胃腸症状企画 第2回「脳と腸の相関関係って?腸内環境をコントロールしてストレスフリーに!」

監修:大竹 真一郎(おおたけしんいちろう)
ライター:UP LIFE編集部
2021年3月3日 健康

“脳と腸は関係が深い”
昨今、巷でよく取り上げられる話題でもあります。実際に脳と腸は関係し合っているのでしょうか?
そして、もしそうだとしたら、どのように関係し合って、それらは私たちの生活にどう活きているのでしょうか?
今回は、脳と腸の関わりについて、「おおたけ消化器内科クリニック」の院長 大竹 真一郎先生にお聞きしました。

ことわざで見る「脳と腸」

「腑に落ちない」の「腑」とは、はらわた、つまり、胃や腸のこと。感情と胃腸が関連していることが ことわざからもわかる。

「腸(はらわた)」が煮えくり返る
「腑(ふ)」に落ちない

古から使われている感情を表す慣用句の中には、消化器官をつかった表現が多くみられます。
腸という字は、「はらわた」と読みますし、腑という字は、胃や腸のあたりをさします。

では、なぜ、腸や腑といった、消化器を表す言葉が感情を表す表現として使われるのでしょうか?

脳と腸の密接な関係は、臓器全体にも影響を及ぼす

「おおたけ消化器内科」の大竹先生は、消化器と脳が相互に関係し合っていることを先人たちは知っていたと話します。

消化器官の腸が、心身を司る脳に指令を送ったり、感情そのものをコントロールする。
今までの常識から考えたら、想像ができないですよね。
しかし、最近の研究では、脳と腸が密接に関係し合い、幅広い臓器に多大な影響を与えているということが明らかになってきました。

脳と腸を取り巻く、驚くべき関係について次で詳しく見ていきましょう。

知られざる、脳と腸の「密な関係」

具体的に脳と腸はどう相関しあっているのでしょうか?

まず、人がストレスを感じると交感神経が高まり、腸の動きが悪くなります。
すると、おなかの痛みも感じやすくなる。
ここまでは、皆さんも経験的に想像がつくでしょう。

問題はそのあとのプロセスで、ストレスによる腸への最も大きな影響は、「腸内細菌の変化」といえます。

ストレスが高まると悪玉菌も増える

1970年代に宇宙飛行士に対して行った試験では、彼らが宇宙空間1ヶ月滞在しただけで腸内の悪玉菌の比率が増えたという報告があります。

また、腎臓病と腸内細菌の関係を調べた研究では、試験の間に被験者が阪神淡路大震災を経験したことでやはり、悪玉菌が増えるということがわかりました。

つまり、ストレスによって、腸内細菌のバランスが崩れてしまうのです。

大切なのは、善玉菌と悪玉菌のバランス

「そもそも、ベストな腸内環境とは、善玉菌だけでなく、悪玉菌も含めた腸内細菌の多様性が保たれている環境だといえます。

ストレスにより悪玉菌が増えることで、それらの菌がつくる有害物質が血液に乗って全身をめぐり、脳に到達する。

するとさらにストレスを感じやすくなる。
要するに、脳と腸の負のスパイラルが築かれてしまうのです」と大竹先生。

それでは、この「脳と腸の負のスパイラル」を打開するためには、何に注目すればよいのでしょうか?

腸脳関係の鍵を握る、「腸内細菌」

脳と腸の負のスパイラルには、腸内細菌の変化が大きく関わっていることがわかりました。
ですが、この「腸内細菌」とは、そもそもどのようなものなのでしょうか?

腸内細菌とは、腸内環境を管理する細菌のことです。

有名なのは善玉菌で、乳酸菌やビフィズス菌などが挙げられ、消化や吸収を手伝うだけでなく、免疫機能を調整したり、健康維持に欠かせない役目を担っています。

対する悪玉菌には、ブドウ球菌や大腸菌があり、ガスを発生させたり発ガン物質を産生するなど病気の原因となることも多いものです。

そのほか、腸内細菌には、日和見菌(ひよりみきん)があります。
日和見菌は読んで字のごとく健康なときはおとなく、体調の悪化で悪玉菌などが増えると活性化する菌です。
腸内で優勢な菌と同じ動きをする菌と考えてください。

腸内細菌の乱れは体調不良のきっかけに

最近では、この腸内細菌のバランスが崩れ、悪玉菌が優勢になる場合や、その結果、腸内細菌の多様性が失われることで体調不良やさまざまな疾患を引き起こすことがわかってきました。
腸内細菌と関連性がある疾患には、以下のものが挙げられます。

  • 過敏性腸症候群
  • 炎症性腸疾患
  • 自閉症
  • 関節リウマチや多発性硬化症の自己免疫性疾患
  • アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどのアレルギー性疾患
  • 大腸ガン、肝臓ガン
  • メタボリック症候群
  • 肥満
  • 動脈硬化症

など

消化器系疾患だけでなく、生活習慣病につながる幅広い疾患や、肥満など身近な症状にまで関連性があるのに驚かれるかと思います。

この腸内細菌を良い状態に導くために、彼らがつくりだす「短鎖脂肪酸」が、非常に重要だということが近年わかってきました。

腸内細菌を生かす!「短鎖脂肪酸」とは?

短鎖脂肪酸とは、腸内細菌がつくりだす酪酸や酢酸、プロピオン酸や乳酸を指します。

これらは、栄養や水分を吸収する大腸表面の上皮細胞のエネルギー源となるだけでなく、悪玉菌の増殖を抑えたり、ウィルスや病原菌などの侵入を防ぐなど腸管のバリア機能も担っています。

また、それだけでなく、大腸ガンのリスクを下げたり、抗うつ作用や食欲の抑制も。

食を見直し、短鎖脂肪酸をコントロール

大竹先生は、短鎖脂肪酸は腸内環境を通して全身の健康状態へ影響を与えると話します。

「短鎖脂肪酸の持つ有効性は、非常に大きいといえます。
短鎖脂肪酸を制し、さまざまなメリットにつなげるためには、まず、『食』から見直しましょう。

キーワードは、“食物繊維”です。

従来からいわれているような、単純な食物繊維崇拝ではなく、症状に合わせ、食物繊維の中でもより大きなメリットを生むものを上手に選択していくということが大切です」と、大竹先生。

次回は、そんな短鎖脂肪酸の働きをよくする「食」の話にフォーカスしていきます!

大竹 真一郎(おおたけしんいちろう)さん

監修:大竹 真一郎(おおたけしんいちろう)

おおたけ消化器内科クリニック院長。 神戸大学医学部卒業後、数々の病院で1万例以上の内視鏡検査を経験する。また、「日本の医療を良くしたい、患者に寄り添う医師でありたいという」想いから、数々のメディアに出演。著書には「3週間ですっきり腸美人に生まれ変わる30の方法」など。

2021年3月3日 健康

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