犬猫たちの「衣食住」その子をよく観察してニーズを満たし信頼関係を築こう
犬猫のための衣食住のポイントについての監修:村田香織
ライター:sippo編集部
2024年12月17日
ペット
犬や猫のためのアイテムやウェア【衣】、毎日の食事【食】、長い時間を過ごす住環境【住】について、飼い主さんが犬や猫の安全や快適、心身の健康のために大切にしたい心得やポイントをご紹介。さまざまな経歴や既往歴を持つ保護犬・保護猫の場合の注意点も交えながら、獣医師の村田香織先生がお伝えします。
栄養と行動ニーズを満たす食事
栄養バランスと量
毎日の食事は、犬や猫の体をつくる要です。健康の維持・増進、病気の予防になることはもちろん、もし病気になってしまっても、闘病に耐え得る体が食事によってできているかどうかで、その後どうなるかに大きな差がでることもあります。
そのためまず食事で考えたいのが、栄養バランスと量です。犬は肉食に近い雑食性の動物で、猫は肉食動物です。それぞれ、年齢に合わせた栄養バランスのよい食事を、適度な量で与えることが重要です。
ドッグフードやキャットフードは、犬や猫に必要な栄養が満たされた「総合栄養食」のものを選ぶようにします。パッケージに書かれた量を参考にしながら、その子にとっての適量を与えるようにし、肥満ややせすぎを防ぎ、適正体重を維持させていきましょう。
食事の与え方
食事の内容だけでなく、「与え方」を考えることもとても大切です。犬も猫も、獲物を探し、追いかけてつかまえ、食べる、という捕食行動をする動物です。ポンとお皿を差し出されるだけでは、食べる以外の行動欲求は満たされず、たいくつな時間が増えてしまいます。
犬の場合、宝探しのようなゲーム性を食事に持たせたり、フードをご褒美と捉え、オスワリやフセなど簡単なトリックを食事に取り入れたりするのがおすすめです。飼い主さんとのコミュニケーションにもなり、犬にとって食事がより充実した時間になります。
猫は、もともと小鳥や昆虫など小さな獲物を1日に何度もつかまえて食べていた動物です。飼い主さんがフードを1粒ずつ手で飛ばして、追いかけさせて食べさせると、本能が刺激され、猫も夢中になって食事を楽しめます。猫はちょこちょこ食べる生き物ですから、食事は「少量頻回」が基本。1日4~5回に分けて与えるのが理想です。
また、犬猫ともにおすすめなのが、フードボウルの代わりに「知育オモチャ」で食事を与える方法です。知育オモチャとは、犬や猫が頭脳を使って遊ぶオモチャです。一般的に食べ物を入れられる構造になっており、食事にも用いることができます。動物にとって、努力をして得たものは、それだけ価値も高く感じられるということがわかっています。食への意欲を高めることにもつながるため、小食だったり、食べムラがあったりする子にもおすすめです。
対して、食事の与え方で避けたいのが「置き餌」です。保護猫の場合は、人を怖がり隠れて出てこない子もいるでしょう。そんなとき、お皿にフードを入れていつでも食べられる状態にしておくことをしがちですが、これは得策とは言えません。怖がりな猫に限らず、「ご飯をくれる人」というのを犬や猫に認識してもらうことは、飼い主さんと動物、互いの関係性を築いていく上でとても大切なことです。隠れてしまうようであれば、最初はケージ飼育にし、スプーンなどを使って飼い主さんが直接食事を与えるということを、根気よく行っていきましょう。
おやつも上手に取り入れる
室内飼育の推奨や、厳しい夏の暑さなど、犬も猫も、昨今は家の中で過ごす時間が長くなっています。完全室内飼育の猫であれば、一生のほとんどを家の中で過ごしていると言っても過言ではありません。その時間のほとんどを寝て過ごしているとしたら、それは犬や猫にとって「ストレスがないストレス」状態だといえます。
その状況を打開できるのが、食事に加えておやつです。食べ物をモチベーションに家の中でも体や脳を使わせることができると、犬や猫にとって日々はより充実したものになります。
そのためにも、おやつは意味もなく差し出すものとはせず、毎回目的を持たせるようにします。犬であればトレーニングのご褒美として与える、猫であればキャットタワーに上がるなど、活動を促すために用い与えるようにします。
食べ物が活動のモチベーションになり、活動することでさらなる活動や食事への意欲も高まるという好循環が生まれます。愛犬や愛猫が喜ぶおやつを、日々の中に上手に取り入れてあげましょう。
またその際、飼い主さんが入手した安心素材で、肉や魚のジャーキーや米粉のクッキーなど、犬や猫が喜ぶおやつを簡単に作ってあげるのもおすすめです。さまざまな食材を試すことができ、愛犬や愛猫の好みをよく知ることができる点も手作りのメリット。飼い主さんが愛犬や愛猫の食材やおやつごとの「好き度」を知ることができると、目標のステップアップなどよりモチベーションを引き出したいようなときにも有効です。オーブンがあると、さまざまなおやつを作ってあげることができます。
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スチームオーブンレンジ ビストロのオーブン機能は、熱風を庫内全体にしっかり循環させるため上下段の食材に均一に熱があたり、包み込むようにムラを抑えて焼き上げます。その他、ありものも冷凍の食材も、ヒートグリル皿にのせるだけで裏返しなしで調理できる「おまかせグリル」や、人間用のごはんとして冷凍や常温の食材を耐熱ガラス製ボウルに入れるだけでおまかせ調理できる「凍ったままワンボウル」など、うれしい機能を満載。調理科学と独自のテクノロジーに支えられた “手軽さ”を実現しているのがビストロです。つくるときも食べるときも、幸せで満たされる生活を、愛する犬や猫たちとともに過ごせます。
安心で快適な住環境
飼い主さんが健康で明るくいること
人の場合、職場や学校での人間関係など、社会的ストレスは家の外に存在し、それらと切り離された家はほっとできる場所です。対して犬や猫の社会的つながりは、ほぼ100%飼い主さんです。そのため、飼い主さんのイライラや落ち込みなど、情緒的な不安定さに犬や猫はかわいそうなぐらい影響を受けてしまいます。
犬や猫が安心できる住環境とは、第一に「飼い主さんが明るくいること」なのです。
生活拠点は騒音から離れた場所で
次いで、住環境で注意してあげたいのが「音」です。家の中にはさまざまな音があふれていて、とくに家に来たばかりの犬や猫にとっては、初めて聞く音ばかりです。電子レンジの音や掃除機の音が苦手な犬や猫は多く、恐怖から隠れたり、吠えたり鳴いたり、なかには激しく威嚇する子もいます。
そのためまずは、音が出る場所と犬や猫の生活拠点の配置を離してあげることが大切です。なかでも、トイレと寝床は静かで安心できる場所にしてあげましょう。
とくに猫は、排泄に対してデリケートな生き物です。洗濯機の横など騒音があり落ち着かない場所だと、トイレを使ってくれないことがあります。また犬の場合も、例えば子犬期のトイレトレーニングで、洗濯機の音に驚いてトイレに近づくこと自体に犬が抵抗を抱き、うまくいかなくなってしまうこともあります。
寝床やベッドのあるケージなどが例えばテレビの隣では、音が気になりリラックスや安眠の妨げとなります。家族が頻繁に上り下りする階段下のスペースなども同様です。ケージは騒音とは離れた場所で、犬や猫が安心できる飼い主さんとの距離感などもはかりながら設置場所を決めていくようにしましょう。
室温と選べる環境で快適を
飼い主さんにとって快適な室温も、犬や猫にとってはそうでないことがあります。また、一般的に18~26度くらいの室温が犬や猫にとって快適と言われていますが、実際に快適な室温が何度であるのかは、個々の年齢や体形、体質などによっても異なり、一概に言うことはできません。大切なのは、その子をよく観察することで、愛犬や愛猫にとって快適な室温や環境を、飼い主さんが理解することです。
例えば、エアコンをつけると愛犬や愛猫が部屋から出ていくようであれば、設定した温度では寒い、または暑い可能性があります。同時に、犬や猫が自ら選んでよくくつろいでいる場所があれば、室温も含め、その環境が快適ということがわかります。室温や日当たり、風通しなどもあわせて観察してみると、愛犬や愛猫がどんな環境を快適だと感じているかが見えてきます。
と同時に、犬や猫が快適な場所を選べる=不快な場所から逃げられることもポイントとなります。誤飲やいたずらなど事故が起きないよう室内環境を整えつつ、家の中で犬や猫が自由に移動できるスペースを確保してあげたり、猫であればキャットタワーを設置してあげたりするといいでしょう。
エアコンをつけていても、床付近や天井付近など、場所によって室温に違いが出るものです。ファンヒーターなども用いることができると、温風で温まった快適な空間が増え、犬や猫の居場所の選択肢を増やしてあげられることがあります。ただし、犬や猫がコードを噛んで感電したり何かの拍子に倒してしまったりする危険性もあるため、飼い主さんが見ていられるときに使用しましょう。
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包み込むような温風でひざ下をあたためる、ナノイーX搭載ファンヒーター。広範囲をやさしく包み込む3D気流は、温風5段階、涼風9段階の調整ができ、家の中をより心地よい空間にすることができます。また、音が静かなことも犬や猫にとってうれしいポイントです。OHラジカルの濃度が従来のナノイーから10倍にアップしたナノイーXによって、さまざまな空気の汚れを抑制し、嫌なニオイもすっきり。飼い主さんにとっても、犬や猫とってもうれしい製品です。
※飼い主さんが不在のときは、安全のため使用を避けるようにしましょう。
迷子や夏の暑さ対策のアイテムやウェア
まずは強いストレスがないかどうか
ケージやトイレ、食器など、犬や猫との暮らしで必須となる物以外にも、昨今は犬や猫にまつわるプラスアルファとも言えるさまざまなアイテムが登場しています。
そのなかで、ウェアなど犬や猫に身に着けさせるもので大切なのが、犬や猫にとって「ストレスとなっていないかどうか」です。重すぎる首輪はストレスになりますし、装飾が多いウェアは動きにくく、やはりストレスとなります。
なぜ必要なのかを考えながら、犬や猫に十分に配慮をした上で、その子にとって適切なものを着けさせることが大切です。
犬猫の迷子対策「首輪」
多数の飼い猫や飼い犬が路頭に迷うこととなった過去の震災の教訓を経て、愛犬や愛猫に所有者明示を兼ねた首輪を着けることが、日常的な習慣として推奨されるようになりました。
一方で、猫は上下運動や狭い場所に入り込むことも多いため、首輪が何かに引っかかり身動きがとれなくなったり、宙吊りになってしまったりするなどの危険があります。
猫の迷子対策で、まず推奨したいのはマイクロチップです。マイクロチップを装着した上で、その子がストレスなく着けていられるようであれば、所有者明示も兼ねた首輪を装着するようにします。
首輪は、飼い主さんの指が1本首輪の内側に入るくらいがジャストサイズです。万一何かに引っかかったときに、猫が逃げようとして引っ張ると外れる仕組みの首輪もあります。ネックレスのようなタイプは引っかかりやすく、また猫の脚が首輪に入ってしまうこともあるため避けるようにします。これは、犬にも同じことが言えます。
猫が激しく抵抗したり外そうとしたりするなどのストレスが見られたら、無理に着けることはせず、マイクロチップでいったんは落着としましょう。
犬、とりわけ保護犬のなかにも、首輪自体に拒絶反応を示す子がいます。犬は毎日の散歩も必要で、首輪をつけないわけにはいきません。毎回の脱着が大騒動になるような場合は、所有者明示をした首輪を常につけた状態にしておくことで、迷子への備えに加え、犬のストレス機会を減らすことができます。
犬の夏の暑さ対策「靴」と「ウェア」
犬用の靴や靴下が出てきた当初は、いったい何のために?と思ったものですが、昨今の厳しい夏の暑さから犬を守るためには、必要になることもあると感じています。散歩は朝晩の比較的涼しい時間帯に行うにしても、動物病院など、どうしても日中出かける必要も出てくるからです。とくに抱っこが難しい大型犬では、駐車場から院内までの移動ですら、肉球がアスファルトでやけどする危険があります。愛犬の脚先にフィットするものを選び、普段から慣らして備えておけると安心です。
他にも、水に濡らして着せるウェアも最近はよく見られます。真夏の日中はそれでどうにかなるものではありませんが、初夏や残暑の時期、気化熱を利用して清涼感を得られるウェアは、犬が感じる暑さの軽減につながるでしょう。
大切なのは、犬や猫をよく観察すること
犬も猫も個体差があります。「犬は」「猫は」のように一括りに言われている通説や、過去の犬や猫とのかかわりだけを信じてその子と向き合っても、関係は深まりません。飼い主さんが動物としての特性や個々の性格を理解していくことで、信頼関係が生まれ、犬や猫との幸せな暮らしは実現していくものです。
犬猫のための衣食住についても同様で、愛犬や愛猫のことをよく観察し、相手は何を必要としているのかを考えて、寄り添い整え、満たしてあげることがスタートラインです。
また、日中仕事で不在にすることがあるようなご家庭では、不在中の愛犬や愛猫がどんな行動をとっているかを観察し、知ることができるペットカメラの導入を検討しましょう。まだ何をするかわからない子犬・子猫期や留守番が苦手な子の留守中の様子を確認することもできますし、分離不安症など、飼い主さんと離れることが苦手な愛犬の行動や様子を確認するために使用している方も多いです。実際に私は、愛犬が出産したときに子犬たちの様子を出先で確認することができて安心することが多くありました。
こんな商品がオススメ! 留守番中の愛犬や愛猫の行動を確認できる
ペットにいたずらされても倒れにくい転倒防止構造のHDペットカメラは、「ホームネットワークW」アプリケーションを使うことで、外出先からカメラを上下左右に動かして左右約360°、上下約90°の広範囲を見渡せます。また、「行動ログ」機能では、登録した範囲内に愛犬や愛猫が一定時間立ち寄った映像を確認可能。たとえば、寝床やトイレ、水飲み場などを検知範囲に設定すると、記録された多くの動画の中からペットの特定行動の動画だけを気軽に確認でき、さらに日別の回数を最大7日分記録できるので、回数を比較することができます。
まとめ
犬や猫を迎えてしばらくは、いたずらや排泄の失敗など、飼い主さんにとって問題だと感じることもさまざまに出てくるでしょう。しかし、犬や猫にとっては、まったく新しい場所で、すべてが初めてのこと。時間をかけてルールを覚えていくまでは、失敗はあって当たり前です。悪戦苦闘するなかで、ときに「想像していたのとは違った」と思ってしまうようなこともあるかもしれません。しかしそれは、犬や猫と暮らす上で乗り越えていかなければならないことであり、覚悟を持って迎えることが必要です。その先には、犬や猫との素晴らしい関係や暮らしが待っているはずです。
犬猫のための衣食住のポイントについての監修
村田香織
獣医師 日本獣医動物行動研究会獣医行動診療科認定医、公益社団法人日本動物病院協会認定家庭犬しつけインストラクター、「もみの木動物病院」副院長、「ワンちゃんの学校インクローバー」代表。獣医学および動物行動学に基づいた正しい知識を多くの人に広め、人と動物が仲良く幸せに暮らすためのサポートを行う。
2024年12月17日 ペット
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