【2024年度版エアコン補助金情報も】
自治体が実施している、省エネ家電購入の補助金とは
省エネ家電の基礎知識と選び方、補助金についての監修:平野 泰嗣(ひらの やすし)
ライター:UP LIFE編集部
2024年6月19日
空気
電気代の値上げにより、省エネ家電の購入を検討したいけれど「費用面が気がかり」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。なるべく支出を抑えつつ、省エネ家電を購入するための方法のひとつとして「補助金の活用」が挙げられます。そこで、省エネ家電関連の補助金について、FP(ファイナンシャル・プランナー)の平野さんにお話をうかがいました。家庭用エアコンを対象とした、2024年度の補助金についても触れているので、お悩みの方はぜひ参考にしてください。
そもそも省エネ家電とは?
平野さんによると、省エネ家電は「明確な定義はない」とのこと。しかし、一般的には、「エネルギー効率を高め、エネルギー消費を抑えた家電製品」を指すそうです。
2024年現在、『トップランナー基準※1』によって各家電製品に省エネ目標の基準値が設定され、メーカーは目標値以上の省エネ性能を目指すよう、製品開発を行っています。省エネ家電は、家庭の電気代節約という観点だけでなく、地球環境のため(CO2削減)にも必要な製品といえます。
※1 一般社団法人省エネルギーセンター「トップランナー基準とは」
省エネ家電の見分け方
「消費者の方にとっては、電気店に行った際に、“統一省エネラベル”がついている製品が省エネ家電であるという認識が一番わかりやすいでしょう。特に、消費電力量の多い家電を買い替えようと思った際には、省エネ家電を選んだ方が、電気代削減の恩恵も大きいと言えます」
出典:省エネポータルサイト「平成30年度電力需給対策広報調査事業の結果」
統一省エネラベルの見方は?
統一省エネラベルは、おもに「多段階評価(★の数)」「省エネルギーラベル(省エネ基準達成率)」「年間目安エネルギー料金」の3つから構成されています。
- 多段階評価(★の数)……市場に出ている製品のうち、省エネ性能が高いものを上から順に並べ、5.0から1.0までの41段階で表示しています。
- 省エネルギーラベル(省エネ基準達成率)……目標となる省エネ基準(トップランナー基準)を基に、製品ごとに定められた省エネ基準をどの程度達成しているかを示しています。
- 年間目安エネルギー料金……当該の製品を1年間使用した場合の目安の電気料金を示しています。
出典:経済産業省資源ネルギー庁「省エネラベルが変わりました」
「星の数は製品の省エネ性能を示しており、消費電力量や電気代を示しているわけではありません。星の数が多いからといって、イコール消費電力量が少ないわけではないので注意を。例えばエアコンなら、8畳なら8畳用の製品を比較して、より省エネ性能の高いものを選ぶなどの選び方ができます」
省エネ家電を購入するメリット
「まず大きなメリットとして『経済的なコストの低さ』が挙げられます。省エネ家電は電力を節約するように作られているため、通常の家電と比較して運用コストが低く、初期費用がかかったとしても、長期的に見ると電気代の節約により投資分が回収されることも。さらに、現在は自治体の補助金や減税制度も利用できることも踏まえると、資金的なコストは安く抑えられるケースも多いでしょう。
『環境性』についていえば、CO2排出量の削減、エネルギーの有効利用などにより、省エネ家電を選択することが環境に対する負荷を軽減し、持続可能な社会への貢献につながるという側面もあります。
あとは『快適性』の高さもメリットですね。例えば、省エネエアコンの空調機能は、センサーなどの最新技術によりエネルギー効率を維持しながら温度を均一に調節する機能がありつつ、とても静かに稼働します。
さらに、最近の家電はスマートフォンとの連動機能もあります。同じくエアコンの例を挙げますと、昔はリモコンでオンオフを切り替えていたのが、スマートフォンで室温をみて、電源をつけたり、設定温度を変えることが可能です。
総じて、『省エネだけではなく、生活がより便利になる』ことがメリットだといえますね」
省エネ家電の製品ごとの選び方
では、具体的にはどうやって省エネ家電を選べばよいのでしょうか。
「省エネラベルの星の数、達成率が高い製品ほど、市場内製品と比較した場合の省エネ性能に優れている」という点が、省エネ製品全体を選ぶ際のポイントだと平野さん。この点を踏まえ、家庭における1日の消費電力が多い家電TOP3であるエアコン、冷蔵庫、照明の3つの家電の選び方を紹介します。
エアコン
「2012年の製品と2022年の省エネ製品(多段階評価:星3.0以上)を比較すると、電気代が年間で約4,120円お得になります。
『エアコンのクラス(冷房能力)』『エアコンの形状(壁掛け・天井)』に着目しつつ、部屋の広さや設置場所に適したもののなかから、なるべく新しく、省エネ性能が高い製品を選ぶのがいいでしょう。
他には、付加機能も判断基準の1つです。最近はセンサー、自動運転機能などもついていて、スマートフォンで外から操作できる製品もあります。一番リーズナブルな製品以外であれば、おおむねスマートフォンとの連携は可能だと思います。
現在、電気屋に置いてあるエアコンは、ほとんど星ラベルが貼ってありますので、予算と相談しつつ決めるのがおすすめです」
なお、パナソニックの「エオリアLX」は家庭用ルームエアコンで唯一「2022年度省エネ大賞」を受賞(2023年度モデルLXシリーズにおいて)。冷暖房運転時に室温を維持しながら効率良く換気を行う“換気(給気/排気)”やコンプレッサーの排熱を冷暖房に活用する“エネチャージ”、スマートフォンアプリでの電気代見える化や切り忘れ通知機能など、省エネ機能がもりだくさんです。
出典:一般社団法人 家電製品協会「エアコンの進化した省エネ技術と技術トレンド」
※年間電気代は、期間消費電力量に電力料金目安単価31円/kWh(税込)を乗じて算出した目安です。
※このデータは特定エアコンの消費電力量や電気代を保証するものではありません。
冷蔵庫
「冷蔵庫は、省エネ性能だけでなく、ライフスタイルに合わせた製品を選ぶのが効果的です。
例えば共働きのご家庭で、冷凍庫の利用頻度も高い場合、冷凍・冷蔵の切り替え機能がある製品を選ぶと、非常に便利といえます。逆に料理をそんなにされないのであれば、野菜室がそこまで大きくないものを……、といった形です。
ちなみに、冷蔵庫もエアコンのように、市場に出ている製品はほとんどが省エネ家電です。2012年の製品と2022年の製品を比較した場合の年間電気代は4,560円~6,110円ほど異なります」
例えばパナソニックの「AIエコナビ」搭載冷蔵庫なら、生活リズムに合わせて冷蔵庫が自動で省エネ運転に。計7種類のセンサーが節電をアシストするから、冷蔵庫をよく使う季節でも安心です。
出典:一般社団法人 家電製品協会「冷蔵庫の進化した省エネ技術と技術トレンド」
※年間電気代は、期間消費電力量に電力料金目安単価31円/kWh(税込)を乗じて算出した目安です。
※このデータは特定冷蔵庫の年間消費電力量や年間電気代を示したものではなく、消費電力量や電気代を保証するものではありません。
照明器具
「電球はLEDの省エネ製品に買い替えることで、電球形は年間約2,880円、シーリングライトなら年間約2,110円、平均してお得になります。
電球形LEDランプで交換する場合は『口金のサイズ』『明るさの目安』『ひかりの広がり方』、LED照明器具(シーリングライト)で交換する際には『引掛けシーリングの形状』『お部屋の広さに合った明るさ』などがポイントです。
人感センサー付きのLED電球ですと、電気スイッチをつけっ放しにしていても、人がいなければ人を検知しないと約1分後に自動で消灯しますのでトイレ・内玄関・廊下などへの取り付けがおすすめです。
Wi-Fi対応のLEDシーリングライトならアプリと連携して外からスマートフォンで点灯状態の確認やオンオフの切り替えができるので、ぜひ消費電力だけでなく『防犯対策』という観点からも、製品を選んでみてください」
パナソニックのパルックLEDスペシャルサイトでは選び方やLED電球の比較表などを掲載。住まいや生活に合ったLEDが見つかります。
出典:一般社団法人 家電製品協会「照明器具の進化した省エネ技術と技術トレンド」
※年間電気代は、期間消費電力量に電力料金目安単価31円/kWh(税込)を乗じて算出した目安です。
省エネ家電の補助金とは?
省エネ家電購入の際に利用できる補助制度は、主に2つ。「補助金給付」「ポイント付与」の2種類があり、購入後に自身で申請する形が一般的。それぞれの概要と、補助制度の確認方法は?
補助金給付
「補助金給付は、省エネ家電に買い替えた方に、補助金(現金)を給付する制度です。助成金と呼ばれることもあり、指定した口座に現金が振り込まれる形で給付金を受け取れます。
国・都道府県・自治体単位で実施していて、申請方法は自治体によって異なりますが、必要書類を各行政に提出する形が一般的でしょう。
省エネ家電を購入した後でも補助金を受け取れるケースもありますが、事前に見積もりを提出して、予算を確保した上で購入するパターンもあります。
購入金額が大きくなると、後者のケースが多い印象です。このように、一概に『買った後の申請でも大丈夫』とは言い切れないので、省エネ家電の購入を検討されているのなら、早い段階から確認しておく必要があります。
申請方法についても、しっかり読み込んでおかなければ、条件を満たしていないため『申請できない』となるケースも往々にしてあります」
ポイント付与
「省エネ家電を購入した方に、現金給付の代わりにポイントの付与や商品券が支給される助成制度です。例えば東京都が行っている『東京ゼロエミポイント』は、省エネルギー性能が高いエアコンや冷蔵庫などに買い替えた都民に、東京ゼロエミポイントを付与し、ポイント数に応じた商品券とLED割引券を交付する制度です。
申請をオンラインで行える制度の場合、書類に不備がないならおよそ2ヶ月程度でポイントや商品券を受け取れることもありました。申請時には、指定フォーマットの登録・交換申請書に加え、画像で本人確認証や領収書、保証書などを送る形ですね」
省エネ家電の補助金制度を確認する方法
「前提として、省エネ家電購入に関する補助金制度は実施していない自治体もあるため、省エネ家電を購入したからといって助成を受けられるわけではないという点は、踏まえておく必要があります。
その上で、お住まいになられている自治体の補助制度を調べるなら、インターネット検索が確実な方法です。『家電(省エネ家電)+補助金(助成金、ポイント)+自治体名』のキーワードで調べてください。これで国や都道府県単位の補助金制度はほとんど出てきます。より小さな市区町村単位であれば、直接ホームページを訪れて、サイト内検索をかけてみましょう。
ただし、こういった補助金制度は、年度末の3月に申請すると間に合わないケースもあります。そのため、なるべく省エネ家電の買い替えで補助金を活用されたいのであれば例えば新年度のなるべく早い時期に行うのがおすすめです。
予算規模によっては、年度末を待たずに途中で募集が終了する可能性もありますので、なるべく年度の早いタイミングで利用するのがよいですね」
【2024年度版】家庭用エアコンの補助金をチェック
季節家電とはいえ、消費電力の割合が高いエアコン。年々、性能が向上する一方で価格もアップしているので、補助金で買い替え時の費用がサポートされるのは大助かりですよね。2024年度の補助金制度をまとめたので、ぜひご一読ください。
※本記事の内容は2024年5月時点のものです。内容は変更される場合があるため、最新情報は各制度の公式ホームページをご確認ください。
補助金制度① 住宅省エネ2024キャンペーン
政府が掲げる2050年カーボンニュートラルを実現するために創設された、国土交通省、環境省、経済産業省が合同で行う補助事業の総称。「子育てエコホーム支援事業」「先進的窓リノベ2024事業」「給湯省エネ2024事業」「賃貸集合給湯省エネ2024事業」の4つの事業があり、家庭用エアコンの買い替えと設置は「子育てエコホーム支援事業」に含まれています。
ただし、エアコンの買い替え・設置だけで補助金をもらえるというわけではありません。交付にあたっては、「注文住宅の新築」「新築分譲住宅の購入」「リフォーム」のいずれかを実施することが必要。このうち「リフォーム」以外は子育て世帯、もしくは若者夫婦世帯のみが対象となるなど、いくつかの条件があります。これは、「子育てエコホーム支援事業」が、物価高騰の影響を特に受けやすい子育て世代のサポートを目的としているため。全世代が対象となるリフォームについても、上限額は子育て世代のほうが優遇されています。
交付申請期間は予算上限に達するまで。遅くとも2024年12月31日(火)までと定められているので、早めに申請するのがオススメです。
補助金制度② 東京ゼロエミポイント(東京都民限定)
設置済のエアコン、冷蔵庫、給湯器、照明器具を省エネ性の高い製品に買い替えると交付されるのが、「東京ゼロエミポイント」です。「家庭のゼロエミッション行動推進事業」として東京都が実施するもので、対象は東京都民のみ。1ポイント=1円換算で、もらったポイント数に応じて全国100万店以上のJCBギフトカード取扱店で使える商品券と、同事業に登録した取扱店で利用できるLED割引券に交換できます。
エアコンの場合、冷房能力などによっては対象とならない製品もあるので、購入前に公式サイトでの確認が必須。また、対象期間は2024年9月30日までの購入分、交付申請期間は2024年10月31日(木)必着で、予算がなくなり次第終了となるため、こちらも早めに申請しましょう。
補助金を利用するメリット
上記のような補助金を利用することは、単にエアコンの導入コストが抑えられてお得、というだけではありません。自宅をもっと快適にでき、長期的に見れば電気代の節約にもつながるのはうれしいポイント。さらに、エネルギーのムダ遣いを抑えてSDGs達成にも貢献できるのも、とても意義のあることと言えるでしょう。
10年以上使用している家電は、思い切って買い替えた方がお得かも
「省エネ家電への買い替えは、単純に損得だけで評価できるものではありませんし、『使えるものを捨てるのはもったいない』という考え方もある」と、平野さん。
「ただし、10年以上使用しているものに限定すれば、消費電力などで有利なことが多いのが一般的です。例えば20年近く前の型のエアコンを使い続けるとなると、効きにくく、電力効率も悪いため、省エネ性能の高い最新モデルに買い替えた方がいいという考え方もできます。
家電を購入するうえで予算面に不安がある場合は補助金制度についても調べつつ、買い替えを検討してみてください。補助金制度自体、ずっと続くという保証はありませんので、活用できるタイミングを見逃さないようにするのがポイントです」
この記事で紹介した商品
省エネ家電の基礎知識と選び方、補助金についての監修
平野 泰嗣(ひらの やすし)
FPの妻と共に「夫婦FP」として顧客の自己実現をサポート。「自分らしく生きることを支援する」をモットーに相談者のライフ・ファイナンス・キャリアの3つの視点で総合的に支援。中小企業診断士として経営者・従業員のライフプラン支援も行っている。総合情報サイト『All About』ふたりで学ぶマネー術ガイド。
2024年6月19日 空気
- 記事の内容や商品の情報は掲載当時のものです。掲載時のものから情報が異なることがありますのであらかじめご了承ください。