部屋の湿度は40〜60%が目安。快適さを保つ湿度管理のポイント


部屋の湿度についての監修:藤原 千秋(ふじわら ちあき)
ライター:UP LIFE編集部
2025年1月14日
空気
心地良い暮らしを送るために、欠かせないことのひとつが室内の湿度管理。適切な湿度を保っていないと、快適さはもちろん、大切な住まいや家具にダメージが及んでしまうこともあるんです。では、適切な湿度を上手に保つ方法って? 住生活ジャーナリストの藤原千秋さんに聞きました。
室内で快適に過ごせる湿度の目安は40%〜60%

湿度管理の方法をご紹介するにあたって、まずは「適切な湿度って、具体的に何%?」という疑問にお答えしましょう。厚生労働省が定める『建築物環境衛生管理基準』によると、「衛生上良好」な湿度は、40%〜70%と示されています。ちなみに、部屋の温度は18℃〜28℃が基準。
一方、東京都が策定した『健康・快適居住環境の指針』を見てみると、40%〜60%の間が目安とされています。両者は上限に10%の違いがありますが、藤原さんによると「私の体感では、60%と70%で大きな違いはない」のだとか。
「ただ、湿度が高すぎていいことはひとつもないので、個人的には心持ち低めを目指したほうがいいと思います」
では、湿度が低い場合と高い場合では、どのようなデメリットがあるのでしょうか? 具体的に教えてもらいました。
湿度が低すぎるとどうなる?
「湿度が低すぎると、乾燥が気になるほか、静電気が発生しやすくなったり、ホコリが立ちやすくなって吸い込む可能性も高まりますね」
さらに、空気が乾燥すると体感温度が下がるため、同じ室温でも寒く感じやすいというデメリットもあります。
湿度が高すぎるとどうなる?
「それぞれのご家庭の住居環境にもよりますが、湿度が高すぎると結露が発生しやすくなります。さらに、カビやダニの発生リスクも高まるので注意したいですね」
また、湿度が高いときは乾燥時とは反対に、体感温度が上がります。室温が高い時は不快に感じることもあるので、上手に調整しましょう。
子どもにとっての快適な湿度は?
大人と子どもでは、快適な湿度は異なるものなのでしょうか? 厚生労働省が作成した『保育室における感染症対策ガイドライン』によると、保育室環境の目安は湿度60%で、室温は夏なら26℃〜28℃、冬なら20℃〜23℃としています。乳幼児は自分で体温をうまく調節できず、免疫が未発達でもあるので、大人よりも気を配って管理してあげましょう。

部屋の湿度を確認する方法
暑さ・寒さと違って、自分で判断しづらい湿度ですが、湿度計を使えば簡単に確認することができます。藤原さんによると、湿度計を置く場所も考慮が必要なのだそう。
「基本的には、自分が日常的にいる場所に置きましょう。たとえば寝室の場合、ベッドで寝ているならベッドの高さ、ふとんで寝ているなら床に近い位置に。リビングなら座ったときの目の高さに、赤ちゃんが寝ているときならベビーベッドの高さに合わせて置くのが良いですね。
また、エアコンの風が直接当たると、湿度センサーが誤認識する可能性があるので、できるだけ当たらない場所に置くことも大切。同じように加湿機からも離して置くのが基本ですが、加湿機の効果を把握したい場合は近い場所と離した場所に置き、その差を可視化するのも良いと思います」
知れば実践したくなる! 湿度管理を行うメリット
先ほど、湿度が低すぎる、あるいは高すぎるときのデメリットをお伝えしましたが、湿度を管理すればこうした問題を解消できます。
「結露やカビ、ダニの発生を抑制できるというのがひとつ。カビが発生すると、壁、窓といった建具や家具、ふとんなどは大きなダメージを受けますが、適切な湿度管理を行えばこれらの劣化も抑えられます。また、蒸し暑さから汗ばむことも少なくなるし、冬の場合は体感温度を上げられるので、暖房費の節約につながりますね」
乾燥が気になったときに、部屋の湿度を上げる方法
特に乾燥しがちな冬、湿度を上げるには? ここでは手軽にできる方法と、家電を使った方法のふたつをご紹介します。
日常的にできる加湿方法
洗濯物の部屋干しのほか、入浴後に浴室のドアを開けておくのもひとつ。自宅にストーブがある場合は、ストーブの上に水を入れたやかんを置くのも良いでしょう。
「このほか、室内で鍋料理をするという方法も。また、人の呼気には意外と水分が含まれているので、人が多い部屋は湿度が上がりやすくなります」
家電を使った効率的な加湿
より効率良く湿度管理を行うなら、加湿できる家電を使うのがオススメです。加湿機のほか、加湿機能を搭載した空気清浄機や次亜塩素酸 空間除菌脱臭機『ジアイーノ』などを活用しましょう。さらに、パナソニックのエアコン『エオリア』の一部モデルには、外気に含まれる水分を利用する加湿機能が搭載されています。給水の手間がいらないので、手軽に加湿したい方はぜひ検討してください。
「水を使用する家電の場合は、放っておくとカビが発生したり、菌が繁殖したりするリスクが高まるためお手入れも欠かさずに。ちなみに、ジアイーノは本体内部のトレー内のぬめりの原因菌も除菌※してくれるんですよ」
※約2ヵ月間運転したトレー水に菌を投入した、約3時間後の効果です。

梅雨や夏場に活用したい、部屋の湿度を下げる方法
ジメジメしていると感じたとき、蒸し暑いときなど、湿度を下げたいときに実践したい方法がこちら。日常的にできる方法と、家電を使った方法のふたつをまとめました。
日常的にできる除湿方法
室内にこもった湿気は、定期的に換気をすることで逃がせます。24時間換気システムは常時稼働させたうえで、窓を開けての換気も併行しましょう。また、通気性を高めることも大切です。たとえば家具なら、風の流れを妨げないように配置する、壁から少し離して置く、足付きの家具を選ぶといったことを意識して。さらに、押し入れやクローゼットに湿気がこもらないよう、時々は開けておいたり、風を当てたりするほか、市販の除湿剤を置くのもオススメです。
「室内に比べて外気のほうが乾燥しているときは、換気が効果的。窓やドアなどを2か所以上開けたり、窓が1か所だけの場合は換気扇を併用したりして、5分〜10分間、空気を入れ替えましょう。なお、市販の除湿剤が効果を発揮するのは、クローゼットや押し入れといった狭い空間のみ。部屋全体の除湿はできないので、留意してください」
家電を使った効果的な除湿
サーキュレーターを使うことで空気が循環し、湿気の停滞を解消することができます。また、部屋の湿度を効率良く下げるなら、除湿機やエアコンの除湿機能を利用するのも良いでしょう。
「部屋の隅や狭い場所のほか、外気に近く気温が低くなりやすい壁や窓の近くなど、湿気が溜まりやすくなります。こうした湿度ムラを解消するのは、サーキュレーター。このほか、エアコンや空気清浄機のように、風を送る家電も室内の空気循環に役立ちます。また、除湿機は湿気が溜まりやすい場所に置くのが効果的。迷った場合は窓の近くがオススメですが、直射日光が当たる場所は避け、カーテンなどで吸込口や吹き出し口をふさがないように注意しましょう」

加湿機、除湿機……湿度管理ができる家電製品の選び方
ひと言で湿度管理ができる家電と言っても、方式や能力などは家電によってさまざま。どのような違いがあるのか、それぞれの家電を見てみましょう。
加湿機の加湿方式は4タイプ
超音波式:
超音波で水から発生させたミスト(霧)を、ファンの風で空気中に放出。ヒーターレスで電気料金があまりかからない反面、お手入れをサボるとカビや細菌を繁殖させる可能性があるため注意が必要です。
気化式:
水を含ませたフィルターにファンで風を当て、気化した水蒸気を放出。雑菌がでにくく、ヒーターを搭載していないため電気料金もかなり抑えられます。
スチーム式(加熱式):
水を加熱して発生させた水蒸気をファンで空中に放出。加湿能力が高く、水を沸騰させることで菌が繁殖しにくいのがメリットですが、ヒーターの搭載で電気料金が高くなりがちなほか、蒸気が高温になるためやけどに注意が必要。
ハイブリッド式(加熱気化式):
ヒーターとファンで温風をつくり、フィルターに含まれた水分を気化して放出するタイプ。雑菌の放出が抑えられる一方で、ヒーターを搭載していて消費電力が大きくなります。本体価格も高め。
除湿機はパナソニック独自方式も含む4タイプ
コンプレッサー方式:
空気を冷却するとで水に変化させ水分を除去します。ヒーターレスのため、消費電力が低い一方で、気温が低い時期は除湿能力が低下するというデメリットも。
デシカント方式:
取り込んだ水分を乾燥剤に吸わせ、ヒーターで暖めて取り除くタイプ。電気料金は高くなりますが、低温時でも除湿能力が落ちません。室温が上がるため、寒い季節の使用に向いています。
ハイブリッド方式:
気温に応じて、コンプレッサー方式とデシカント方式を使い分けるタイプ。1年を通じて電気代を抑えながら、高い除湿能力をキープできます。本体価格は高め。
エコ・ハイブリッド方式(パナソニック独自の新方式):
コンプレッサー方式と空冷除湿方式という、ふたつの冷却機構を備えた省エネタイプ。室温に応じて風量のバランスをとることで、1年を通じて効果を発揮。ただし、気温の低い時期は除湿能力が少し低下します。
湿度を快適にコントロールして、健康的な暮らしを送ろう

「湿度の高低って、私たちのフィジカルだけでなく、メンタルにも影響を及ぼすと思います」と、藤原さん。確かに、ジメジメしていて気分がすっきりしない、あるいは乾燥しすぎで肌がカサカサしたり、静電気の発生にドキッとしたり……なんてことは、多くの人が経験していることでしょう。
「だからこそ、湿度管理は大切なんです。ここで肝心なのは、自分が快適と感じる温度と湿度を把握しておくこと。その空気環境に近付けることでQOLが上がり、自分の機嫌もとれるんじゃないかと思います。何となく“不快だな”と感じたら我慢するのではなく、加湿機や除湿機、エアコンなどを上手に使って、コンディションを整えてみてはいかがでしょうか?」
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部屋の湿度についての監修

藤原 千秋(ふじわら ちあき)
主に住まい・暮らしまわりの記事を専門に執筆して20余年。現在はライティングの傍ら監修、企画、広告、アドバイザリーなどの業務に携わる。プライベートでは三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など著書監修、マスコミ出演多数。総合情報サイト『All About』家事・掃除・子育てガイド。
2025年1月14日 空気
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