寒暖差が自律神経に影響する!専門医に聞いた「寒暖差疲労」とセルフケア


監修:久手堅 司(くでけん つかさ)
ライター:UP LIFE編集部
2025年3月3日
健康
1日の気温差が開くことで起こる「寒暖差疲労」。春先の倦怠感や不調は、寒暖差疲労のせいかもしれません。今回は季節の変わり目に増える寒暖差疲労について、せたがや内科・神経内科クリニック院長の久手堅司先生にお聞きしました。
「寒暖差疲労」って何?どんな症状?倦怠感や心身の不調などを起こす寒暖差疲労の原因とは

最近耳にすることが多くなった「寒暖差疲労」。文字通り、気温の差が激しいときに起こる心身の不調のことですが、実際はどのような症状なのでしょうか?
幅が広い!寒暖差疲労の症状
「寒暖差疲労の症状には、倦怠感や頭痛、首や肩のコリ、動悸、冷えやほてり、不眠、鼻水や咳を伴ったアレルギー症状などがあります。メンタルの不調も含まれますね。気象病と似ていますが、寒暖差疲労は気温差で起こります。急に暑くなったり寒くなったりなど、1日の気温差が7度近く開くときは要注意ですね」と久手堅先生。
症状にくり返し悩まされると、小さな温度差でも症状が出てしまうそう。
また、どちらかといえば女性が多く、運動習慣が無くなる20代〜50代の方が発症することが多いという特徴があります。
主な原因は自律神経の乱れ
「運動不足の人や生活リズムが崩れている人も注意が必要です。精神的なストレスも要因になりますが、寒暖差疲労の根底には“自律神経の乱れ”があるのです」と久手堅先生。
体温や血流などを一定に保つために働くのが自律神経ですが、何らかの影響でその自律神経が乱れると血行が悪くなり、寒暖差疲労が出やすくなります。
「胃腸の調子が悪かったり、慢性的な首・肩こりなどが原因で睡眠の質が落ちている場合にも注意しましょう。そこに寒暖差が加われば、あっという間に発症してしまうこともあるのです」と久手堅先生。
私もそうかも?!「寒暖差疲労チェックリスト」で確認!

寒暖差疲労には倦怠感や頭痛など、他の疾病に当てはまる症状が多いため、自分が寒暖差疲労に当たるかわからない場合も多いはず。そんな時に活用したいのが、寒暖差疲労にかかりやすい人がわかる「チェックシート」です。
以下のチェックシートを確認してみましょう。
寒暖差疲労チェックシート
- 暑さや寒さ、冷房や暖房が苦手
- 周りの人が暑がっていても自分だけ寒く感じることがある
- 顔や全身がほてりやすい
- 冬のはじめや春先などの1日の気温差が大きい日に、頭痛や肩こり、めまいやだるさ、関節痛や喘息、下痢などの様々な症状が出る
- 熱中症、あるいは近い状態になったことがある
- 季節の変わり目に体調不良が起きやすい
- 冷え性である
- 温度が一定のオフィスや自宅にいる時間が長い
- 身体がむくみやすく、代謝が悪い
- PCやスマートフォンを見ている時間が1日4時間以上ある
当てはまる項目が多いほど寒暖差疲労の可能性
上記のチェックリストに1つでも当てはまれば、寒暖差疲労の可能性があります。1〜3個の該当で軽症、4〜6個で中等症、7個以上だとかなり症状がつらい状態かもしれません。
専門医が教える!寒暖差疲労を乗り切るセルフケア

では症状のある方は、どのように予防や対処をすればよいのでしょうか?
久手堅先生によると寒暖差疲労には自律神経を整え、血行を促進することが重要で、すきま時間でこまめにできるセルフケアを取り入れるのがおすすめだそう。
すぐにできる!寒暖差疲労を予防&軽減させるセルフケア
1.冷えと暑さ対策を行う
寒暖差に対処するため、体温調節しやすい服装を意識する

「首元は冷えやすいためネックウォーマーを使い、就寝時も着用するなど工夫しましょう。お腹や足を冷やさないようにすることも大切です。逆に暑い時は、身体に熱がこもらないよう、服装をこまめに調整するとよいでしょう」
2.呼吸を整える
鼻から3秒かけてゆっくり吸い、一度軽く息を止め、今度はゆっくり6秒かけて吐き出す

「自律神経に直接働きかけることができるのは、呼吸だけ。1日1回でも呼吸を整える時間をつくりましょう。デスクワーク中にそっと目を閉じて呼吸を整えると、自律神経はもちろん気持ちもリセットできます!」
3.タオルでストレッチ
タオルの両端を持ち、後頭部を包んでゆっくりと斜め上へ引き、30秒キープ。同じように今度は斜め下へタオルを引き、30秒キープする

「タオルで行う首のストレッチは心地良く、身体全体があたたまります。これの応用版が脇下ストレッチ。タオルの両端を持って万歳のポーズで両手を後ろへ引いたり、ひじを伸ばしたまま左右へ身体をふることで、脇下も伸びて血行が良くなります。血行が良くなれば、寒暖差疲労で重だるくなった首肩まわりや頭がスッキリしてくるはずです」
その他、こめかみを軽く押してマッサージしたり、耳を引っ張ったり揉むのもおすすめ!
上記の3つのケアは、行う順番やタイミングなどに決まりはありません。心地よく感じる回数でよいのではじめてみましょう。
疲労の入口に気づきセルフケアを行えば、症状は軽減する!
「近年は気候の予想がしづらくなり、天気も一定ではなくなりました。寒暖差疲労の方は、こういった環境の変化に少しずつ慣れていくことが大切です。また、寒暖差疲労の入口に立った時に、自分で気がつくことも大事。気づいた時からセルフケアをはじめることで、必ず軽減できますから。朝、目覚めた時に身体が重かったり疲れを感じたら、それは寒暖差疲労の入口です。セルフケアを習慣にして、倦怠感や痛みから自分の身体を解放しましょう。そうすれば、生活や仕事の質はまちがいなく上がるはずです!」
監修

久手堅 司(くでけん つかさ)
せたがや内科・神経内科クリニック院長。東邦大学医学部卒業後、同大学付属病院などに勤務。天候の変化によって生じる気象病に着目し、クリニックでは「気象病・天気病外来」を設置、さまざまな患者の悩みに対応している。そのほか情報番組や雑誌などで、気象病をはじめとしたコンテンツの監修なども担当。著書に「気象病ハンドブック」(誠文堂新光社)、また、監修書に「面白いほどわかる自律神経の新常識」(宝島社)がある。
2025年3月3日 健康
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