更年期とは?症状がわかりにくい更年期障害のサインに気づく方法
監修:里井 映利(さとい えり)
ライター:UP LIFE編集部
2025年8月1日
健康
多くの人が経験する更年期障害。症状やメカニズムはわかっても、更年期障害と気づかず過ごしてしまったり、気のせいだと我慢してしまう人も多いといいます。今回は、更年期障害と向き合う上で大事な視点と対策を「戸越銀座レディースクリニック」院長の里井映利先生にお聞きしました。
もの忘れも?更年期障害の意外な症状
更年期障害の症状はたくさんありますが、人によって不快感が異なったり、感じ方の度合いが違い、すぐさま更年期障害と気づかない方も多くいるといいます。
年のせいだと勘違い!もの忘れも更年期障害の可能性
「意外かもしれませんが、更年期障害の症状には“もの忘れ”もあります。医学部の教科書にも書いてあるほど有名なのですが、もの忘れだけだと、まず更年期障害だとは思わないでしょう。しかし、更年期障害によるもの忘れは、そのまま認知症につながるケースもあるんです」と里井先生。
リウマチと勘違いすることも
それ以外にも多い更年期障害の意外な症状が、関節痛です。
「年代的にリウマチも発症しやすいタイミングなので、更年期障害の症状としては認知されにくいかもしれません。手のむくみや手指のしびれなどで整形外科に行ってもリウマチではなかったと言われた人は、実は更年期障害だったということもあります」
ただでさえ、症状の種類が多い更年期障害。一説によると100種以上の症状があるといわれていますが、それだけに判別しにくいことも更年期障害の厄介なところかもしれません。
他の病気との鑑別が大事
「関節が痛む人はもちろん、気分の落ち込みがある方、動悸がする方などは、ほかの病気との鑑別のために、整形外科や心療内科、循環器科の診察をお勧めすることもあります」と里井先生。
いつからはじまる?更年期は基礎体温で知ることができる
更年期障害には個人差が大きいという話も。症状が多彩であることも理由の1つですが、里井先生によると症状の感じ方のちがいが大きいことが個人差につながるといいます。
個人差大!感受性のちがいで更年期障害に気づかない人も
「人によって感受性のちがいがあるので、更年期に入ってもまったく症状を感じない人もいます。あとは、精神面の変化だけに留まっている人も更年期障害と気づきにくいかもしれません。もともと鬱傾向のある方や生真面目な方は、更年期障害として気分の落ち込みが出ることが多いです」
ストレスフルな環境が、症状を悪化させる?
里井先生によると、更年期障害はPMSの不調の出方と似ているところがあるそう。
「特に精神面への影響が似ているような気がします。生理前に落ち込みやすい人は、更年期でも気分が沈むといったことが多いですね。もっとも、更年期障害は人間関係といった環境要因もあるといわれているので、ストレスフルな環境にいる方は要注意です」
それでは、更年期に気づくヒントや考え方はあるのでしょうか?
基礎体温から、更年期のはじまりを知る!
更年期の兆候に気づくには、基礎体温の計測が役に立ちます。
「ずっと基礎体温をつけている人は、それがヒントになるかもしれません。更年期がはじまると、基礎体温の波形が崩れてきます。更年期のはじまりはホルモンのバランスが崩れ高温期の立ち上がりが遅れたり、急に下がったりすることがあります。そのまま女性ホルモンが出なくなれば、排卵も無くなり高温期が見られなくなります。今まで2層に別れていたグラフが徐々に一層になっていきますね」
基礎体温を知ることは、女性の多くのライフステージでメリットが大きいのです。
専門家への相談と規則正しい生活、更年期障害と向き合うために必要なこと
更年期障害の症状を自覚した場合、早い段階での医療機関への相談をおすすめすると話す里井先生。その理由は、クリニックに来る患者さんがすでに生活での困りごとを抱えている場合が多いからだそう。
おかしいな?と思ったら、一度相談を
「クリニックにくる患者さんは、すでに症状が重くなって生活に支障が出ていたり、人間関係に問題が起きて足を運ぶ方がほとんどです。症状の出方によって更年期障害と気づかないケースもありますが、おかしいなと思ったら生活が回らなくなる前に相談されるのが一番だと思います」
上記以外に、生活の中でできる更年期障害の対処法は?
生活の中でできる更年期障害の対処法
「即効性が高いのは医療機関で行うホルモン治療ですが、漢方やサプリメントもあります。更年期に効果的なサプリメントは大豆からできているので、大豆成分を摂るのもおすすめです。
日常生活では、暴飲暴食を避け、お酒やタバコも控えていただいた方がよいですね。あとは運動。1週間に90分以上、理想は150分以上が推奨されます。内容は、無理のない有酸素運動でOKですよ。
また、マッサージなどで血流を促し血の巡りを良くすることができれば、肩こりなどの更年期の症状を一時的に改善させる可能性はあると思います」
里井先生は、更年期障害と向き合うことで自分らしく過ごせるようになると話します。
更年期障害は医学的に証明された症状
「最後にお伝えしたいのは、更年期障害は、気のせいではありません。医学的に証明された症状です。
そして残念なことに、クリニックに来てもなかなか症状が改善しない方もいます。そういう方の中には、周囲に理解が無いケースもありそうです。更年期障害は、男性も含め、誰にでも起こりうるもの。だからこそ、気軽に医師に相談し、毎日の生活を整え、生活の質を上げられるとよいと思います!」
監修
里井 映利(さとい えり)
医師、戸越銀座レディースクリニック院長。日本医科大学医学部卒業後、日本医科大学附属病院、都内周産期センターや総合病院で研鑽を積む。厚生中央病院の産婦人科医として活躍したのち、2024年に思春期から更年期後まで、全てのライフステージの女性の健康を支える「戸越銀座レディースクリニック」を開院。SNSを通して、婦人科系の症状や対策などについても紹介している。
2025年8月1日 健康
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