「家電の終着駅」では何が起こっている?パナソニックのリサイクル工場へご案内!

パナソニックのリサイクル工場の内部の写真 パナソニックのリサイクル工場の内部の写真

ライター:服部桃子(CINRA)
2026年4月21日
家事・くらし

生活の必需品である家電。新品や、元気に動いている様子は普段から見ているが、その「終わりの瞬間」を見ることはほとんどありません。家電は、役目を終えたときどこに帰っていくのでしょうか。そして、その先には何があるのでしょうか。パナソニックのリサイクル工場・パナソニック エコテクノロジーセンター(以下、PETEC / ピーテック)を取材し、家電の終わりとその後の姿についてご紹介します。

引き取られた大量の家電たちは、どこへ行く?

まずはこちらをご覧ください。

カラフルな設備の中で作業着姿の人が作業している写真
作業着姿の女性が何かを組み立てている写真

カラフルな設備に、何かを組み立てているような様子。これは役目を終えた家電を解体しているところ。こここそが、家電が最後に行き着く場所......つまり、リサイクル工場です。

パナソニックが運営するリサイクル工場「PETEC」の写真

ここは、兵庫県加東市にある「PETEC」。パナソニックが運営するリサイクル工場です。近畿2府4県から、使い終わった冷蔵庫、洗濯機、エアコン、テレビの家電4品目が運ばれてくるこの工場で、役割を終えた家電たちは、どのように最期を迎え、また再生に向かっていくのでしょうか。 

運ばれてきた家電たちが天井まで積まれている「ストックヤード」の写真
運ばれてきた家電たちがまず置かれる「ストックヤード」。天井まで積まれ、生まれ変わりの順番を待っている

大きな家電を、プラスチックや金属などの「再び使える資源に戻す」

PETECには、パナソニック製品だけでなく、メーカー、年式、構造の異なるさまざまな家電が運ばれてきます。再生資源として使えるよう、まずは人の手で解体し、フロンガスや水銀など、有害物質を回収してから、機械で粉砕します。

洗濯機の解体ラインの写真
洗濯機の解体ラインの写真
洗濯機の解体ライン

洗濯機の処理台数は1日1,000台以上。2012年にラインを再編し、縦型、斜めドラム式を同時に対応できるようになりました。

作業所内に置いてある冷蔵庫の写真
冷蔵庫のフロンガスなどを回収している人の写真
冷蔵庫のフロンガスなどを人の手で回収していく。断熱材に使われているウレタンにもフロンガスが含まれており、そのフロンガスも回収、ウレタンは固形燃料に加工され有効活用される

一言でフロンガスといっても、さまざまな種類があり、冷蔵庫に使用されているフロンガスも種類ごとに回収を行なう必要があります。以前は異なるガスの種類を判別し、選別するのにとても苦労していましたが、現在は「品番読み取りシステム」を導入したことで、スムーズに処理できるようになっています。

専用スキャナで冷蔵庫の品番を読み取る作業者の写真
専用スキャナで品番を読み取ると、数千以上の独自データから該当するガスの種類ごとに色分けされたシールが印刷される仕組み。作業者はそれを見て、コンプレッサからガスを回収する

さて、次はいよいよ機械による破砕に向けて動き出します。

運ばれた先は巨大な破砕機。室内には、破砕機の稼働音が響き渡っています。

冷蔵庫の破砕機の写真
冷蔵庫の破砕機(通常は一般の見学は不可)

破砕機の上に取りつけられた小窓をそっと覗いてみると......。

破砕機の上に取りつけられた小窓の写真

バキバキッとものすごい音とともに、冷蔵庫が粉々になっていきます。

冷蔵庫には鉄や銅、アルミなど、全体の重さの約6割に金属、残りはプラスチックが使われています。細かくなっていくものもあれば、大物の部品もたまに飛び交い、さらには摩擦による火花も散っていて迫力があります。

廃家電は資源の宝庫-リサイクル工場の選別方法とは?

破砕後は、徹底的に素材ごとの選別・取り出しを行ないます。金属やプラスチックが混じり合った破片群から、風力で軽いウレタンを、磁力で鉄を、非鉄選別機で金属とプラスチック等に選別。取り出した金属やプラスチックなどは、素材別にメーカーに送られ、再利用されます。

洗濯機も同様に、破砕後は徹底的な選別がなされます。使用されているプラスチックは、種類の違うものが混ざってしまうと、原料として再使用することができません。プラスチックの高純度な選別が、リサイクルの鍵となります。

では、一体どのように選別しているのでしょうか。

破砕後の洗濯機の写真
破砕後の洗濯機

答えは、「重さの違い」。

洗濯機は、破砕後、鉄とプラスチックに大まかに選別されます。その後、プラスチックたちを細かく砕き、「浮沈(ふちん)選別機」といわれる水槽に。攪拌しながら水を流すことで、軽量のPPだけが浮き上がってくるのです。その純度は、なんと99.5%。高純度のPPは、樹脂として溶かされ、ppm(100万分の1)オーダーの不純物しか含まない超高純度な樹脂になります。そして洗濯機の台枠や洗濯槽の原料として再利用されます。

プラスチックを種類に選別し、各袋に流し込む機械の写真
プラスチックを種類別(PP / PS / ABS)に選別し、各袋に流し込んでいる

その再生の一端を担うのが、PETECのすぐ近くに立地している加東資源循環工場です。PETECにて選別・回収された樹脂から、さらに細かい異物を取り除き、洗浄を行ない、溶かすなどして、強度や寿命を復活させます。

製品に求められる樹脂の特性はそれぞれです。そのため、加東資源循環工場では、新たな樹脂材料を加えずに100%リサイクルの樹脂素材で、独自比率の補助剤を加え、製品が求める部品に最も適した処方を行なっています。これは、同工場が考える独自のサステナブルな再生処方なのです。

加東資源循環工場の写真
選別された素材たちは、再利用に向けてさまざまなメーカーへ運び出されていく
加東資源循環工場の内部の写真
加東資源循環工場の内部(写真提供:加東資源循環工場)
細かくカットされ再生樹脂として生まれ変わるリサイクル材料の写真
リサイクル材料は投入後、溶かされ麺のようになり、細かくカットされ、再生樹脂として生まれ変わる(写真提供:加東資源循環工場)

あれだけ大きかった家電たちが、ラインが進むにつれ細かくなり、丁寧に選別され、ついには再利用できる資源に。リサイクル工場は「家電の終着駅」ではなく、新たな製品として生まれ変わるための「再生の地」と言えます。

展示されている洗濯機・衣類乾燥機の写真
選別された資源(金属、プラスチック)が、また新たな家電製品をつくり出す

2026年4月21日 家事・くらし

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