エアコン暖房の1時間あたりの電気代はいくら?
電気代を節約するポイントも解説

エアコン暖房の電気代節約ポイントについての監修:田中 真紀子(たなか まきこ)
ライター:UP LIFE編集部
2024年12月23日
空気

夏に比べ、屋内外の気温差が大きくなる冬。エアコンの電気代も暖房時のほうが高くなるようですが、一体、いくらくらいかかるのでしょうか? そんな疑問を、家電スペシャリストの田中真紀子さんにぶつけたところ、エアコンにかかる電気代を知る方法を教えてくれました。暖房時の電気代を抑える方法や、最新エアコンの省エネ機能とともに、早速ご紹介しましょう!

エアコン暖房の電気代は、なぜ高い?

エアコン暖房の電気代が冷房より高く感じるのは、屋内外の気温差が大きいから。具体的にはどういうことなのか、田中さんに説明してもらいましょう。

設定温度と外気温度の差が大きいほど、消費する電力もアップ

「基本的にエアコンは、設定温度を目指して運転しているもの。外気との温度差が大きいと、その差を埋めるべく一生懸命働くので、必然的に消費電力もアップするんです。

たとえば、冷房の設定温度は28℃目安と言われていますが、外気温が35℃の猛暑日なら、その差は7℃。一方、エアコン暖房時に推奨される設定温度は20℃なので、外気温が7℃だった場合、13℃もの差が出ることとなります。ざっくり見ても冷房運転時の2倍以上の温度差を埋めなくてはならないため、暖房運転時は消費電力がアップし、電気代も高くなるというわけですね」

イラスト:温度差が大きいと消費電力が多い,夏の外気温と設定温度の温度差7℃,冬の外気温と設定温度の温度差13℃

エアコンの暖房運転にかかる1時間あたりの電気代を知る方法

エアコン暖房は1時間あたり、どのくらいの電気代がかかるのかを調べるには、いくつかの方法があります。

「ここで紹介しているのは、あくまでも目安を知る方法で、電力会社からの使用料や請求金額と一致するものではありません。ただ、1時間あたりの電気代がざっくりとでもわかれば、“設定温度を1℃下げたらどうなる?”とか“今日は1時間早く寝よう”といった形で、節電の工夫が積極的にできるため、把握する意義はあると思います」

①消費電力などを元に計算する方法

エアコンにかかる電気代の目安は、「消費電力(kWh)×電気料金の単価」で計算することが可能。さらに、暖房運転時にかかる1時間あたりの電気代を知りたいなら、スペックに示されている「期間消費電力量」を用いた計算方法が必要となります。

期間消費電力量とは、エアコンが1年間に消費する電力量の目安のこと。暖房時と冷房時で別々に表記されており、暖房の場合、暖房期間は160日、使用時間は1日あたり18時間という条件で算出されています。これらを用いて、暖房運転時にかかる1時間あたりの電気代を求める計算式がこちら。

イラスト:1時間あたりの電気代の算出方法

たとえばパナソニックの『エオリア2025年モデル Xシリーズ 6畳モデル(CS-X225D)』の場合、暖房時にかかる1時間あたりの電気代の目安は、上記の計算式にあてはめると
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4.6円/h
= (426kWh ÷ 160日 ÷ 18時間 )× 31円
---------------
となります。

ご自宅のエアコンにかかる暖房時の電気代も、上記の計算式に当てはめれば1時間あたりの目安を算出することが可能です。消費電力などは品番を確認のうえ、取扱説明書やメーカーサイトなどで調べてください。

「暖房の期間消費電力量は、11月8日から4月16日までの期間、6時から24時までに消費された電力を合算したもの。月によって、あるいは朝晩と日中でも外気温は変わるため、寒いときは算出した電気代より高くなる場合もあることを気に留めておきましょう」

②エアコンの電気代を表示するアプリの利用

「エアコンによっては、電気代の目安を表示するアプリが用意されています。たとえば、『エオリア アプリ』なら、運転ごとの電気代も確認可能。これを使用時間で割ることで、1時間あたりの電気代が算出できます」

③ワットチェッカーで消費電力を測定

「消費電力を測定するワットチェッカーは、家電のプラグとコンセントの間に接続して使用する機器。安価なもので2000円前後から購入でき、多機能モデルなら積算電力料金やCO2排出量なども表示可能です。なお、製品によっては、接続する家電の電圧や消費電力に制限があるので、自宅のエアコンに対応するかは事前に確認しましょう」

④スマートハウスのHEMSを利用

「HEMSとは、家庭で使う電気やガス、水道の計測と管理を行うシステムのこと。太陽光発電や蓄電池、インターネット対応家電といった機器を最適に制御したり、使用電力量を見える化したりすることができます。もちろん、エアコンも『エオリア』のようにインターネットに対応してれば、電気代の目安を確認可能です」

※電力料金目安単価 31円/kWh(税込)[2022年7月改定](冷房時、暖房時共通)の場合。
期間消費電力量に基づいて算出。ご紹介する電気代は、お客様と電力会社との契約やご利用の環境(室内外の温度、湿度、お部屋の気密・断熱性など)や使用状況(設定温度、運転モード、風量など)により変動します。あくまで目安であり、詳しい電気代はご紹介できません。

電気代節約のために。エアコンの暖房効率を上げる6つのポイント

写真:親子が過ごす空間のイメージ

エアコンの暖房運転時にかかる電気代を節約したいなら、エアコンを賢く使うことも必要です。これまで『UP LIFE』でもご紹介してきましたが、エアコンの暖房効率を上げるポイントは以下のとおり。

1.エアコンの風向きは下向きに、風量は自動に設定

風量を自動に設定すると、部屋が温まるまでは強、設定温度に達すると弱となって室温をキープしてくれるので、部屋が温まるまでにかかる時間が短くなり、省エネにつながります。風向きを下向きにするのも、空気の性質を利用して効率的に部屋を暖める方法のひとつ。

2.フィルターのこまめな掃除

フィルターが目詰まりすると、空気を取り入れる効率が下がるため、エアコンに負荷がかかります。余計な電力を消費することになるので、フィルターおそうじ機能を搭載していないエアコンなら、2週間に1度は掃除をするようにしましょう。

3.室外機の環境を定期的にチェック

室外機にホコリや落ち葉などがたまると、熱交換効率が低下します。消費電力アップにつながる可能性もあるので、室外機の周辺は定期的に確認するのがオススメ。

4.サーキュレーターを活用して室内の温度ムラをなくす

暖かい空気は上に移動します。室内の温度ムラにつながるため、サーキュレーターなどを使って空気を循環させましょう。暖房時はエアコンの対角線上にサーキュレーター設置し、上向きに風を送ると、天井付近にたまった暖気が巡りやすくなります。

5.窓の断熱対策

窓の断熱性が低いと室内の熱が逃げていってしまうため、断熱シートや断熱カーテンで対策を。床まで届くタイプのカーテンなら、隙間から侵入する冷気を抑えることもできます。

6.加湿で体感温度をアップ

湿度が低いと体感温度が下がるため、冬に乾燥しがちな地域は加湿が大切。一般的に、快適な湿度は40〜60%と言われるため、加湿器などで湿度をコントロールしましょう。

イラスト:電気代を抑えるエアコン暖房の使い方

暖房時に推奨される室温は20℃

環境省が提唱するウォームビズでは、暖房時の目安となる室内温度は20℃と少し低め、もし、20℃で寒く感じる場合は、室内の温度ムラを解消するなどの工夫が必要です。また、エアコンによってはセンサー精度の違いなどから、設定温度を20℃にしても室温が異なることもありがち。そのため、温度計で室温を確認しながら調整するのがオススメです。

部屋全体を温めず、快適に過ごす方法も

上記のほか、田中さんが暖房時の節電術としてアドバイスしてくれたのは、部屋全体ではなく自分だけを暖める方法です。

「部屋にいる人数が少ないときなどは消費電力の少ないスポット暖房や電気ひざかけを併用してみては? これなら、エアコンの設定温度を少し下げても快適に過ごせるので、広い部屋全体を暖めるよりも節電できます。なお、製造年式が10年以上前のエアコンは、今のモデルに比べて省エネ性が低いもの。暖房機能も今のほうが格段に優れているので、最新のエアコンに買い替えるのも節電術のひとつだと思います」

快適と節電が両立できる、パナソニックのエアコン『エオリア』

写真:スマホで電気代を確認

『エオリア』には、人の在・不在や日当たりの変化などを検知するセンサーが搭載されています。さらに上位モデルの『LXシリーズ』『Xシリーズ』なら、人の居場所や活動量、家具の配置、間取りなどまで細かくセンシング可能。これらの情報をもとに、“エオリアAI”が自動で最適な運転を行うため、ムダなく快適に過ごせます。

また、上位モデルには“新・AI快適おまかせ”機能を採用。リモコンのボタンひとつで、季節や温度に合わせた運転モードと設定温度を自動選択するほか、スマートフォンから『エオリア アプリ』で運転状況も確認できます。このほか、天井付近と足元に風を送る“サーキュレーションモード”を新たに搭載。部屋の上部にたまった暖気をかき混ぜることで、温度ムラを抑えて快適と省エネを同時に実現します。

「家具の配置などまで、センサーで検知できるのはすごいですよね。サーキュレーションモードと相まって、部屋のどこにいるかで快適さが左右されにくくなったので、もはやサーキュレーターは必要ないかも? 『エオリア アプリ』は電気代の見える化もしてくれるので、ぜひ活用していただきたいと思います。

このほか、『エオリア』の“エネチャージノンストップ暖房”も注目したいところですね。こちらは、コンプレッサーの排熱を蓄え、霜を溶かすエネルギーに活用する世界初の技術。高い省エネ性を実現するうえに、従来のように室外機の霜取り運転中に暖房を止めないので、室温の低下を格段に抑えて快適に過ごせます」

※2020年開発。特許第7398617号

節電行動の第一歩は、1時間あたりの電気代を知ること

田中さん曰く、「エアコン暖房にかかる電気代を知ることは、エアコンの使い方を見直すきっかけになる」のだそう。

「今回、ご紹介した方法で電気代を見える化すれば、今まで以上に節電行動をとろうと思えるはず。何ができるかを考えるきっかけになるので、エアコンの暖房効率を上げるポイントを踏まえながら、賢く使いたいですね。ただ、寒さを我慢しすぎるのは良くないので無理をせず、快適さも十分考慮するようにしましょう」

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エアコン暖房の電気代節約ポイントについての監修

田中 真紀子(たなか まきこ)

田中 真紀子(たなか まきこ)

白物家電、美容家電の専門家兼ライターとして活躍。日々発売される新製品をチェックし、製品の紹介記事やレビュー記事を雑誌やweb、新聞などで紹介している。日常的にも話題の新製品を使うことで、ライフスタイルに合わせた選び方や、上手な採り入れ方の提案も行っており、テレビ出演も多数。

2024年12月23日 空気

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