熱帯夜もぐっすり眠るために。快眠ポイントを知って寝苦しさを解消

熱帯夜に快眠する方法についての監修:藤原 千秋(ふじわら ちあき)
ライター:UP LIFE編集部
2021年8月18日
空気

気温や湿度は、睡眠環境とも大きく関わってくるもの。特に夏の熱帯夜ともなると、就寝前にエアコンで部屋を冷ましたのに夜中、暑さが不快で目を覚ますこともありがちです。睡眠不足の状態は、日中の活動にも悪影響を及ぼしかねません。そこで、熱帯夜でもぐっすり眠るための知恵を、住生活ジャーナリストの藤原千秋さんに教えてもらいました。

寝苦しくて眠れない熱帯夜。そもそもの定義って?

寝苦しくて眠れない熱帯夜。そもそもの定義って?

熱帯夜が続くと、慢性的な睡眠不足に陥ってしまう……という人も少なくないはず。この「熱帯夜」とは、そもそもどんな夜を指すのでしょうか?

「超熱帯夜」なる言葉も誕生。もはや現実とはそぐわない熱帯夜の定義

「気象庁によると、熱帯夜とは、夕方から夜間の最低気温が25℃以上の日のこと。とはいえ、数十年前ならまだしも25℃以上の夜が珍しくもない今となっては、言葉ほどの切実さはあまり感じないように思います。近年は、夜間の最低気温がおおむね27℃以上のときを、“超熱帯夜”などと呼ぶことも。きちんとした用語ではありませんが、この気温の方が寝苦しい夜として実感できるのではないでしょうか」

大都市の熱帯夜が増加傾向にある原因とは?

「夜になっても気温が下がりにくい理由には、いくつかの要因が考えられます。そのひとつ、ヒートアイランド現象は、都市化によって発生するもの。蓄熱性の高いコンクリートとアスファルトが増え、日中の暑さをため込みやすくなっていたり、空調の数が多かったりといったことが要因となり、郊外よりも気温が高くなることを指しています。

気象庁発表の“大都市における年間の熱帯夜日数”を見ても、熱帯夜がほとんどない札幌を除き、全国的に熱帯夜は増加傾向です」

イラスト:大都市の熱帯夜が増加傾向にある原因

「コンクリートが増え、その分の土や緑が減っていることを考えると、それはそうだよね、といった印象ですね。輻射熱がこもって放熱されにくく、気温低下を促す植物の葉からの蒸散が少ない上に、高層ビルの乱立で風が通り抜けにくいなど、都市部では熱帯夜を招く要素を数多く抱えていますから」

寝苦しさの背景にあるのは「温度」と「湿度」

夏の適正な室温として、環境省が目安としているのは28℃。ただし、やはり個人差はありますし、たとえ就寝前に部屋の温度を28℃まで下げたとしても、眠っているうちに少しずつ暑くなっていく場合もあります。かと言って、エアコンをつけっぱなしだと、場合によっては体が冷えて快眠を妨げてしまったり……。一体、どうするのが良いのでしょうか?

室温よりも「深部体温」のコントロールを

「エアコンを上手に使った室温コントロールは、もちろん大切。具体的な方法は後ほどお伝えしますが、ここでご紹介する“温度”は、私たちの眠りのメカニズムに深く関わる“深部体温”です。こちらは、体の奥にある脳や内臓などの温度のこと。夜から朝にかけて下がることで眠気をもたらすと言われているため、快眠を得るにはこの深部体温を下げることがポイントとなります。方法のひとつは、入浴。お風呂に入ると体温はいったん上がりますが、その反動で深部体温は適切に下がっていくと言われています」

深部体温と眠気のリズムのグラフ。深部体温が下がり始めると眠くなってくる

体温調節と関わりが深い湿度にも注目を

「私たちの体が汗をかくのは、皮膚からの水分蒸発によって熱を放散させ、体温を下げるため。もし、湿度が高くてこの体温調整がうまく働かないと、暑さを感じて寝苦しくなることも多いのです。湿度が高いとダニやカビを発生させることにもなりかねないもの。適切な数字は後述しますが、湿度コントロールも適切に行うことが大切です」

快眠テクニックの基本と寝苦しい夜ならではの対策

快眠テクニックの基本と寝苦しい夜ならではの対策

続いてご紹介するのは、具体的な快眠テクニック。熱帯夜はもちろん、どの季節でも活用できるものも藤原さんに教えてもらったので、早速、今日から実践してみては?

基本的には眠る前に受ける刺激を減らすことが大切

「季節を問わず言えるのが、就寝前の強い刺激を避けることです。たとえば、眠る前のスマホ。習慣になっていると難しいとは思いますが、画面からの強い光が眠気を抑えてしまうので、できるだけ触らないようにしましょう。カフェインやアルコールなど、刺激物を就寝前に摂るのも御法度です」

自分が眠りやすい仕組みをつくる

「私も試したことがありますが、就寝前に瞑想を行うと寝付きやすかったりもするもの。その他、市販のアイマスクなどで目を温める、Tシャツとジャージで寝ているならパジャマを購入してみたり、睡眠の悩みは個々人で差がありますので自分にとってリラックスできる習慣を探してみましょう」

深部体温を下げる入浴は1~2時間前に済ませる

「先ほどもお話ししたように、入浴には深部体温を下げる効果が期待できます。タイミングは、就寝の1~2時間前がオススメ。浴槽に浸かると体に水圧がかかって血行を促進してくれますが、あまりに疲れているときなどは寝落ちしてしまうリスクもあるので、シャワーで済ませた方が良いでしょう」

通気性や冷感効果をもつ寝具を使う

「接触冷感素材を使った夏用の寝具は、実際に触ると冷たく感じるので、暑い時期の快眠に役立つと思います。ただし、汚れてきても木綿素材のようにペタッとした感触が生じにくく、つい洗濯をサボってしまうこともあるのでご注意ください」

効果的に取り入れよう。エアコンをはじめとした熱帯夜対策

効果的に取り入れよう。エアコンをはじめとした熱帯夜対策

最後に、エアコンなどの家電を上手に使って熱帯夜を乗り切る方法を、藤原さんに教えてもらいましょう。

エアコンはどう使うのがいい?

「睡眠に適した寝室の室温は、1年を通して16~26℃。夏の場合は26℃程度、湿度は50%前後と言われているので、エアコンを使うときの参考にしてください。私の場合は、夜になっても外気温が32℃~34℃くらいから下がらない日にはエアコンをつけたままで眠っています。冷えすぎても眠りを妨げるので、自動運転モードを使うのがポイント。最近の賢いエアコンなら、温度と湿度のコントロールもお任せできます。

また布団に入る30分から1時間前に先に部屋を冷ましておくことで深部体温も下がりやすくなります。

暑くて中途覚醒してしまう場合は、機種にもよりますが、最近のエアコンならつけっぱなしにしていても、おもったほど光熱費に影響はないもの。わが家も3女が私のお腹にいたころ、エアコンはずっとつけっぱなしでしたが、こんなに高くなったという記憶はありません」

サーキュレーターで温度ムラをなくそう

「より快適な寝室にするなら、温度ムラを解消するために、サーキュレーターを使うのもオススメ。一般的に冷たい空気は寝床がある下へと移動するので、弱めの運転で風を送るようにしましょう。風向きは空気を動かすイメージで、風が体に直接当たらないように調整してください」

布団にこもった湿気を取り除くならふとん乾燥機を

ふとん乾燥機は冬、ふとんを温めるものというイメージをもつ人もいますが、夏にこもった湿気を取り除きたいときにも大変役立ちます。ふとんを乾燥させた後、熱がこもらないように送風運転を行う機種もあるので、ぜひ活用してください」

生活に合わせてオンオフ設定ができるアプリもオススメ

眠る前、寝室のエアコンをいちいちつけに行くのが面倒……。そう思う人にオススメしたいのが、パナソニックのエアコン『エオリア』をスマートフォンで操作できる『エオリア アプリ』です。オンオフや温度設定などがスマホでできるので、家の中はもちろん、外出先からも操作が可能。また、起床時間や就寝時間が規則的な人は、生活パターンに合わせて1週間分のスケジュールがタイマー設定できる“ウィークリータイマー”も便利ですよ。

暑くて寝苦しい熱帯夜、自分にあった快眠法の一つとしてお部屋の温度・湿度コントロールもぜひ取り入れてみてください。

熱帯夜に快眠する方法についての監修:

写真:藤原 千秋

藤原 千秋(ふじわら ちあき)

主に住まい・暮らしまわりの記事を専門に執筆して21年目。現在はライティングの傍ら監修、企画、広告、アドバイザリーなどの業務に携わる。プライベートでは三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など著書監修、マスコミ出演多数。総合情報サイト『All About』家事・掃除・子育てガイド。

2021年8月18日 空気

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