血流企画第1回「そもそも血めぐりって何?血流のメカニズム」

監修:石原 新菜(いしはら にいな)
ライター:UP LIFE編集部
2020年7月27日
健康

「血めぐりをよくすると健康にいい」とよく聞きますが、そもそも血めぐりってどんなことなのでしょうか?今回は血液と血液を運ぶ血管のしくみについて、血めぐりの専門家である石原新菜先生に教えていただきました。血めぐりをよくする方法を探っていきましょう。

血管の長さは地球2周半!カラダのあらゆる不調は血めぐりが原因

写真:体調が悪そうな様子でソファにもたれかかる女性。右手の甲で額をおさえている。を

頭痛や肩こり、腰痛に夏の冷え、便秘や肌荒れ、むくみ……。カラダのあらゆる不調は血めぐりの悪さが引き起こしていると石原先生は言います。しかし、なぜ血めぐりの悪さが不調を引き起こすのでしょうか。それは、血液と血管の働きにポイントがあります。
人間のカラダには、くまなく血管が張り巡らされています。毛細血管まで含めるとその長さは約10万キロ!地球2周半にもなる長さです。心臓から出た血液は、この長い長い距離をたった50秒で一周※1して、また心臓へ戻っています。そして、この短い時間で体内を流れている間に、血液は多くの仕事をしています。

生きていく上で大切な血液の役割

全身をめぐる血液の働き 心臓から動脈を通ってリンパが酸素や栄養素を全身に運ぶ。帰りには静脈を通り二酸化炭素を受け取って心臓に戻ってくる。

血液の主な働きは7つあります。

  1. 酸素や二酸化炭素を運ぶ
  2. 栄養素を全身に運ぶ
  3. 老廃物を回収する
  4. ホルモンを運ぶ
  5. 体温を調節する
  6. 傷口を修復する
  7. 異物を排除する

私たちは、呼吸によって酸素をカラダに取り込んでいます。肺に入った酸素は、血液によって全身に運ばれ、帰りに細胞から吐き出された二酸化炭素を受け取って戻ってきます。また、食べ物は消化管の中で消化・吸収され、さまざまな栄養素が体内に取り込まれます。細かく分解されて腸で吸収された後、血液に乗って全身に運ばれていきます。そして、エネルギーとして利用された後の老廃物や、代謝の後にできた有害物質などを回収し、腎臓や肝臓へ運びます。それ以外に、女性ホルモンや成長ホルモンを各器官に運んだり、血管を収縮させて体温調節したり、さらには傷口を修復したり、体内に異物が入ったことを全身の細胞に知らせて回るのも血液が担っています。

不調の原因は毛細血管の衰えにあり!

不調の原因は毛細血管の衰えにあり!

私たちが生きる上でとても大切な役割を担っている血液ですから、血めぐりが悪くなってしまうと、不調が起きそうなのはなんとなくわかってきましたよね。この私たちの健康を左右するカギとなっているのが毛細血管です。毛細血管は0.01mmと目に見えないほど細い血管ですが、全身の血管の99%を占めていて、面積にするとカラダの中で一番大きな臓器※2となります。しかし、毛細血管はその細さから、老化によってその働きが衰え、最終的には消滅してしまうことがわかってきています。毛細血管が消滅してしまうと、当然カラダの隅々まで酸素や栄養素が行き届かなくなり、老廃物も溜まったまま回収されなくなります。すると、シミやシワなどの肌トラブルから冷え性やカラダのコリ、痛みなどあらゆるカラダの不調を招いてしまうことになるのです。

まとめ

まとめ

「老化なんてまだ早い」「見た目は若いから大丈夫」なんて思っている方もいるかもしれません。しかし、毛細血管の老化はなんと20代から始まり、60~70代になると、約4割もの毛細血管が消えてしまうこともわかっています。不調を放置していると、高血圧や糖尿病、心疾患など、生活習慣病の引き金となる可能性もあります。「まだ大丈夫」と思わずに、今から生活改善をしていきましょう。毛細血管の老化を防ぐには、血液の量を増やすとともに、ドロドロ血液を改善し、血流をよくすることがポイントになります。次回では、あなたの血めぐりの状態を確認し、不調の原因をチェックしていきましょう。

※1 『循環器ナーシング2011/10 Vol.1 No.2』(医学出版刊)P185 図3内 参照
※2 国立循環器病研究センター研究所WEBサイト「血管生理学部」研究内容のページ内 参照

監修

写真:石原 新菜(いしはら にいな)さん

石原 新菜(いしはら にいな)

イシハラクリニック副院長。日本内科学会会員。日本東洋医学学会会員。漢方医学、自然療法、食事療法により、さまざまな病気の治療にあたる。クリニックでの診療の傍ら、テレビなどの出演や、執筆活動、講演なども行う。著書に『オトナ女子の不調がみるみる改善する本』(徳間書店)など多数。

2020年7月27日 健康

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