画像解析のキャリアを活かし光美容器でのムダ毛ケア効果の可視化を実現。

画像解析のキャリアを活かし光美容器でのムダ毛ケア効果の可視化を実現。大眉宏彰 画像解析のキャリアを活かし光美容器でのムダ毛ケア効果の可視化を実現。大眉宏彰

掃除機で家中をきれいにすると気持ちがいいように。美容機器だって、お手入れしている成果が〝見える化〟されればぐっとモチベーションが上がりそう…と思ったことはありませんか?そんな願いに応える技術に取り組んでいるのが、大眉宏彰。パナソニックの光美容器専用サポートアプリに搭載予定の、世界初のヒゲの画像解析機能について聞きました。

※家庭用光美容器専用アプリにおいて、2024年4月22日時点。(パナソニック調べ)

画像処理の技術には夢がある

大学で監視カメラ向け顔認証の精度を上げる研究をしていて、画像を分析・応用する技術は人々の暮らしにさまざまに活用できることを知りました。その後、パナソニックに入社し、カメラの開発部門に所属して、ビデオカメラやペットカメラ、スマートフォンのカメラなどに携わりました。

担当していたのは、主に画像処理の分野です。よりきれいな写真を撮るにはどうしたらいいのか、人が美しいと感じる映像を表現するためのアルゴリズムを常に考えていました。それによって表現の幅が広がり、誰にでも簡単に、よりきれいな写真が撮れるようになることが、すごくうれしかったですね。

写真:パソコンを操作している大眉宏彰さんの様子

これらの経験を応用して、現在は美容機器の効果を画像解析で可視化する技術開発を担当しています。

ムダ毛ケア機器を使った効果を〝見える化〟

パナソニックのムダ毛ケア機器は、発売前にさまざまなモニターテストを何重にも重ねており、個人差はあれどヒゲのような濃い毛や太い毛にも効果を実感できるものです。ただ、自宅で日々使用していると、実際何にどの程度効果があったのか、までは確認しづらいと思います。
自分で定量的に評価できるような仕組みを作り、ご提供することで、お客さまにとってお手入れのモチベーションを高めるきっかけになれば良いなと思います。
実際に、既に社内からは、継続意欲が上がるという意見をもらってます。そして私たちメーカー側にとっては、製品の効果をご理解いただける手段となります。

最近まで手がけていたのは、ムダ毛ケア機器の男性のヒゲに対する効果を評価するアプリの開発です。アプリをダウンロードしていただき、ご自身のスマホカメラで撮影して、ヒゲがどのような状態なのかを可視化できる仕組みを作りました。

ヒゲがどのような状態なのかを、どんな人が撮影しても正確に解析するためには、手ブレやピント、撮影する環境のバラつきを考慮し対応することが必要でした。ヒゲは被写体として小さいので、ピントがしっかり合っていないと映りません。また撮影距離が遠くても近くても、正確に写すことが難しくなります。

写真:スマホを見る大眉宏彰さん。ほくろなどとヒゲと似た濃さの被写体がある場合も、また難しくなります。 写真:スマホを見る大眉宏彰さん。ほくろなどとヒゲと似た濃さの被写体がある場合も、また難しくなります。

解決策としては、連写機能を使い最も解析に適した1枚を自動で選び出すなど、さまざまな技術を駆使しました。自分の顔を使って、1日100〜200枚は撮影していたと思います。他に100人以上の社内メンバーにも協力を仰ぎ、最終的には社外の方にも参加していただいて、世界初のヒゲの状態解析アプリを完成させることができました。これまでの仕事で培った技術を応用した部分もありますし、新たに気づいた発見もあります。

ムダ毛ケア機器専用のアプリ自体は、2023年にすでにリリースされていますが、その機能は、適切な使用頻度でムダ毛ケアを習慣づける工夫など、使い勝手の面に特化していました。このアプリの中に、今回開発したヒゲの状態を画像解析する機能が搭載される形になります。ぜひ多くの方に使っていただけたらと願っています。

※家庭用光美容器専用アプリにおいて、2024年4月22日時点。(パナソニック調べ)

写真:モニターに表示されているヒゲの状態を説明する大眉宏彰さんの様子

お客様との相互コミュニケーションを目指して

こういったスマホを使った美容の分析アプリは、女性向けの方が進化している印象で、男性に特化したものはまだ珍しいと思います。状態や効果をきちんと見える化しようという動きになったのも、美容機器の基本的な機能が進化したからだと思っています。個人的な意見ですが、パナソニックのムダ毛ケア機器も、腕や脚のムダ毛だけでなく、ヒゲのような太い毛にも効果を発揮するようになり、効果が格段に上がっているなと実感します。

写真:スマホを見ている大眉宏彰さんの様子

美容機器の進化に合わせて、それをお客様にも実感いただけるような画像解析の技術も、どんどん進化させていきたいと思っています。別部門の担当者から、お客様から効果的な使い方を知りたいというお声が届くという話をよく聞きます。これまでのコミュニケーションは一方通行でしたが、こういったアプリの開発を通して、お客様と相互にコミュニケーションがとれるようになり、お客さまの製品満足度も、製品自体の機能も共に上がっていくなら、これほどうれしいことはありません。

プロフィール

大眉宏彰(おおまゆひろあき)

1986年生まれ。研究室にいた学生時代から今まで、一貫して画像解析に携わっている。まるで未開の地を開拓していくような、探検家のような気分で、いつもわくわくしながら仕事に取り組んでいるとのこと。趣味は登山。目標達成までいくつもの課題をひとつひとつクリアしていく技術開発の仕事と山登りは、達成感が似ていると感じている。

写真:大眉宏彰さん
  • インタビュー内容は2024年3月現在のものです
  • 「Panasonic Beauty Laboratory」に掲載の情報は、当社の研究や開発の取組み内容です