お掃除機能付きエアコンとは?概要や仕組み、日常のお手入れ方法を解説
お掃除機能付きエアコンの仕組みとお手入れ方法についての監修:田中 真紀子(たなか まきこ)
ライター:UP LIFE編集部
2024年8月22日
空気
高い位置に取り付けられているエアコンは、お手入れするのが大変……。そんなお悩みに答えてくれるのが、お掃除機能付きのエアコンです。「フィルター掃除の手間が減らせる」「手が届かない内部もキレイにできるモデルがある」ということは何となく知っていますが、具体的にはどんなエアコンなのでしょうか?気になるお掃除機能付きエアコンの構造や、必要なお手入れの方法を、家電の専門家である田中真紀子さんに聞きました。
お掃除機能付きエアコンって、具体的に何をしてくれるの?
「エアコンのお掃除機能で、広く知られているのがフィルターのお掃除です」と、田中さん。
「こちらは、2000年代に登場した機能。エアコンのフィルターは掃除をしないとホコリや油汚れなどで目詰まりを起こし、運転効率が下がるため、電力消費量が上がってしまいます。一般的には2週間に1度のお手入れが推奨されていますが、フィルターの自動お掃除機能があれば、その手間を軽減することができるんです。
ただし、油汚れがひどくなったら自分で洗う、ダストボックスにホコリがたまったら捨てるといったお手入れは必要なので、手間がゼロになるわけではありません」
このほか、モデルによっては内部までキレイにしてくれる機能も搭載されているのだとか。
「私たちの手が届かない熱交換器などの洗浄や除菌を行う機能で、たいていは上位クラスのモデルに搭載されています。また、エアコンの清潔性を保つという意味では、内部乾燥も大切。こちらはミドルクラス以上のモデルに多く見られる機能で、冷房や除湿の際に発生する水分を自動で乾かしてカビを抑制します。この機能がないエアコンは、冷房・除湿運転の後に送風運転を行わないとカビが発生しやすくなるので、注意したいですね」
どうやってキレイにしている? 自動お掃除機能の仕組み
実際のところ、エアコンはどうやって自身でお掃除しているのでしょうか?
エアコンが自動で掃除を行うプロセス
「フィルターの場合は、フィルターに付着したホコリなどの汚れをブラシでこすり落とし、ダストボックスにためるのが一般的。内部の掃除なら、フィルターを通過した細かな汚れや菌を結露水で洗い流したり、加熱することで油汚れを落としながら除菌を行ったりと、さまざまな方法が存在しています。なお、熱を利用するモデルは電気代がかかったり室温が上がることもあるので、お掃除機能付きエアコンを選ぶときは、それぞれがどんな方法で掃除をするのか確認するようにしましょう」
メーカーごとに、名称や手法はさまざま
こうしたお掃除機能は、メーカーによってアプローチの仕方も変わってきます。たとえばパナソニックの場合は、“フィルターお掃除ロボット”を搭載。フィルターを自動で巻き取りながら、全面に付着した汚れを横長のブラシで一気にかき取る方式としています。
「パナソニックで注目したいのが、ブラシクリーナーを採用している点。ブラシに付着したホコリをかき取って集めてくれるので、ブラシが汚れていてフィルターの掃除がきちんとできなくなる……といった状況にならないよう工夫されています。また、一般的なダストボックス方式に加え、たまった汚れを自動で屋外に排出する“自動排出方式”が用意されているところもユニーク。手入れの手間をひとつでも減らせるのって、やっぱりありがたいですよね」
さらに、パナソニックでは独自の「ホコリ耐久テスト」を実施。累計10年分のホコリと油を吸引しても、フィルターお掃除機能が正常に動作することを確認するなど、耐久性は折り紙付きです。
一方、熱交換器の汚れに対しては、表面に独自のコーティングを施し、結露水で洗い流す仕組み。さらに、パナソニック独自の清潔イオン“ナノイーX”を内部のすみずみにまで充満させることでカビ菌を除菌*1※1し、清潔さをキープします。
*1 生えてしまったカビを除去する機能ではありません。設定を「送風自動」に変更したときの効果は、カビの成長の抑制です。
「室内に放出して脱臭や除菌を行うナノイーXは、さまざまなシーンに活用できる技術。内部の掃除に凍結や加熱といった手法を取らずにナノイーXだけという潔さは、言い換えれば自信の証ですね。熱交換器のコーティングにより、そもそも汚れを付着させないという点も良いと思います」
お掃除機能付きエアコンの日常的なお手入れ方法
先ほどの田中さんのお話にもあったように、お掃除機能付きエアコンとはいえ、完全にお手入れ不要となるわけではありません。田中さんによると、「日常的なお手入れは、部屋の環境や使用頻度でも変わってきます」とのことなので、汚れ具合などに応じて行うようにしましょう。
エアコンから出る風のニオイが気になったらフィルターを洗う
「室内の空気を吸い込んで温度を調整し、再び室内へ送り込むエアコンですが、室内の空気には油分なども含まれているため、使い続けているうちにフィルターには油汚れが蓄積されていきます。特に、キッチンが同じ空間にあるLDKのエアコンは汚れやすいもの。これらはニオイの要因となるため、ニオイが気になったときは取り外して洗うようにしましょう。また、内部を掃除する機能が搭載されているなら、そちらも使用してみてください」
フィルターの自動お掃除機能で集められたホコリを捨てる
「自動排出方式でないモデルの場合は、ダストボックスにたまったホコリを捨てる必要があります。フィルター掃除が不要になったことで、つい忘れてしまいがちですが、ため込む前に捨てるようにしましょう。このほか、外装パーツも定期的なお手入れを。特に、吸い込み口やルーバーの付近はホコリがたまりやすいので、やわらかい布でから拭きをしましょう」
自動お掃除機能を使いこなして、清潔で快適な毎日を
「エアコンの自動お掃除機能は、運転停止後にスタートすることが一般的」と、田中さん。そのため、「エアコンをオフにしたのにまだ動いている」と思い、勘違いでオフにしてしまうケースもあるそうです。
「せっかくの自動お掃除機能ですから、ぜひとも活用したいところ。利用しないのはもったいないですよね。
暑い盛りやペットを飼っているお宅では24時間つけっぱなしにしているケースもあるかもしれませんが、フィルターのホコリはあっという間にたまってしまいます。自動で運転するのを避けたい場合は、設定した時間にお掃除運転を行う「お掃除タイマー機能」を搭載したメーカーやモデルもあるので、うまく利用してみては。
なお、もしも内部に汚れやカビが付着してしまった場合は、専門業者にクリーニングを依頼するようにしましょう。
エアコンの自動お掃除機能は、お手入れの手間をできるだけ省きたい人にはぴったり。清潔さを保ちながら冷暖房効率を下げず、快適に過ごせるので、エアコン購入を検討しているならぜひ候補に入れてください」
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お掃除機能付きエアコンの仕組みとお手入れ方法についての監修
田中 真紀子(たなか まきこ)
白物家電、美容家電の専門家兼ライターとして活躍。日々発売される新製品をチェックし、製品の紹介記事やレビュー記事を雑誌やweb、新聞などで紹介している。日常的にも話題の新製品を使うことで、ライフスタイルに合わせた選び方や、上手な採り入れ方の提案も行っており、テレビ出演も多数。
※1 室温25℃、湿度70%の試験室(約6畳)にて、エアコン内部にカビ菌を滴下した試験片を設置、1日3時間の冷房運転後に「内部クリーン」運転を動作させ、試験前と4日後のカビ菌の数を比較。試験片のカビ菌(1種類)が、「内部クリーン」運転なし(自然減衰後)から99%除去されたことを確認
2024年8月22日 空気
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