新発見!チョコは飲む発酵食?おいしく飲んできれいに

ライター:UP LIFE編集部
2020年4月17日
食・レシピ

食べると太るとか、食べ過ぎると体によくない等々……。とかく誤解されがちな食べ物がチョコレート。けれども、原料のカカオ豆はれっきとした発酵食品、かつてカカオドリンクは健康飲料として愛飲されていました。実際、カカオ成分を多く含むチョコレートの健康効果は、大規模調査などで実証済み。今回はチョコレートの魅力や健康効果、手軽においしくチョコレートを楽しめるドリンクのつくり方などをご紹介します。

【お話を伺った方】
株式会社明治 開発本部 カカオ開発部 開発1G G長 藤原 成一さん
株式会社明治 マーケティング本部 カカオマーケティング部 カカオグループ 新田 大貴さん
ミツバチプロダクツ株式会社 代表取締役 浦 はつみさん

古代から伝わる発酵健康食品、カカオ

※本記事はパナソニックから、株式会社明治 藤原 成一さん、新田 大貴さん、ミツバチプロダクツ株式会社  浦 はつみさんに、チョコレートの魅力や健康効果、手軽においしくチョコレートを楽しめるドリンクのつくり方などについてインタビューを依頼し、コメントの内容を編集して掲載しております。

歴史をひもとけば、どうやら人類は4000年も前から、チョコレートの主原料であるカカオを栽培していたようです。
「実際、古代の土器には、カカオを煮たり焼いたりした跡が残されています。カカオ豆が最初に栽培されたのはおそらく現在のメキシコあたりで、古代マヤ文明の王族たちはカカオドリンクを飲んでいたようです。おそらく経験的に滋養強壮などの効果を理解していたのでしょう」と、健康食としてのカカオ豆の歴史を藤原さんは語ります。
やがてメキシコを侵略したスペインがカカオ豆を持ち帰りました。ヨーロッパでも砂糖を入れないカカオドリンクを当初は、王侯貴族たちが健康によいものとして飲んでいたと推測されます。
ところが、そのカカオ豆からつくられたチョコレートが日本では、あまり体に良くないものとして誤解されがちです。その理由を新田さんは「甘くておいしいのはわかっている。でも、特に戦後の日本では手軽に手に入るものではなかったので、子どもが欲しがると親が困りますね。だから食べると太るとか鼻血が出る、虫歯になるなどといってたしなめてきたのでしょう」と説明します。

おいしさの決めて、カカオ豆の発酵にこだわる

写真:発酵したカカオ豆のイメージ

確かに最初につくられたチョコレートは、苦くて渋く決して食べやすいものではなかったようです。やがて1876年に甘いミルクチョコレートが発明され、さらに1879年にチョコレートをつくる機械が開発されて普及に弾みがついたのです。
「当社がチョコレートづくりを始めたのは1926年からです。ドイツから招いたチョコレート技師につくり方を教わりました。そのときに書き留めたレシピは、今でも大事に保存されています」(藤原さん)
そのチョコレートづくりに14年前、大きな変化が起こります。ポイントは材料のカカオ豆。以前は商社から一括仕入れしていたカカオ豆を、明治は自ら産地に出向いて吟味するようになりました。そこで驚くべき事実に気がついたのです。
「同じ品種のカカオ豆を栽培していながら、農家ごとに発酵のさせ方が微妙に違うのです。つまりそれまで仕入れていたカカオ豆は、発酵度合いがバラバラだった。同じ品種なら発酵条件は揃えるべきだし、そもそもカカオ豆ごとに最適な発酵法があるはずです。そこから、いわゆるBean to Bar(製造者がカカオ豆=Beanから板チョコレート=Barまでを一貫して手がけること)のチョコレートづくりが始まりました」(新田さん)
発酵にこだわり最高の状態を追究する。そんなカカオ豆研究から生まれた新しいチョコレートは、健康効果も優れたものでした。

実証された健康・美容効果

腸のイラスト

おいしさを高めながら、ポリフェノール量を最も多く残す。そんな発酵条件のカカオ豆を原料につくられたチョコレートを使い、明治は愛知県蒲郡市、愛知学院大学と産官学連携による調査を行いました。
蒲郡市内外の45~69歳までの347人(男性123人、女性224人)を対象として4週間に渡って行われた調査をまとめた結果が「チョコレート摂取による健康効果に関する実証研究」です。カカオ分70%以上とカカオポリフェノールを多く含むチョコレートを毎日25g摂取してもらうと、血圧が低下、善玉コレステロールと海馬にあるタンパク質BDNFを増やし、抗酸化作用のあることなどが明らかになりました。
「さらに難消化性であるカカオプロテインは、便通を良くする効果があることも明らかになっています」(藤原さん)
腸内フローラが改善されると、美容にもよい効果があるといわれています。だから高カカオチョコレートは、健康と美容の両方によい影響を期待できるのです。

チョコレートを飲んで楽しむ

ポリフェノールを多く含む高カカオチョコレートは、糖分が抑えられているので(だから甘いチョコレートより太りにくいのですが)ちょっと苦手という方もいます。そこでおいしく、手軽にチョコレートをとる方法としておすすめなのが、チョコレートドリンクです。
といっても甘いホットチョコレートや、クリーム分が入ったショコラショートを飲もうという話ではありません。ホットチョコレートではせっかくの香りが飛んでしまうし、熱を加えると風味も変わります。生クリームたっぷりとなると、あまり体によい感じもしません。
けれどもチョコレートを飲む文化を、何とかして日本で根づかせたい。そんな思いから、ホットチョコレートマシン『INFINI MIX』を開発したのが浦さんです。これでつくったチョコレートドリンクを明治の方に試してもらったところ「感動した」とのコメントが寄せらました。

写真:浦はつみさん(左)と、ホットチョコレートマシン『INFINI MIX』(右)

では、本格的なマシンがないと、おいしいチョコレートドリンクはつくれないのかといえば、決してそんなことはありません。
「チョコを割って、密封できる耐熱容器にお湯と一緒に入れ、適当に振ってください。たったこれだけでも、チョコレートドリンクはつくれます」(藤原さん)

写真:容器を振って説明する藤原成一さん

密封され香りが閉じ込められているので風味は豊か、泡立ちもよくカプチーノのような感じです。このお手軽チョコレートドリンクのより豊かな楽しみ方として、浦さんは「好みのひと味を加えてください。夏だったらミントを混ぜたり、ショウガもいい感じです。眠りにつく前ならラム酒を少し入れてみるのも一案です」とアドバイスしてくれました。
手軽に楽しめて、体やお肌にも嬉しいチョコレートドリンク。おいしく飲んで、健やか美人をめざしましょう。血圧が少し高めな方の健康管理にも、おすすめです。

プロフィール

株式会社明治
開発本部 カカオ開発部 藤原 成一

現在、株式会社明治 カカオ開発部で「meiji THE Chocolate」や「meijiチョコレート効果」など、チョコレートの企画開発を担当。長年、チョコレートのレシピを決める業務に従事した経験を活かし、「おいしさと健康で日本のチョコレートの価値を上げ、みんなを幸せにしたい。」という情熱をもって、業務に従事しています。

1996年、チョコレートの研究開発部署に入社。
チョコレートの原料や製法について学び、様々なチョコレート商品のレシピ・製法開発を担当。カカオ産地での発酵研究プロジェクトにも参加。
途中2年間弱、工場にてチョコレート製造業務を担当。
2016年~、本社にてチョコレートの商品開発業務を担当。

ミツバチプロダクツ株式会社(外部サイト)
代表取締役社長 浦 はつみ

1997年、九州松下電器株式会社に入社。2002年に松下電器株式会社へ転籍。同年WiLL faxとアルカリイオン整水器の企画・営業を推進し日経ウーマンオブザイヤーを受賞。

2005年から約8年間、国内の家電量販法人営業部門へ異動し、初の女性営業として調理商品を担当。
2013年、コンシューマー部門商品企画課にて「食」の新規商品企画を担当。2015年にIoT家電The Roastの商品・サービス開発・事業推進を担当。

2017年からチョコレートドリンク事業を推進し、2018年9月ミツバチプロダクツ株式会社を設立し、現職に就任。

2020年4月17日 食・レシピ

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