冬の暖房時、エアコンが勝手に止まる原因は?
霜取り運転について解説

エアコンが途中で勝手に止まることはありませんか?
冬の暖房運転時の場合は、いわゆる「霜取り運転」が原因かもしれません。
このページでは、主に霜取り運転にまつわる疑問にお答えし、対策方法について解説します。

エアコンが止まる主な原因は?

設定温度に達した

室内温度が設定された湿度に近づいたときや室温が下がりすぎるのを防ぐために、約5分間運転を止めることがあります。その後、風が出たり止まったりを繰り返すことがありますが、これは故障ではなく、正常な動作です。

フィルターお掃除運転

お掃除機能搭載の機種の場合、一定の時間を超えて連続運転すると、運転を中断してフィルターおそうじ運転を行います。おそうじ運転終了後、元の運転に戻ります。お掃除機能が動作する条件については、機種によって異なりますので、取扱説明書をご確認ください。

霜取り運転

暖房運転時、室外機に霜がつくと、「霜取り運転」を行います。その間、ルーバーが開いたまま運転ランプが点滅して暖房が止まります。最長で12分程度かかることがありますが、故障ではありません。霜取り運転が終わると、運転ランプが点灯に変わり、暖房を再開します。

エアコンが止まる原因のひとつ、「霜取り運転」とは?

「霜取り運転」とは、エアコンの室外機についた霜を溶かす運転のこと。室外機の熱交換器は、壁に面していることも多く、普段は目にすることは少ないですが、実は真っ白になるまで霜がついてしまうことがあります。
 
一般的なエアコンは、通常運転時は暖房に使っていた熱を、霜を溶かすために室外機の方に逆流させるため、室内機からの温風の吹き出しは止まってしまうしくみになっています。しばらくして霜が溶けてなくなれば、暖房運転は再開します。
霜がついている状態と通常時の室外機の比較画像です

霜がつくと、何か問題があるの?

霜がつけばつくほど、室外機の空気の吸い込み口がふさがれてしまいます。空気を介して熱を取り込んだり放出したりしているエアコンにとって、室外機から空気が取り込めなくなるのは致命的な状態。熱交換の効率が悪くなり、結果的に、暖房運転の効率も悪くなります。暖房運転を続けている限り、室外機は冷えたままなので、霜取り運転中は一時的に暖房を止めて、室内機の熱を室外機に送らなければならないのです。

なぜ室外機に霜がつくの?

室外機に霜がついてしまうのは、室外機がそれほど冷えてしまうということなのですが……。そもそも、エアコンは普段よく目にする「室内機」と屋外に設置した「室外機」の2つが1セットになっている家電です。
室内機の内部と室外機の裏面に「熱交換器」がついていて、室内の熱と外気の熱を交換することで暖房・冷房運転をしています。

エアコンが熱交換器を通して室内の熱と外気の熱を交換する図です

エアコンは、室内機と室外機の間を「冷媒」と呼ばれるガスが行き来することによって熱交換を行っています。冷媒は空気中の「熱」を運ぶ乗り物の役割を、熱交換器は“駅”のような役割を持っていて、室内機と室外機の両方で熱が“乗り降り”します。

暖房運転中は、室内の空気の冷たさを室外機からの風に乗せて屋外へ放出し、逆に取り込んだ熱は、室内機から風に乗せてお部屋の中へ取り込んでいます。 暖房運転をしているときは、室内機の熱交換器へ熱を送る代わりに、室外機の熱交換器からはどんどん熱が奪われていきます。室外機の熱交換器は、外気温よりも低くなり、空気中の水分が結露・凍結するため霜が付くのです。

ちなみに、冬の寒い時期は、外気温からどのように暖房用の熱を取り出すのかイメージがしにくいかもしれませんが、室外機と室内機を行き来する冷媒は、最低で-53℃にもなります。例えば、外気が-20℃だとしても、その差は30度以上。この熱の差を利用しながら、コンプレッサーやヒートポンプ技術も組み合わせて、少しのエネルギーから何倍もの熱エネルギーを生み出して効率的な冷暖房運転を叶えています。

冷媒の行き来の様子を表した図です冷媒の行き来の様子を表した図です

霜がつくなんて、寒い地域だけじゃないの?

気温が低く寒い地域ほど、霜がつきやすいというわけでもありません。最も霜がつきやすいのは、気温が5.5からマイナス7℃の間で、かつ湿度が高い状況下。つまり、北海道や東北などの寒い地域に限らず、日本全国どこでも起こり得ます。 気温の高い環境で霜がつきにくいことはイメージがしやすいですが、気温が-15℃以下の環境も、空気中の湿気が少なく乾燥するため、霜はつきにくくなります。

最も霜がつきやすい温度帯(-7度から5.5度)と、2月の全国の平均最低気温を示した図です最も霜がつきやすい温度帯(-7度から5.5度)と、2月の全国の平均最低気温を示した図です

霜取り運転で暖房が止まる回数を減らすための対策

設定温度を低めにする

室内を温めようとする力が強いほど、室外機の熱交換器が冷やされて霜が付きやすくなります。頻繁に霜取り運転が発生するようであれば、設定温度を1~2℃ほど低くしてみましょう。設定温度の目安は18~22℃です。エアコンにかかる負担や消費電力も減らせるため、電気代の節約にもつながります。

フィルター掃除をする

フィルターがホコリなどで目詰まりすると、暖房効率が悪くなり余計に熱を使うため、霜取り運転が起こりやすくなります。掃除機でホコリを吸い、それでも汚れが落ちない時は薄めた中性洗剤で洗い、陰干しをしてしっかり乾燥させてください。毎日エアコンを使用している場合は、2週間に1回を目安に掃除しましょう。

室外機が雪に埋もれないようにする

冬場の雪が多い地域では、室外機に雪が直接つくのを防ぐことで、霜取り運転の回数を減らすことができます。置台などを利用して雪で埋もれない高さまで上げたり、吸い込み口と吹き出し口に防雪部材を設置するなどしましょう。室外機が雪に埋もれると、外気を吸い込むことができなくなり、そもそも運転できなくなる可能性もあります。

室外機に防雪部材がつけられた画像です

霜取り運転中も暖房が止まらないエアコンを使用する

パナソニックはエネチャージシステムを搭載した、霜取り運転中も止まらないエアコンをご用意しています。

霜取り運転中でも、部屋を効率よく温めて寒さを和らげる対策

サーキュレーターを併用する

暖かい空気は上へ移動するので、サーキュレーターで室内の空気を循環させることが効果的です。冬の場合はエアコンの対角線上に設置し、上向きに風を送ると天井付近にたまった暖気が室内に循環しやすくなります。人に風が当たると体感温度が下がって寒く感じるので、送風する角度も調整しましょう。

暖房とサーキュレーターを併用して暖気をかき混ぜるようすです

断熱性を上げ、熱を逃さないようにする

室内の熱は、窓から逃げていきます。断熱シートや断熱カーテンを利用しましょう。カーテンは床まで届くタイプにすると、冬は隙間から侵入する冷気を抑えることもできます。窓と部屋の間に空気の層をつくるために、カーテンを2枚使ったり、内窓を設置したりするのも効果的です。

カーテンで断熱性を上げている画像です

「加湿」で体感温度を上げる

体感温度は湿度が高くなるほど上がり、低くなるほど下がる性質があります。冬は湿度を上げることで乾燥を防ぐだけでなく、暖かく感じられるので、加湿を心がけましょう。

同じ20度でも湿度20%と50%で体感温度が変わることを表す図です

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