家電は相棒。“しない家事”でラクするのは全然いいこと。“できるラク”はやるに越したことはない。堤 しほさんが車椅子目線で語る、「家事って何?」

ライター:UP LIFE編集部
2020年2月7日
家事・くらし

しない家事の雑誌広告にご出演の堤しほさんは、主婦として、WEBデザイナーとして、毎日奮闘中の車椅子ユーザー。
2015年に発症した病気の後遺症で、現在もリハビリ中であるという。
車椅子目線で毎日を綴ったブログは、その明るく前向きな姿勢が共感を生み、多くのフォロワーを持たれています。
しほさんとご主人と猫、3人で暮らす自宅にお邪魔して、家事に関する話を伺いました。

「パナソニックのしない家事」雑誌広告のイメージです。

我が家は、基本ライト自炊派。頼るところは主人に頼っています

―はじめに、しほさんの1日の過ごし方を教えてください。
 

しほさん:起きるのはだいたい8時ごろで、朝ごはんは食べたり食べなかったりです。
お昼ご飯は11時半くらい。お昼をとってすぐに、主人が散歩を1時間くらいするのでその間、私はもう自由に、誰もいないのびのびした時間を過ごしています(笑)。
主人は散歩から帰ってきたら、仕事を始めます。夫婦ともにフリーランスのWEBデザイナーで、主人に合わせて、私も仕事をするようにしています。
その後が家事をする時間です。お風呂に入るまでの間。うちではお風呂が早いんです。5時半から6時くらい。
7時くらいから夜ご飯を作り始めて、8時半ごろには食べ終わって、そのあと団らんして寝るって感じです。

猫をだくしほさん

―家で仕事をされていたら、3食ごはん作り、大変ですね。
 

しほさん:仕事は、マイペースにできる範囲でしています。なので、全然苦じゃないです(笑)。
それに我が家は、基本ライト自炊派。朝もパンくらいで、お昼は、ご飯とお味噌汁に、卵料理が8割。夜も2~4品あればOK。
食材は案外すぐに傷むので、2人暮らしであればそんなに食材を買い込まないほうがいいかなと。おまけに、最近はネットスーパーばっかり使っています。便利ですよ。車椅子なので、買い出しはやっぱり面倒です。

―それにしても素敵なキッチンですね。
 

しほさん:ありがとうございます!自慢のキッチンです。
結婚当初から車椅子生活になったので「長く使うものは妥協しないでおこう」と主人が男気を出してくれました。バリアフリーキッチンです。車椅子仕様、私仕様にカスタマイズされています。
これができた時、両親も見に来たんです。嬉しかったのか、泣き出してしまって。それを見て私も主人も泣き出すという(笑)。私たち夫婦にとってかけがえのない場所です。すごく大事に使わせてもらっています。

キッチンの様子

―料理は好きですか?
 

しほさん:たまに、めちゃめちゃ凝ったことをやりたくなることもありますけど、普段はすごくラクしたい。ギャップがあるんです(笑)。だから、たぶんそんなに上手じゃないけど、作ることは好きです。
ラクといえば、フィッシュロースターを使っています。車椅子用のキッチンなので魚焼きグリルは諦めたんです。だから置き型。魚を焼くだけじゃなくて、食パンも焼きます。他にもいろいろグリル系の料理もできたりして、とてもお世話になってます。
 

コップを持つしほさん

―料理、お好きなんですね。他の家事についてはどうですか?
 

しほさん:そこは、私ができることとできないことって、こういう体なのではっきりしていて。
たとえば、洗濯とか、掃除も簡単なものだったらできる。そういう自分ができることはちゃんとやろうと思っています。
どうしても主人に頼まないといけないこと、手が届かなかったりとか、物理的にできないところは、すごく頼りにさせてもらってます。

洗濯カゴを持つしほさん

家電は、この体になってからより相棒に。道具に頼るのは、甘えでもなくごく当たり前のこと

※本記事はパナソニックから、「しない家事」の雑誌広告にご出演の堤しほさんに、「洗濯機・衣類乾燥機」を提供した上、インタビューを依頼し、コメントの内容を編集して掲載しております。

―家電は頼りになっていますか?
 

しほさん:家電は、この体になってから、より相棒みたいに感じていますね。本当に、“毎日お世話になってます!”って感じです。車椅子って当然だけど不便なんです。車椅子ユーザーは、不自由ゆえの不便な生活を送っています。そこで家電。私はもともと家電が好きなので、便利なものはどんどん取り入れるタイプです。
道具に頼るのは、決して甘えでも何でも無くごく当たり前のこと。無理なものは無理と割り切って、家電に託しています。

―例えばどんな家電?最初に相棒として思い浮かべるのは?
 

しほさん:それはもう、ドラム式洗濯乾燥機。車椅子ユーザーのほとんどの方がドラム式の洗濯機を使用しているんじゃないかと思います。縦型だと、座りながらは物理的に使いこなせないからです。
私が何より助かっているのが、衣類乾燥機能!いやもうぶっちゃけこれ無しじゃ生きていけません。再び立って歩けるようになったとしても、衣類乾燥機能と生涯をともにしたいと思っています(笑)。
我が家の衣類乾燥は8割乾燥機頼りです。もうほんとめっちゃラク。干す作業ないってめっちゃラク。タオルだって勝手にフワフワ。なんで今まで使ってこなかったんだろうって思います。
青空の下での洗濯は、気分がいい。でも車椅子に座りながらの洗濯干し作業にそんな余裕はありません。脊髄損傷になる前と今では大変さが雲泥の差です。三輪車に乗りながら洗濯物干してるくらい大変です。
もちろん、乾燥できない衣類もあるのでそれは干すようにしていますが、割合はそんなに多くないです。量が多ければ主人が手伝ってくれます。
これからも、身体障害者が家事をするということを理解した上で開発される家電がいっぱい出てくるといいなと思います。

洗濯物を出し入れするイメージ写真
洗濯機の前で説明をするしほさん

―本当にそうですね。
ところで先ほどの話にも出ましたが、車椅子の生活と以前とでは家事についての考えは変わりましたか?
 

しほさん:できてたことができなくなったっていうもどかしさとか、悔しさとかふがいなさは、もちろん感じていて。車椅子生活とともに、奥さんになったので尚更です。
時間が解決してくれた部分も結構あるんですけど、それ以上に主人の助けと、便利な家電のおかげが大きいです。本当に。それこそ、前の生活だったら縦型洗濯機で充分だったかも。そう考えると、家電の存在って大きいなって思います。

―“車椅子生活だから大変ですね”“困りませんか”って言われますか?
 

しほさん:ありますね。私も実際になってみてわかったことなんですけど、そんなにめちゃくちゃできないことばかりかって言われると、そうでもなくて。意外と工夫すればできるということがわかりました。
なので、言われることについては特に何も思いません。そう思うよね、って当然のように感じています。
ただ、そんなに大変じゃないよ、っていうことはちょっと言いたいです。

お茶を飲むしほさん

サボるじゃなく、“しない家事”でラクするのは全然いいこと。できるラクは、やるに越したことないんじゃないかなって思う派です

―そうして工夫されている中で、しほさんとして、例えばこの家事はちょっとしなくてもいいかな、ラクしたいな、そう思う家事ってありますか?
 

しほさん:そうですね。それこそ料理は好きですけど、上手くサボれるところってたくさんあって。
例えば電子レンジ。今はすごく良い機能がたくさん。いろんな料理が電子レンジだけで作れますね。そういうところはしっかり利用したいです。ラクしておいしいなら何よりなので。
サボるじゃないですけど、“しない家事”でラクするのは全然いいことだと思っています。お掃除だってロボット掃除機に頼るのは何も悪くないし、むしろいいんじゃないかなって思う。
できるラクは、やるに越したことないんじゃないかなって思う派です。

―夫婦の家事のシェアも意識として当たり前となってきているこの頃ですが、堤家ではどうですか?
 

しほさん:もちろんです。もう完全に割り切ってシェアしている家事もあります。
それベースでわが家は成り立っています。

―例えばどんなことですか?
 

しほさん:ゴミ出しは、完全に主人にお任せしてます。溜まった1週間分のゴミを私ひとりで出そうとするとすごく時間もかかるし、散らかしてしまう心配もあります。ゴミを出す場所も、ちょっと遠かったりするので。
あと、お風呂掃除も基本的には主人がしてくれてます。洗濯物をたたむのも上手いです(笑)。

夫婦二人で洗濯物をたたむ様子

―頼もしいご主人ですね。
ここでご主人からも一言いただきたいです。しほさんとの生活について、また素敵なこのお家についてなどお聞かせください。
 

ご主人:さっき妻も言ってたとおり、車椅子の人が生活するって、そんなにめちゃくちゃハードルが高いかっていうと、実は意外と、みなさんが思っているほどでもなかったりするんです。
一緒に散歩をしていても、僕が車椅子を押してなかったら、すぐ皆さん手伝おうとしてくださる。だいたい、どこに行っても温かい方がいます。
この家はほぼ彼女のために、家の中で大変だなと思うことがないように作りました。たぶん、彼女も満足してくれていると思います(笑)。

しほさんの夫

―すごいですね。
 

ご主人:ありがとうございます(笑)。

―最後の質問になります。今一番欲しい時間(したいこと)は何かを教えてください。
 

しほさん:主人に比べ、私は時間があるので。1人の時間はとてもありがたいんですけど、やっぱり2人の時間が欲しいです。主人は仕事の関係上、まとめて休みがとれないので、できたら2人で旅行とかしたいですね。


ご主人:僕も考えていることは一緒です。フリーランスで仕事をしてるので、お客さんのことを考えるとなかなか休めない。もしまとまった休みがとれたら、2人で旅行に行きたいなといつも思っています。アイスランドに行きたいって彼女がずっと言ってるので、来年か再来年にはなんとか時間作って行きたいなとは思ってます。

家族3人の写真

―ありがとうございました。旅行、行けるといいですね。
でも、猫のマーゴは?寂しがるかもですね。
 

ご主人:あ、そうか(笑)。

猫のマーゴ

2020年2月7日 家事・くらし

  • 記事の内容や商品の情報は掲載当時のものです。掲載時のものから情報が異なることがありますのであらかじめご了承ください。