高級ホテルでぐっすり眠れるひみつ、「ターンダウン」とは?

監修:ヨシダ ヨウコ
ライター:UP LIFE編集部
2023年2月21日
健康

旅行や出張で泊まるホテル。そのサービスは千差万別です。ホテルを選ぶ目的のひとつが、「夜時間」を部屋で満喫できることだったりしませんか?本を読んだり、ゆっくりお風呂につかったり。ホテルの心地よい夜時間を影で支えてくれるサービスとはいったいどんなものでしょう。そしてそのサービスには、心と身体が解放されるひみつが隠されているのです。

実は日本人も慣れていたターンダウンタイム

「わー、お布団が敷いてある!」。修学旅行や温泉地で旅館に泊まり、襖を開けた瞬間に思わず声が出た経験は一度ならずとも何度か皆さんが経験しているのではないでしょうか。夕食後、もしくはのんびり温泉につかった後に部屋に戻ると、今までのくつろぎの場としていた和室の空間が一気に夜モードに変身!!すっかり眠るモードに切り替わり、こちらの気分まで一気に変化させてくれます。

写真:ホテルの部屋に布団が敷かれているイメージ

この夜モードへのしつらえの変化は日本の旅館だけでなく、名だたる高級ホテルでも行われていることにお気づきでしたでしょうか。その切り替えをホテルでは「ターンダウンサービス」と呼んでいます。

宿泊者が夕食やバーでのひととき、更には夜の散策といった時間を過ごす間に客室を夜モードへ転換=ターンダウンするサービスが行われます。チェックインの時にターンダウンサービスが必要か否かを問われる場合もある様ですから、スケジュールに合わせてお願いしてみるのもひとつですよね。

ターンダウンを毎日の生活にとりいれる方法

ホテルでの宿泊の目的のひとつに日常を離れてリラックスということもあるでしょう。
いつも時間に追われるような生活の中で、ホテルの空間は現実からも隔離されますし、「夜」の時間をより明確にすることでココロもカラダも余計な事から解き放たれ、しばし何もしない贅沢な時間を享受できるはずです。それには夜モードへの切り替えとして、おやすみ前の演出であるターンダウンは不可欠かもしれません。

では、ターンダウンサービスとは具体的にはどのようなことをしてくれるのでしょうか。

写真:ベッドの上に置かれたチョコレートのイメージ

ホテルのベッドには、よくベッドの足元あたりに布がかかっています。この布、ベッドスローとかベッドスプレッドと呼ばれています。部屋で靴を脱がない習慣の国では、昼間に靴のままベッドに横になる事もあります。それではさすがにベッドが汚れてしまいますから、それを防ぐためのものなのですが、逆に夜寝る時はお風呂に入り、ルームシューズやスリッパを履くためにこの布は必要がなくなるので、そのあたりを整えてくれることが多いようです。

ベッドスローを片付け、シーツの角を丁寧に折り、すぐにでも入眠できるような夜のしつらえを施す他にも部屋の照明を暗くしたり、リラックス効果のあるアロマが焚かれるといった気持ちが安らぐ演出なども。こういったONからOFFへの意識的な切り替えを、実はおうちでも取り入れてみると、身体だけではなくココロまで解放されるから不思議です。その方法はたとえば…、

  • カーテンを閉め、照明を落とす。安全が確保できるならロウソクのゆらぎも効果的。
  • 温かい飲みものをゆっくり飲んでみる
  • アロマやお香など、自分のお気に入りの香りを焚いてみる
  • 自分にぴったりの枕を探す
  • ヨガやストレッチ、マッサージなどで、凝り固まった身体をほぐしてみる
  • 寝具のまわりはなるべく片付けてシンプルな空間にする

などがあります。
もちろんこれらは一例のため、ご自身ができる範囲で構いません。たとえばパジャマに着替えるというだけでも、立派なターンダウンだと言えます。

ターンダウンタイムをおうちに取り入れるメリットとは

ここまでホテルでのターンダウンサービスと合わせて、夜モードへの切り替え方についてお話ししてきましたが、この切り替えを日々の暮らしのなかで意識してみると、睡眠の質が変わるかもしれません。

写真:アロマを炊いた部屋で女性がリラックスしているイメージ

現代人はあれもこれも同時に行うマルチタスク型で生活しているため、いつまでも交感神経が優位のままとなり、本当のリラックスが得られていない方が多いようです。そのためにも一日の終わりに「今日一日頑張ってくれてありがとう、わたし」の気持ちを込めて、自分を癒す、何かひとつのことに集中する。または瞑想で何も考えない時間をあえてつくる。そういったココロとカラダを整える時間を用意する。つまり自分で自分をもてなす時間が本当に大切なのです。

ONの緊張の時間からOFFの自分を大切にする時間への切り替えスイッチともいえるかもしれません。1日の締めくくりの「おうちターンダウン」は、質の良い睡眠が得られることはもちろん、ココロの充足感が増して、幸せを感じられる事に繋がるでしょう。

このような入眠までの一連の夜時間の過ごし方は“ナイトルーティン”と呼ばれ、睡眠の質をさらに上げるための“入眠儀式”などとして特にコロナ禍以降、注目が高まっています。このON→OFFへの切り替えを取り入れ、ストレスがたまりがちな現代社会を楽しく乗り切っていきましょう。今宵も良い眠りを。

監修

写真:ヨシダ ヨウコさん

ヨシダ ヨウコ

日本睡眠学会、睡眠改善インストラクター。寝具店の娘として生まれる。20代前半に極端な睡眠不足から前髪だけが真っ白になる。質の良い睡眠を広めるためにマインドフルネス、発酵食、漢方、アロマ、リラクゼーションヘッドスパなど交え「入眠体操」をしながら健康経営、安全運転支援の一環としての睡眠改善研修に注力。
著書:「眠りのチカラ」(みらいパブリッシング)

2023年2月21日 健康

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