肩が痛い!突然はじまるツライ五十肩。整形外科医が教える、痛みをラクにする治し方

監修:正田 修己(しょうだ なおき)
ライター:UP LIFE編集部
2023年1月27日 健康

突然、肩に痛みが走り、腕を自由に動かすことができなくなる「五十肩」。肩こりとは別物で、対処法も異なるといいます。
今回は、生活の質をガクッと落とす五十肩について、JCHO東京新宿メディカルセンターの正田修己先生にお聞きしました!

江戸時代から知られていた!?五十肩の痛み

写真:肩を痛めた女性

五十肩の歴史は古く、その由来は江戸時代の漢学者・太田全斎が著した俚言集覧(りげんしゅうらん)に遡ります。

「俚言集覧のなかに、50歳ぐらいから肩や腕に痛みが出る症状について、“五十腕とも五十肩ともいふ”との記載があります。“五十肩”は正式な病名ではありませんが、俗語や学術用語としても長く用いられてきた経緯があり、西洋医学が広まった現代でも使われています。五十肩のことを、わが国では“肩関節周囲炎”と呼ぶこともありますが、もともとこの用語は19世紀にフランス人医師・Duplayが肩関節脱臼後の痛みと可動域制限に対する病名として名付けたもの。現在では、正式名称として“凍結肩”に統一されています」と正田先生。

古くから人々が悩む五十肩ですが、肩こりとは異なり突然起こり、症状が強いのが特徴。

「腕や肩に明らかな怪我がないにも関わらず、肩が痛み、可動域が狭まったらそれは五十肩かもしれません。原因のはっきりしない肩の痛みが急に起こったら要注意です」

※俚言集覧:江戸時代中期に成立した当時の国語辞典。音韻の研究でも知られる太田全斎により手がけられた

五十肩の原因と症状は?五十肩はなぜ起こる?

五十肩の症状を以下に整理しました。

  • 明らかな怪我がなくはじまる突然の痛み
  • 夜間、特に寝返りなどでも痛みが生じる
  • 肩の可動域が狭くなる

「夜も痛みが生じたり、痛みによって目が覚めてしまうなど、五十肩の症状は厄介です。多くの場合は片方の腕からはじまりますが、なかには両腕が五十肩になってしまうという人もいます」と正田先生。

しかし、五十肩の症状を訴える人は多いものの、その原因ははっきりとはわかっていないそう。

「詳しい原因は不明ですが、加齢などによって関節を構成するコラーゲンが変化して弱くなったところに、日常生活による物理的なストレスが加わって微小な断裂が起こり、その後、異常な血管新生と関節の拘縮(こうしゅく)が生じて発症すると考えられています。コラーゲンの質が変性する糖尿病や、甲状腺疾患のある人に五十肩の症状を訴える患者さんが多いこともわかっています」

きっかけとして、腕を外側にねじる動作を行うなど、何らかの動きが加わった際に起こることも多く、髪を結んだり、自分の後ろにあるものをとろうとして腕を伸ばすなどのささいな動作がトリガーになってしまうこともあります。

もしかして、自分も五十肩?と思ったら、次の項目にあるリストでセルフチェックしてみましょう!

五十肩かも?と思ったら、リストでセルフチェック

写真:肩の痛みを我慢しながら寝る女性

以下のセルフチェックリストで、当てはまる項目が多いほど、五十肩の可能性が高いかもしれません。
さっそく見てみましょう!

あなたは五十肩?!セルフチェックシート

  • 年齢は40〜50代
  • 痛む部分やその周囲に、明らかな怪我や傷がない
  • 急に症状がはじまった
  • 夜間に痛みが生じたり、痛みが強くなる
  • 痛みのために、肩の動きがあらゆる方向で制限される
  • 痛みがある腕と、反対の腕を比べても筋肉の萎縮などがない
  • 痛みがある腕を持ち上げようとすると、イカリ肩になる

実際に五十肩の場合は、どのようにケアしていけばよいのでしょうか?

最初が肝心!きちんとケアすれば治る五十肩

写真:テーブルを拭く様子

五十肩のケアは、最初が肝心だといいます。特に痛みがはじまった直後は、無理に動かすとますます症状が悪化して治りにくくなるそう。

「痛みと可動域制限を特徴とする時期を炎症期といい、発症から2〜9ヶ月に相当します。この時期は最も注意が必要です。無理に動かさず、徹底して肩を休めるようしましょう。痛みが出ない範囲で上半身を動かすのは問題ありません。
セルフケアは、痛みに気をつけながら胸を張ったり、肩甲骨を使って腕を動かすぐらいにとどめましょう。また、クリニックにかかり、温熱療法をはじめとした治療を行うのも効果的。治療を行わないと、炎症期後も痛みや腕の可動域制限などの厄介な症状が尾を引くこともあります」と正田先生。

ゆっくりと大きく動かそう!五十肩を改善するコッドマン体操とテーブル拭きストレッチ

炎症期をすぎると、可動域の制限が残っていても痛みが徐々に落ち着いてくる拘縮期(こうしゅくき)が訪れます。発症から約4〜12ヶ月にあたるこの時期には、痛みが悪化しない範囲で積極的に腕や肩を動かしていきましょう。セルフケアとして、腕を下ろした状態で可動域を広げる動作がおすすめです。Codman体操といわれる振り子運動や、テーブル拭きストレッチがよいそう。

A. コッドマン体操

イラスト
  1. 肩幅ぐらいに足を開いて立つ。肩の力は抜く
  2. 痛む腕を身体の前に垂らしながら、ゆっくりおじぎをする
  3. そのまま身体を前後に揺らして、腕を振り子のように揺らす

B. テーブル拭きストレッチ

イラスト
  1. 肩の力を抜き、テーブルに座る
  2. テーブル拭きをするように両腕を伸ばして、身体の前に倒していく
  3. 痛みが出たところで10秒止め、また元に戻す

「コッドマン体操は、やや前かがみになって、腕の力を抜いた状態で体幹を動かすことによって、腕を振り子のように前後左右、そして円を描くように動かす方法です。テーブル拭きは、テーブルの上に雑巾をおき、ゆっくりと拭くような動作を繰り返すだけ。この時期はまだ、腕をあげるのがしんどい場合もあるので、手をあげずに行っても大丈夫です。また、逆の腕で五十肩のひじを支え、動きをサポートするのもよいでしょう」

その後の回復期(発症から約5ヶ月〜2年に相当)は、自然に痛みと可動域の問題が改善する時期。動きの改善に合わせて、生活で使う頻度や範囲を増やしていきましょう。以前はおおよそ2年以内に完治するといわれましたが、最近の研究では未治療例では罹患期間が長くなり、約50%の人に何らかの後遺症が残るとされています」

「五十肩は激烈な痛みをともなう場合が多いので、落ち込んでしまう患者さんも多いはず。しかし、どんなにつらくてもしっかりケアすれば治るものなので、気長に取り組むことを忘れないでほしいですね。
また、五十肩と似た症状に腱板断裂(けんばんだんれつ)という疾患があり、五十肩との鑑別も必要です。痛みのコントロールは整形外科医が得意とするところですので、まずは受診してみましょう。
五十肩は、日常のささいな動作から痛みがはじまることも多いもの。わずかな動作でも腕だけ動かさず、身体も同じ方向に向けて行うなど、身体のことを意識したていねいな暮らしが予防につながるでしょう」。

写真:正田 修己(しょうだ なおき)さん

監修:正田 修己(しょうだ なおき)

整形外科専門医。JCHO東京新宿メディカルセンター骨粗鬆症センター長/リハビリテーション科部長。大学卒業後、東京大学医学部付属病院、ワシントン大学、国立国際医療研究センター病院などで研鑽を積み、2019年にJCHO東京新宿メディカルセンターに入職。脊椎脊髄外科部長を経て2021年から現職。

2023年1月27日 健康

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