美肌はもちろん。ファインバブルで頭皮と髪まですこやかに美しく

美肌はもちろん。ファインバブルで頭皮と髪まですこやかに美しく 光岡基樹 美肌はもちろん。ファインバブルで頭皮と髪まですこやかに美しく 光岡基樹

パナソニックビューティが、ファインバブル搭載シャワーヘッドの研究に着手したのは約5年前のこと。担当したのは、水の研究を15年以上続けているエキスパートの光岡基樹。汚れ落としや美肌はもちろんのこと、頭皮や髪の悩みにまでフォーカスした新機軸のファインバブル研究は、意外にもユーザーやモニターの声が原点になっているという。その詳細をインタビュー。

頭皮の汚れを気にする人が多い

大学時代に水の特性を研究し、社会人になって間もないころ、洗浄や浸透の機能を備えた「ファインバブル」に出合った光岡。

ファインバブルとは、直径が0.1mmより小さい泡のこと。毛穴の大きさの約1/10以下ともいわれていて、微細な凹凸にも入り込めることから、洗浄や保湿、温浴効果など、さまざまな分野で活用されている。光岡の中に、この技術を使っていつか、自分の手でヒット商品を作りたいという思いが芽生えた。

「前職で、浄水器のフィルターを洗浄する手段として検討したのですが、多彩な可能性を秘めていると感じました。その後、2017年にパナソニックへ入社し、イノベーション推進部という部署で家電にまつわる新しいカテゴリーの開拓をさまざまに検討する中で、あるユーザーの悩みから、再びファインバブル研究を手がけることになったのです」

ユーザーの悩みとは?

「男女問わず、頭皮の汚れを気にしている人が多いということです。頭皮に蓄積した皮脂や汚れは、頭皮のにおいの原因にもなります。ファインバブルの洗浄力を使えばしっかり洗浄できるのでは と考えましたが、毛量が多かったり、髪にパサつきやダメージがあったりすると、シャワーの水流が頭皮まで届きにくいものです。自分がかつて髪にブリーチを施していたときに体験済みでした。そこで、水の流れにも工夫を施し、強いのに刺激がなく、頭皮にしっかり届いて汚れが落ちるような水流の研究 がスタートしました」

光岡基樹さん

頭皮に心地よい刺激を与える水流

もともとは水の特性研究を専門にしていた光岡だが、水流の機構設計も手がけることに。

光岡基樹さんの手元のアップ

「頭皮に直接届いて汚れを落とし、かつ髪の絡まりも防ぐような、シャンプー前の予洗いの満足度を高める水流の研究に挑みました。機構設計は今回初めてでしたが、水の特性を熟知しているからこそ効率的な設計が思いつきやすく、やり出したらおもしろくてハマってしまいました。結果、プロの施術を受けていないのに、自宅で頭皮に心地よい刺激を与える水流の開発につながりました。毛量や毛の長さに関わらず、頭皮までしっかり届き、髪を根本からブラッシングしているような心地よさを目指しています。それにより、その後のシャンプーやトリートメントの効果を最大限に引き出します」

たっぷりとした湯量と、ファインバブルの効果にもこだわったという。

「ファインバブルの効果は濃度に依存します。高濃度に発生させようとすればするほど、圧力抵抗が大きい機構設計になってしまい、湯量が減ってしまうのですが、たっぷりした湯量による使用感の快適性と、バブル発生量の両立を実現しました。さらに、製品の個体差によるファインバブル濃度のバラつき防止にも注力しています。というのは、ファインバブルデバイスは製造時の微差により発生量が大きく異なってしまうのです。バラつきをできる限り抑えて、個体差なくバブルを安定して大量に発生させる技術を確立しました」

この水流設計と、ファインバブルを安定的に大量発生させるデバイスの技術はともに業界初となり、特許出願中だ。

ヘアトリートメント剤の吸着を促す効果も

水のエキスパートであるからこそ、すべての人がファインバブルの洗浄力を確かに実感できるような機構設計にこだわったという光岡。モニター試験を進めていたところ、もうひとつの意外なメリットが浮かび上がる。

「ウルトラファインバブルの、ヘアトリートメント剤の毛髪吸着補助作用を新たに見出しました。モニターさんの声を分析すると、髪がしっとりまとまるという声が非常に多く、ファインバブルに秘密が隠れているのではないかと、さまざまな水を用いて研究を実施したのです。するとおもしろいことがわかりました。通常、水の中では髪がマイナスに帯電しており、それに対してヘアトリートメント剤の一部は水中でプラスに電離しているため、濡れた髪にトリートメント剤が引き寄せられて吸着する仕組みになっています。しかし実際には、水道水中に含まれるカルシウムやマグネシウムなどの金属イオンも同時に髪の毛に吸着してしまい、これらがヘアトリートメント剤の浸透を妨害します」

つまり、水の中の成分がヘアトリートメント剤の効果を妨げていたというわけだ。

「ここにファインバブルが加わると、水中の金属イオンは、静電相互作用によってファインバブルに結びつきます。それにより髪にヘアトリートメント剤が髪のすみずみまで行き渡りやすい状態がつくられるのです。ファインバブルの濃度が高くなるほど、この効果は高まります」

光岡基樹さん

こうして、頭皮と髪、さらに水流を調整して顔の美肌やボディケアにも対応するオールラウンドなビューティシャワーヘッドの研究が進められている。

プロフィール

光岡基樹(みつおかもとき)

1983年、大阪府生まれ。大学時代、尊敬する指導教授に「君はこれから水を研究しなさい」と告げられ、そこから奥深い水の特性研究に没頭する。一方で家電オタクでもあり、学生時代はアルバイト代をコツコツ貯めて家電の新しい技術に触れることにワクワクしていた。2017年に入社し、現在はフェイス・ボディケア技術開発課でファインバブルを用いた機器を担当。

写真:光岡基樹さん

※ 2025年11月1日発売

  • インタビュー内容は2025年7月現在のものです
  • 「Panasonic Beauty Laboratory」に掲載の情報は、当社の研究や開発の取組み内容です