冬、快適に過ごすために。暖房の適正温度と心地よい空間づくりのコツ

監修:田中 真紀子
ライター:UP LIFE編集部
2023年7月20日 空気

「寒いから」と設定温度を上げたら暑くて汗ばんだり、乾燥して喉が痛くなったり……。暖房を使いこなすのって、意外と難しかったりしませんか? そこで、上手に使って冬の快適空間をつくる方法を、家電エキスパートの田中真紀子さんに聞きました。

結局、暖房時の室温、何度に設定すればいい?

冬を乗り切るには、やっぱり暖房が不可欠。寒さに負けてつい暖めすぎることもありがちですが、適正な温度は何度くらいに設定すればよいのでしょうか? 

快適と感じる温度を目指して設定温度の調整を

環境省が提示するウォームビズの指針によると、暖房時の室内温度は20℃が目安とされています。田中さんによると、この数字は節電も考慮されており、少し低めになっているのだとか。

「一般的に冬、快適な温度は18℃〜22℃と言われており、多くの人は22℃くらいが快適に感じられると思います。ただ、使っている暖房器具に搭載されたセンサーの精度がそれほど高くないと、設定温度の通りにならないことも。また、快適と感じるかどうかは湿度や体感温度などによっても変わってくるので、温度計や湿度計を用意して数字で確認するのがオススメですね」

居場所や部屋・建物の状態も考慮して設定しよう

適温と言っても、部屋のどこにいるかで快適さは変わるもの。たとえば、日の当たる場所なら暖かく感じますが、窓の近くなら冷気が入り込んで寒さを感じることもありますよね。また、建物の断熱性が低ければ熱が外へ逃げてしまい、暖房をつけても暖まるのに時間がかかる、なんてケースも。さらに、「高い天井や吹き抜けがある家で空調設計が不十分だったりすると、暖房効果が上がりにくくなります」と、田中さん。

「暖かい空気は上に移動する性質があるので、高さがある部屋は床の近くが冷えてしまいがち。また、一般的に鉄筋コンクリート構造の建物は蓄熱性が高い一方で、暖まるまでに時間がかかると言われています」

さらに、窓の大きさや数も、暖房効率に関わってくることがあるのだとか。

「熱は温度の低いところへ移動する性質があるので、断熱性の低い家だとせっかく暖めた室内の空気が外へ逃げてしまいます。家の中で熱が出入りする場所は壁や床、天井などですが、最も多いのは窓。日本の住宅に多く見られる断熱性が低い窓なら、冬場の熱流出量の約50%以上も占めると言われています。窓の近くにいて寒いと感じることはあっても、それほど多くの熱が逃げてしまうのを意外に感じる人も多いのではないでしょうか?」

出典:財団法人建築環境・省エネルギー機構「住宅の省エネルギー基準早わかりガイド」

冬の暖房時の熱が開口部から流出する割合 58%

湿度をかしこくコントロールして体感温度をアップ!

冬は乾燥しやすいからこそ、湿度の管理も大切になるもの。上手に調整すれば体感温度が上がるため、節電にも一役買ってくれるそうです。

微量の汗でも、蒸発と共に体の熱を逃がしてしまう

「湿度が10%上がれば、体感温度は1℃上がると言われています。湿度が低いと体感温度が下がる理由は、体表から水分が奪われるから。私たちの体に備わる体温調節機能は、汗が蒸発する際に熱を奪っていく作用を利用しています。冬は空気が乾燥していることで体表の水分が奪われやすく、同時に熱も持って行かれるため、結果として寒く感じてしまうのです」

湿度が上がると体感温度も上がる

湿度が低い空気には体温が移動しやすくなる

「空気と水分では熱の移動しやすさに違いがあるとことも、湿度が低いと寒く感じる理由のひとつです。空気は熱しやすく冷めやすいのに対し、水分は熱しにくく冷めにくいもの。そのため、湿度が低いと水分が少ない状態なので、体の熱は空気に奪われやすくなるのです」

湿度が低いと、繊毛の機能も低下する?

「私たちの鼻や喉、気道の粘膜は繊毛と呼ばれる細胞に覆われています。これは、体内に侵入した異物を排除する働きがあるもの。でも、湿度が低いと乾燥して働きが弱まってしまうため、体内に異物を取り込むリスクも上がってしまうんです。湿度が低いとこういった弊害も及ぼすので注意したいですね」

空気環境を整えて、冬の快適空間をつくるコツ

それでは具体的に、温度と湿度をコントロールしながら快適な空間をつくるためのポイントを、田中さんに教えてもらいましょう。

気流をコントロールして暖房効率をアップ!

「上部にたまった暖かい空気を循環させるなら、サーキュレーターを使うのが効果的。天井に向けた状態で運転させれば、気流が左右に分かれて壁にぶつかることで拡散していきます。空気を部屋の壁に沿って循環させるのがコツなので、空気がどう流れるかをイメージして向きを考えるのがポイント。エアコン暖房を使用している場合は、エアコンの対角線上に離してサーキュレーターを設置し、斜め上に向かって風を送るのも効果的です」

暖房運転時、サーキュレーターは斜め対角線上に置き、上向きにする

「また、湿度のコントロールには加湿機を使うのがベスト。設定温度に達するとストップするタイプなら加湿しすぎることもありません。エアコンと加湿機を一緒に使う場合は、エアコンの風に乗せて部屋中に行きわたらせることがポイントです。加湿空気清浄機は、エアコンの対面や対角線の壁、加湿機の場合はエアコンの下に置くと効果的です」

暖房運転時、加湿空気清浄機の場合、エアコンの風に乗せて部屋中に暖気を行きわたらせる
暖房運転時、加湿機の場合、エアコンの風に乗せて部屋中に暖気を行きわたらせる

空気環境を整えるためにも、換気は必ず行うこと

「室内の空気は定期的に入れ替えないと、ウイルスや菌、ホコリなどに加え、二酸化炭素の量も増えていきます。快適な空間をつくるなら、やはり換気は必須。寒い季節は窓を開けるのに躊躇するかもしれませんが、気持ちよく過ごすためにも新鮮な空気を取り込むようにしましょう。なお、家の24時間換気システムをオフにしてしまう方もいますが、オンで使うのが正解です。吹き出し口しかない家はふさがず、常に開けておくようにしてください」

暖房の電気代が気になる人へエアコンをオススメする理由

温度コントロールに欠かせない暖房器具ですが、皆さんは何を使っていますか? エアコン暖房は光熱費がかかるからと避ける人もいるようですが、実はそれは間違い。田中さんによると、エアコン暖房は効率が良く、省エネ性も高いのだそうです。

「一般的な消費電力を見ると、エアコンの暖房運転は600Wから700W程度。一方、電気系のヒーターは1000W〜1200Wのものも多く、2倍近く変わってきます。それでいて部屋全体を暖められることを考えれば、エアコンは効率の良い暖房器具。石油ストーブのように灯油を補充するといった必要もなく、温度管理がしやすいのもポイントです。ただし、風を利用することで乾燥しやすくなるため、加湿はきちんと行うようにしましょう」

エアコンの暖房が冷房より電気代がかかるのはなぜ?

「エアコン暖房に限らず、冬になると光熱費が高くなるのは仕方ないこと。なぜなら、冬は夏に比べて室温と外気温の差が大きいからです。たとえば夏、設定温度を28℃としたとき、外気温が30℃なら2℃下げれば済むのに対し、冬は設定温度が20℃でも、外気温が5℃だとすれば15℃も上げなくてはなりません。それだけパワーが必要になるので、冷房に比べて電気代がかかるのは当然なのです」

快適空間づくりはIoT家電のタッグにおまかせ!

暖房時の温度・湿度コントロールがひとつの端末でできれば、もっと簡単なのに……。そう考えている方にオススメなのが、Panasonicの“うるおい暖房”です。こちらは、エアコンと加湿空気清浄機を連携させることで、暖房時の乾燥を抑えた快適空間づくりができる機能。

エアコンと加湿空気清浄機がつながる!

離れた場所からも操作できる“うるおい暖房”

うるおい暖房”に対応するのは、Panasonicのエアコン『エオリア』の無線LAN内蔵モデルと、加湿空気清浄機『F-VXV90』です。スマホでエアコンを操作できる『エオリア アプリ』から“うるおい暖房”を作動させると、『F-VXV90』の電源が自動で入って加湿スタート。また、『エオリア』のリモコンで暖房を作動させても、『F-VXV90』は加湿モードに切り替わるので、乾燥を防いで暖かく快適な室内環境にすることができます。この機能に対し、「エアコン暖房に必須の加湿が同時にできるのがいいですね」と、田中さん。

「ちょっとした手間でも、減らすことができるのはうれしいもの。暖房と加湿が1アクションで可能となった便利さは、使ってみれば実感できることでしょう」

『エオリア』なら暖房時も気流をかしこくコントロール

暖かさを足元や離れた場所に届けてくれるのも、『エオリア』の特長。たとえば“足元暖房”では、大きなフラップを搭載したことで、温風の上昇を押さえ込んで足元に送ります。足元は最高で約43℃と、まるで足湯のような暖かさが実現。また、最大15m、180°の範囲に送風できるロングワイド気流により、離れた場所や真横にいる人も暖まることができるんです。

「かねてより“エアコン暖房は暖まりにくい”という声は聞かれますが、エアコンの進化は目覚ましいもの。冷えやすい足元まで暖めてくれて、温風を届ける範囲も広い『エオリア』なら、寒い季節も快適に過ごせることでしょう」

監修:田中 真紀子

監修:田中 真紀子

白物家電、美容家電の専門家兼ライターとして活躍。日々発売される新製品をチェックし、製品の紹介記事やレビュー記事を雑誌、web、新聞などで紹介している。日常的にも話題の新製品を使っており、ライフスタイルに合わせた選び方や、上手な採り入れ方の提案も得意。テレビ出演も多数。総合情報サイト『All About』白物・美容家電ガイド。

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