口臭予防は、歯みがき+舌みがきで対策を楽しさをプラスして、歯みがき時間をリフレッシュタイムに!

監修:遠藤 けい子(えんどう けいこ)
ライター:UP LIFE編集部
2024年10月2日
健康

口からイヤな臭いがしているかも…?誰もが感じたことがある口臭の不安ですが、実際に検査すると治療が必要な口臭がある方はそれほど多くないといいます。今回は口臭の実態と、予防のためのセルフオーラルケアについて歯科医の遠藤けい子先生にお聞きしました!

マスク生活で増えた?口臭が気になる人の現状

写真:マスクを着けている女性

口臭の悩みは以前からありましたが、コロナ禍のマスク生活をはさみ、より敏感になっている方も多いかもしれません。遠藤先生に聞くと、マスクをすることで自分の口臭に気づく方が増えたそうです。

日本人の約9割が悩んでいる?

「「口臭白書2019」によると、自分の口臭が気になったことがある人の割合は、実に9割だそう。他人の口臭が気になるシチュエーションで最も多いのは仕事の打ち合わせで約7割、デート中が約3割です。特に30代の女性の約半数はデート中に相手の口臭が気になっているというデータも。私のクリニックでも、年齢や性別に関係なく口臭を気にしている患者さんはいらっしゃいます。口臭は他人に与える影響が大きいからかもしれません」

口臭とマスクの関係については、マスクの中で自分の息をクサく感じたり、くしゃみなどでマスクに唾液がつくことで、口臭を実感される人が多いそう。
「東京医科歯科大学病院・息さわやか外来の有冨理左先生は、マスク生活で口臭に敏感になる人が増えたとおっしゃっていました。マスクをしていると息苦しいので、口を開けてしまうことが多いですよね。口を開けていると唾液の量が少なくなり、口臭を引き起こす菌が増えてしまい、より口臭が強くなります。また、マスクは汚れやすいので、使用する時は常に清潔なものを使ってください」と遠藤先生。

歯周病以外にもある!口臭の原因

遠藤先生は、“口臭がゼロの人は、そもそもいない“と話します。

「たとえば焼肉を食べてにおう口臭というのは、ニンニクやネギなどの食べ物の匂いです。食べた物と関係なく、他人に不快感を抱かれやすいのが口臭ですが、当の本人は気づかないことも多いですね。

 口臭の原因は大きくわけると2つ。歯周病がもとになる病的口臭と、それ以外の生理的口臭です。病的口臭をなくすには、セルフケアはもちろん、歯科医院での歯周病治療が必ず必要です。
生理的口臭は、起床時や空腹時、ストレスがかかった時に強くなるタイプの口臭ですね。こちらはセルフケアで口臭を減らすことができます。でも生理的口臭は、多かれ少なかれ誰にでもあるものなんです。気にし過ぎる必要はないですよ」

よく聞く肝機能の低下や糖尿病などの内臓疾患が原因の口臭は、全体の1%に満たないといいます。

メンタル面での不調で口臭が出る?

遠藤先生いわく、精神的なストレスがかかると自律神経に影響して、唾液の量が減るそう。
「唾液が減れば歯周病に関係する菌が増えます。オーラルケアで歯周病リスクを抑えると同時に、ストレスに対するケアも大切ですね」

それでは自分で口臭の度合いをチェックすることはできるのでしょうか?

口臭をセルフチェック!歯間&歯周ポケットケアと舌みがきで口臭を予防

写真:舌みがきをしている女性

口臭のセルフチェックはできます!と遠藤先生。
さっそく以下の項目を見ていきましょう。

当てはまる項目が多い人ほど、口臭の可能性が高い?口臭を自分でチェック!

  • 1日1回しか歯磨きをしない
  • 入れ歯がある場合、適切に掃除をしていない
  • 歯間ブラシやフロスなどを使わない
  • 白っぽい汚れが舌についている
  • 歯石が多くできている
  • グラグラする歯がある
  • 歯茎を押すと膿が出る
  • 歯茎から血が出る
  • お酒をよく飲む
  • たばこを吸う
  • 朝ごはんを食べない
  • 香りの強い食べ物をよく食べる
  • 口の中がよく渇く
  • 鼻がつまっている
  • 生活が不規則だ
  • 睡眠不足だ
  • ストレスが多い

いかがでしたでしょうか?
口臭は、お口の中の衛生状態だけでなく、生活習慣にも影響されて出てくることがわかりますよね。

具体的な方法は?口臭の改善と予防のためのセルフケア

口臭予防にはまず、お口の中の清潔を保つことが先決です。

以前の記事「“つもりみがき“にご用心!歯周病を予防・改善する歯みがきとは?」でもご紹介しましたが、うがいで食べかすを流したあとは、歯間ブラシやフロスなどを使って歯間の掃除を。歯間にある歯周ポケットまで歯間ブラシで掃除していきましょう。
再度うがいを行い食べかすを流したあと、歯みがき粉をつけた歯ブラシを歯と歯ぐきのさかい目に斜め45度に当て、みがいていきます。ちょうど歯と歯茎の間にある歯周ポケットにアプローチするイメージで、やさしく歯ブラシを動かしていきましょう。

取り入れたい!口臭予防のための「舌みがき」

さらに追加してほしいのが、「舌みがき」です。
口臭には、舌の汚れである「舌苔(ぜったい)」の掃除が効果抜群です。

「舌はうっすら白いのが通常です。舌苔は細菌などが舌にこびりついたもの。舌を鏡で見たときに真っ白だったり、黄色かったりすれば舌苔が付着しているかもしれません」と遠藤先生。

みがきすぎに要注意!歯も舌もケアはやさしく

舌はとてもやわらかいので、強くみがきすぎるのはNG。鏡の前で舌を思い切り前に出し、水にぬらした舌ブラシで舌苔をこすりとってください。頻度も1日1回、舌苔がたまっている起床時に行うのがおすすめです。

上記のケアはいずれも、強くみがきすぎないよう注意しましょう。
「歯ブラシの音がゴシゴシするようなみがき方は、歯茎がけずれてしまいます。歯も歯間も歯周ポケットや舌も、やさしくていねいにみがきましょう。これらのケアを続けることで、口臭だけでなく虫歯や歯周病の予防にもなりますよ」

口臭対策の方法はいくつも!続けられるセルフオーラルケア

写真:笑顔の女性

セルフオーラルケアは、やり方がわかっても継続が難しい場合もあります。

継続するには、気分転換を取り入れる!

口臭を予防することで、対人関係でも自信を持てるようになる方が多いのですが、なかなか続かないという人もいます。毎日のことなので、飽きが来てしまうのも仕方がないと思います。
そのような方は、オーラルケアの時間を“気分転換の時間“と捉えてみてはいかがでしょう。前述のように、口臭はオーラルケアの状況だけでなく、ストレスにも関係しています。歯みがきを気分転換の時間とすることで、お口のケアだけでなく心も小休憩を取ることができるのではないでしょうか。

また、今はドラッグストアにもオーラルケアのためにさまざまな商品が並んでいます。歯ブラシの形状や用途も多様ですし、ペーストなどはアロマの心地よい香りが楽しめるものなど、気持ちをリフレッシュできるようなものも出ています」と遠藤先生。

自分に合った商品や、自分が好きだと思ったアイテムを取捨選択することで、楽しくケアを続けられるのかもしれません。

やり方の選択肢を持つことで、長く、楽しく行える!

遠藤先生も、“これしかダメ!“という考え方はもったいないと話します。

「セルフオーラルケアは、一度身についてしまえば、しないとかえって気になるもの。あまり難しく考えず、まずはやってみて、自分に合ったやり方を選んでいくのがよいと思います。

また、冒頭でもお伝えしましたが、口臭がゼロの人というのは存在しません。1日の中でも時間帯や体調によって変化するものなので、過度に心配する必要はありません。気になる場合は、かかりつけの歯科医院を受診しましょう。
毎日のケアを楽しく!みなさんのお口の健康を応援しています!」

監修

写真:遠藤 けい子さん

遠藤 けい子(えんどう けいこ)

歯科医師。深沢ガーデン歯科院長。日本口腔インプラント学会、日本歯周病学会、アンチエイジング歯科学会所属。東北大学教育学部を卒業後、社会人経験を経て東京医科歯科大学歯学部歯学科に編入学。小学生の頃、プラークを顕微鏡で覗いた時の衝撃から歯科医師に憧れ、歯学部に学士入学した。卒業後は、同大学附属病院で研修を積んだのち、都内歯科クリニックに勤務。2021年、世田谷区にクリニックを開院。むし歯だけでなく、デンタルケアの相談など、歯のお悩み全般に対する専門知識とわかりやすい説明で定評を得ている。

2024年10月2日 健康

  • 記事の内容や商品の情報は掲載当時のものです。掲載時のものから情報が異なることがありますのであらかじめご了承ください。