冬のエアコン使用時の乾燥対策|原因と正しい湿度管理で快適に過ごす方法
監修:藤原 千秋(ふじわら ちあき)
ライター:UP LIFE編集部
2026年2月10日
空気
室温を効率良くコントロールするエアコンは、夏の冷房はもちろん、冬もメインの暖房器具として活躍する家電です。一方で、懸念されるのが「湿度の低下」。エアコンを使っているとき、空気の乾燥が気になっている方も多いようです。では、エアコン使用時でも、快適な湿度を保つ方法は……? 住生活ジャーナリストの藤原千秋さんに教えてもらいましょう!
「温度ムラの解消」で、エアコン使用時の乾燥対策を
エアコン使用時に空気が乾燥する理由は?
「エアコンの暖房は、部屋の空気を乾燥させる」と思う方もいるかもしれません。でも、実はこれ、エアコンに限らず暖房全般に言えること。藤原さんによれば、この背景には空気の性質があるそうです。
「部屋を暖房すると、空気があたたまりますよね。空気ってあたたまると、その中に水分を抱え込める容量が増えるという性質があるんです。でも部屋の中の水分量自体が変わらないと、空気に含まれる水分は相対的に“薄まって”しまいますよね。これが“湿度が下がる”というカラクリで、暖房を使うほど“乾燥”を感じる理由です」
たとえば、足元が寒いからと言って暖房を強めれば、室内はどんどん乾燥してしまうことになります。これを避けるには、エアコンの設定温度を上げるよりも、室内の温度ムラを解消するのが先決。もちろん、加湿も重要で、適切な湿度コントロールを行うことで室内の乾燥が抑えられ、快適に過ごせるようになります。
湿度は「飽和水蒸気量」の何割を占めるかを表している
空気に含むことができる最大の水分量は、「飽和水蒸気量」と呼ばれています。この飽和水蒸気量に対し、実際の水分量がどのくらいの割合かを表すのが「相対湿度」で、一般的に湿度と呼ばれるのがこちら。人にとって快適でカビやダニのリスクが抑えられるのは、40〜60%と言われています。
藤原さんのお話にもあったように、空気の温度が上がれば飽和水蒸気量は増えますが、実際の水分量が増えなければ当然、湿度は下がることに。空気は少ない水分を補おうとして人の体からも水分を奪っていくため、私たちは乾燥を感じることになるのです。
室内の温度ムラを解消するには
それでは、部屋の温度ムラを抑えるにはどうすればよいのでしょうか。
「暖かい空気は上に、冷たい空気は足元にたまります。この温度ムラの解消に有効なのが、サーキュレーター。エアコンの対角線上に置き、上向きに風を送ることで空気を循環させることができます。ただ、風が体に当たると不快なうえに、肌寒く感じてしまうので、風量を下げたり向きを変えたりといった工夫をしながら、ベストな使い方を探してみてください」
空気の乾燥が引き起こす困りごととは?
肌や目、のどなどの乾燥につながる
私たちの体の中で水分が奪われやすいのは、空気に触れている部分です。具体的には肌や髪、目のほか、鼻や口の中などとなりますが、「粘膜が乾燥するとかゆみを感じたり、目が疲れやすくなったりすることもある」と、藤原さん。また、乾燥で舞いやすくなったホコリを吸い込んでしまう心配もあるそうです。
隠れ脱水を起こしやすくなる
肌や目などの水分は、体内からつくり出されます。空気から水分を奪われれば当然、体内の水分量は減っていくため、水分補給をしなければ脱水症状に陥ることも。汗をかくことで水分不足を意識しやすい夏と違って、冬は気付かないうちに脱水が進むことも多いのです。
静電気が発生しやすくなる
突然、「バチッ」と音がして、鋭い痛みを感じることもある静電気。不意に発生するため、藤原さんも「驚いて、メンタル的にもストレスを感じる」そうです。そんな静電気が発生する原因は、「私たちが歩いたり、服を脱ぎ着したり、ものに触れたりすることで、私たちの体や衣類に少しずつたまった“電気”」にある、と藤原さん。この電気は、空気が乾燥すると逃げにくくなり、「体や衣類にたまった電気が、何かに触れた瞬間に一気に放電して“静電気”が起きる」そうです。
ウイルスや細菌の活動に影響することも
藤原さんによると、空気が乾燥することで「ウイルスや細菌を含んだ小さなちり(微粒子)は乾いて軽くなり、空気中に長く浮遊しやすくなる」のだとか。さらに、「一部のウイルスは低湿度の環境で安定し、活動しやすい状態が保たれると考えられています」とのことなので、注意したいですね。
室内の空気が乾燥しにくくなる方法は?
ここでは、お部屋の湿度を快適に保つ方法をチェック! 藤原さんのアドバイスも交えながら紹介するので、乾燥が気になっている方はできることから始めてみてください。
洗濯物を室内に干す
洗濯物が乾く過程で空気中に水分が放出されるため、室内干しをすれば室内の湿度が上がることになります。
「室内干しの洗濯物が一番乾きやすいのは、部屋の中で空気が最も動く場所。カーテンレールなどを使って窓際に干す人もいますが、窓を閉めたままだと空気が動きにくい場所なので、スペースがあるなら部屋の中央に干しましょう。皆さん、すでに実践されているかと思いますが、サーキュレーターなどを使って強制的に空気を動かすのも良いですね。
このときに気を付けたいのは、目的を誤らないこと。室内干しの目的は、あくまで洗濯物の乾燥です。これを忘れると、たとえば加湿機の吹き出し口近くに洗濯物を干す、なんてちぐはぐな行動をとってしまうこともあるもの。室内干しに限ったことではありませんが、何かをするときはその目的を意識することが大切です。“何のためにこれを使うのか”“これをするのは何のためなのか”を考えていただきながら、ベストな手段を選んでいくと良いでしょう」
室内に観葉植物を置く
加湿機ほどの効果はありませんが、観葉植物を置くのもひとつの方法。
「短時間で室内の湿度を大きく上げるほどの加湿効果はありませんが、葉から水分を放出する働き(蒸散)により、乾燥を緩やかにする助けにはなります。ワンルームのような小さな部屋で、複数の植物を置く場合などは、空気の乾燥を抑える一因として期待できるでしょう」
天候に合わせて換気を行う
「雨の日に外気との換気は部屋の空気に湿り気を与えますので、あえて意識的に換気するのも一手」だとか。一方、晴れの日の場合は、注意が必要です。
「冬の晴れて乾燥した日の“換気のしすぎ”は、室内の空気を乾燥させます。やたら長時間、窓を開けっぱなしにしないようにしましょう」
加湿機や加湿機能付き空気清浄機を設置する
「加湿できる家電を使えば、効率良く空気にうるおいが与えられます。ただし、湿度の上げすぎは結露やカビなどの発生にもつながりかねないので、湿度計を確認しながら使うようにしましょう」
エアコンと同時に使うときは、エアコンの風の通り道を考慮して設置します。加湿機の場合は、加湿した空気をエアコンの風に乗せて部屋中に行きわたらせるイメージで。ただし、エアコンの風が直接あたる位置は、湿度センサーの誤認を招くので避けましょう。加湿空気清浄機の場合は、エアコンの風とぶつかると室内の空気がうまく循環しなくなるので、エアコンの対面や対角線の壁に置くのがオススメです。
なお、パナソニックの気化式加湿機なら、加湿量を自動でコントロール。“お急ぎモード”や“のど・肌モード”、“おやすみモード”といった機能を搭載したモデルなら、目的ごとに最適なうるおいを届けます。
また、パナソニックの加湿空気清浄機も、パワフルかつスピーディな加湿が可能。最適な部屋の湿度と言われる約40%〜約60%の範囲で3段階の加湿レベルを用意しており、水蒸気の出る調理中は控えめにするなど、状況に応じて選ぶことができます。
加湿機能を搭載したエアコンを使用する
「エアコン暖房時に乾燥が気になるなら、加湿しながら冷暖房運転ができるエアコンを使うのもアリですよね」と、藤原さん。そこでオススメしたいのが、パナソニックのエアコン『エオリア LVシリーズ』です。室外機に換気・除加湿ユニットを搭載しており、給水なしで部屋の加湿が可能。暖房運転との併用に加え、約48分で部屋の湿度を50%まで上げる※スピード加湿も実現しています。
※暖房加湿運転時。 CS-LV406D2にて。当社環境試験室(約14畳)、外気温7℃、湿度87%、設定温度23℃、設定湿度連続、風量・風向自動、加湿量強。
冬のエアコン使用時にあわせて気をつけたいポイント
湿度コントロール以外にも、寒い季節を快適に過ごす方法はさまざま。具体的にどんなことができるのか、藤原さんに聞きました。
換気をするとき、暖房はつけっぱなしでOK!
「窓を開けて換気をするときは、暖房を切る必要はありません。これは、暖房を切ってから換気をすると室内の温度が大きく下がり、元の温度に戻すときにより多くの電力が必要になるため。同じ理由から、夏も冷房運転を切らずに換気するようにしましょう」
ちなみに、換気の時間や頻度は、部屋の広さや窓の数といった条件にもよりますが、「1時間に5分〜10分×2回」が目安と言われています。「ただし、そこまで頻繁にできないこともありますよね」と、藤原さん。理論上、24時間換気システムが稼働していれば2時間に一度、家の中の空気が入れ替わっていることになるので、「あまり厳密に考えなくてもいいのかも」とのことで、「個人的には、“1時間に5分〜10分”を1回行うことは必要」と思っているそうです。
エアコンの暖房が冷房より電気代がかかるのはなぜ?
「エアコン暖房に限らず、冬になると光熱費が高くなるのは仕方ないこと。なぜなら、冬は夏に比べて室温と外気温の差が大きいからです。たとえば夏、設定温度を28℃としたとき、外気温が30℃なら2℃下げれば済むのに対し、冬は設定温度が20℃でも、外気温が5℃だとすれば15℃も上げなくてはなりません。それだけパワーが必要になるので、冷房に比べて電気代がかかるのは当然なのです」
乾燥を抑えるだけじゃない、湿度を上げる必要性
「湿度を上げると体感温度も上がるため、同じ温度でも湿度が低いときに比べて暖かく感じることができます。それにエアコン暖房時は、設定温度を1℃下げると消費電力を約10%削減できると言われているので、電気代節約の観点からも見過ごせません。なお、室内が最適な湿度かどうか、感覚だけで見極めるのは意外と難しいので、温湿度計で確認するのがオススメです」
まとめ:目安となる室内温度&湿度を参考にしながら、自分にとって快適な環境をつくろう
快適と感じられる温度と湿度は、人によっても異なるものです。目安として、暖房時の室温は20℃、湿度は1年を通して40%〜60%と言われることもありますが、藤原さんによると「自分にとって最も快適な温湿度にコントロールすることが大切」なのだとか。
「上記の室温と湿度は目安なので、たとえば“室温26℃、湿度70%”というくらい、大きく外れていなければ、厳密に守る必要はないと思います。湿度が60%を超えるとダニが発生しやすくなるので、そこは抑えていただきたいですが。自分にとってベストな温湿度を知るためには、“今、快適だな”と感じるたびに、温度と湿度をチェックする習慣をつけると良いですよ。私もその方法で、温度25℃、湿度50%が自分にとって快適だとわかることができました。携帯サイズの温湿度計を持ち歩いて、家の中だけでなく外出先でも温湿度を意識するのがオススメです」
エアコンの乾燥対策についての監修
藤原 千秋(ふじわら ちあき)
主に住まい・暮らしまわりの記事を専門に執筆して25年。現在はライティングの傍ら監修、企画、広告、アドバイザリーなどの業務に携わる。プライベートでは三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など著書監修、マスコミ出演多数。総合情報サイト『All About』家事・掃除・子育てガイド。
2026年2月10日 空気
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