幸せにしたいと思ったら、自分たちも幸せになっていた。パナソニック保護犬猫譲渡会で里親になったご夫妻へのインタビュー。
ライター:UP LIFE編集部
2024年9月25日
ペット
人も犬も猫も「家族」みんなが幸せに暮らせる社会の実現を目指して開催されている「パナソニック保護犬猫譲渡会」 (協力:朝日新聞社 sippo編集部)。これまでにのべ1万8千人以上が来場し、230頭以上の譲渡につながっています。今回、里親になったご夫妻に、保護犬を家族として迎え入れる選択についてや、迎え入れて感じたことなどについてお話を伺いました。
自分たちの選択で、世の中を変えられるかもしれない
知って意志のある選択を
――譲渡会に興味を持たれた経緯を教えてください。
夫:妻と1年ほど前から「犬を家族に迎え入れたいね」と話していました。最初はペットショップへ行ったり、ブリーダーについて調べたりしていたんです。
妻:夫も私も実家では犬と暮らしていましたが、二人で飼うのは初めてでした。一緒に生活するのに、どのような環境が良いのか。どのくらい費用がかかるのか。また近所に動物病院があるのかなども気になって、いろいろと調べました。このなかで、パピーミル*について知ったんです。悲惨な事件の内容や劣悪な飼育環境の動画などを見て、とても心が痛くなりました。
夫:その話を妻から聞いて、保護犬についても知りました。もちろん、すべてがパピーミルではないと思っています。そのうえで私たちがペットショップから犬を購入しないという選択により、パピーミルを減らすことにつながったらと考え、譲渡会に興味を持ちました。
「パナソニック保護犬猫譲渡会」は、偶然インターネットで知りました。パナソニックが譲渡会を開催しているのは意外でしたし、動物保護団体の具体的な活動内容も当時は知りませんでしたが、仕事の休みにも合うし、会場は駅からも近いので参加してみようと思ったんです。
妻:チケットの取得方法も明確だったので、ハードルの高さを感じなかったのも良かったです。パナソニックの家電を使っていて親近感があったのも、行ってみようと思った理由のひとつです。
「大変かも…」と言われても幸せにしたかった
過去を聞いても変わらなかった気持ち
――パグの六太くんを家族に迎え入れるとき、どんなことを考えていましたか?
夫:六太は、保護されるまで繁殖所のゲージのなかでずっと生活をしていて、お散歩の経験も無いかもしれないとのことでした。保護団体である“てとてとしっぽ”さんからも、「家庭犬としての生活を始めたばかりで大変かもしれません…」と聞かされていました。また、性格もこれから活発になっていくのか、塞ぎ込んでしまうのかは分からないとのこと。実際に迎え入れる前、保護施設で「お散歩してみようか」とリードを付けたら、ブルブルと震えて30分くらい一歩も動きませんでした。また、落ち着きがなく警戒する様子もありましたが、それを私たちはきちんと理解して迎え入れたいと思いました。
妻:六太への興味はかわいらしい見た目から始まりましたが、詳しく背景を聞いても、さまざまな様子を目の当たりにしても、最初から思っていた「幸せにしたい」という気持ちは変わりませんでした。たとえ、家からまったく外に出られなくなってしまっても、六太自身が幸せだったら、それでいい。散歩に行きたくないなら、無理に行かなくていい。さすがに、生きるためにご飯は食べてほしいけど…、そう思っていました。
できることから、ポジティブに
犬も人もお互いのストレスにならないように
――六太くんにはどのように新生活に慣れてもらいましたか?
妻:音にとても敏感なので、最初は気を使いました。でも、私たちも生活をしているため、どうしても音は出ます。大きな音は出さないようにするものの、お互いのストレスにならないように「過保護にしてもどうなのかな」なんて考えながら、すこしずつ嫌がらない程度に挑戦して慣れてもらいました。
夫:お散歩も保護団体のスタッフさんからは、「1年いや2年かけてでもいいから、すこしずつ散歩できるように」と言われていました。そのため、家に来たばかりの頃は、六太を抱きしめて車があまり通らないところまで行っていたのですが、2週間後には自分から走り回るようになっていました。
電車や車に乗るのは、1、2回目は怖がりましたが、3回目からは大丈夫に。いまでは楽しいところに連れてってもらえるのが分かっているのか、自分から車に乗り込むようになりました。
ドッグフードやおやつも最初は私たちが近くに居て、手であげないと食べてくれませんでした。でも、最近の六太はドッグランを楽しんでいる最中であっても、私がおやつの袋を開けようとするのに気づいて、自分からきれいなおすわりをして待つようになりました。
想像を超える日々が待っていた
何気ない瞬間が幸せになる
――六太くんが家族になって、日々の生活はどのようになりましたか?
夫:朝は舐められて起こされ、目が合ったら甘えてくる。昼にボール遊びをしていると、急に興奮しだしてぐるぐる走り回る。夕方に家へ帰ったら、しっぽをブンブン振って喜んでくれる。夜には私たちの頭にお尻を押し付けて、大きないびきをかいて寝る。何気ない日常がほっこりするものになりました。
妻:迎え入れる前に想像していたよりも、ずっとずっと楽しくて私たちの生活に彩りを与えてくれています。ご飯をひとりで食べられるようになったり、お散歩にすらすら行けるようになったりと成長を感じさせられることもある。幸せな気持ちにさせてもらっている瞬間を挙げ出したら、きりがありません。
自分を知り、人とつながるきっかけにも
――六太くんとの生活は、里親さんたち自身にも何か影響を与えていますか?
妻:自分の好きなことに気づけましたね。ふと、六太を絵に描きたくなって。これまでこんなことなかったんですけど、いまでは絵を描くのが好きになりました。
夫:人とのつながりも増えました。私たちのSNSを見てくださる方の愛犬も描かせていただいたり、ドッグランつながりでさまざまな飼い主さんとの輪が広がったり。本当に偶然なのですが、参加したパグの飼い主さんの集まりでは、以前“てとてとしっぽ”さんへ寄付をしていた方がいて、六太の支援もしていただいていたそうです。
一歩踏み出したら、いい出会いに
出会いに集中でき、その後のことも考えられる
――里親になったいま、パナソニック保護犬猫譲渡会を振り返ると、どのように感じていますか?
妻:さまざまな団体から保護犬猫のこれまでの背景や性格を聞くだけでなく、実際に目で見て、声を耳で聞いて、許されれば手で触れて…。いろいろな感覚を使って保護犬猫と向き合えたのが、いまにつながっています。また、「保護犬猫の現状や支援についてもっと知りたい」、「何か助けになれることはないのか」などを考え続ける機会にもなりました。
夫:譲渡会だけでなく、幸せそうな元保護犬猫たちの写真展やチャリティーマーケット、お迎えするときに便利な家電の体験コーナーもあり、1つの会場でいろいろな体験ができたのも良かったです。これからもこのような活動を続けてもらいたいですね。2匹目を迎えるときには、また行きたいなと思っています。
“幸せが一番”の保護団体のおかげ
――六太くんの保護団体“てとてとしっぽ”さんの印象はいかがでしたか?
妻:正直、いまがあるのは“てとてとしっぽ”さんのおかげだと思っています。暑さにも寒さにも弱いパグの六太を迎え入れるにあたり、夏や冬をどう乗り越えるかなどの根本的なことも含めて、不安はたくさんありました。でも、そのひとつひとつに、丁寧に答えてくれたんです。ときどき電話もいただいたり、本気で保護犬の幸せを考えているんだなと感じました。
夫:先日、六太とほとんど同じタイミングで“てとてとしっぽ”さんを卒業した保護犬の飼い主さんと会ったのですが、その方もしっかりと質問に答えてくれる団体だと信頼を寄せていました。また、この卒業生に会ったことをSNSに載せたら、“てとてとしっぽ”さんが見てくれてコメントをしてくれる。そんな関係が続いています。
里親になって分かったこと
保護犬のかわいさに、気づいてしまった
――里親になって一番変わったと感じているのは、どんなことですか?
夫:妻が次にお迎えするのも「保護犬がいい」と言っていて、私も同じ考えだということです。里親になる前は、たとえパピーミルに心を痛めても、保護犬と一緒に暮らしていくことに、まったく抵抗がなかったわけではありませんでした。
妻:「保護犬」というと、どの犬も人に怯えて、吠えて、噛むというイメージを持つ方もいると思います。だけど、触れ合ったらそれぞれの個性に気づくことができました。そうすると、吠えられてもかわいいんですよね。あと、お散歩中に「うちも保護犬」という飼い主さんにもよく会いますし、その話で盛り上がるのも楽しいです。
準備が完璧になるまで待つより、自分の思いが大事
――最後に、いま保護犬を家族に迎え入れることを悩んでいる方がいたら、何を伝えますか?
妻:実際、一緒に生活してみないと分からないことばかりです。六太を家族に迎え入れるとき、私自身も「完璧にできます!」って感じではありませんでした。でも、「幸せにしたい」という強い思いはありました。
夫:「愛してあげればいいじゃん」、「個性は受け入れよう」という思いが、里親になることを後押ししたと感じています。保護犬との生活は、いろいろと頑張らなくてはいけないと考えがちですが、里親になってみて意外に頼れる人がいたり、場所があったりすることにも気づきました。
妻:考えれば考えるほど、行動に移すのは難しいとも言われます。だから「幸せにしたい」という思いがあって、少しでもできそうだと感じたら、まずは一歩踏み出してみるのがいいのではないでしょうか。
保護犬猫譲渡会をきっかけに、これまでとはまったく異なる日々が始まった六太くん。その里親さんから、素敵なお話を伺うことができました。
保護犬猫という存在をなくすには、まだまだ時間が必要かも知れません。でも、新たな保護犬猫を増やさないためにできることはあります。それは、飼い遂げること。最期まで犬猫とその家族が毎日を楽しく、心地よく暮らし続けることが大切です。
パナソニックには動物と家族の暮らしの「困ったな」を解決したり、「あったらいいな」を実現したりする、いろいろな家電があります。人も犬も猫も「家族」みんなが幸せな毎日のために、お役に立てたら嬉しいです。
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2024年9月25日 ペット
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