ビタミンDシリーズ 第3回「妊活成功の秘訣は!?食事と日光浴からつくる『ビタミンD』」

監修:善方 裕美(よしかた ひろみ)
ライター:UP LIFE編集部
2022年10月27日 健康

妊活時に重要だといわれている「ビタミンD」。食事や日光浴で摂ることができると話題です。大切な赤ちゃんとママの健康を助けるビタミンDについて、「よしかた産婦人科」の善方 裕美先生に聞きました。

妊活時の食事と生活に必須!健康を支える「ビタミンD」

写真:妊婦さんのイメージ

ビタミンDが、広く健康維持に関係*1することや、骨への影響が大きい*2ことは以前の記事でもお話しました。

しかし、ビタミンDの作用で忘れてはならないのは、妊活への影響です。

「ずばり、ビタミンDは、妊娠のしやすさに影響します。妊娠前から適切な量のビタミンDを摂り、妊娠中はもちろん、産後の授乳期もビタミンD量をキープすることにより、お母さんはもちろん、大切な赤ちゃんの健康を守ることができるのです」と善方先生は話します。

*1 ビタミンDシリーズ 第1回記事 参照

*2 ビタミンDシリーズ 第2回記事 参照

妊活をする場合、ビタミンDが足りないとどうなる?

具体的にビタミンDが足りないと、妊娠を希望する女性にどのような影響があるのでしょうか?

「ビタミンDの欠乏は、さまざまな妊娠中の病気、トラブルに影響しています。冒頭の不妊症から早産、胎児発育不全、妊娠糖尿病など。それらに伴い、帝王切開率も上がると考えられます。胎児が生まれてからも、小児くる病や、喘息、1型糖尿病の発症にも関連性があるという研究も」と善方先生。

最近では、妊娠中や出産後の女性の骨折の問題にも注目が集まっています。

「ビタミンDは骨への影響も大きい栄養素。妊娠出産の前後で欠乏すると、正常な骨の生成サイクルができなくなり、骨折してしまうこともあります」

妊活ではなくても、生きる上で不可欠なビタミンD

また、妊娠とは別に、以下のような疾患との関係性も注視されています。

【ビタミンD欠乏に関係する疾患、リスク】

  • 感染症
  • 発がんリスク
  • 心血管系疾患
  • 乾癬(かんせん:皮膚の疾患)
  • 糖尿病
  • 喘息 など

善方先生も、「ビタミンDは、妊娠時だけでなく人生を通して必要な栄養素と考えていくことが必要」だと訴えます。

プレコンセプションケア(妊娠前ケア)にもビタミンDが大切なわけ

写真:赤ちゃんのイメージ

ビタミンDは生きていく上で大切な栄養素。
とくに、妊活中〜妊娠、産後は、ビタミンDの欠乏に要注意だそう。

「日本人の妊婦さんのほぼすべてが、ビタミンD欠乏といってもよいと思います。私の調査では、ビタミンDを妊娠前や妊娠初期から摂取している方のほうが、産後も高いビタミンDの血中濃度を維持できることがわかっています」と善方先生。

妊活するなら知っておきたい!プレコンセプションケアってなに?「ビタミンD」との関係は?

妊娠前から産後まで、そして、生涯を通して必要な栄養素といえるビタミンD。日本でも少しずつ、ライフイベントを健康に迎えるための取り組みがはじまっています。その1つが「プレコンセプションケア」です。

「プレコンセプションケアは、妊娠前から行う健康管理のこと。将来の妊娠のためにカップルが健康に向き合っていくという考え方です。ビタミンDは妊娠希望の方にとっては大切な栄養素ですが、妊娠をしてから摂取するのではなく、それ以前から摂取できているのが望ましいんです。

また、お産の最前線にいると、ここ数年の妊婦さんの痩せ傾向はやはり気になりますね。ビタミンDの研究の中で、痩せている方ほどビタミンDが欠乏する傾向があることがわかりましたし、ビタミンDや妊娠の問題だけでなく、痩せすぎていることが健康におよぼす影響は大きいと思います」と善方先生。

プレコンセプションケアで向き合うべきは、やはり食や運動などの生活習慣。近年の妊婦さんの体型の問題は、孤食やボディイメージの歪みなどさまざまな要因が考えられるそうですが、やはり、“まんべんなくしっかり食べて身体を動かす”という健康の基本は、重要なのです。

お日さまの下で過ごし、おいしく食べる!ビタミンDを意識した生活習慣

写真:女性が赤ちゃんを抱っこしているイメージ

では、具体的にビタミンDをどう摂取していけばよいでしょうか?

「実はビタミンDの供給源の80%は日光のUVから得られます。しかし、天候や地域の影響や、個々のライフスタイルまで考えると、十分な日光浴は難しいことも。食事やサプリメントでも摂取していくことを意識すると、尚良しです!」

1日のビタミンDの摂取量は、厚労省食事摂取基準2020版によると妊活中は5.5μg、妊娠中は7μg、授乳中は8μgが目安。
日光浴なら、よく晴れた日に1日15~30分、手足などが日にあたる服装で散歩するのがおすすめ。その際は、日焼け止めは無しがよいそう。

国立環境研究所 地球環境研究センター(外部サイト)では、日本全国に設けられた各観測所のデータを使い、その日の気象条件から安全にビタミンDを生成できる時間を割り出して提供しているので、参考にするとよいかもしれません。

食事では、鮭やサンマ、カレイ、しいたけやきくらげなどビタミンD量が多い食材を取り入れましょう。

妊活でビタミンDサプリメントを摂るときの注意点

日光浴や食事での補充が難しい場合は、ビタミンDのサプリメントを活用するのがおすすめ。

「サプリメントは決められた摂取量を守りましょう。気をつけたいのは、さまざまなビタミン系のサプリメントを使っている方。ビタミンD単体のサプリメントとマルチビタミンなどのサプリメントを合わせて飲んでいる場合は、ビタミンD単体の摂取量が上限を超えないよう気をつけましょう」と善方先生。

ビタミンDは、人間本来の力の基盤をつくる

日光の下で生活し、しっかり食べる。
ビタミンDは、人間の営みの基本を思い出せる栄養素だと善方先生は話します。

「子どもをおなかで育てて産むことも、人間に備わっている力です。その力を、最大限発揮するためにビタミンDを身体の中に充足させていくことが大切。日光浴と食事は字面を見れば簡単なことなんですが、それすら難しい複雑な時代でもあるのも事実。忙しい毎日の中で、ビタミンDのことを、少しでも意識してくださるとうれしいですね!」。

善方 裕美(よしかた ひろみ)さん

監修:善方 裕美(よしかた ひろみ)

よしかた産婦人科院長、横浜市立大学産婦人科客員准教授。医学博士、女性ヘルスケア専門医、日本骨粗鬆症学会認定医。妊婦授乳婦のビタミンD研究にて女性医学学会優秀演題賞受賞。「妊娠後骨粗しょう症」啓発プロジェクトの発起人を務める。よしかた産婦人科は年間約700人の赤ちゃんが生まれる分娩施設。母乳育児・自然分娩を基本に触れ合いを大切にし、よりよい産科医療を提供するために医療技術のアップデートを重ねながら、日夜奮闘中。おもな著書に「女医が教える閉経の教科書」(秀和システム)、「だって更年期なんだも~ん治療編」(主婦の友社)、「ウィメンズヘルスリハビリテーション」(メジカルビュー社)など。

2022年10月27日 健康

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