【専門医が解説】心身の状態を予想できる基礎体温は思春期からつけるのがおすすめ!〜測り方も解説〜
監修:宮沢 あゆみ(みやざわ あゆみ)
ライター:UP LIFE編集部
2025年9月11日
健康
決まった時間、しかも起床直後の計測が必要な「基礎体温」。でもついうっかりつけ忘れてしまう…。基礎体温の計測を習慣化することに、ハードルを感じる方もいるかもしれません。しかし基礎体温の記録からは、生涯にわたりホルモンの影響を受ける女性にとって大切なことが見えてくるのも事実です。今回は、基礎体温の有用性について「あゆみクリニック」の宮沢あゆみ先生にお話をお聞きしました。
基礎体温ってなに?測るとわかること
宮沢先生に聞くと、基礎体温とは「人の生命維持に必要な最小限のエネルギーをつかっている時の体温」だそう。基礎体温が起床後、寝たままの状態で測る理由はそこにあります。
基礎体温から見えてくるもの
「起床時の安静を保った状態で測った基礎体温の変化を見ると、実にいろいろなことがわかります。ひと月単位で揺れ動く女性ホルモンの変化をはじめ、月経間隔、排卵期や妊娠しやすい時期もわかりますし、数ヶ月分の記録があれば疾患の早期発見につながることもあります」
基礎体温表は自分の「体調日記」になる
また、女性ホルモンの変化による心身の不調がわかり、自身の体調の波を知るきっかけにもなります。さらに記録をしっかり取っておけば、大切な試験や旅行などのイベントと月経が重ならないよう調整することも可能です。
「基礎体温の記録は、日常生活を見直すきっかけになるはず。基礎体温をつけて自分の体調がわかれば、規則正しい生活習慣への意識も自然と高まっていきます」と宮沢先生。
慣れれば簡単!心身の状態を知ることができる
また宮沢先生いわく、基礎体温は慣れてしまえば簡単に心身の状態について情報整理ができるツールだと話します。
「基礎体温表は心身の状態を知るバロメータになります。医療機関にかからなくても心身の状態をモニタリングできる優れたツールだと思いますよ」
では、この基礎体温はいつからつけはじめるのがよいのでしょうか?
世間では、妊活のためにつけている人が多いイメージですが…。
初潮(初経)をむかえたらスタート!基礎体温の正しいつけ方・測り方
実はこの基礎体温、いつから記録するのがよいのかあまり知られていないかもしれません。宮沢先生は、初経がはじまったら記録もスタートしてほしいと話します。
ホルモン分泌が不安定な初経後の時期
「初経後は女性ホルモンの分泌が不安定なため、月経が同じスパンで来ないことも多いのです。そういう時に基礎体温をつければ、女性ホルモンの状態がわかりますし、記録を続ければ次の月経がどのようなタイミングで来るのか予測することも可能です」
それでは実際に、基礎体温の正しい測り方と記録の方法をみていきましょう。
基礎体温の正しい測り方
- 基礎体温計を寝床から手を伸ばして取れる場所に置き、就寝する
- 起床後、寝床から起き上がらず寝たままの状態で、体温計をとる
- 舌の裏奥に基礎体温計を入れ、口を閉じる
- 身体を動かさず、計測が終わるまで待つ
- 計測後、基礎体温表に記録する
基礎体温記録の注意点
ポイントは、寝床から起きずに計測することと、測るだけではなく記録をしっかりつけてグラフにすることの2点。
計測を忘れてしまった日は空欄にし、イライラや下腹部痛などの症状がある場合は、記入しておきましょう。成人女性の場合は、前日に飲酒をしていると体温が高めになります。また、未成年でも風邪などの体調不良や疲労、服薬などで基礎体温は変化するので、ふだんと変わった状態があれば備考欄に記録しましょう。基礎体温を測る時刻を毎日一定にすることも重要です。計測時間はなるべく前後1時間程度のずれに抑えるようにしましょう。
3ヶ月分以上のデータが、診断の手がかりとなることも
「基礎体温の記録は、初経を迎えた頃のお子さんには難しい部分があるかもしれません。最初は保護者が記録を手伝ってあげるのがよいと思います。1ヶ月もつければお子さんも要領を得ると思います。また医療機関を受診する際は、最低3ヶ月分の記録をお持ちいただけると診断の大きなヒントになります。疾患や症状によっては、採血やエコーのデータがなくても基礎体温の流れを見て大体の見当をつけることができる場合も。それほど基礎体温は体調を映す鏡なのです」
基礎体温を記録して、心身ともに元気に過ごそう
基礎体温を毎日つけることは、ハードルが高いのも事実。それでも宮沢先生は、この基礎体温がのちの妊娠の手助けにもなる以上、早くから習慣化するのがおすすめだと話します。
将来の不妊も回避できるかもしれない
「若い頃から基礎体温をつけて、必要に応じて医療機関にもかかることで、妊娠に関わる排卵障害なども把握することができます。なるべく早い段階でそういった自分の身体の状態を知ることで、不妊なども回避できます。早ければ初経後、その時期を逃してもはじめられる時からぜひスタートしてほしいですね」
若い頃は妊娠や出産などは想像しにくいかもしれません。しかしこれらは叶う時期が限定されてしまうのも事実です。
基礎体温を人生設計の青写真にしよう
「だからこそ初経後の早い時期から基礎体温を測り、自分の身体を知っていただきたい。基礎体温の計測は慣れてしまえば手軽にできます。想像力を働かせて、自分の身体の大切さを早い段階で理解する。それが未来の自分への投資になるはずですから」
監修
宮沢 あゆみ(みやざわ あゆみ)
医師、ジャーナリスト、あゆみクリニック院長。早稲田大学第一文学部を卒業後TBSに入社し、報道局政治経済部初の女性記者として総理官邸、国会等の取材に従事。その後、国際情勢やバルセロナオリンピックなども担当した。母を癌で亡くしたことから東海大学医学部に学士編入学、New York Medical Collegeなどにも留学。卒業後は三井記念病院をはじめ離島医療を経て、2003年「あゆみクリニック」を開業。地域医療に力を入れるかたわら、新聞や雑誌をはじめとしたさまざまなメディアの取材にも対応しながら、女性のヘルスケアについての啓発活動を積極的に続けている。
2025年9月11日 健康
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