はじめるまえに知っておきたい掃除のキホン

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数千件のご家庭のお掃除のサポートをしてきた日本そうじ協会理事長に掃除の基本からポイントなどについて語っていただきました。

家の汚れは床から始まる 家の汚れは床から始まる

私は今までに数千件のご家庭のお掃除に関わってきました。皆さんは家はどこから散らかると思いますか?
それは生活導線ではないところからです。毎日、歩いているところには道がしっかりとあります。でも、歩かなくなってしまったところにはたくさんの物が置かれ始めます。そうならない為に大切なことをご紹介します。

毎日、窓を開けて換気する 毎日、窓を開けて換気する

毎日、窓際まで歩き、窓を開ける習慣を身につけるのです。窓際、壁際に物がたくさん置かれ始め、一切、換気をしなくなってしまった家をたくさん見てきました。換気をしなくなると、室内の空気環境が悪くなり、部屋には2酸化炭素が増え、住人の活力が下がり、ますます部屋が散らかり始めます。また、散らかるのは床から散らかり始めます。外の仕事から帰ってきたら、玄関や床に「荷物をとりあえず置く」ということをしてしまいがちです。すると、床から順番に家が散らかり始めます。

床には物を直置きしない 床には物を直置きしない

面白い実例がたくさんあります。全自動で床を掃除してくれるグッズを購入した家にたくさん起きた実例です。全自動掃除機でも全自動床磨き機でも、床に物があるとしっかりと機能してくれないため「床には物を置かない」と気をつけるようになった家庭が、床が綺麗になるだけでなく、みるみる家全体が綺麗になっていったのです。
「換気をする」「まずは床に物を置かない」。この2つを意識するだけで、家も心も活力が漲ってくることでしょう。お勧めいたします。

掃除には4つのジャンルがある 掃除には4つのジャンルがある

一般財団法人日本そうじ協会では、お掃除の技術やポイントを体系的にまとめました。全ての技術やポイントをまとめても200個程度でした。それらをジャンルごとに再編したところ、4つのジャンルに体系化できました。それが「整理」「整頓」「清掃」「清潔」です。

整理

いるものといらないものを分け、不要なものを捨てる技術です。

整頓

必要な量を、すぐ使える状態に配置する技術です。

清掃

良い空気環境を作る技術です。埃を取ることや換気の技術です。

清潔

汚れを落とし、ピカピカに磨きあげる技術です。

「整理整頓」な四字熟語のように何気なく利用してしまう言葉ですが、実は、整理、整頓、清掃、清潔、はそれぞれ意味が違うのです。
そして、整理と整頓に関しては、第3者に外注することはできません。物を捨てたり、使いやすい環境にするには第3者によるアドバイスを有効利用はできますが、最終的には本人がしっかりと考えながら行うしかありません。第3者は決して、他人のものを勝手に捨ててはいけません。
でも、清掃、清潔は別です。毎日、綺麗な状態に保つために、第3者に外注することもできます。全自動の機械にも任せることができます。毎日を忙しく、時間が足りないと感じている人こそ、他人やロボットの力を有効活用し、綺麗な環境を維持する仕組みを作ることをお勧めいたします。綺麗な環境を作ることで、心身に活力がみなぎってきます。

清潔の基本 磨き掃除は、温度と時間のコントロールが大事 清潔の基本 磨き掃除は、温度と時間のコントロールが大事

皆さんはがんこな汚れをどうやって落とそうと考えますか?多くの人が強力なタワシで力強くゴシゴシとこすろうとすることでしょう。でも、これは上等なやり方ではありません。

家の床の汚れというのは最初は埃から始まります。埃の正体の90%は繊維です。埃は埃のうちに掃除してしまえば良いのですが、その埃に水気や油分が付着すると、こびりついた汚れとなり、落とすのには洗剤や力が必要となり、やや大変になってしまいます。 汚れは長時間放置をすることで、こびりついてしまい、落ちにくくなってしまうのです。長期間放置しておくと、素材に汚れが染み込んでしまい落ちなくなってしまうこともあります。

「洗剤」「強い力」を使わないで、簡単に楽々と汚れを落とす秘訣があります。それは「すぐ掃除すること」「汚れがこびりつく前に拭き掃除をすること」です。毎日、さっと掃除することで、掃除は短時間でも簡単に済むようになるのです。

床の雑菌 床の雑菌

子供の時に「3秒ルール」なんて言葉を聞いたことはなかったでしょうか?床に落ちたものも3秒までならまだ食べられる、というものです。食べ物を大切にするという思いや、抵抗力のある子に育てるという思いから、「3秒ルール」という言葉は生まれたのかもしれません。しかし、現実的なことを言うと、床には様々な菌がいます。
食べ物も床に落ちた瞬間に、3秒も待たずして、雑菌が付着します。足の裏からは汗、角質、皮脂、垢、水虫の原因となる白癬菌、などがペタペタと家中にスタンプを押すかのように広がっていきます。また、現代では高気密、高断熱の住宅が増えたため、ほぼ一年中、カビが発生するようにもなりました。昔だったら、カビが発生するのは多湿な梅雨期くらいだったものですが、今では夏は台風、冬も結露があるため、窓際の壁紙やカーテンから、カビが繁殖してくるのです。そしてそのカビを室内を歩くことで足裏や、スリッパを通して、室内に広げていっているのです。 高気密、高性能な住宅になったからこそ、昔よりも床の掃除が大切な時代になったと言えるでしょう。

監修

写真:今村暁 理事長

一般財団法人日本そうじ協会
今村暁 理事長

著書
「10秒朝そうじの習慣」「そうじ習慣手帳」(ワニブックス)等あり、中国、台湾、韓国、タイ、ベトナムにも翻訳され、広く読まれている。