眠れない悩みを解決!マインドフルネスで睡眠の質を上げる
監修:ヨシダ ヨウコ
ライター:UP LIFE編集部
2023年3月24日
健康
いつもは忙しくて「どこでも眠れる」が自慢な人でも、時になぜか不安や心配事、それに言葉では言い表せないような「ココロの重たさ」で眠れないことはないでしょうか。
そんな時の対処方法を知っていると、自分癒しが得意になりますよ。
人は不安や心配があるとカラダが○○になる
美術の教科書に載っていたオーギュスト・ロダンの「考える人」の姿を思い出せますか?男性が腰掛けた状態で右手のこぶしに顎を乗せ、左手は左膝にチカラなくダランと置かれています。視線は数メートル先の地を見ているようですが、その視線は定まる訳でもなく、ただぼんやりしているような感じです。
この人はいったい何を考えているのでしょう?そんな事が長年、論議にもなっており「何も考えていない」と唱える人も数多くいるようです。あなたはこの考える人が何を思っていると思いますか?
人は何故か、何かを悩んだり考えたりする時に地面の方を向きがちです。天を仰ぎ、「あー、困った!どうすればいいんだ!」と嘆き悲しむ時でも、両手を広げ天を見上げ、大抵そのまま頭を抱え下を向いてしまいます。
似たような状態になる時間帯が私たちの生活でもあります。それが「眠る寸前」「寝床に入った」時です。
活動モードの時は立ったり座ったりしていて、頭の位置は常にカラダの一番高いところにありますが、眠る時はカラダを横たえ、頭の位置が低くなります。そうなるとなぜか気持ちがネガティブモードに偏りがちになります。
寝ようとして目をつぶると、今日あった嫌な事、人から言われた気分の悪い一言、苦手な人の顔など、とにかくあまり思い出したくないようなことが次から次へと頭の中に浮かびます。時には将来の不安や、過去の出来事など、今まさに寝ようとしているこの時に思い出してもどうすることもできないようなことが浮かんできたりします。このような思考の連鎖を早く止めて、心地よい眠りに切り替えられるのは、そう、自分しかいません。ココロもカラダも早くお休みモードにするためには、夜の過ごし方にターンダウンをとり入れながら、仕上げとしてマインドフルネスが役立ちます。
マインドフルネスの基本は「今を生きる」
マインドフルネスのベースは幸せに生きるために「ただ、今目の前にあることに集中する」ことです。目の前のことに集中できることによって脳の疲労が減り、幸福感が高まることがわかってきました。しかしながら私たちの日々の生活では全く真逆のような生活と言ってもいいような状態が続きます。
例えば夕食の最中。目の前のことに集中している状態であれば「あー、この味付け、塩気がちょうどいい。赤身のせいか歯ごたえもしっかりあって、食欲をそそるとてもいい匂い。」そう思いながら、ひとくちひとくちを嚙みしめ意識することで素材を味わい、歯ごたえも感じることで、食事だけを楽しむ時間になります。ですが、ほとんどはテレビがついていたり、スマホを片手に食事をしているため、つい「ながら」になりがちです。それだけでなく、「明日のお弁当どうしよう」「お風呂洗ってあったかな?」「週末の予約確認しておかないと」など口はモグモグしていても頭の中は他のことで大忙しなのです。
いつでもどんな時でも「今だけに集中する」のは難しいのはわかります。ですが脳の疲労を少しでも軽減するためには、日々の生活の中で気が付いた時に少しでも行い、食事時であれば最初の一口目だけでも作った人に感謝して(自分で作った時は自分に、そして生産者さんに)、その食べ物の細かな部分を味わいつくして集中していただきたいのです。
一例として食事を上げましたが、それが習慣化することで、生活の中に自然とマインドフルネスが取り入れられていきます。
いつでもどこでも、誰にでもできる眠りの質を上げる方法とは?
マインドフルネスの効果をもっと上げ、眠りの質を上げたい人は、朝と夜に「呼吸瞑想」の時間を設けてみてはいかがでしょうか。
時間は最初は短くても結構です。3分でも5分でもOK!それが続いて気持ちが良いと感じられたら、時間をどんどん延ばしてみてください。
マインドフルネスの効果を上げる呼吸法!「呼吸瞑想」のやり方
呼吸瞑想は字の通り、呼吸を意識します。普段の生活でも誰もが呼吸をしていますが、呼吸自体に意識を向けることはほとんどありません。ラジオ体操の最後の深呼吸の時くらいではないでしょうか。眠る前に押し寄せてくる不安や心配ごとに押しつぶされそうな時は、ゆっくり吐く息、吸う息を意識していきます。頭の中にいろいろ浮かびますが、浮かんだ雑念は否定せず、ゆっくり頭の外へと押し出していきます。すぐにまた別の考えが頭に浮かんでも同じように否定するのではなく、これも同様に「あー、また考えたね。意識は呼吸に戻そう」とゆっくり呼吸にだけに意識をむけていきます。「なんでまた考えちゃうの!私はできない!」と思わず、考えが浮かんだら呼吸に意識、それを繰り返していきましょう。
眠る前に時間が取れるようなら、安定したベッドの上に座り(もちろん椅子でも構いません)、部屋の灯りは薄暗い感じに落として始めてください。
- 目を閉じる
- 姿勢を整える(頭を一本の線で引っ張られるような感じ)
- 手は膝か腿の上に置く
- 鼻から息を吸い、鼻から吐く(その時に鼻を通る息を意識する)
どうしても無音で余計に雑念が湧くというのであれば、瞑想に向く動画共有サービスのガイドや音楽(鐘、クリスタルボウルなど)もありますから、自分にあったものを選ぶのもひとつです。慣れてくると時間も長くなり、自分の変化も感じられるはずです。
「ターンダウン」や「笑って寝」もオススメ
この瞑想時間に入る前にも自分なりの「ターンダウン」を用意しておくとさらに効果的でしょう。活動モードからぐっすり眠る夜モードへの転換がターンダウンとなりますが、部屋の蛍光灯をオレンジ色の間接照明に切り替え、アロマやお香など自分が落ちつく香りを部屋に置くなどして、心地よさを演出してから、このような呼吸瞑想を始めることで自分を大切にしている実感が得られるはずです。
その他にも、眠る寸前にネガティブモードへ偏らないためにもオリジナルで「笑って寝」をお勧めしています。アメリカの心理学者ウィリアム・ジェームズ博士の「楽しいから笑うのではない、笑うから楽しいのだ」という言葉があります。
笑いは本心でなくても構いません。口角をグッと上げて、笑いながら眠ることで、脳は笑っていると勘違いします。幸せになるホルモンも分泌されますし、なにより笑い顔で不安なことを考えるのは困難です。自分でも何故か楽しくなってきますから、そのまま眠りに落ちれば、今日の締めは万全と言えるでしょう。
では、今宵も良い眠りを。
監修
ヨシダ ヨウコ
日本睡眠学会、睡眠改善インストラクター。寝具店の娘として生まれる。20代前半に極端な睡眠不足から前髪だけが真っ白になる。質の良い睡眠を広めるためにマインドフルネス、発酵食、漢方、アロマ、リラクゼーションヘッドスパなど交え「入眠体操」をしながら健康経営、安全運転支援の一環としての睡眠改善研修に注力。
著書:「眠りのチカラ」(みらいパブリッシング)
2023年3月24日 健康
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