【専門家が解説】自律神経のバランスを整え、免疫力を高める方法とは。ヨガとアロマでできる毎日のセルフケア

自律神経のバランスが整えば心身が回復モードに! ストレスや疲労で交感神経が優位になりがちな現代 ヨガやアロマで副交感神経を活性化すると… 回復モードになれば風邪予防になる! 心身が回復モードに!免疫力も上がる! 交感神経 副交感神経 自律神経のバランスが整えば心身が回復モードに! ストレスや疲労で交感神経が優位になりがちな現代 ヨガやアロマで副交感神経を活性化すると… 回復モードになれば風邪予防になる! 心身が回復モードに!免疫力も上がる! 交感神経 副交感神経

監修:枝 伸彦(えだ のぶひこ)
ライター:UP LIFE編集部
2025年11月20日
健康

毎日の健康にとって重要な自律神経のバランス。忙しい生活の中で自律神経のバランスを保つことは、現代に必須のスキルなのかもしれません。今回は自律神経とライフパフォーマンスについて研究する枝伸彦先生に、自律神経のバランスを整える毎日のセルフケアについてお聞きしました。

自律神経のバランスが乱れている人が増えている!?

多忙極まる現代社会。自律神経にはやさしくない印象ですが、案の定、枝先生も現代人を取り巻く環境の難しさを語ります。

交感神経ばかりが活性化する現在の環境

「仕事や人間関係のストレスは当然ですが、過度に情報もあふれています。皆、忙しくて睡眠時間も少ない状況ですから自律神経の中でも興奮を司る交感神経が優位になりやすい時代かもしれません。近年のリモートワークの導入で仕事とプライベートが地続きになってしまった方もいますし、SNSの動画などをずっと見てしまう人も少なくないはず。結果的に、運動不足をはじめとした生活習慣が乱れた状態の方が多いと思います」と枝先生。

ストレスや刺激が多い生活の中では、交感神経にスイッチが入りやすく、心身を落ち着かせる副交感神経に切り替わる隙がないのかもしれません。

枝先生によると、仕事や家事育児などで良いパフォーマンスを発揮し続けるためには、常にコンディションを整えておかなければならないといいます。そのコンディションの根底にあるのが自律神経なのです。

副交感神経が大事!心身を回復モードにしていく

自律神経のバランスを取るには、リラックスや休息を司る「副交感神経」を活性化することで、身体も心も深い回復モードに入ることができるといいます。

副交感神経を優位に活性化させるセルフケア、ヨガとアロマとは?

ヨガをしている様子

自律神経のバランスを保つために注目される副交感神経。この副交感神経を働かせるためには、どのような条件が必要なのでしょうか?枝先生に聞くと、ヨガとアロマがおすすめだそう。

自律神経を整えるヨガの呼吸が、副交感神経に働きかける

「ヨガが副交感神経を活性化する理由の1つに、呼吸があります。ヨガはアーサナと呼ばれるポーズを保ちながら進めますが、その際には必ず呼吸とセットで行います。吸った息を長く、時間をかけて吐く。この呼吸の方法が副交感神経にスイッチを入れます。また呼吸に意識を向けることで、心も落ち着いていきます。実際に私の研究※1ではヨガを実施する前と後でネガティブな心理スコアの改善が認められ、副交感神経活動が増加することがわかりました」

アロマの良い香りが、自律神経の司令塔「視床下部」に働きかける

アロマが効果的なのは、香りが嗅覚から入りダイレクトに脳の視床下部を刺激するからだと枝先生。
「視床下部は自律神経をコントロールする場所ですが、アロマはそこに刺激を入れ副交感神経を活性化していきます。私たちが行った研究※2では、ベルガモットなどの精油を嗅いだあとにストレスホルモンのコルチゾールの分泌が低下したことが確認できました。また、ヨガと同じく免疫力もアップすることがわかっています」

好きな香りを取り入れてリラックスできる時間をつくる

アロマを活用する場合は、まずは好みの香りをさがしてみましょう。
「研究ではラベンダーやベルガモットの香りの場合にリラックス効果が高くなりましたが、個人の好みの問題もあるので、不快だと感じる香りは避けましょう。また、刺激が強い香りや濃すぎる香りもおすすめしません。ふわっと香る、ほのかに香る程度が一番良いです」

毎日のセルフケアにできる呼吸法とヨガについても教えていただきました。

リラックスを呼ぶ!簡単にできるデイリーヨガ

Step1太陽と月の呼吸

  1. 浅く座って、背筋を伸ばす
  2. 右手の人差し指を眉の間に当て、右中指で左の鼻穴をふさいで右からゆっくり息を吸う
  3. 今度は右親指で右の鼻穴をふさいで左からゆっくりと吐く
  4. 左の鼻穴からゆっくり息を吸い、1.の呼吸に戻り2.〜4.を三回ほど繰り返す
Step1を表した図① 人差し指は眉の間に
Step1を表した図② 人差し指は眉の間に

Step2 合せき(がっせき)のポーズ

  1. 仰向けに寝て、ひざを開き足裏同士を合わせる
  2. 両手を頭の上で組み、反対側のひじを軽くつかんで胸を開く
  3. 2.の状態でゆっくりと、3〜5回呼吸する
Step2のポーズを表した図

Step3 ワニのポーズ

  1. 仰向けに寝て、両手で右ひざを胸のほうに引き寄せる
  2. その後、右腕を真横に伸ばし呼吸をしながら右ひざを左に倒す。骨盤を起こすイメージでお腹からねじり、倒していく
  3. ゆっくり呼吸をしながら2.の姿勢を30秒ほど保つ。逆側も同様に行う
Step3のポーズを表した図

ヨガは副交感神経を活性化するポーズなので、寝る前に行うのがおすすめ。ほのかにアロマを焚いて、寝る前のセルフケアルーティンに追加しましょう。

免疫も活性化する!ヨガとアロマで自律神経を整える生活

ヨガとアロマには副交感神経を活性化させることで免疫も強化する効果もあるそう。

風邪予防にも活用できる!自律神経を整えるヨガとアロマのセルフケア

「そもそも強い疲労やストレスは、免疫機能を脆弱にさせます。しかし、ヨガやアロマで副交感神経に働きかけることで、疲労やストレスから解放され、回復に身体のベクトルを移すことができます。また、マッサージでも同じような効果が期待できますよ。インフルエンザや風邪などの予防手段の1つとしてやっていただくのもよいですね。アロマは睡眠の質も上げますから、一石二鳥です」

日々のセルフケアで、コンディションが落ちない身体へ

また「自律神経のバランスを整える=健康を含めた生活の質を保つ」ことだと枝先生は話します。

「パフォーマンスを落とさず、日々良い状態を維持し続ける。一見難しいようですがこれらの鍵になるのが毎日のセルフケアです。1日の終わりなどに、セルフケアで疲れやストレスをリセットできれば、平日だけでなくオフの日も快活に過ごすことができると思います!」

監修

枝 伸彦(えだ のぶひこ)さん

枝 伸彦(えだ のぶひこ)

スポーツ科学博士、獨協医科大学基本医学基盤教育部門健康スポーツ科学講師。早稲田大学スポーツ科学部スポーツ医科学科卒業後、早稲田大学大学院を経て、早稲田大学スポーツ科学学術院にて教鞭を取る。2019年に日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センターの研究員に就任、アスリートのコンディショニングについて研究と支援活動を行う。現在はアスリートだけでなく、一般の方々に向けたライフパフォーマンスの向上に向けた研究や講演などに尽力している。著書(分担執筆)に、「〜ライフパフォーマンスを発揮する!〜ウェルビーイングのためのトータルコンディショニングハンドブック」(大塚製薬株式会社)など。

  1. Eda N, Ito H, Akama T. Beneficial Effects of Yoga Stretching on Salivary Stress Hormones and Parasympathetic Nerve Activity. J Sports Sci Med. 19(4): 695-702, 2020.
  2. 枝 伸彦,伊藤 大永,清水 和弘,赤間 高雄. エッセンシャルオイルによる香り刺激が口腔内免疫能に及ぼす影響についての生理心理学的研究. アロマテラピー学雑誌. 20(3): 28-37, 2019.

2025年11月20日 健康

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