高性能を担保したまま小型化。
スチーマーの新たな未来
たっぷりの白い蒸気で顔を包み込む、ゆるゆるとほぐれるような心地よさ。多くのユーザーから支持を得ている、パナソニックのスチーマーの魅力をキープしたまま、さらに使いやすく小型化するという、新たな研究に取り組んだふたり。「大きいから置いておけない」という美容家電のネガティブを払拭する研究成果は、美容の明るい未来につながる取り組みです。
プロフィール
橋爪啓暢(はしづめひろのぶ)
2018年に入社。以前は冷蔵庫の設計に携わっており、全くジャンルの異なるビューティ商品の開発に魅力を感じたことが入社のきっかけとなった。現在は主にフェイスケア商品の設計開発を担当。企画やデザイン、技術開発といったそれぞれのアイデアを量産できる形にする旗振り役として活躍。
川口夏未(かわぐちなつみ)
1994年生まれ。身近な「なぜ?」を紐解いていく物理学が好きで、同時に美容も好きだったので、大学ではクレンジングオイルの触り心地を定量化する研究をしていた。引き続き美容に携わりたいという思いでパナソニックに入社し、スチーマーなどビューティ機器の技術開発に携わっている。
ナノサイズスチームの濃密さを保ったまま、小型化
橋爪:
私は前職で冷蔵庫の設計に携わっており、庫内を冷やすために風を送る制御などの温熱設計を担当していました。美容機器に携わるようになって、家電との共通点もありますし、毎回全く新しいことに取り組めるという楽しさもありますし、可能性を感じています。
川口:
私は大学時代にクレンジングオイルの研究をしていて、とにかく美容が好きだったので、美容機器に関わることができて幸せです。新しい美容の技術を自分で試して、それを製品として形にしていくことが楽しいですね。製品を形にしていく過程で、幾度も課題がでてくるのですが、その課題を周囲と力を合わせて解決できたときに、やりがいを感じます。
橋爪:
そんな私たちが今回、スチーマーの小型化研究に取り組んだわけですが。
川口:
これはユーザーとしての個人的意見なのですが、スチーマーを使うと使わないとでは、肌のうるおい感が全然違うんです。角層がうるおうので透明感も出ますし、5分時間があれば毎朝少しでも使いたい、と思うほどのスチーマー好きです。水をボイラー庫内で温めて水蒸気を作り、それを浴びるわけなのですが、水の粒が大きいと、顔から垂れ落ちてしまうんですよね。パナソニックのスチーマーは、ナノサイズスチームが濃密で、角層をうるおしているんだなと実感できます。
橋爪:
ナノサイズスチームの濃密さは担保したいし、使う方に合わせた機能も搭載したい。そして今回重要視したのが本体のサイズです。性能は落とさずにサイズだけ小さくするためには、ナノサイズスチームの発生装置を始めとした、内部の構造の見直しが必要でした。
透明のスチーマーを見続けて完成度をアップ
川口:
私は主に、スチームの発生装置を担当しました。これまでは、スチーマーのボイラー庫内で作った蒸気中で放電することにより、ナノサイズのスチームを作り出していましたが、今回、光を照射する方式に変更して、装置のサイズダウンを実現しました。光の照射具合によってできるスチームのサイズが変わるので、ちょうどいい塩梅を見つけ出すのに、何度もトライ&エラーを重ねました。
橋爪:
スチームが凝結すると粒径によっては目に見えないのですが、ナノサイズになると白くなります。その白さにもこだわりましたよね。白く、顔をふわっと包み込むようなたっぷりのスチームを安定して吐出させ続けることが大変でしたね。光の照射の仕方だけでなく、水の量などさまざまな条件が邪魔をして。
川口:
透明な素材でスチーマーを作って、何度も中でお湯を沸かし、ふたりで透明のスチーマーを見続けているという1〜2週間がありましたね。透明にすることで、ボイラー内でのスチームの流れも可視化できるので。
橋爪:
スチームの発生装置だけでなく、ヒーターのサイズも工夫しました。スチームがたっぷり出て顔を包み込む、ダブルスチームやトリプルスチームという機能を実現しようとすると、ヒーターの数を増やしたり、サイズを大きくしたりといった必要性が出てきますが、それをせずにヒーターのワット数を上げました。周りの部品が熱くならないように熱対策を行って。ここで前職の知識を活かせたかもしれません。
使う場所や人を問わず、満足度の高い形を目指して
川口:
私はトリプルスチームを気に入っています。顔全体が包み込まれる気持ちよさだけでなくて、首までケアできるんですよね。顔の一部が熱くなることもなく、大満足です。デザインをインテリアになじむものにしたいというデザインチームのこだわりもあり、橋爪さんの全体の調整はとても大変だったと思います。
橋爪:
デザインも、大きなテーマのひとつでしたね。丸みを帯びたデザインにするだけでも、中の配置が変わりますので、工夫を重ねました。それから、見た目だけでなく使い勝手にもこだわりました。高さをギリギリまで低くしたり、スチームの吹出口の角度も調整できるようにして、使う方の背の高さに関わらず顔全体にたっぷりスチームがあたるよう、研究を重ねました。
川口:
スチーマーを使いたいけれど、スペースがなくて置いておくことができなかったり、出し入れするのが面倒で使わなくなってしまう、という声を聞いていたので、今回の研究によって、そういった方にも興味を持っていただけるようになるとうれしいですね。
- インタビュー内容は2025年8月現在のものです
- 「Panasonic Beauty Laboratory」に掲載の情報は、当社の研究や開発の取組み内容です