“家事シェア”をしても、家事の負担が減らない家庭が増えている!?本当に気持ちがラクになる家事との付き合い方とは

家事シェアの現状と今後の新しい家事スタイルについての監修・ライター:ヨムーノ編集部
2019年12月25日
家事・くらし

仕事に家事に、子育てに。毎日忙しい共働き世帯のあいだで、近年、夫婦で家事を分担する「家事シェア」が浸透してきました。家事の負担が減り、家族と自分の時間にもっとゆとりが生まれるはずの「家事シェア」。でも実際は、家事はやってもやっても減らないという声が。そこで、本当に家事をラクにするポイントを探るべく座談会を実施。本音から見えてきた、新しい家事スタイルとは―。

座談会メンバー紹介

※本記事は、パナソニックからヨムーノ編集部に家事シェアに興味のある女性3名(Mさん、Nさん、Oさん)に座談会を依頼し、コメントの一部を編集して掲載しております。

左からMさん、Nさん、Oさん

左からMさん、Nさん、Oさん

Mさん(30代/共働き/2児のママ):週3パートで働く主婦。実はズボラで家事が大の苦手。家事分担は特になし。気がむいた時だけ家事を手伝う夫への不満も。
Nさん(30代/共働き/夫婦2人家族):整理収納アドバイザー・クリンネストの資格を活かし、フリーランスで働く。完璧主義で、家事を細かく夫婦で分担。
Oさん(40代/共働き/3児のママ):3人目の子どもが生まれてから、初めて夫が家事を手伝うように。家事が得意ではない夫を、子どもと一緒に“育成中”。

「家事シェア」うまくいってる?実はトラブルも生まれている!

近年、共働き世帯が増える中、夫婦で「家事シェア」をすることが浸透してきました。夫婦で家事を協力してこなすことで、円満な家庭を築くひとつのトレンドとして注目されていますが、みなさんは、「家事シェア」によって家事負担が減っていると実感していますか?
パナソニックの調査(※)では、共働き夫婦のうち「66.2%」が、家事にまつわるトラブルを経験。実は、「家事シェア」が増えている一方で、仕事に家事に子育てに忙しい共働き夫婦のあいだで、トラブルも生まれているのです。

Q.あなたご自身とパートナーが、日々の生活でお互い疲れていてトラブルになったことはありますか?,66.2%,(共働き夫婦、子あり・なし)

※【30・40代夫婦のライフスタイル調査】
●対象者:関東(1都6県)・関西(2府4県)・愛知県・福岡県・北海道・宮城県・広島県に在住の30〜49歳既婚男女 計2,742人
●調査期間:2017年4月21日~25日
●調査手法:インターネット調査

家事のトラブル“あるある”を聞いてみた!

そこでまず、家事スタイルの異なる3人に、「家事シェアでイラッとしたこと」について聞いてみました。みなさん、どんなところでストレスを感じるのでしょうか。

座談会の風景

Nさん:共働き夫婦って、仕事で疲れているのは“お互い様”じゃないですか。でも、朝から晩まで、働いている時間は同じなのに、家事比率は私が9割。どうして私の「家事負担」だけ多いの?という不満が爆発し、よく喧嘩になります。

座談会の風景

Oさん:うちの夫は忙しくて、子どもが2人の頃、全く家事をしませんでした。私が3人目を出産時に入院した際、それまで味噌汁も作れなかった夫が初めて台所に立ったくらいです。うちも家事比率は、私がほぼ9割。たまに自分の部屋だけ掃除機をかけますが、それで満足して「ドヤ顔」です。そのままリビングにも掃除機をかけてくれてもいいのに(笑)。

座談会の風景

Mさん:あー、わかります。うちは、気が向くときだけ手伝う夫なので、それで家事の何をしたことになるんだ!と、イライラすることは多いです。1回手伝っただけで“褒めて欲しいオーラ”を出してきます。絶対褒めませんけど(笑)。

(一同:笑)

「家事シェア」はなぜうまくいかないのか。3大ハードルに迫る!

家事に関して、夫への不満を募らせる3人……。でも、実は夫だけではなく自分自身の家事に対する考え方が、ストレスの原因となっていることもあるようです。パナソニックの調査(※)では、妻側が「自分の家事に自信がない」「家事に終わりが見えない」といった気持ちを抱えていることも分かったのです。

Q.「家事」に対するあなたご自身の考え方や行動にどの程度あてはまりますか?,(共働き夫婦、子あり・なし),共働き妻の方が、「家事への自信」がなく、共働き妻の半数以上は、家事はやってもやっても足りない気がしている。
Q.あなたご自身が感じる、家事に関する悩みはありますか?,(共働き夫婦、子あり・なし),家事への悩みは、共働き妻の方が圧倒的に数字が高く、そして深い。

※【30・40代夫婦のライフスタイル調査】
●対象者:関東(1都6県)・関西(2府4県)・愛知県・福岡県・宮城県・広島県に在住の30~49歳既婚男女 計3,022人
●調査期間:2018年9月21日(金)~26日(水)
●調査手法:インターネット調査

アンケート調査の結果から、ラクになるはずの家事シェアでストレスが減らない理由、「家事シェアの3大ハードル」が浮き彫りに。

ここがストレス!「家事シェア」の3大ハードル

① 自分が「やらなきゃ」「きちんとしなきゃ」という使命感や固定観念
 …「家事は自分がやらないといけないと思ってしまう」(28.1%)
 …「やらないといけない家事が多すぎる」(20.8%)
② 自分の家事に対する「苦手意識」
 …「上手に家事ができているかどうか自信がない」(36.3%)
 …「家事をやろうという気分になれない(気分が乗らない)」(47.9%)
③ 家事分担意識・家事スキルの「夫とのギャップ」
 …「配偶者(パートナー)の家事のクオリティが自分のものと同じではない」(26.4%)
 …一方で、共働き夫側は、「特に家事に対する悩みはない」(25.4%)

この調査結果を見て、どう感じるか、3人にも話を聞いてみました。

座談会の風景

Q:「自分がしなきゃ」という使命感って、やっぱり感じるもの?

Nさん:いつもキレイな部屋をキープしているので、その環境に慣れた夫は、もはや部屋はキレイで当たり前!1日でも掃除しないと、「あれ、今日汚れてない?」と言ってきます。だから「キレイにしておかなきゃ」という強迫観念もあります。

座談会の風景

Mさん:私は「きちんとしなきゃ」と思えば思うほど、気持ちが疲れてしまって。やらなきゃと思うのに、気が向いたときだけ手伝う夫にも不満がたまり、ストレスもたまっていたと気づきました。最近は、「私も忙しいのよ!」って、夫に“無言の圧力”をかけて、手伝って欲しいそぶりを見せていますが、夫はなかなか気づきません(笑)。

Q:「気が乗らない」家事って、ありますか?

Mさん:もともと家事が苦手で、世間でいう「ながら掃除」や「ついで掃除」でさえ気が乗りません。それ、全部やったら結局大変ですよね?それで、放っておいてしまうことで汚れがたまるのも嫌。結果、汚れがこびりつく……。すると、見たくないので汚れにそっとフタをしたくなる、という“負の無限ループ”に陥ります。

座談会の風景

Nさん:すごくわかります!

 

Q:夫と家事への意識の違いを感じることって、ありますか?

Oさん:夫は、ものを隠すことが掃除だと思っていたり、見えるところだけきれいにして細部は汚いままだったり。土日はほぼ料理をしてくれるのですが、散らかすだけで、料理後は必ず壁まで汚れている。その後片付けは私です。感謝はしているけれど、やれやれですね(笑)。

座談会の風景

Mさん:えー、ご飯を作ってくれるだけでも羨ましい!
Oさん:食べた後の食器も洗ってくれるけど、せっかく乾いた食器の上に、洗った食器を重ねるとか、みなさん気になりません?

座談会の風景

Nさん、Mさん:あー、それはめっちゃ気になる!

Oさん:料理をしてくれても、あとで掃除が増えるくらいなら“やらなくていいのに!”と心の中で思っちゃいます。

家事が“本当にラクになる”にはどうすれば?徹底討論!

データと本音を通して分かったのは、夫の家事参加は増えつつあるものの、まだまだ妻の家事負担が大きかったり、夫婦間で家事分担意識やスキルの違いがあったりと、家事ストレスが解消されない現状。この忙しい時代に、本当に家事がラクになり、ゆとりのある暮らしをするには、どうしたらいいのでしょう?実は、10年前と比較した、こんなデータがあります。

Q.10年前と比較して、家事を家電に任せる・代行してもらう=シェアすることに、考えや感じ方に変化はありますか?,10年前よりも抵抗がなくなった:49.5%,10年前と同じ:48.7%,10年前よりも抵抗を感じる:1.8%
10年前と比べると、共働き夫や両親に頼むのは気がひけるが、家電に任せるのは抵抗が少なくなっている。

※【30・40代夫婦のライフスタイル調査】
●対象者:関東(1都6県)・関西(2府4県)・愛知県・福岡県・宮城県・広島県に在住の30~49歳既婚男女 計3,022人
●調査期間:2018年9月21日(金)~26日(水)
●調査手法:インターネット調査

家事を自分1人で抱えるのではなく、「家電」や「人」に頼るのもアリ!と、任せることへの抵抗が減ってきていると言えます。
そこで、家事とストレスなく付き合うためのコツを3人に聞いてみたところ、3つのヒントが見えてきました。

ヒント1:「苦手」や「ムダ」。ストレスになる家事は“やめていい”!?

たたまれたタオルのイメージ図

Mさん:掃除や洗濯が苦手すぎて、考えるだけでストレスでした。最近、友人から「タオルをたたむのをやめた」と聞いて、そんな手があるのか!と(笑)。たしかに、引き出し内に入れれば、どうせ拭くだけだし。その話を聞いて、気持ちがラクになったんです。それから、今は掃除を“最低限だけ”にしました。

座談会の風景

Nさん:「タオルをたたむのをやめた」は、話題になりますね。私はたたむ手間よりも、取り出しやすさを重視したい!
何をやめるかは、「時間」と「心地よさ」のどちらを優先するかで、人それぞれ。私は洗面所のタオルは、たたんだほうが“省スペース”で気持ちいい派!

座談会の風景

Oさん:私は、「掃除道具を2つ以上使う家事」を減らしてみました。例えば、カーペットを床に置かない!以前は掃除機と粘着ローラーを使っていたのが、今はほうきだけで掃除が済みます。シンクに吸水マットを置くのも、カビの原因にもなるしやめちゃいました。

ヒント2:しなければならない家事は、「家電」や「人」に任せて、時短と省手間をしてみる!

食材を保存容器に小分けしているイメージ図

Nさん:とはいえ、“家事をしない”わけにもいかないですよね。
そんな時は、便利な家電やサービスに頼ってもいいと思います。互いに働いていると、「無理しない」ことが大切。夫とは、疲れているときは無理に料理をせず、「コンビニ弁当もあり」「出前もあり」と、互いを頼らずに解決方法を探すようにもなりました。
食器洗いやトイレ掃除などを家電にどんどん任せたい!料理は下ごしらえが本当に大変だから、調味料の量を計らなくても済むように、将来「下ごしらえをしてくれる冷蔵庫」とか「料理動画の材料みたいにあらかじめ調味料をセットしてくれる家電」があったらいいなと(笑)。家事の手間を省いてくれる次世代の家電に期待しています。

ヒント3:「マインドチェンジ」で切り替える!夫は“育てる”(笑)!

Oさん:ちょっと手伝っただけでドヤ顔の夫でも、素直に「ありがとう」と感謝を伝えると、もっとやってくれることがあります。結局、子どもと一緒で、怒ってもだめだし、伝えないのもだめ。オーバーなくらい「わー!おいしい!」と反応します。少しずつ夫を育てる方向に、自分が「マインドチェンジ」すると、ストレスがたまらない(笑)。

最終結論!ストレスをためない「家事シェア」のすすめ

いかがでしたか?
みなさんの身近にも、もしかしたら“しなくても済むこと”は意外にあるかもしれません。
家事シェアの最大の敵は「ストレス」。ムダや気乗りしない家事はやめてもいいし、一人で抱えず家電や人に任せてみる、最近そんな新しい考え方が生まれています。

家事の負担やストレスを「家事シェア」で上手に減らしてみませんか。新しい発想で、自分と家族の気持ちがラクになり、本当にゆとりのある楽しい暮らしを手に入れるヒントを見つけてみてくださいね。

家事シェアの現状と今後の新しい家事スタイルについての監修・ライター:ヨムーノ編集部

「編集/ヨムーノ編集部、撮影/久冨健太郎」
プロフィール:月間1,000万人が読む、暮らし情報メディア「ヨムーノ」。忙しくても“暮らしをもっと楽しくかしこく!”をコンセプトに、暮らし全方位の「すぐ実践できるトレンド」をウェブで発信。特徴はメディアを一緒に作るインスタグラマー組織「ヨムーノメイト」。インテリアや料理、ファッションなどの達人や、人気ショップのマニア780人(19年12月現在)と編集部のコミュニケーションで生まれる、独自の情報が人気。

2019年12月25日 家事・くらし

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