レイアウトフリーテレビ LF1 × AV Watch

テレビが動けば人も自由に! パナソニック「レイアウトフリーテレビ」で変わるくらし テレビが動けば人も自由に! パナソニック「レイアウトフリーテレビ」で変わるくらし

2022年3月22日 小寺信良

模様替えでレイアウトが変わるだけじゃない!
それぞれ家庭に合ったテレビ空間を実現できる、新しいテレビとの暮らし

筆者の妻は模様替えが趣味のようなもので、1カ月に1度はなんらかの配置が変わっている。配置が換われば部屋が広く見えたり、快適になったりするのでそれはそれで結構な事なのだが、そんな妻の唯一の不満は、テレビの位置が変えられない事であった。

テレビの設置は、どうしても電源とアンテナ線コネクタの位置に縛られる。多くの家庭では、すでに薄型テレビに変わって20年は経とうとしているのに、相変わらず設置場所はブラウン管時代のように、部屋の角のテレビ台の上だったりするわけである。

そうなるとテレビの位置から逆算して、ソファの位置やダイニングテーブルの位置が決まっていく。そしてそこから棚などの家具類や観葉植物の配置も決まってくる。部屋の模様替えをするにしても、結局は視線の中心であるテレビの位置が変わらなければ、やれることは限られてくるわけだ。

では、テレビの位置が自由に変えられたら、部屋のレイアウトはどうなるだろうか? そんなことを実現してしまったのが、パナソニックの「レイアウトフリーテレビ LF1」である。

43インチの液晶テレビに移動可能なキャスター台座を取り付けた。テレビ用のアンテナ線は、別途ボックス型のチューナーユニットがあり、そちら側へ接続する。テレビ番組はワイヤレスでテレビへ伝送するため、テレビ側は電源を繋ぐだけという商品だ。

43インチの大型ディスプレイがどこにでも移動できることで、くらしはどのように変わるのだろうか。実際に「レイアウトフリーテレビ」を2週間使ってみた、その体験をご報告しよう。

画像:レイアウトフリーテレビTH-43LF1

パナソニックの技術が集結

この「レイアウトフリーテレビ」、円盤形の台座にシャフトが伸びており、その上にテレビモニター部がのっかるという作りになっている。梱包状態では台座とモニター部が分かれているが、シャフト上部の金具をテレビに差し込んでネジ留めするだけなので、組み立ては簡単だ。台座部に重りが入っており、簡単には転倒しないように作られている。

画像:レイアウトフリーテレビ

台座およびシャフトの上にテレビが乗る構造

画像:レイアウトフリーテレビ背面

背面から4点でネジ留めする

キャスターも軽い力で動くように作られており、テレビのフレームを両手で持ってコロコロと簡単に転がせる。フローリングの上はもちろん、我が家の毛足の長いラグの上でも、キャスターに毛足が巻き込まれる事なくちゃんと転がる。このあたりは、家具としても良くできている。

なぜテレビをワイヤレス化できたかというと、そこには以前からパナソニックが得意としてきた「プライベート・ビエラ」の技術がある。プライベート・ビエラは、ディスプレイ部とチューナー部を分離してその間をワイヤレス接続し、小型ディスプレイを部屋やお風呂場といったプライベート空間へ持ち込む、というコンセプトの製品だ。

「レイアウトフリーテレビ」は、ある意味プライベート・ビエラの「でっかい版」である。ただ、プライベート・ビエラがあくまでもサブ機であったのに対し、「レイアウトフリーテレビ」はメイン機だ。メインさえも置き場所が自由になる、というコンセプトなのである。

画像:チューナー部

コンパクトなチューナー部

画像:チューナー部背面

アンテナ線はこちらに接続する

ディスプレイ部のケーブル長は3mあり、リビング内なら大抵の場所にコロコロしていける。もちろんコンセント位置を替えれば、別の部屋でも使える。チューナーとディスプレイ部は、見通し距離で35mぐらいの伝送能力があるので、家の中なら大抵の場所には持って行ける。

画像:ケーブル

ケーブル長は3m。余ったぶんは巻き取っておける

毎回移動させていると電源コードの位置が把握できずに引っかかってしまうのではないか、という心配がある。だがそこはさすが家電の老舗パナソニック、良くできている。実はコンセントの根元がマグネットになっていて、ひっかかったらポロッと外れるようになっているのだ。マグネットタップは電気ポットや炊飯器などにはよくある仕掛けだが、テレビに実装、しかもコンセント側に実装した例は、かなり珍しい。

画像:マグネットタップ

力が加わると外れるマグネットタップ

テレビは、画面の中を邪魔しないという理由から黒が好まれる傾向があるが、それは置き場所が固定であるがゆえに、フレームの存在感を消したいという意味合いがあった。

一方「レイアウトフリーテレビ」は、台座もディスプレイ部も白で統一されている。これは、部屋の壁の色とほぼ同じであり、どこにおいても印象が重たくならないという効果がある。実際リビングには真っ黒い家具などほとんどないため、真っ黒な板があちこちに出現すると、収まりが悪いのである。

画像:キッチンでの使用

キッチンに持って来ても部屋の印象が暗くならない

実際に部屋に置いてみると、確かに部屋が暗くならない効果があるのを感じた。だがそれだけでなく、「パッと見て全体が認識できる」のは意外に重要である。というのも、自由に置けるがゆえに、自分の知らない間に家族が思いがけない場所に置いている場合があるのだ。もし全体が真っ黒だったら、夜中にトイレに起きた際に見えなくてドーンとぶつかったり、台座部に足の小指をぶつけて悶絶する可能性があったかもしれない。

移動できるものだからこそ、この色が正解だったのだ。

「考え方」を解放する

テレビの位置が自由になるということで、早速部屋のレイアウトも変えてみた。以前は家具の配置がテレビを中心に展開されていたため、家具の配置を変えるにも限度があった。だがこれからはテレビの場所は気にせず、人の導線だけ考えて家具を配置すればいい。

画像:以前のリビングの配置

以前のリビングの配置。テレビを中心に椅子の配置が決まっていた

画像:新しい配置

新しい配置。黄色いパネルが「レイアウトフリーテレビ」の配置場所

上図「新しい配置」の(A)の位置は、夕食時のポジションである。お借りしている間がちょうど世界的スポーツ大会の開催中だったので、日本選手団の活躍を文字通り「間近に」見る事ができた。普段はテレビまでの距離が遠いので、どことなくコンテンツから感じる熱量も薄く、覚めた目で見てしまうところだが、ここまでテレビが近寄ってくると、まさに熱量が違ってくる。

子供たちもすっかりウィンタースポーツのファンになったが、筆者が暮らすここ宮崎市では1年間通して1度も雪が降らないので、誰一人ウインタースポーツはできない。

今テレビの売れ筋は50インチ以上になってきているところだが、このようにニアフィールドで見るテレビとしては、この43インチぐらいがベストだ。これ以上大きいと、画面全体を見きれなくなってしまうところだ。

上図「新しい配置」(B)の位置は、子供たちが自分たちの部屋に引き上げたあとのまったりモードポジションである。ソファーにデレッと腰掛けて旅番組・グルメ番組を見ると、夫婦の会話にも弾みがつく。

画像:ソファの近くでの使用

ソファの近くに持って来てまったり

ローカル情報番組を見ている時にも、お店の場所や電話番号が表示されたときに、手元にあるスマホでパシャッとメモできる距離である。これまでは有意義な情報が出てきても、スマホを構えてテレビまで近寄る間に情報が消えていた。

ニアフィールド配置のメリットは、音量をそれほど大きくしなくても十分聞こえるところである。音量が小さければ、他の家族にもテレビの音で迷惑をかけることもない。以前のレイアウトでは、ソファの位置からテレビが聞こえる音量にすると、当然隣の部屋にまで聞こえていた。これでは子供たちも気が散って、勉強どころではなかっただろう。

もう一つこの配置のメリットは、テレビが壁のような形でソファの空間を区切るので、隠れ家のようなスペース感が出る事だ。こうした小さな空間をヌック(Nook)といい、最近はこのように部屋を小さく区切るレイアウトが流行っている。元々はスコットランドの建築様式であったものが、家族団らんの場所として日本でも取り入れられるようになったものだという。

本当に壁ができるわけではないが、プライベートな空間がパッと作れるのも、「レイアウトフリーテレビ」の魅力の1つと言えるのではないだろうか。

上図「新しい配置」(C)の位置は、なんと「テレビの待機場所」である。考えてみれば、これまでテレビを使わない時でも、「片付ける」という発想がなかった。だが自由に動かせるなら、使わない時は邪魔にならないところに置いておけばいい。そうすれば部屋も広く使える。

そもそも「レイアウトフリーテレビ」には、「テレビ台」が不要なのである。チューナー部はただの小さな箱なので、アンテナ線がある近くに置いておけばいい。筆者宅では、ネコの爪とぎボックスの上に置いている。

「レイアウトフリーテレビ」はなにも、「部屋でテレビを見る」だけのものではない。チューナー部には2TBのHDDを内蔵しており、地上・BS・110度CSは2番組同時録画が可能だ。BS4K/110度CS4Kチューナーも備えており、もちろんこれも録画できる。

さらに家庭内のWi-Fiに接続すれば、ネットコンテンツも楽しめる。リモコンにはNetflix、Amazon Prime Video、Disney+のショートカットがあるほか、「マイアプリ」ボタンに好きなサービス、例えばYouTubeなどを登録することができる。

画像:リモコン

ネットコンテンツにもアクセスしやすいリモコン

画像:ホーム画面

ホーム画面では複数のサービスからコンテンツを探せる

最近はベランピング(家庭内キャンプといった感じ)も1つの趣味として確立した感があるが、天気のいい日にはハンモックを吊るしてビール片手に映画をダラダラ見る、なんて過ごし方もある。こんな時、「レイアウトフリーテレビ」を窓際まで転がしていけばいい。普通のテレビではめんどくさくて、こんなことはとても考えつかないところだ。

画像:ベランダでの使用

ベランダに座って窓際まで持ってきた「レイアウトフリーテレビ」で映画鑑賞

ディスプレイ部の背面パネルを開ければ、HDMI入力がある。ここにパソコンを挿せば、大型PCモニターとして使う事も可能だ。自宅テレワークも、適度な高さに4K解像度、43インチのディスプレイがあれば、机がなくてもリクライニングチェアでゆったり仕事ができる。

画像:ディスプレイ部の背面パネル

ディスプレイ部の背面パネルを開けると、HDMI入力端子が2つ

画像:大型PCモニターとして使用

大型PCモニターとして仕事にも使える

またリモート会議の場合は、情報も確認しつつ、資料を展開して会議メモを取る、なんてことも楽勝である。これは単に、パソコンをデカいテレビで使いましょう、という提案ではない。例えば急な会議になったときに、リビングには洗濯物が干してある、昼間空いてる部屋は子供部屋しかないといったことがある。そこでデカいディスプレイをコロコロ転がしていけば、子供部屋でも臨時のミーティング場所や仕事部屋になる、という事なのである。

画像:リモート会議での使用

資料の多いリモート会議も楽勝

最初は、チューナー部にHDMI入力がないと困る……と思っていたのだが、実は全然困らなかった。そもそも「DIGA」とは、お部屋ジャンプリンクでネットワーク接続できる。パソコンを繋ぐ場合も、ディスプレイ側に繋がなければ、チューナーまで延々とケーブルを引っぱることになる。ディスプレイに直刺しだから、便利だったのだ。

自由になる、そして変わる

「レイアウトフリーテレビ」はその性格から、普通のテレビではあまり使わないだろうと思う機能が、キラーコンテンツに化けたりする。メニューの左端に目立たなく存在するのが、「ギャラリー」だ。

画像:ギャラリー

左端にあるのが「ギャラリー」

画像:スライドショー表示

動く壁紙や動画、写真がスライドショーで表示される

ここでは、動く壁紙や動画、写真などをスライドショー形式で表示する、いわゆるBGV表示機能だ。標準でジャンル分けされた画像が楽しめる。わざわざそれを見る、というようなものではないが、「レイアウトフリーテレビ」を脇に片付けている時に、単に電源を切っておくのは味気ない。そういうときに表示させると、テレビが1つのインテリアとなる。

また自分で撮影した写真や動画を取り込んで、表示させることができる。チューナー部の前面にあるUSB端子にカメラやUSBメモリーを差し込んで、取り込みボタンを押すだけだ。

画像:チューナー部「取込」ボタン

写真・動画の取り込みはチューナー部の「取込」ボタンを押すだけ

ここに子供の小さい頃の写真なんかを入れておくと、ふとしたきっかけでヒーリング系の音楽とともに表示されてきて、当時のかわいかった姿や苦労した思い出が懐かしく思い出される。子供が反抗期にさしかかってきた保護者にとっては、たまらない機能である。

「レイアウトフリーテレビ」は、ディスプレイの置き場所が自由という意味だけでなく、部屋のレイアウトが自由になるという意味もある。そして実際に使ってみて感じたのは、人の配置であったり、時間の使い方、くらし方もまた、自由になるという事だ。

最初は変わったテレビだなと思っていただけだったが、テレビ、家具、人の3つがレイアウトフリーになる、これがこの商品のもっとも重要な機能だったのである。うちの子供たちからも、「パナソニックいいね!」の声が聞けた商品であった。