朝、スッキリ目覚める!「眠る前にするべき」3つのこと

監修:伊藤 彰浩(いとう あきひろ)
ライター:UP LIFE編集部
2022年6月28日
健康

朝、起きるのがつらい、寝たはずなのにだるい…。その原因は、「睡眠」にあるかもしれません。
スッキリとした朝を迎えるための「入眠儀式」について、理学療法士の伊藤 彰浩先生にお聞きしました!

なぜ、朝の目覚めが悪い?睡眠メカニズムの話

写真:寝起きの女性のイメージ

「朝が弱くて、つい二度寝をしてしまう」
「しっかり寝ているのに目覚めが悪い、疲れがとれない」
「早く起きるのが苦痛」

目覚めに関する悩みは、男女問わず感じるものです。しかしなぜ、すっきり起きられない場合があるのでしょうか?

「朝の目覚めは“睡眠の質”に左右されます。睡眠は、身体と心のメンテナンスに不可欠で、翌日の活動にも影響を与えます。人は一生の1/3を睡眠に費やすともいわれていますから、まさに睡眠は毎日のパフォーマンスに直結するといえます」と伊藤先生。

睡眠の質は、ノンレム睡眠と自律神経で決まる

睡眠の質は、ずばり入眠直後に訪れる「ノンレム睡眠」の質ともいえます。
ノンレム睡眠の質が高いと、全身をリラックスさせる副交感神経が優位になり、呼吸はゆっくり、深くなっていきます。その間に脳は休息し、身体は1日のうちに壊れた細胞を修復していきます。

伊藤先生いわく、入眠直後のノンレム睡眠が十分にとれなかったり、質が悪いと日中に眠気を感じることが多いそう。逆に自律神経がしっかりスイッチし、入眠の少し前から副交感神経が優位に切り替わっていくと、寝つきが良くなるだけでなく、中途覚醒や早朝覚醒を防ぎます。睡眠というと眠れた時間ばかりを気にしがちですが、「どのくらい深く眠れたか」という睡眠の質に目を向けることが大切です。

眠る前に、副交感神経を優位にしておくことが大切なんですね。

それでは、ノンレム睡眠の質や副交感神経を優位に保つためには、どうすればよいのでしょうか?

「寝る前」の習慣で、朝が変わる!目覚めを良くする方法3選

写真:女性がベッドでくつろいでいるイメージ

朝をスッキリ迎えるためには、「寝る前」の習慣が大切。

「寝る前に簡単なマッサージや呼吸法を取り入れることで、自律神経を整え、より良い入眠につなげることができます。具体的には、ふくらはぎゆるめ体操、ふくらはぎマッサージ、そして腹式呼吸の3つ。これらを入浴後から眠りにつく前までに行うのがおすすめ」。

寝る前の入眠儀式にもなるその方法を、さっそく見ていきましょう!

【朝に強くなる!入眠儀式その1】「ふくらはぎゆるめ体操」で快眠ストレッチ

仰向けになって入眠儀式をしているイラスト
  1. 仰向けに横になる
  2. 息を吸いながら、両足のつま先を膝のほうに引き上げる
  3. ふくらはぎが突っ張りを感じたら、息を吐きながらつま先を戻す

これを10回ほど繰り返す。2は、3秒ほどかけて行うのがおすすめです。

ふくらはぎの筋肉を緩めて身体をリラックスモードにするために、あえて筋肉を緊張させてから、緩めていくのがポイントです。力を入れたときと、力を抜いたときの感覚の違いを意識しながら行いましょう。

【朝に強くなる!入眠儀式その2】「ふくらはぎマッサージ」で副交感神経を高める

座って片足を立ててふくらはぎマッサージをしているイラスト
  1. マッサージする方の足を立てて座る
  2. 両手の親指を重ね、親指部分でふくらはぎを包み、ふくらはぎの真ん中を下から上に向かってマッサージしていく
  3. 次にふくらはぎの外側を同様に、最後に内側も下から上に向かって揉みほぐす

ふくらはぎマッサージは、呼吸を止めずに片足2~3分ずつ。両手の親指で円を描くように回しながら、強い刺激ではなく、優しくマッサージしていきましょう。下から上に向かってマッサージすることで、血流を良くすることができます。足の冷えや、冷え性の方にも効果的です。

【朝に強くなる!入眠儀式その3】「腹式呼吸」で交感神経と副交感神経の切り替えをスムーズに!

仰向けになり両膝を立てて腹式呼吸をしているイラスト
  1. 仰向けに横になり、両膝を立てる。手はおなかの上におく
  2. 目を閉じ、鼻から息を吸いながら、4秒かけておなかをふくらませ、2秒息を止める
  3. 今度は口から、ゆっくりと8秒かけて息を吐き切る
    呼吸は吐くほうに時間をかけるのがポイント。1~3までを10回繰り返します。

「ゆっくりとしたマッサージや呼吸は、身体を副交感神経モードに誘います。そのまま良い形で入眠できるよう、部屋の照明は最小限に、リラックスできる音楽やアロマを焚くなどするのもおすすめ」と伊藤先生。

深掘り!ふくらはぎケアと呼吸が睡眠の質をあげる理由

睡眠の質を上げるには、自律神経へのアプローチと血流改善が不可欠だそう。

「自律神経は身体が無意識に調整しているものですが、呼吸は意識的にコントロールができるもの。副交感神経を優位にするためには、自律神経が集まる横隔膜を刺激するのが大事。“呼吸”を整えることで副交感神経のスイッチを入れることができます。

また、血流改善は、全身の7割におよぶ血液が集まる下半身のケアが重要。ふくらはぎを刺激し下半身に溜まった血液を押し戻すことで血流が改善していきます。血流改善で副交感神経優位になるだけでなく、全身の細胞に血液が行き渡ることで各筋肉に必要な酸素が届き、疲労が和らいでいくのです」。

また、入眠のタイミングは、身体の中の深部体温が下がりはじめた頃に訪れます。この入眠直後に現れるノンレム睡眠の質をいかに上げていくかがポイントです。ノンレム睡眠を良い状態で迎えるために、入眠の遅くとも1時間前までには入浴で深部体温を上げ、徐々に体温が下がる過程で一連のケアを行うと、質の高いノンレム睡眠を迎えることができるはずです。

“入眠儀式”を良い習慣にして、生活のルーティンに!

写真:女性が気持ちよさそうに伸びをしているイメージ

伊藤先生は、入浴からケアまでを入眠儀式として生活の中でルーティン化していくことが大切だと話します。

「入眠儀式は、毎日行うことで睡眠の質を高めます。忘れないように、入眠儀式を生活に組み込んでしまうのが良いと思います。
またケアの内容も楽ちんなものなので、今夜からでも取り入れてほしい。

でも、無理は禁物!入眠儀式を義務だと感じると、ストレスになることも。
寝る前の睡眠ルーティンは人それぞれなので、3つのケアを参考に自分でできることから取り組むのがおすすめです!」。

監修

写真:伊藤 彰浩(いとう あきひろ)さん

伊藤 彰浩(いとう あきひろ)

株式会社MEDI-TRAIN 代表取締役。理学療法士、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー。さいたま市のJIN整形外科スポーツクリニックでは子どもからアスリートまで幅広い世代の患者さんのリハビリテーションを、都内のパーソナルトレーニングスタジオではダイエット指導や産後のコンディショニングを経験。現在は首都圏を中心に、五輪強化指定選手のトレーニング指導、企業の健康経営サポート、産前産後ケアなどを行なっている。トレーナーや医療従事者向けのセミナー活動にも精力的に取り組み、朝日新聞や神奈川新聞などのメディア掲載も。

2022年6月28日 健康

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