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未来の家電はどう変わる? パナソニック×AIが進む未来

AIと家電についての監修:谷口 忠大
ライター:UP LIFE編集部
2020年6月15日 空気

前回に引き続いてお届けする、AI編の第2弾。前回は「AIとは何?」といった基本的なことから今後の展開について、家電の専門家である戸井田園子さんの意見をご紹介しました。そして今回は、国内外におけるAI技術の最先端の動向や、パナソニックの現在および今後の取り組みについて、立命館大学で研究をされる傍らパナソニックと協働開発を行う谷口忠大教授に教えてもらいました。

第3次ブームを迎え、さらに進化し続けるAI研究の世界

第3次ブームを迎え、さらに進化し続けるAI研究の世界

谷口教授の主な研究テーマは、 “記号創発ロボティクス”です。これは一体、どのようなものなのでしょうか?

「人間が話したり運動したりできるのは、成長しながらさまざまなことを経験し、学んでいくからです。プログラミングされたことを機械的にインプットするのではなく、小さなころから自分たちの経験を元に認知発達していきますよね。そして人間は言語やジェスチャーなど、さまざまな“記号”を自ら学び、また生み出すことができます。この自分で生み出す力を、ロボティクス(=ロボット工学)の研究を通じて実現させようというアプローチが“記号創発ロボティクス”です」

そう語る谷口教授によると、現在は第3次AIブームと言われているのだとか。

「さかのぼれば、コンピューターが生まれたのは第二次大戦ごろのこと。ここで人間は、計算をするという、ある意味、自分で考える人工物に出会います。それから、より論理的に思考するものを作ろうということになったのが、第1次ブーム。次に、『知識』に注目して本格的な専門家のような人口知能を構築しようとしたのが第2ブーム。たとえば犬の概念を与えるために、“犬は動物である”など、いろいろな知識を入れてルール付けを試みました。でも、現実はとても曖昧で判断が難しいですよね。犬でも大きさや色などはさまざまですから」

また、画像認識による顔認証でも、同じようなことが起こったのだとか。

「たとえば僕の顔でも、メガネを取ったら“谷口ではない”と認識されるかもしれません。そこで、何がどうあれば谷口なのかをハッキリさせるには、いろいろな情報を与え、曖昧なものでも認識できるようにトレーニングするべきと考えられるようになった。つまり、ルールという考え方から今の機械学習、そして“ディープラーニング”というフェーズに至ったんです」

“ディープラーニング”とは、人間の脳に似せた多段階の処理によってデータの分析と学習を行わせる機械学習の一種。現在の第3次AIブームを牽引するもので、この誕生によりさまざまなことができるようになったそうです。

どんなことが可能になった? 現在のAI技術が実現すること

どんなことが可能になった? 現在のAI技術が実現すること

それでは今、実際にどのようなことができるようになったのでしょうか?
谷口教授によると、「最も注目されているのは画像処理で、他に大きく進歩して着実な需要を作っているのは音声認識と音声合成」なのだそうです。

「あとは自然言語処理において、機械翻訳も注目されている技術でしょう。もちろん、ロボティクスや自動運転車の分野も伸びていますが、これも画像処理や音声認識といった技術の進歩を受けて伸びているというのが実際だと思います」

では、これらの技術はどのような形で家電に落とし込まれるのでしょうか?
谷口教授によると、たとえば画像処理は室内監視や見守りなどに、音声認識はスマートスピーカーなどに活用されているそうです。

「現状での音声認識の使い方はほとんどスイッチ代わりかキーボード代わりですが、利用シーンによって使い勝手が全然変わりますよね。たとえばクーラーをつけるだけなら、いちいちスマートスピーカーに“クーラーをつけて”などと言う前に自分でリモコンを操作した方が早いから、必ずしもいつも音声認識が便利なわけじゃない。一方で、何かの作業で両手がふさがっているときなどは、とても便利だと思います。適材適所シーンを見つけていくことが大切でしょうね」

一家に一台、パナソニック製の家事支援ロボット…なんて時代が来るかも!

大阪府門真市にある『パナソニックミュージアム』は、創業者・松下幸之助の高い志を感じ、それを受け継いだ多くの製品を見ることができる場所。皆さんも、ぜひ足を運んでください。 

一家に一台、パナソニック製の家事支援ロボット…なんて時代が来るかも!

現在、パナソニックではビジネスイノべーション本部に身を置く谷口教授。部署やジャンルにとらわれないグループ横断的な“リアルAIチーム”として、国際的な論文を書ける意思とスキルを持つ人々と知識を共有・研究をしながら将来の技術に活かすことのできる新たな発見を目指しているのだそう。
そんな世界的に活躍する人々の英知が集まれば、これからの暮らしにイノベーションを起こしていくのでは、と、思わず期待が高まりますね。

それでは、谷口教授の目には、日本の家電メーカーはどのように映るのでしょうか? 聞けば、「手厚いサービスを提供している」と感じるのだとか。

「その中でもパナソニックは、カスタマーと非常に近いところにいるメーカー。これからのAIテクノロジーにおいても、カスタマーのことを考えて実装していくのだと思います。一般論ですが、たとえば画像処理技術を活用して、部屋の中にいる子どもの動きから危険を察知し、親にアラートで知らせるなど、人々に寄り添ったサービスが考えられますよね。これらは、もはや僕ら研究者ではなく、エンジニアとカスタマーで作るフェーズ。最新の技術と市場の声が組み合わさってできるのだと思います」

家族が過ごすリビングのイメージ

となると、谷口教授の研究する“記号創発ロボティクス”と家電が関われば、いずれは家事支援ロボットが我が家にやってくる、なんてことも実現しそうですね。

「そうですね、直近ではないかもしれませんが。ポイントは、言葉の意味はただ辞書に載っている単語の結合ではないということです。語彙や種類は増えていくものなので、ロボットに言葉やテキストのデータを入れ込むだけではダメ。たとえば空のペットボトルが机の上にあるのに目を遣りながら“ゴミ箱捨てて”と言ったら、人間は文脈や状況からペットボトルをゴミ箱に捨てられますが、現段階の家庭用ロボットがその言葉を字義通りとれば、ゴミ箱を丸ごと捨ててしまいます。言語の意味は多様で、家庭や国でも意味が変わってきたりするので、工場の中だけでの勉強ではなく、実世界で使われている言語を理解できるようになる必要があるんです」

なるほど……。そう考えると、人間ってすごいんですね。

「ええ、人間が無意識でやっていることが一番すごい。よく、人間ができそうもないことをやると賢いと言われていますが、実は逆なんです。うちのラボでは現在、場所の概念を学習することに取り組んでいますが、これも実際には結構、難しい。皆さん、『キッチン』って何だと思います? たとえば僕らなら、シンクがあることやお母さんがごはんを作っていることなど、ビジュアルとそこでの行動を見て“ここはキッチンだ”と判断しますよね。じゃあアイランドキッチンなら、どこからどこまでがキッチンなのか? お掃除ロボットは“キッチンを掃除して”と言われたら、どの範囲を掃除すればいいのでしょうか? こういう概念は言葉だけでは決まらずに、その環境や文化によって違うので、これらをすり合わせていかないといけません」

それはずいぶんと難しいことのようにも感じるのですが、実際はどうなのでしょうか?

「人間ができてロボットができないことを発見すると、人間の知能の本質が見えてくるんですよね。ここで僕たち研究者にとってポイントになるのが、人間にできることはロボットにもできると信じること。そうしないと、人間の知能の本質は何か? の探求すら止まってしまう。あきらめて立ち止まったら人間の本質も見誤ってしまうので、常に探求をしていきたいですね」

人々の暮らしに寄り添って100年。エアコンはどう進化した?

1918年の創業以来、人々の暮らしの向上と社会の発展に貢献すべく、ものづくりを続けてきたパナソニック。近年、研究開発が盛んなAI技術の発展にも積極的に取り組み、より豊かな暮らしの実現を目指しています。

AIの素晴らしさは、何と言ってもさまざまなデータを元に自分で判断できるところ。これを活かし、さらなる快適さを作り出すために、エアコン『エオリア』にも新たなAI技術を搭載しました。

「空気が悪くなった」と感じる前に、AIが先読みで空気をキレイに!

「空気が悪くなった」と感じる前に、AIが先読みで空気をキレイに!

パナソニックの最新エアコン『エオリア』にもAIが搭載されています。このAIを活用した「AI 先読み空気清浄」機能は、気象情報会社であるウェザーニューズとのコラボにより、PM2.5の飛散予報を取り込んだAIが住宅環境などの情報と掛け合わせながら、先読みで空気清浄運転をオンします

先読みの精度は日々、学習することで向上。部屋の空気が「悪くなった」と感じる前に、個々の住宅に適した空気清浄運転を行い、快適な空間に保ちます。

 

※本機能の利用には、エオリアアプリの利用登録と、お客様ご自身でのリモコン設定が必要です。
※本機能は、気象情報会社から提供される気象情報に基づくものです。
※本機能は、予告なく変更・終了することがあります。

谷口 忠大(たにぐち ただひろ)

AIと家電についての監修:谷口 忠大(たにぐち ただひろ)

立命館大学情報理工学部 教授、パナソニック 客員総括主幹技師。1978年、京都府生まれ。2006年、京都大学工学研究科博士課程を修了。2017年、国内で初めて大学から企業へのクロスアポイントを活用し、パナソニックでのAI研究開発に携わる。ビブリオバトルの発案者としても知られている。著書に『コミュニケーションするロボットは創れるか』(NTT出版)、『記号創発ロボティクス』(講談社)など多数。

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記事の内容や商品の情報は掲載当時のものです。

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