産後の筋トレはいつから?おしりと骨盤まわりを鍛える!産後半年からのおしりケア
監修:山崎 愛美(やまさき かなみ)
ライター:UP LIFE編集部
2024年6月20日
健康
産後半年は、育児にも慣れて生活が落ち着いてくる頃。しかし、この時期に腰痛や肩こりなどに悩まされるママも多いといいます。産後半年以降の身体の痛みケアについて、理学療法士の山崎愛美先生にお聞きしました!
産後半年も経つのに、まだ腰痛や尿もれが…?この時期の身体の様子
産後の生活にも慣れ、落ち着きを取り戻しつつある産後半年。この時期は、骨盤まわりの筋肉が元の状態に回復する時期だといいます。
「出産から半年以上経つと、骨盤をゆるませるホルモンの影響が無くなり、膣の筋肉をはじめとしたインナーマッスルが回復、腰痛や尿もれも減少していきます。産後、尿もれだけでなく膣からの湯のもれや空気もれを経験した方々も、少しずつ良くなるタイミングといえます」と山崎先生。
しかし実際は、産後半年を過ぎても腰痛や尿もれなどが続いて、生活に支障が出ている場合も多いそう。
身体のバランスに影響を与える、赤ちゃんの重み
「ご自身の身体の状態だけでなく、お子さんも大きくなってくるのが産後半年頃。小さかった赤ちゃんも、7〜8kgほどになります。抱っこ姿勢が続きますし、お出かけには慣れてはきますが、抱っこひもでの移動が多く身体への影響も大きい時なのです」
山崎先生によると、骨盤に引っ掛けるような抱っこも筋肉や骨盤のバランスを乱すといいます。またそこから肩こりや関節痛などが引き起こされる可能性も。
以前ご紹介した産後の回復に効く「骨盤ケア」とは?ポイントは筋肉をほぐすこと!の記事では、骨盤内のインナーマッスルのケアをご紹介しましたが、産後半年以降はさらに踏み込み、より外側の筋肉にアプローチしていくのがおすすめです。
妊娠・出産で伸びた筋肉を戻していく!この時期にアウターマッスルをケアした方がいいワケ
妊娠と出産で、骨盤まわりの筋肉は引き伸ばされた状態にあると話す山崎先生。
「骨盤を含むお腹まわりの筋肉と、その筋肉を包んでいる筋膜が伸ばされたり、負担がかかることで血流が悪化した状態になります。このような状態が長く続くと筋・筋膜性疼痛が引き起こされる場合も。さらに育児中の無理な姿勢で、骨盤を支える筋肉が硬くなることもあります。このような場合は骨盤底筋などのインナーマッスルに加え、外側のアウターマッスルもほぐしてケアしていくことが大切です」
たすき掛け状の筋スリングに注目!
ここでいうアウターマッスルを含めた筋肉とは、どのような役割を持つものでしょうか?
「お腹側であれば、片方の脇腹の腹斜筋から逆側の内腿にかかる内転筋、背中側であれば片方の広背筋から逆側の大殿筋にかかる部分が大事です。これらはお腹と背中をたすき掛けするように配置された筋スリングと呼ばれ、前後から身体の中心にある骨盤を守る筋肉です。筋スリングが正しく機能すると、育児中に無理な姿勢があっても疲れにくくなります」
筋肉はやわらかく、しなりが効く状態がベスト!
また、アウターマッスルの中でも妊娠中に影響を受ける腹斜筋などを鍛えると、抱っこが続いても疲れにくくなるそう。
「筋肉の強さも必要ですが、そもそもの筋肉の質として、やわらかくしなりが効くことが大事。そういった筋肉に囲まれることで、骨盤もより安定的な状態にキープされます」
産後に大事なのは、おしりと骨盤まわりの筋肉!積極的なトレーニングで妊娠前の身体を目指す!
産後半年以降のアウターマッスルにも働きかける筋トレは、どのように行えばよいのでしょうか?
山崎先生に聞くと、筋トレに入る前におしりや骨盤まわり、そして全身に働きかけるストレッチをして筋肉を柔らかくほぐすことが大事だそう。
「いきなり筋トレではなく、まずは筋肉をほぐすために、以下のプチストレッチからはじめてみましょう。いずれも生活の中に組み込んで、何かの動作のついでに行うのがおすすめです」
- プチストレッチ1
座った姿勢で足を組み、片側の肘を天井に向かって上げたまま逆側の腕の方に身体を倒す。逆も同様に行う
- プチストレッチ2
仰向けになり片方の膝を曲げたまま、もう片方の足側に倒す。逆も同様に行う
- プチストレッチ3
仰向けになりあぐらのように足を組みながら、下になった足の膝裏を両手で引き寄せる。逆も同様に行う
「プチストレッチは、いずれも1日1回、1分ほどでOK。わざわざ時間を作って行うというよりも、生活のルーティーンに組み込んでしまうのがおすすめです。例えば赤ちゃんと遊ぶために床に座ったらついでに伸びるストレッチ、仰向けになるストレッチは添い寝の際に行うなど工夫してみてください」
おしりをほぐせるマッサージ器を使う手も
なかなかうまく生活に組み込めない場合は、マッサージ器を使うのも良し。おしりをほぐして血行促進ができるものがおすすめです。
アウターマッスルを鍛えるトレーニング
- ステップ1
仰向けなり、息を吐きながら交互の手と足をタッチする。逆も同様に行う
- ステップ2
四つん這いになり、息を吐きながら、交互の手と足を同時に上げる。この時膝は曲げながら行う。逆も同様に行う
上記はいずれも1日10回ほどが目安です。
おしりをほぐして、効果的なトレーニングにつなげよう!
「おしりや骨盤まわりのケアは、妊娠前の体型やコンディションを取り戻す上でとても大切です。ふだん、これらのパーツの重要性にはなかなか気づきにくいかもしれません。自分の状態を知って、意識するためにも、まずはおしりの筋肉を触って状態の確認を。硬さがある場合には、プチストレッチやマッサージ器でよくほぐし、トレーニングをしてください。
また、産後のケアが更年期の体調など、未来の健康につながることもあります。一度出産したらいわばずっと産後なので、ケアも継続していくことをおすすめします!」
監修
山崎 愛美(やまさき かなみ)
理学療法士。産後リハビリテーション研究会代表。海外で行われている産前産後の母親に対するリハビリテーションに感銘を受け、医療職に向けた産前産後の母体へのリハビリを提案する「産後リハビリテーション研究会」を立ち上げる。川崎市を拠点とする「Women’s Body Labo」も主宰。「理学療法士のためのウィメンズ・ヘルス運動療法」(医歯薬出版)の執筆や、「たまごクラブ」(ベネッセコーポレーション)の監修も。
2024年6月20日 健康
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