋より大きな空間なので、まずは部屋のサイズをよく確認し、面積に合った空気清浄機を選ぶようにしましょう。また、人の体温で温められた空気は上に移動し、天井周辺で広がって壁に沿って落ちるため、部屋の中央に設置するとより効率良く汚れた空気を集めることができます。中央に置くのが難しい場合は、家具の配置などを考慮しながら、空気が流れやすい場所を選ぶようにしましょう」
寝室
「家の中でも、特に空気が汚れやすいのが寝室です。布団から出る綿ボコリやダニのほか、睡眠中に汗をかくことで湿気がたまりやすいため、ベッド周りにカビの胞子が潜んでいる、なんてことも。寝室は人生の1/3を過ごす場所です。眠っている間中、そこの空気を吸い込んでいることを考えても、空気清浄機はぜひとも使っていただきたいですね。
設置する場所は、基本の置き方を参考にしながら、できるだけ低い位置に。ホコリは人のいない時間帯で床にゆっくりと落ちていき、人が入ってくると舞い上がるもの。そのため、眠る1時間前くらいに運転を始め、あらかじめ空気をきれいにしておくのが良いと思います。
また風が体に直接当たる位置は、体が冷え過ぎるなど、健康に良くない影響を及ぼす可能性もあるので避けましょう」
玄関
「玄関は花粉など、大気中の汚れも入ってくる場所なので、空気清浄機を使えば、こうした汚れが家の奥まで入り込むのを抑えられます。ただ、玄関がそれほど広くない場合もあるので、設置を考えるときはサイズと置き場所をよく検討するようにしましょう」
ワンルーム
「ワンルームも、基本的にリビングと同じ。空気を集めやすいよう、壁から離して部屋の中央に置くのが理想的です」
ユーティリティルーム
「近年、注文住宅を中心に増えているのが、家事室として使われるユーティリティルーム。ここに洗濯機を置き、洗濯物を仕分けしたり畳んだりしていると、ホコリがとても多く、カビやニオイも気になるため、空気清浄機があると良いと思います。ただし、湿気が多すぎると機器に良くない影響を及ぼすので、その場合は除湿機を併用するなどの対策をとりましょう」
他の家電と空気清浄機の併用時に気をつけたいことは?
空気清浄機の置き場所を決めるときは、空気の流れを考慮することが大切です。そのため、室内の空気に影響を及ぼす家電と同時に使うときは、少しだけ注意が必要なのだそう。
エアコンと併用するとき
「エアコンの風が直接当たる場所に、空気清浄機を置くのは避けましょう。変形や変質、誤作動の原因になる可能性があります。また、空気は暖かいと上に、冷たいと下に移動する性質があるため、エアコンの風は暖房時に下向き、冷房時に水平とするのが基本。このエアコンの気流に合わせ、暖房時はエアコンの対面に、冷房時はエアコンの下のほうに空気清浄機を置くと、効率良く空気を集めることができます。
ただし、エアコンの水漏れトラブルに備えるなら、冷房時でもエアコンの真下ではなく、水がかからないくらい離したほうが安心。つい最近も、“エアコンからの水でパソコンのキーボードがビシャビシャに……”なんて話を聞いたばかりなので、エアコンの真下に大切なものは置くのはできるだけ避けてください」
除湿機・加湿機と併用するとき
「除湿機や加湿機がつくる空気の流れと、空気清浄機からの空気の流れがぶつかり合うと、それぞれの効率が下がってしまいます。互いに干渉しないよう、距離を離したり、吹出口の向きをずらしたりして調整しましょう」
エアコン以外の暖房器具と併用するとき
「ファンヒーターと併用する場合、空気清浄機の位置は風が直接当たらない場所に。また、ストーブは温風を出すことはありませんが、輻射熱によってかなり熱くなります。空気清浄機が近くにあると、熱によるダメージを受けてしまうので、距離をとって設置しましょう」
花粉・ハウスダスト対策に。パナソニックの加湿空気清浄機
パナソニックの加湿空気清浄機は、独自の気流と床上30cmに設けられた前面吸引口で、花粉やハウスダストを徹底除去! 独自のイオン“ナノイーX(48兆)”により、花粉やダニの死骸といった有害物質やニオイをスピーディーに抑制します。吹出口は上部に、吸気口は左右と前面の3方向に備えているため、壁際に設置しやすいのも美点。さらにYuuさんは、「デザインにも注目して欲しい」と語ります。
「空気清浄機は、部屋の隅などに設置されがち。これは、“目立たないようにしたいから”というのも理由のひとつです。その点、パナソニックの加湿空気清浄機はスタイリッシュなので、インテリアの一部として楽しむこともできます。空気清浄機を部屋の隅に置くと、効率良く運転させにくいもの。目立つ場所に置いても気にならないよう、デザイン性にもこだわって選んでいただきたいですね」
なお、吸込口を前面の床上に搭載しているモデルは、この部分もふさがないようにする必要があります。
「空気中に浮遊する花粉やハウスダスト、ウイルスなどの汚れは、時間が経つにつれてゆっくりと下に落ちていくので、下方に吸込口があるのはとてもいいですよね。この吸い込みを遮らないように、床の上に物を置かないようにしましょう。おもちゃなど、つい置きっ放しになりがちですが、吸い込みの前にあると空気の流れを遮ってしまいます」
設置場所まで考えて、空気清浄機を上手に使いこなそう
部屋のスペースには限りがあるため、空気清浄機の置き場所は悩みどころ。でも、せっかくなら効果を最大限に発揮させる場所に設置したいですね。大切なのは、それぞれの部屋で空気がどう流れているかを把握し、上手に利用すること。これは部屋によってさまざまなので、Yuuさんのお話を参考に、ぜひベストな位置を探してみてください。
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空気清浄機の効果的な置き方や、部屋ごとの最適な置き場所についての監修
Yuu(本名:尾間 紫)
多くの現場経験や相談実績を持ち、リフォーム全般に精通する一級建築士。住宅リフォームコンサルタント・住宅リフォームガイド。過去を繕うものではなく、未来の暮らしを創る「リライフのリフォーム」を提唱しており、講演・監修・執筆などを通じて本当に満足するリフォームのノウハウを伝えている。総合情報サイト『All About』リフォームガイド。
2024年12月12日 空気
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