寒冷地エアコンとは?通常のエアコンとの違いや選び方をわかりやすく解説

寒冷地向けエアコンについての監修:田中 真紀子(たなか まきこ)
ライター:UP LIFE編集部
2026年1月23日
空気

冬場の外気温が-10℃を下回るような地域でもしっかり暖房できるように設計されたエアコンがあるってご存じですか?それが、通常のエアコンより寒さ対策を強化した寒冷地向けエアコンです。この記事では、寒冷地に特化したエアコンが必要な理由や通常エアコンとの違い、失敗しない選び方、効率よく部屋を暖めるテクニックなど、寒冷地向けエアコンの基礎知識をわかりやすく解説します。

寒冷地エアコンとは?通常エアコンとの暖房性能の違い

写真:雪が積もった道路

寒冷地エアコンとは、冬に-10℃以下まで冷え込む寒冷地に適した仕様になっているエアコンのこと。過酷な環境に置かれる室外機がしっかりと作動し、寒い部屋を適温まで暖められるように、さまざまな工夫がなされています。

室外機の構造・霜取り性能の違い

エアコンは外気から熱を取り込むので、気温が低いと効率が低下します。そのため、寒冷地エアコンはさまざまな寒さ対策によって、より高い暖房性能を実現しています。

「通常エアコンと寒冷地エアコンの最大の違いは室外機の構造です。少しでも多くの熱を取り込めるように熱交換器の表面積を大きくしているほか、コンプレッサーを強力にして熱を含んだ冷媒を素早く送れるようにしています。
雪や霜から室外機を守る必要もあります。そのため、ドレンパン(室外機の底面にある水受け板)にヒーターを入れたり、運転停止状態でも自動的に間欠運転をしたりして、凍結や雪の吹き込みを防いでいるほか、霜取り運転中も暖房が停止しないようになっている機種もあります。なお、積雪や室外機から排出した水の凍結対策として、架台の上など凍結しても問題のない場所に設置することが推奨されています」

寒冷地で暖房が効きにくくなる原因

かつて、寒冷地でのエアコン暖房は非効率的と考えられていました。暖房が効きにくくなる原因から、寒冷地エアコンのメリットまで探ってみましょう。

外気温低下による熱交換効率の低下

「エアコンによる暖房では、外気よりさらに冷たい冷媒を用いて外気から熱を取り込み、それを室内へと送り込みます。しかし、気温が-10℃以下になると、冷媒との温度差が小さくなるので、熱を効率的に入手することができなくなってしまいます。そのため、通常エアコンは寒冷地だと働きが落ちるのです」

霜付き・霜取り運転による暖房停止

「室外機に霜が付着してしまうと、熱の取り込み口がふさがれてしまうため、まず霜を取り除く必要があります。ところが、霜取り運転をすると暖房に使う熱をそちらに回すことになるので、部屋を暖めることができなくなってしまいます」

写真:室外機(背面)の状態を比較する図。左側は『霜がついている状態』で白く凍結した様子、右側は『通常時』で黒いフィンが見えている

寒冷地エアコンの選び方とポイント

寒冷地エアコンにもさまざまな機種があり、性能がそれぞれ異なります。ポイントを押さえて、気候や部屋の広さに合ったものを選びましょう。

低外気温での暖房能力(定格・最大)

「寒さに強い寒冷地エアコンですが、適応能力は機種によって差があります。お住まいの地域が真冬にどこまで冷え込むか確認したうえで、最も寒いときでもしっかりと稼働してくれる機種を選びましょう。設計最低外気温や外気温-15℃の場合の暖房能力などのデータは、製品のウェブサイトやカタログに記載されています」

適用畳数

「部屋の広さも重要なポイントです。エアコンの適用畳数は冷房と暖房で異なるので、寒冷地にお住まいの方は暖房のほうを重視してください。
また、部屋の形状や断熱性によっても、暖房の効きは変わってきます。天井が高い、窓が大きい、木造で風通しが良いなど、暖房効率が高くない場合は、適用畳数よりもやや強めのものがオススメです」

電気代を抑える機能(省エネ性能)

「寒冷地では暖房を使う時間が長くなるので、その中で消費電力を抑えることも大切です。APF(通年エネルギー消費効率)やCOP(成績係数)といった指標がウェブサイトやカタログに表示されていて、いずれも数値が大きいほど省エネ性能が優れています。寒冷地の場合APFは5.0以上、COPは3.5以上を目安にするとよいでしょう。
資源エネルギー庁が定めた『統一省エネラベル』では省エネ性能が星の数で示されていて、省エネ基準達成率やAPFの値も併記されています。また、その製品を1年間使用した場合の電気料金の目安が記載されている場合もありますが、これは東京をモデルにした金額で、寒冷地での料金の目安は外気温度によって設定された地域係数(札幌3.0、盛岡2.4など)を掛けて算出します。この数値もエアコン選びの参考にしてください。なお、寒冷地仕様のエアコンのラベルには『寒冷地仕様』と明記されるので、これを目安にするとわかりやすいですね」

寒冷地でよくあるエアコン暖房のトラブルと対策

写真:エアコンのリモコンを操作する女性

寒冷地では過酷な環境に室外機が設置されることもあり、エアコンのトラブルが発生しがちです。対策を万全にして、効率よく部屋を暖めましょう。

暖房が止まる(霜取り運転)

「暖房運転していたエアコンが突然停止してしまうのは、霜取り運転になったからかもしれません。これは、エアコンの稼働によって室外機の熱交換器から熱が奪われ、空気中の水分が付着して凍結してしまうことで発生します。霜が付くと熱を室内に送り込めなくなるので、いったん暖房を中断して霜を取り除かないといけません。放置しておいてもいずれは暖房運転に戻りますが、部屋が暖まらないのにムダなエネルギーを消費してしまうことになります。
対策としては、まず設定温度を少し下げることが挙げられます。設定温度が高いと大量の熱が必要になり、熱交換器が冷やされてしまうためです。また、フィルターが詰まっている場合も余計な熱を消費してしまうので、毎日エアコンを使っている場合は2週間に1度くらいのペースでフィルター掃除をするとよいでしょう」

霜付きが頻発する

「霜がしょっちゅう付いてしまうのは、室外機が置かれている環境が原因の場合も。室外機に雪が付くと熱交換器に霜が付きやすくなります。架台などを用意して積雪で埋もれないところに室外機を置き、吸い込み口や吹き出し口に防雪部材を設置するのがオススメです」

写真:防雪部材の例

電気代が高くなる

エアコンは、少しの電気エネルギーを何倍もの熱エネルギーに変換できる高効率な省エネ家電です。環境によっては暖房器具の中でもランニングコストを抑えやすい機器と言えますが、寒冷地では部屋を暖めるのに必要なエネルギーが大きくなり、使用時間も長いので、電気代は高くなりがちです。
しかし、対策がないわけではありません。

「エアコンによる暖房で最も電力を消費するのは、寒い部屋を設定温度まで暖めるときです。ですから、何度もオンオフを繰り返すと、電力消費も激しくなってしまいます。そのため、外気温が低い場合、買い物などのちょっとした外出であれば、暖房はつけっぱなしにしておく方が安上がりなことも。
パナソニックが行ったシミュレーション※1では、外気温が3℃より低い場合は、つけっぱなし運転のほうがお得という結果に。
また、効率的に部屋を暖められるように、断熱シートや断熱カーテンを使うのも有効です」

グラフ:外気温と月の電気代の関係を示す棒グラフ。横軸は外気温(℃)で0〜15℃、縦軸は月の電気代(円)で0〜600円。青色の棒は『つけっぱなし運転』、赤色の棒は『こまめに消す運転』を示し、外気温0〜2℃ではつけっぱなし運転がお得、それ以降はこまめに消す運転がお得と記載
30分の外出を1日2回、1ヶ月間行った際のエアコン稼働における電気代の差異

エアコン暖房の効率を高める工夫

ここまで挙げた対策以外にも、暖房効率を高める手段はいろいろあります。お住まいの環境に合わせて、実践してみましょう。

1.室内温度は20℃以下にして、加湿でカバー
室内が乾燥すると体感温度が下がってしまいます。そのため、加湿して体感温度を高めつつエアコンの設定温度を下げることで、消費電力を減らすことができます。

2.風量は「強」にする
風量が弱いと部屋の隅々まで熱を届けるのに時間がかかり、かえって電力を消費してしまいます。風量を強くして迅速に設定温度まで暖めたほうが、かえって安上がりです。

3.扇風機やサーキュレーターを併用
空気は温度が上がるほど軽くなるので、暖まった空気は天井のほうへ行ってしまい、足元が冷えてしまいがちです。そのため、扇風機やサーキュレーターで空気を攪拌するのがオススメです。

4.室外機の周囲に物を置かない
室外機の周囲に物があると、冷たい空気を逃がすのが遮られてしまいます。

パナソニックの寒冷地向けエアコンをご紹介

暖房能力と省エネを兼ね備えたパナソニックの寒冷地エアコンの中から、オススメの製品を紹介します。

エオリア UXシリーズ(家庭用・寒冷地向けモデル)

画像:エアコンから温風が出ているイメージ

外気温-25℃でも最高で55℃の温風を吹き出して部屋を迅速に暖めてくれる最新モデル。オリジナルの「ハイブリッドエネチャージ」によって、コンプレッサーからの排熱を蓄えて霜取りに活用するため、霜取り運転中も暖房が停止しません※2。また、足元暖房やサーキュレーションモード、ロングワイド気流によって空気の流れを制御でき、足元までムラなく温めることができます。

画像:足元暖房のイメージ

まとめ:寒冷地エアコンで冬を快適に過ごすために

近年は寒冷地でも夏の暑さが厳しくなっているため、一台で冷房も暖房もできるエアコンは非常に魅力的です。しかし、通常エアコンは気温が-10℃を下回るとパフォーマンスが低下してしまうので、寒さに強い寒冷地エアコンの導入がオススメ。居住している地域の最低気温や部屋の大きさなどを考慮して適切な製品を選び、断熱や加湿などの工夫を加えて、寒さの厳しい冬を快適にお過ごしください。

この記事で紹介した商品

寒冷地向けエアコンについての監修

田中 真紀子(たなか まきこ)

田中 真紀子(たなか まきこ)

白物家電、美容家電の専門家兼ライターとして活躍。日々発売される新製品をチェックし、製品の紹介記事やレビュー記事を雑誌、web、新聞などで紹介している。日常的にも話題の新製品を使っており、ライフスタイルに合わせた選び方や、上手な採り入れ方の提案も得意。テレビ出演も多数。総合情報サイト『All About』白物・美容家電ガイド。

※1 パナソニック調べ。室内温度24℃、暖房温度設定24℃、電気代31円/kWhでのシミュレーション結果。実際の電気代は、住宅の断熱性能やエアコンの設置環境等の使用条件によって異なります。
※2 霜取り運転中は吹き出し温度が下がります。その間の室温の低下度合いは、使用環境(お部屋の断熱・気密性能)、運転条件、温度条件によって異なります。霜の付着量が多くなる環境では、暖房を止めて霜取り運転を行う場合があります。24時間以上の連続運転中、一定時間おきにフィルターお掃除運転が働き、その間、暖房などの運転を停止します。

2026年1月23日 空気

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