寝苦しい熱帯夜もこれでぐっすり!睡眠のプロが教える暑い夜の快眠テクニック

監修:菊地 真由美(きくち まゆみ)
ライター:UP LIFE編集部
2022年6月9日
睡眠

ムシムシ、ジメジメ、高温多湿な日本の夏。「熱帯夜」ともなれば、寝苦しさは最大に……。寝つきが悪いばかりか、夜中に何度も目覚めたり、翌日も疲れが残ったりという人も多いのでは?そこで夏の寝不足を解消すべく、睡眠改善インストラクターの菊地真由美さんに夏の快眠テクニックについて伺いました。

夏の寝苦しさの原因は「深部体温」にあり!

写真:ベッドで横になり、なかなか寝付けない女性

「安定した眠りのカギを握っているのが、実は『体温』。人の体には、皮膚表面の体温と、それよりも少し高い『深部体温』と呼ばれる、脳を含めた内臓の体温があります。夜になると、手や足の先から放熱して深部体温が下がることで、自然と眠気が高まって眠りへと導いてくれるのです。

ですが、寝室の温度や湿度が高いと、この深部体温が下がりづらくなり眠りにくくなってしまいます。」

深部体温と眠気の関係

深部体温が下がり始めると眠くなってくる 深部体温が高い時間帯は眠気の度合いが低く、深部体温が低い時間帯は眠気の度合いが高くなる

ただし、部屋をキンキンに冷やすのはNG!

今回お話を伺った睡眠改善インストラクターの菊地さん

暑いからといって、むやみに冷やしすぎるのもNG。
菊地さんによれば「真夏に湯上がりに冷房でキンキンに冷やした部屋に入る人もいるかと思いますが、冷気によって手足の毛細血管が収縮して体の熱を放熱する機能を妨げてしまいます」とのこと。

なんとも悩ましい夏場の睡眠問題ですが、睡眠不足は日中の仕事や勉強のパフォーマンスを下げるばかりか、健康や美容にも大敵。そこで、熱帯夜でも質の良い睡眠をとるためのポイントを紹介していきましょう。

睡眠の質について詳しくは「寝苦しい・寝付きづらい夜に活用したい! 睡眠の質をアップさせるエアコンの使い方」もチェック

プロがおすすめ!寝苦しい夏に役立つ6つの快眠ワザ

熱帯夜でもぐっすり眠りたい。そんな願いを叶える6つのワザを、菊地さんに教えてもらいました。夏の寝不足にお悩みの人は、ぜひ参考にしてみてください。

①お風呂は寝る1時間前までにバスタブで入浴する

深部体温をスムーズに下げるためには、反動を利用するのがコツ。意外と大切なのがバスタブにつかって入浴することです。夏でも38~40℃のお風呂に、20分ほどつかるのがおすすめです。

入浴することで深部体温は約0.5℃上がるといわれていて、一度上がった深部体温は反動でより下げようとする体の性質があり、この落差が寝入りやすさにつながります。上がった深部体温はお湯の温度にもよりますが、約1時間かけて徐々に下がっていき、この時に眠気が高まるので、タイミングを逃さず布団に入れるように、入浴時間を調整してみましょう。

②シャワーだけなら3つの「首」を温めることで快眠モードに

夏にお湯につかるというのは結構ハードルが高いもの。ただし、シャワーだけという場合でも、足首・手首・首の後ろなど太い血管が通っている部分に合計5分ほど少し熱めのシャワーを当てることで、効率よく深部体温を上げることができます。夏はシャワーしか浴びない、という人はお湯を当てる位置と時間を意識してみましょう。

③リビングや浴室の照度は控えめに

目から入る光の量が減るほど、睡眠ホルモンであるメラトニンが分泌されやすくなります。入浴前に、リビングの照明をオレンジなどリラックスできる色にしておきましょう。また、浴室内は天井も低く、照明器具が目に近いところにあるため、入浴時に浴室の電気が明るい場合は、照明を消して脱衣所の灯りだけにするか、浴室用の防水間接照明を利用するのも効果的です。ただし、照度を落とす場合は十分に周りに気をつけてください。

④部屋着からパジャマに着替えておやすみモードに

パジャマに着替えるという行為そのものがルーティンとなり、脳がおやすみモードに切り替わるため、部屋着のまま寝てしまう人は、パジャマを着る習慣を身につけると良いでしょう。

⑤飲み物はカフェインレスのものを

寝る直前にカフェインが入っている飲み物を摂らないという人でも、夕食時に緑茶などを飲むと、寝つきに影響してしまいます。夕方以降は水や麦茶、ルイボスティーなどカフェインレスの飲み物がおすすめ。就寝前に冷たいものを飲みすぎると血管が収縮して深部体温の調節を妨げてしまうので、できるだけ常温で飲むようにしましょう。

⑥BGMには自然音や歌詞のない音楽を

入眠時のBGMには、雨音や風、川のせせらぎ、鳥の鳴き声などの自然音か、歌詞の意味を追わずに聴けるインストゥルメンタル音楽などが、脳を休め、リラックスモードに導いてくれるので効果的。

みんなのお悩み解決!~夏の快眠Q&A~

夏の快眠に関して多くの方が疑問に思っているであろうことを、菊地さんに聞いてみました。

Q.寝具やパジャマはどんなものを選べば良い?

「質の良い睡眠のために、パジャマは大きな役割を果たします。睡眠中には、コップ一杯の汗をかくといわれています。大量の汗をかくことで、背中と敷き布団の間の湿度が高くなることで寝苦しさを感じるため、しっかり汗を吸ってくれる綿やシルク製のパジャマ着用がおすすめ。

夏には「半袖・半ズボン」という人も多いでしょうが、寝具から出た手首や足首に直接冷気が当たって体を冷やしすぎてしまい、快眠が妨げられてしまうことがあります。また全身にかく汗を吸収するためにも、夏でもゆったりとした長袖・長ズボンが理想的です。

また、寝具については、熱を逃がしやすく吸湿性と肌触りの良い竹や麻などの自然素材を使った寝具が適しています。意外かもしれませんが、羽毛が250~300g程度入った薄いダウンケットも、適度な保温力と湿度をコントロールする機能が高いので、エアコンをお使いの方にはぴったりの寝具なんです。

最近では、表面温度がひんやり感じる接触冷感素材のパッドなども多く出回っていますが、吸汗性の有無を確認してください。接触冷感素材は寝入りでは快適なのですが、汗を吸いにくい材質の場合、汗をかいてくると不快度が上がってしまいます。いずれにしても、吸汗性の良いパジャマと組み合わせて使うと良いでしょう。」

Q.夫婦で体感温度が違う場合はどうすれば快適に寝られる?

写真:ベッドでタオルケットにくるまって寝る妻と、何もかけずに寝る夫

「まずは、温度とともに湿度のコントロールをすることです。夫婦で、体感温度が違う場合には、どちらかの好みの温度に合わせていらっしゃるかもしれませんが、湿度を少し下げてあげると必要以上に部屋の温度を下げる必要がなくなるかと思います。

また、『夏は夫婦二人でタオルケットを使っている』という方もいるのではないでしょうか。同じ寝具を使ってしまうと、個別に温度調整ができません。もしパートナーの方がエアコンの温度を下げがちな場合などは、先程紹介した羽毛のダウンケットを使ったり、パジャマの素材を変えたりすることで、体感温度に合わせて調整してみましょう。」

Q.エアコンの風が苦手という人には?

写真:ベッドの近くに設置した扇風機

「エアコンの風が苦手という人もいらっしゃるかと思います。さまざまな原因が考えられますが、もしかしたら、温度を下げすぎてしまっているかもしれません。室温を下げすぎると「寝入りが良くない」「寝ていて途中で起きてしまう」「寝起きが悪い」など、さまざまな弊害が起こります。

どうしても室温が高くて寝入りが悪いという方は、扇風機を併用してみてはいかがでしょうか。その際に、風を当てるのは表面に太い血管の通っている足首あたりに当てると深部体温が下がりやすく寝入りが良くなります。」

「寝室に入ってからスイッチON」は間違い!?正しいエアコン活用術

写真:ベッドが置かれている部屋のイメージ

熱帯夜に頼りになるのがエアコンですが、使い方を間違えると、効率よく稼働できなかったり、ムダな電気代がかかってしまったりすることも。菊地さんに、夏にエアコンを上手く活用して快眠できるコツを伺いました。

①エアコンは風を天井に向けて「30分前」にON

「一般的には、室温26~28℃が心地よく眠れる環境だといわれていますが、大切なのは温度よりもタイミング。ついやりがちな間違いが、布団に入ったタイミングでスイッチを入れること。

寝室の向きや窓の大きさ、カーテン素材などにもよりますが、日中に室内に溜め込んだ熱が夜になっても天井や壁にこもっているため、寝るタイミングでエアコンをつけても、なかなか室温が下がりにくいもの。寝室に入る30分前にエアコンをONにし、熱の溜まりやすい天井に風をあてておくのが、効率よく涼しい睡眠環境をつくるコツです。」

②温度だけではなく、湿度コントロールでより快適に

「室温だけでなく、もう一つ重要なのが『湿度』のコントロールです。快適な睡眠には、湿度50%前後が理想といわれますが、多湿の日本では湿度を下げるだけで快適度は段違いになるので、無駄に温度を下げてしまうということもなくなります。

エアコンの「ドライ」や「冷房除湿」など湿度を下げる機能を使って、部屋の室温だけでなく湿度も下げておくことがもう一つのポイントとなります。エアコンの除湿機能を使う他にも、除湿機があるご家庭なら、エアコンと併用して湿度コントロールするのもおすすめです。」

快適な睡眠環境をつくる「寝室用エアコン」とは?

写真:エアコンのイメージ

「寝ている間中エアコンをつけっぱなしにしていたら寒くなりすぎるし、途中で止めると暑くて起きてしまう」という人におすすめなのが、寝室のためにつくられたエアコン。パナソニックの「エオリアスリープ(寝室用モデル)PXシリーズ」は、パナソニックが独自に開発した快眠アルゴリズムにもとづいて、入眠から起床までの空調を心地よくコントロールしてくれるのです。

つけっぱなしで朝までぐっすり

写真:女性がベッドで横になって寝ているイメージ

枕元に「ベッドサイドセンサー」を置けば、寝ている場所の温湿度を緻密に検知。身体が心地よく感じる温度を、睡眠の経過時間ごとにコントロールします。だから、つけっぱなしでも暑すぎず寒すぎない「快眠環境」の中で、朝までぐっすり眠ることができます。

アプリを活用して、お好みの環境にアップデート

写真:女性がスマートフォンを操作しているイメージ

朝起きた時に、暑い・寒いの体感を専用アプリ「Eolia sleepアプリ」に入力すると、その日の夜から入力内容に応じて運転が調整されます。使うほど好みに調整するので、より快適な寝室環境をつくってくれるのです。

目覚めたときの環境まで快適に

寝室にこもりがちな汗臭や加齢臭を、ナノイーX送風で軽減※1し、翌朝目覚めたときの環境を快適にしてくれます。さらに、フィルターのお掃除運転や内部クリーン運転の機能も装備されているので、エアコンの内部もクリーンに保ちます。

今回は、寝苦しい夜の対策についてご紹介しました。人生の3分の1は寝室で過ごすことを考えても、寝室の睡眠環境を整えることはQOLを高めることにつながります。

「睡眠時の状態は人によってさまざま。いまはそれを診断するためのスマートフォンアプリもいろいろ出ています。また、快適な睡眠環境をつくるエアコンも登場していますので、これらを積極的に活用してみるのもおすすめです。」
どんどん気温が高くなる今こそ、寝苦しさに負けない快適な睡眠環境づくりに備えてみませんか?

監修

菊地 真由美(きくち まゆみ)

パナソニック株式会社 コンシューマーマーケティングジャパン本部 エンゲージメントセンター 戦略企画部所属。家電を使って睡眠の質を向上させるため、より専門的な知識を得たいと睡眠改善インストラクター(日本睡眠改善協議会認定)の資格を取得。同社内でも社員の睡眠の悩みに答える「眠りの先生」で、睡眠環境づくりに関する相談役も務めている。

※1 約6畳試験空間での(加齢臭)約15分後(汗臭)約1時間後の抑制効果です。加齢臭【試験機関】パナソニック(株)プロダクト解析センター【試験方法】「ナノイーX 48兆」23㎥の試験室(約6畳)において6段階臭気強度表示法により検証【脱臭の方法】「ナノイー」を放出【対象】疑似体臭(ノネナール)【試験結果】「ナノイーX 48兆」約15分で臭気強度1.9低減(H21HM005)。汗臭【試験機関】パナソニック(株)プロダクト解析センター【試験方法】23㎥の試験室(約6畳)において6段階臭気強度表示法により検証【脱臭の方法】「ナノイー」を放出【対象】疑似汗臭【試験結果】1時間で臭気強度2.6低減(4AA33-160315-A35)

2022年6月9日 睡眠

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