連載第4回「つらい生理痛も骨盤から!?骨盤の“開閉周期”を知れば カラダも心もストレスフリーに」
監修:関口 由紀(せきぐち ゆき)
ライター:UP LIFE編集部
2020年5月11日
健康
骨盤の“ゆがみ”については知られていますが、あわせて知っておきたいのが骨盤の開閉周期について。女性の場合、生理周期と連動して骨盤が開閉を繰り返しています。
また骨盤は自律神経と深い関係があり、交感神経が優位になると骨盤が閉まり、副交感神経が優位になると骨盤が緩むという性質があります。1か月単位、1日単位の「骨盤の開閉周期」を解説しながら、心身ともにリラックスするための方法を紹介していきます。
骨盤は月経周期の影響をうけている
生理周期は骨盤の開閉周期に大きく影響しています。
生理が始まって2~3日目の出血量が多い時期に骨盤は緩みます。その後、排卵日に近づくにつれて骨盤が閉まり、排卵日を過ぎると生理にむけて骨盤は緩み、開いていくというサイクルです。
「このような骨盤の開閉が起こるのにはプロゲステロンという体を緩める作用があるホルモンの働きが影響しています。排卵後、プロゲステロンが分泌されはじめることで、生理開始後2~3日目までの10日間は骨盤が開き、体全体が緩みます。その後20日間は骨盤が閉じて、体も締まります」というのは女性泌尿器専門医で女性医療クリニックLUNAグループ理事長の関口由紀先生。
このサイクルを知っておけば、仕事のパフォーマンスが上がり、プライベートもより楽しめる生活を送ることができるのだとか。
「骨盤が開いている10日間は体がリラックスモードになっています。だるい、頭が働かない、眠くなるのは体が休みたいと言っているから。そんなときは仕事を最低限にとどめ、自宅でダラダラ過ごすようにしましょう。残りの20日間は無理をしてもいい時期です。バリバリ仕事して、体も積極的に動かすようにしましょう」
骨盤が開いていてだるさを感じる10日間は無理して仕事や遊びをがんばっても逆効果。残りの20日間に影響がでるといいます。
特に生理痛がひどい人は骨盤が開いている10日間をゆったりと過ごすようにしましょう。生理痛が起こる原因の1つが体をしっかり休ませていないことによるストレスともいわれています。
1日単位で自律神経の影響をうけている
では骨盤の開閉のサイクルを1日単位でみるとどうでしょうか?
朝目覚めると骨盤はキュッと締まり、ランチのときに骨盤は一時的に緩み、その後、午後の仕事が始まると再び締まります。夜から就寝前にかけてリラックスすると骨盤は再び緩み、ベッドに入って眠る頃には緩み切ります。
この周期は自律神経の働きに比例しており、緊張によって骨盤は締まり、リラックスすると骨盤は緩むというリズムになっています。
日中唯一、骨盤が緩むのがお昼休みの時間。この時間帯に10分でもいいので、お昼寝すると骨盤が緩み切り、体が休まります。
上手に骨盤を緩めて「開閉周期」のリズムを整えよう
「開閉リズムが整っていない人はどんなに眠ってもだるさが残ったり、むくみがとれなかったり、生理痛につながるといわれます。
開閉リズムを整えるには、だるさやむくみがでているような骨盤が緩んでいる時期は無理をしない、ストレッチする、アロマをたく、温かいものを飲む……など体がリラックスする状態を作ること。逆に骨盤が締まっていて体が動かしやすいときには、仕事をバリバリするのもいいし、マラソンなどの激しい運動もOKです。この時期は好きな物を好きなだけ食べても大丈夫です」と関口先生。
開閉リズムを整えるコツは、骨盤が開いているときにどれだけ体をリラックスさせ、緩めさせるか。就寝前の3分で行う「骨盤ゆるゆるポーズ」で体全体を緩めてみましょう。
骨盤ゆるゆるポーズ
①足をまっすぐ前に伸ばし、座骨に重心を置くように座る。
座骨(お尻の下側にある2つ並んだ出っ張り)を床につける。
②両ひざを立てて左右に開き、左右の足の裏をあわせ、息を吐きながら前屈する。できるだけ背中が丸まらないように。
③息を吸いながら背筋を前方に伸ばし、息を吐きながら前屈する。(背筋を伸ばすイメージで)
両手は前の伸ばしダラーンと力を抜き、5回呼吸する。
ゆっくり起き上がってリラックスする。
「骨盤が緩む10日間は決まった時間に起床し、3食しっかり食べて、決まった時間に寝るようにしましょう。リラックスすることは大切ですが、体がだるいからと、昼まで寝ていたり、好きな時間に食事をするのはかえって体に負担をかけることになります」と関口先生。好きなことをしてリラックスしつつ、生活のリズムを崩さないのが骨盤を上手に緩めるためのポイントです。
まとめ
まずは月経周期、自律神経の周期に合わせて骨盤が開閉しているかどうかを知りましょう。骨盤の開閉がスムーズにできるよう、エクササイズや習慣を身につけていきましょう。
監修
関口 由紀(せきぐち ゆき)
女性泌尿器科専門医。女性医療クリニックLUNAグループ理事長。
横浜市立大学大学院泌尿器病態学修了。医学博士・経営学修士・日本泌尿器科学会専門医・日本排尿機能学会専門医・日本性機能学会専門医。2003年より横浜市立大学医学部泌尿器科で女性泌尿器科外来を担当。現在、横浜市立大学医学部泌尿器科客員教授。2005年に「横浜元町女性医療クリニック・LUNA」を開設。女性がいくつになっても、元気できれいであることを全力でサポートするクリニックを目指している。著書に『温かくてしなやかな「ちつと骨盤」が体と心を幸せにする。:女性が一番大切にしたい膣と骨盤ケア読本』(日本文芸社刊)、『いま、からだの中から変わる!女性ホルモンの力でキレイを作る本』(朝日新聞出版刊)など多数。
2020年5月11日 健康
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