足の疲れやむくみが、翌朝スッキリ!コツは、太ももケアにあり

監修:伊藤 彰浩(いとう あきひろ)
ライター:UP LIFE編集部
2022年4月26日
健康

1日の終わりに感じる足のむくみ、疲れ、だるさ…。足のケアは元気な毎日を過ごすための急務といえます。
アメリカでは、座りっぱなしは“第二の喫煙”ともいわれているそう。
この記事では、足と全身の健康について、理学療法士の伊藤 彰浩先生にお聞きしました!

つらい足のむくみ、疲れの原因は血流にあった

写真:女性がふくらはぎを気にしているイメージ

「足のむくみや疲れ、だるさ、これらの問題の原因はすべて同じ。血流なんです」と答える伊藤先生。

1日の終わりに足全体が重い・だるいと感じることは、誰にもあるはず。よく聞く足のむくみの原因は、座りっぱなしや立ちっぱなしなど、長時間同じ姿勢でいることで足先の血流が滞るからというもの。
それでは足先まで巡った血液は、どうして勢いを失ってしまうのでしょうか?

伊藤先生は、心臓から一番遠く、重力の影響を受けやすい足は“血行不良の代表”と話します。

「心臓から送り出される血液は、動脈にのって全身の細胞に酸素や栄養素を届けます。動脈はしなやかで弾力性に富み、心臓の収縮力によって血液は勢いよく流れていく。一方、細胞を巡った血液は静脈にのって心臓に戻ります。心臓からの距離と重力の関係で、足はひときわ血流が滞りやすいのです」と伊藤先生。

とくに座りっぱなしや立ちっぱなしなど、足を動かさない状態が続くと、血流はどんどん低下し、足先に溜まっていきます。さらに、リンパ管の中の流れも悪くなるので、リンパ液も滞る…。
血液やリンパなどの体液の大渋滞が、足のむくみや疲れの原因なのです。

血流改善には、足を動かすことが大事

写真:女性がウォーキングしている足元のイメージ

それでは、足にたまった血液やリンパ液をスムーズに心臓に戻すにはどうしたらよいのでしょうか?伊藤先生に聞くと、まずは“歩く(ウォーキング)”が基本とのこと。

「足を動かさない状況が、体液の循環を悪くする大きな要因です。同じ姿勢を取り続けず、足を動かすことで手っ取り早く血流を改善することができるんです。お手洗いとデスクの行き来だけの歩数でも、動かないよりは良いです。歩くことは直接的に血流をよくすることにつながります」。

そのほかにも、今日からできる“むくみ解消ケア”を教えてもらいました。

生活に組み込みたい!むくみ解消ケア4選

まずはデスクワークをしたままできる、“ながらケア”2種をご紹介。

【その1:座ったままですぐできる!かかとの上げ下げ】

写真:座った状態でかかとを上げ下げするイラストのイメージ

座った状態でかかとを上げ下げする。

【その2:座ったまま、足指ジャンケン】

グー、チョキ、パー

足指をギュッと丸めるグー、親指を立てその他を寝かすチョキ、足指すべての間を開くパーを繰り返す。

その1は、仕事の合間に20回1セットを1日2回。トイレ休憩の前後に行うなど、うっかり忘れ防止のためにタイミングを決めて行うのがおすすめ。

その2もデスク下で、グー→チョキ→パーの流れで10回1セット、1日1回。こちらも、かかと上げ下げと同じタイミングに行うと忘れにくいかもしれません。

頻度やタイミングはあくまで参考。回数は繰り返すほど、血流はよくなっていきます。
人によっては、これらの“ながらケア”で、速攻、足のむくみが解消した!という方も。

次に、寝る前のルーティンにしたい、足のむくみ解消ケアを2つご紹介しましょう。

【その3:ふくらはぎストレッチ】

ストレッチをしているイラストのイメージ

壁の前に立ち、ストレッチをかける足を後ろに引き、両足のつま先はまっすぐ前へ。両手を壁について、後ろ足はひざを伸ばし、前足のひざをゆっくり曲げていく。このとき、後ろ足のつま先が外側に向いたり、背中が丸まらないよう注意する。

【その4:仰向け足首ひねり】

前後ストレッチ、外返し、内返し

仰向けに寝て、両足を70度ほどに上げ、足首を前後に動かす。次に足首を外側に開きその後、内返しする。内返しは、足裏が内側に向くよう意識する。

その3は、後ろ足(ストレッチをかける足)のかかとを床から離さず、上半身を前傾するように力をかけていくとふくらはぎがよく伸びます。片足30秒ずつ行うと、翌朝のスッキリ感がちがうはず。ストレッチは痛みのでない範囲で行いましょう。

その4は、足首前後の動きを10回、外返し×内返しを10回。外返し×内返しの動きは、ふくらはぎの血管を囲む後脛骨筋(こうけいこつきん)を動かすもの。動脈と静脈の血流に刺激を与えることができます。

伊藤先生いわく、寝る前のケアをすると、翌朝の足の軽さが大きく変わるそう!

最後の仕上げに!太ももケアを取り入れて

最後の仕上げは、体の中で最も大きな筋肉に働きかける“太ももケア”を忘れないで!

【仕上げ:太もも前面ストレッチ】

立膝をしてストレッチしているイラストのイメージ

ひざをつき、ストレッチする足を後ろに引き、両手を前足のひざにあてる。このとき、前足のひざは90度、後ろ足は床から垂直になるようにする。その状態から、後ろ足の太ももを前に押し出すイメージで、骨盤を前に移動させていく。後ろ足の付け根と太ももの前側が伸びていればOK。

太もも前面ストレッチは、下半身の中でも大きな筋肉に働きかけるもの。太ももの前側をぎゅーっと伸ばすことで、全身の代謝も上がっていきます。

「太ももを構成する大腿四頭筋(だいたいしとうきん)やハムストリングスは身体の中でも面積が大きく、メジャーな筋肉。これらの大きな筋肉がしっかりと動くことで、血液の巡りは良くなっていきます。大きな筋肉の血行が改善すれば、足のむくみや冷えの解消にも。
また、このストレッチは股関節(こかんせつ)にも働きかけるので、股関節周りのケアにもつながってきます。同じ姿勢で長時間過ごすと、太ももや股関節前面の筋肉が縮こまりやすくなるのですが、このストレッチを行うとそれらも解消していきます。シンプルですが、足のむくみや疲れはもちろん、腰回りも楽になりますよ!」と伊藤先生。

ぐったりデイでも、ケアをつづけるコツ!

写真:女性がソファでくつろいでるイメージ

疲れてしんどい、足はむくみでパンパン、ケアさえだるい…。そんな日にはどうしたらよいのでしょうか?

「セルフケアのツールでマッサージ機などを使うのもありです。1日中動かなかった筋肉を、少しでも動かすのが目標ですし、マッサージ機で筋肉を刺激することで血流の改善も期待できます。ふくらはぎはもちろん、太ももまでカバーできるマッサージツールだと、さらに良いですね!」。

自ら身体を動かすセルフケアは、足全体の疲れやすさの改善にもつながるそう。目標は自分で行うセルフケアですが、1つの手段としてマシンを取り入れるメリットもあるので、臨機応変にライフスタイルに反映していきましょう。

監修

写真:伊藤 彰浩(いとう あきひろ)さん

伊藤 彰浩(いとう あきひろ)

株式会社MEDI-TRAIN 代表取締役。理学療法士、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー。さいたま市のJIN整形外科スポーツクリニックでは子どもからアスリートまで幅広い世代の患者さんのリハビリテーションを、都内のパーソナルトレーニングスタジオではダイエット指導や産後のコンディショニングを経験。現在は首都圏を中心に、五輪強化指定選手のトレーニング指導、企業の健康経営サポート、産前産後ケアなどを行なっている。トレーナーや医療従事者向けのセミナー活動にも精力的に取り組み、朝日新聞や神奈川新聞などのメディア掲載も。

2022年4月26日 健康

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