誰もが「おいしい!」と思うごはんを

メインビジュアルです。誰もが「おいしい!」と思うごはんを。 IH炊飯器の開発ー34年目の現場から。メインビジュアルです。誰もが「おいしい!」と思うごはんを。 IH炊飯器の開発ー34年目の現場から。

昔ながらのかまどと羽釜でふっくらと炊き上げられた、おいしいごはん。しかし、かまどと羽釜があれば誰でも必ずおいしく炊けるわけではなく、絶妙な火加減・水加減を見極める熟練の技が必要でした。

家庭用IHジャー炊飯器でその炊き技をどう実現するかーボタン一つでおいしく炊くにはハード面の「機能」だけでなく、“機能をどう動かすか”をコントロールする「プログラム」が欠かせません。

プログラムを手がけるのは、Panasonic Cooking @Lab炊飯部。人の味覚でおいしい!と感じる仕上がりを何より大切にしながら、それをいかにプログラムで実現するかを考えることで、妥協を許さないおいしさの追求が続けられています。

「おいしい!」の理由を科学で解明、すべての家庭で再現する

Panasonic Cooking @Lab炊飯部のメンバーの写真です。Panasonic Cooking @Lab炊飯部のメンバーの写真です。

Panasonic Cooking @Lab炊飯部は、「おいしさを科学し、食卓に笑顔と感動をお届けする」をモットーに、若手からベテランまで調理科学のプロ5人で構成された部署です。異なる年齢・キャリアの幅広いメンバーが知恵を出し合い、誰もが「おいしい!」と思うごはんを食卓に届けるため、日々研究に励んでいます。

また、品評会の審査員や、シンポジウムでの講演など、お米のおいしさを伝える「広告塔」としても活動しています。

「はじめチョロチョロ…」の言い伝えに、大きなヒントがあった

「私たちが目指すのは、香り・外観・硬さ・ねばり・甘みなど全体のバランスが取れたごはん。日本人誰もが毎日食べても飽きず『おいしい』と言われるようなバランスのいいおいしさを理想としています」と話すのは、Panasonic Cooking @Lab炊飯部でプログラム開発を担当している塚原です。

理想を叶えるために炊飯器開発当初から参考にしてきたのが、昔からの言い伝えである「はじめチョロチョロ中パッパ、ブツブツ言う頃火を引いて、一握りの藁(わら)燃やし、赤子泣いても蓋取るな」だそう。

火加減や水加減のノウハウが詰め込まれた言い伝えを、いかに現代の科学技術で再現するかー。長年の研究により、ようやく実現に近づきつつあると塚原は話します。

「“はじめチョロチョロ”でお米の芯まで吸水、“中パッパ”で大火力でふきこぼれるほどの沸騰を起こし、“ブツブツ言う頃火を引いて”で中火での沸騰維持、“一握りの藁(わら)燃やし”でお米の表面をパリッと焼き余分な水分を飛ばし、“赤子泣いても蓋取るな”の蒸らし工程でお米内部の水分を均一化するのです。

設計部門と議論を重ねる中でハード面の機能もぐんと進化。おかげで、かまど炊きにより近い仕上がりが実現できるようになりました。」

パソコンを操作している塚原さんの写真です。

例えば、大火力を「6段IH」で、突沸を「可変圧力技術」で、焼き工程を「高温スチーム」で再現。それらをコントロールするプログラムと組み合わせ、最高のおいしさを追求し続けているのです。

“勘と経験”による炊き技の微調整を、科学技術で実現するには?

昔からの言い伝えを再現できれば、それでプログラムが完成というわけではありません。同じ中火でもどのくらいの火力が最適か、突沸は何分を何回繰り返すのかなど、わずか1℃・1秒の違いによって炊き上がりに大きな差が生じるため、膨大な組み合わせを一つひとつ検証する必要があります。

毎日3合のごはんを食べるPanasonic Cooking @Lab炊飯部では、まず調理科学の専門家が外観、食感、粒立ち、甘みなどをチェック。さらに専用機器を使って味、食感、硬さ、粘りなどを測定して数値化し、検証を行います。

メンバーが「これはいける!」と思えるものだけを、社内パネリスト(*1)や社外専門機関、お米マイスター(*2)に試食してもらい、きちんと評価を受けたプログラムが搭載されるのです。

*1 社内の厳しい試験を通過した、すぐれた味覚を持つメンバー
*2 一般財団法人日本米穀商連合会によって認定を受けた専門家

Panasonic Cooking @Lab炊飯部のメンバーが試食している写真です。Panasonic Cooking @Lab炊飯部のメンバーが試食している写真です。

パネリストによる試食

パネリストが試食している写真です。

パネリストによる調査の結果を確認している様子

パネリストによる調査の結果を確認している写真です。

また長年の研究の中で、同じプログラムでもお米の鮮度や保管方法によって炊き上がりが異なることも判明。

「熟練の炊き手はおそらくお米の状態や水温・気温に合わせて火加減や水加減を微調整していたはず。家庭用IHジャー炊飯器はボタンを押すだけで簡単に炊けますが、かまど炊きのように微調整ができればよりおいしく仕上がるのではと『鮮度センシング』などの最新技術もとり入れています」と塚原は話します。

「地域によって使う水の硬度にもバラつきがありますし、季節によって室温や水温も変化します。米量・水量の測り方も家庭によって違う。

ですから、とにかくいろいろな条件で試験を行い、どんな条件でもおいしく炊き上げられるよう、ベストな炊き方を探します。専用機器による分析データなども参考にしますが、やはり一番大切なのは『人間が食べて、おいしく感じること』です。」

炊飯釜からごはんをよそっている塚原さんの写真です。

職場は全国の米どころ!生産者と協力し、おいしさを追求する

米どころの写真と、お米の生産者とPanasonic Cooking @Lab炊飯部のメンバーが一緒にごはんを試食している写真です。米どころの写真と、お米の生産者とPanasonic Cooking @Lab炊飯部のメンバーが一緒にごはんを試食している写真です。

炊き上がりを確かめるための試験米にはコシヒカリが採用されています。その理由は、全国的に生産されているのでどの地域のご家庭でも手に入れやすいこと。

そして実はおいしく炊くのがもっとも難しい銘柄で、コシヒカリがおいしく炊けると他の銘柄も美味しく仕上がると言われているからです。

試験米用にブレンドされたコシヒカリ

試験米用にブレンドされたコシヒカリの写真です。

生産者が込めた強い思いを、「炊き方」を通して食卓に届ける!

さらにプログラム開発では、コシヒカリだけでなく銘柄の性質に合わせた“炊き分け”にも挑戦。銘柄の違いをプログラムに組み込み、最適な吸水時間や温度・炊き上げ条件・火力・圧力やスチームの使い方などを調整し、それぞれの個性をしっかり引き出す炊き技を実現しています。お米の開発者や生産者との共同開発を行い、現在では63銘柄に対応するまでになりました。

「新しく生まれる銘柄には、銘柄の開発者や生産者さんの『こんな味わいを楽しんでほしい』『この銘柄ならではの特徴を知ってもらいたい』という強い思いが込められています。

ですが、その思いがちゃんと食卓に届くかどうかは、“炊き方”次第。品種開発のご苦労と熱い思いを食卓に届けたい!と、現在は銘柄の開発者や生産者さんから依頼のあった銘柄を分析・研究し、水加減や吸水・蒸らし時間などを何通りも試し、最高のおいしさを引き出す方法を提案させていただいています。」

塚原さんの写真です。

「中には何十回も炊き方を試して提案した銘柄もあるんですよ。なかなか開発者や生産者さんに納得してもらえる味わいに仕上がらず……でも最後に『この銘柄のおいしさは、これです!』と太鼓判を押してもらったときは、こちらも本当に嬉しくて。

パナソニックのIHジャー炊飯器の『炊き分け』機能にその銘柄を追加するだけでなく、一般的な炊飯器で炊く際のポイントなども伝え、よりたくさんの方がその銘柄を楽しむためのサポートをしています」と塚原。たくさんのご家庭でお米を“毎日のご馳走”として楽しんでもらえるようにしたいと、お米の可能性に挑戦し続けています。

家族の食事風景の写真です。家族の食事風景の写真です。

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