私の仕事は、ムダ毛との戦い。VIO除毛への新たな挑戦

私の仕事は、ムダ毛との戦い。VIO除毛への新たな挑戦 薮内征子 私の仕事は、ムダ毛との戦い。VIO除毛への新たな挑戦 薮内征子

フェムケアの広がりから、デリケートゾーンケアへの注目が高まっています。ムダ毛の処理も、そのひとつ。自宅で手軽に処理したいときにも医療脱毛を受けるときの前処理にも、トリマーやシェーバーは欠かせないもの。顔や脚などとは異なる特徴をもつデリケートゾーン用を開発する苦労やこだわりを、この分野の開発に長年携わる薮内征子にインタビュー。

VIO除毛の難しさとは?

女性用のムダ毛ケア機器の開発に携わるようになって10年以上たちます。以前はメンズシェーバーを担当していたこともありました。まさに、毎日が“ムダ毛との戦い”です。

デリケートゾーンの毛が生えている部分、いわゆるVIO(ブイアイオー)の毛を処理するという習慣は、この数年で一般的になったと思います。先日リニューアル発売になったVIO専用シェーバーの開発を、チームのメンバーと共に担当しました。

VIOの毛を安全カミソリで処理しているものの、肌が傷つきそうでこわい、肌への負担が気になる、スピーディに処理できない、剃り味が気になる…という悩みをもつ方や、まだ処理を始めていないけれど興味をもっているという方はたくさんいらっしゃいます。そんな方に向けた、肌に優しくスピーディにカットできる、かつお風呂でも使える防水仕様(IPX7基準※)検査をクリアしたものです。

※IPX7基準:水深1mに30分間水に浸けても、有害な影響を生じる量の水の浸入がないこと

薮内征子さんとチームメンバー

VIOは、皮膚が薄く非常にデリケートですが、一方で毛は太いので、お手入れが難しいというのが特徴です。開発においては、太い毛もカットできる鋭さと、肌への優しさ、肌あたりの心地よさのすべてを叶えるというのが大きなテーマとなりました。

より肌あたりをやさしく進化させた

VIO除毛において、肌へのやさしさとツルツルの仕上がりを叶えるには、まず長い毛を「トリマー」で短くし、その後「シェーバー」で根元からカットする、という2ステップが必要になります。長いままだと、シェーバーをあてたときに毛が寝てしまい、根元からしっかり捉えることができないためです。根元から捉えられないままカットすると、刃に毛が絡まってしまったり、カットできたとしても長さが不揃いになったり、カットした毛先がガタガタになったりします。

薮内征子さん

そこで、まずトリマーについては、毛を起こしながらカットできる仕組みを搭載しました。製造には高い技術を必要とし、長年の刃物の知見があるメンズシェーバーの技術者や刃の製造部門、品質部門、実際に製造しているタイの工場…など、多岐にわたる部門の力を結集し、肌の上をすべるように動く、肌あたりのやさしい使い心地を実現することができました。

さらに、パナソニック独自の技術で刃先をフラットにし、肌へのやさしさに配慮。毛をキャッチする溝の部分も幅を広げ、たくさんの毛をスピーディに処理できるよう改善しました。

スピーディにツルツルを実現

仕上げに使うシェーバーも、お客様の「よりスピーディーにツルツルにしたい」との声を受けて進化させています。刃の大きさ・毛を導入する部分の構造について、何度も試作を重ね、検証することで、現在の仕様にたどり着きました。スピーディにツルツルになるだけではなく、その切れ味の良さから、処理後の毛の断面が水平になることも特徴です。水平にカットできると、生えてきた際にチクチクしにくいです。ここもこだわったポイントです。

薮内征子さん

開発中は「ニーズはあるものの“VIOシェーバー”という商品自体が手を出しにくい?」という考えがよぎることもありましたが、発売後、とても好評いただいていると聞いて、ホッとすると同時にうれしく思っています。

モニターテストもひと苦労

商品の使用性の評価にも非常にこだわりました。まずは実験用のムダ毛シートを用いて問題がないことを入念に確認し、次に社内で多人数によるモニター評価を実施。この2工程でしっかり検証した後に、外部のモニターさんによる評価を行いました。

今回はデリケートゾーンに使うものであるため、簡単に使用しているシーンを見ることはできません。自宅のような空間で、VIOの悩みなどお伺いしながら、モニターさんがなるべくリラックスできるよう注力しました。打ち解けていろいろと話していただきやすい環境の中で、使用中や処理後の肌の状態を確認し、慎重に進めていきました。

デリケートゾーンの皮膚はまぶたと同じぐらいの薄さで、非常に繊細です。また、体の他の部分の皮膚と同様、年齢を重ねるにつれてハリの低下や乾燥などが生じます。中高年のモニターさんの意見も取り入れながら、幅広い世代がストレスなく使えるような品質にこだわって仕上げました。

モニターテストの様子

VIOケアの浸透は、国によってさまざまです。欧米の方が進んでいるイメージで、まだ機器を使う文化がない国もあります。日本のみならずムダ毛を処理する習慣のない全女性に向けて、VIOケアを広めて行けたらいいなと思っています。

プロフィール

薮内征子(やぶうちせいこ)

シェーバーやトリマーの商品開発に長年従事しており、現在は女性用ボディケア商品の仕様決定から量産化までを担当。携わった商品が国内外の女性に使用してもらえることにやりがいを感じている。これまで培った知見を活かした後進の育成にも意欲を注ぐ。

写真:薮内征子さん
  • インタビュー内容は2024年5月現在のものです
  • 「Panasonic Beauty Laboratory」に掲載の情報は、当社の研究や開発の取組み内容です