寝るときの暖房はつける/つけない、どちらが良いの?
睡眠環境を整えるエアコン暖房の使い方
睡眠についての監修:坪田 聡
ライター:UP LIFE編集部
2024年3月26日
空気
冬、眠るときにエアコン暖房はつけていますか? 「乾燥するから、つけない方がいい」「寒くて寝つけないから必須」など、さまざまな考えがありますが、実際のところ、エアコン暖房をつけるのとつけないのとでは、どちらが快適に眠れるのでしょうか? 睡眠の専門家で医師の坪田 聡さんに聞きました。
冬の睡眠、よくあるお悩みは?
睡眠にまつわる悩みは、季節によっても変わるもの。寒さが厳しくなる冬の場合は、どのような悩みが増えるのか、坪田さんに聞きました。
体が冷えてなかなか寝つけない
「人の睡眠メカニズムには、“深部体温”が大きく関わってきます。深部体温とは、体の深いところにある脳や内臓などの温度のこと。この深部体温が下がるときに眠気が強くなり、上がるときに目が覚めてくるのです。深部の熱は血管を通り、体の表面に運ばれて放熱されるため、体が冷えていて手足の血流が悪いと深部体温がスムーズに下がらず、眠くなりにくい状態になります」
寒くてぐっすり眠れない
「部屋の温度が低すぎたり、乾燥していたりすると、睡眠の質が下がってしまいます。寝室の温度は20℃から22℃くらい、湿度は50%から60%が睡眠環境としては理想的なので、そこに近付けるよう、暖房器具や加湿機を使って調整しましょう」
朝、寒くて布団からなかなか出られない
「起床時に部屋の温度が低いと、温かい布団から出たくないものです。また、布団の中と外の温度差が大きくなると、血圧が急激に上がって体に負担がかかる可能性もあるので、寒い日の起床時には注意が必要です」
冬の寒い時期に、睡眠の質が落ちる理由
これらのお悩みは寒さが主な原因ですが、以前の記事でもご紹介したように、冬の睡眠の質を下げる要素はこのほかにもいくつかあります。
たとえば、日照時間の短さ。目を覚ます働きのある脳内神経物質は、日光を浴びることでつくられるため、日照時間が短い冬は量が減少してしまいます。また、寒暖差により自律神経の働きが乱れたり、忘年・新年会などでアルコールを摂取する機会が増えがちなことによる「自律神経のバランスが崩れやすい」「アルコールの摂取量が増える機会が多い」といったことも、冬ならではの要因。これらは生活習慣を整えるだけでも少なからず改善できるので、睡眠の質が低下していると感じたら、普段の生活を見直してみましょう。
睡眠時にエアコン暖房を使うことで生じるお悩みも
冬の睡眠の質を大きく左右するのが、坪田さんのお話にもあった室温のコントロールです。とはいえ、エアコン暖房をつけたまま寝ようとしても、乾燥したり、音が気になったりすることもありがち。実際にパナソニックが行った調査でも、冬の睡眠時にエアコンを使うことで、多くの人が「空気が乾燥する」ことをお悩みとして挙げています。このほか、「音がする」「風が当たる」「暖まりすぎる」といったことにも困っているのだとか。
冬の睡眠時のエアコン使用の悩み
引用元:冬の睡眠実態調査(パナソニック調べ)
こうした調査結果に対し、「エアコンを使用するときは、温度だけでなく湿度の調整も大事」と、坪田さん。
「空気の乾燥やエアコンの音、また風が体に当たることや部屋の暖めすぎは多くの人が不快に感じるポイントです。睡眠時はこうした点も考慮しながら、上手にエアコンを使いたいですね」
冬の睡眠環境を整える、エアコンの上手な使い方
エアコン暖房にまつわるお悩みを解消できれば、寒い時期でも快適な睡眠環境を得られるはず。どうすればエアコンを使いながら快眠できるのか、坪田さんにコツを聞いてみました。
寝室は室温15℃〜20℃、湿度50%〜60%をキープ
「布団に入っていれば寒さは感じない、と思うかもしれませんが、冷たい部屋の空気を吸い込むと肺が冷え、睡眠の邪魔となります。先にお伝えした室温15℃から20℃、湿度50%から60%を保てるよう、エアコン暖房だけでなく加湿機なども使ってコントロールしましょう。部屋全体を加湿するのが難しい場合も、頭の近くに濡れたタオルを干すなど、スポット的な加湿で顔周りだけはカバーしておきたいですね」
就寝前に布団をめくって暖めておく
「寝室をエアコン暖房で暖めているときは、寝床に入る20分から30分前に布団をめくって寝具も暖めるようにしましょう。冷たい寝具で体が冷えることもなくなり、寝つきが良くなります」
風量や風向き、設定温度は快眠を第一に調整
「睡眠時にエアコン暖房を使っていて音が気になる場合は、静音モードや弱風モードを使いましょう。暖房時の場合、風向きは下へ向けるのが基本ですが、睡眠中は体に風が当たると不快に感じることもあるので、その場合は水平もしくは上向きでも構いません。また、深夜から明け方の冷え込む時間帯は、エアコンが室温を上げようとして運転音が大きくなる可能性もあるので、設定温度は控えめにしましょう」
寝ている間、暖房はつけっぱなし? それともオフ?
「つけっぱなしでも良いですが、加湿機を併用するなど、乾燥対策は確実に行ってください。電気代がかさむことを心配するなら、寝室を暖めてから就寝前にオフにし、起床時間の1時間前くらいにオンになるようにタイマーを設定しておくと、部屋が暖まって布団から出やすくなります」
エアコンだけじゃない、冬の睡眠環境を整える方法
寒い季節に睡眠環境を整えるなら、エアコンを活用する以外にもさまざまな方法があります。これまでの『UP LIFE』でもいくつかご紹介してきましたが、ここで改めて坪田さんに教えてもらいましょう。
過剰な厚着はNG!靴下もできれば履かない
「いくら寒くても、着込みすぎると寝返りがしにくくなって、睡眠の質が下がります。ナイトウェアは肌にストレスを与えにくいよう、やわらかい素材で締め付けにくいものを選ぶと良いでしょう。なお、足が冷えるからと靴下を履いて寝る人もいますが、足の熱が逃げにくくなって体温調節を妨げたり、蒸れてかぶれや冷えの原因になったりすることもあります。どうしても履きたいなら、薄手で吸湿性に優れた素材のものを選ぶと良いでしょう」
入浴後、すぐに布団に入らない
「湯船につかって体を温めるのは良いことですが、入浴直後は深部体温が高くなっているので、寝つきはあまりよくありません。深部体温が下がるのは、入浴後の30分から1時間ほど経ったくらいなので、そのころに布団に入るのがおすすめです」
寝る直前の食事、飲酒、熱いお風呂は避ける
「冬に限らず、寝る直前にどう過ごすかで睡眠の質も変わってきます。たとえば、寝る直前の食事は胃腸に負担がかかるうえに、体温が上昇して寝つきが悪くなることも。また、飲酒は睡眠の質が下がり、朝を迎える前に目が覚める“中途覚醒”に陥りがちです。このほか、湯船のお湯の温度が高すぎても、体温上昇によって寝つきが悪くなるので注意しましょう」
エアコン暖房以外に寒さを和らげるアイテムは?
湯たんぽや布団乾燥機などで寝具を温めておく
「エアコンだけでなく、湯たんぽや電気毛布なども、寝る前に寝具を温められるアイテム。湯たんぽは火傷に十分注意しながら、股関節やおなかといった太い血管の近くに置くのがオススメです。また、電気毛布をつけっぱなしにしていると、体温の低下を妨げることになるので、布団に入ったらオフにし、タイマーを設定して起床の30分から1時間前にオンになるようにしましょう」
加湿できるエアコンを使うのもおすすめ!
パナソニックのエアコン『エオリア LXシリーズ』は、吸水レスの加湿機能を搭載したモデル。暖房しながら乾燥対策ができるので、つけっぱなしで眠りたい人にもぴったりです。
『エオリア LXシリーズ』なら給水不要、暖房しながら乾燥対策
また、『エオリア』LXシリーズ・Xシリーズ・HXシリーズでは、エネチャージシステムとサーキュレーションモードにより快適さを損なわない省エネを実現。コンプレッサーの排熱を蓄えて冷暖房に有効活用するなど、エネルギーのムダを省きます。そして、ワンボタンで運転モードと最適な温度を自動設定する「AI快適おまかせ」機能で、快適性を高めながら、自動で消費電力のムダを省きます。
さらに、スマートフォンで操作できる『エオリアアプリ』なら、睡眠環境をサポートする機能も使用できます。たとえば“おやすみモード”なら、就寝タイミングをAIが学習し、運転スタートから1時間後に就寝に適した運転に調整。暑さ寒さはもちろん、湿度のコントロールもエアコンにおまかせできますよ。
寝室の温度・湿度をコントロールして、寒い季節も快眠を
「眠っている間に適切な室温を保つことは、睡眠環境の質を左右する大切なポイント。冬の場合は眠る前にしばらくエアコンをつけておき、室温20℃から22℃を保つようにしましょう。もし、途中で切る場合は、寝るときに3時間ほどつけておいて引き出し、起きる少し前にタイマー設定でオンにして良いと思います。寒い季節もぐっすり眠れるように、乾燥対策もしっかり行うようにしてください」
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睡眠についての監修
坪田 聡(つぼた さとる)
日本医師会、日本睡眠学会所属。ビジネス・コーチと医師という2つの仕事を活かし、行動計画と医学・生理学の両面から、睡眠の質の向上に役立つ情報を発信中。快眠グッズや気になる研究発表など、睡眠に関連する最新情報も紹介している。総合情報サイト『All About』睡眠ガイド。
2024年3月26日 空気
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