【専門家監修】免疫力を高める方法!自律神経を整える呼吸とは

監修:大貫 崇(おおぬき たかし)
ライター:UP LIFE編集部
2026年3月25日
健康

生涯を通して大切な免疫力。実は呼吸を見直すことで、自律神経が整い免疫力が高まるといわれています。今回は呼吸コンサルタントでアスレティックトレーナーの大貫崇先生にお話をお聞きしました。

なぜ呼吸が大切?呼吸と自律神経の関係・意識するメリット

写真:室内で4人が並んで座り、静かに瞑想を行っている様子。

大貫先生によると、プロのアスリートでさえ適切な呼吸ができていないことがあるそう。

「日本では古来から、禅や武道の世界で呼吸が重視されてきました。みなさん、呼吸が大切なことは想像がつくと思いますが、本能的に行っているのでなかなか意識しづらいかもしれません。でも呼吸の「仕方」を意識的に変えていけば、心身の不調はもちろん、免疫の働きも高まりやすくなると考えられています」と大貫先生。

身体の動作を変え、体調とメンタルを整えるという呼吸。呼吸はなぜ心身に影響をおよぼすのでしょうか?

呼吸が自律神経に作用する理由

まず適切な呼吸は、自律神経に作用します。

「呼吸は自律神経のアクセル(交感神経)とブレーキ(副交感神経)のバランスを整える「切り替えスイッチ」のような役割を果たしています。両者は日中と夜間の切り替えだけでなく、1日の間に何度もスイッチを繰り返し、必要な時に適切に切り替わります。その自律神経のスイッチがうまくいかなくなると疲労がたまったり、心身の安定や回復に影響が出てきます」

慢性痛や不定愁訴を軽減

さらにいえば、自律神経に直接働きかけられるのは呼吸だけだといいます。

「意識的に心拍数を上げたりやホルモンの分泌を行うことは、自律神経が「自律」しているからできませんが、呼吸だけは自分で調整し、自律神経に影響を与えることができます。特に、1分間に6回程度のゆっくりとした呼吸で副交感神経が優位になり、痛みや喘息、炎症、血圧に関連する症状といった不定愁訴にとってポジティブな影響があることがわかっています。また、呼吸の「仕方」を改善すれば、それまで緊張しすぎていた筋肉が頑張らなくてよくなるため、姿勢の改善や、姿勢が原因で起こる腰痛や肩こりといった身体の痛みが変わってくることは私たちの現場でよく見られます」と大貫先生。

自律神経に直接働きかけ、免疫力を高める呼吸とは

写真:室内で両腕を大きく広げ、深呼吸をしながらストレッチをしている様子。

呼吸は免疫機能にも影響をおよぼすと話す大貫先生。いったいどういうメカニズムなのでしょうか?

サラサラ唾液は、免疫力の基盤

「まず考えられるのが免疫の最前線であり、多くの抗菌成分を含む唾液の影響です。唾液がネバネバしていたら交感神経優位の状態、サラサラなら副交感神経優位の状態なのですが、免疫力が高まるのは副交感神経優位のサラサラ唾液の時です。なぜならサラサラしているほうが口内に唾液が行き渡り、菌やウィルスの入り口である口全体をカバーするから。口呼吸の人は口内が乾燥しがちなので、気をつけたほうがいいですね。また緊張やストレスで交感神経が優位になる人は、呼吸数が多くなりがちです。呼吸数が多いということは寝ながらにして走っているようなもので、そういう方は少し歩いただけで口が開いてしまうことが多い。結果的に唾液が口内に広がらず菌やウィルスを防御できいないことがあると考えられます」

さらに大貫先生は、横隔膜の動きが免疫に関係すると話します。

横隔膜が免疫細胞の循環を促す

「身体中に張り巡らされているリンパ液や、リンパ管には免疫細胞がたくさんいます。横隔膜がしっかり動いて呼吸を繰り返すことで、ポンプのようにリンパの流れを促進していますが、普段から息が吐けていない人は横隔膜が充分に動けず、胸管周りの循環が滞る可能性があります。すると免疫細胞の働きにも影響が出てくるかもしれません。」

呼吸が心身にさまざまな影響をおよぼすことはわかりましたが、まず自分の状態がどのようなものか知ることが解決の第一歩です。まずは呼吸数を測り、大まかな自分の状態を把握してみましょう。

-呼吸数の目安とは?自律神経の状態がわかる簡単1分チェック-

やり方は簡単!ふだんの呼吸のまま、1分間の呼吸数を数えるだけ。

1分間の呼吸数は、10〜15回ほどの人が多いと大貫先生。

「医学的には、1分間の呼吸数が12回〜20回であれば問題ないとされています。しかし、目標は1分間に6回の呼吸。ゆっくりとした落ち着いた呼吸が理想です。子どもは大人よりも呼吸数が多いので当てはまりませんが、成人なら前述した回数が深いリラックスを呼び、また心身の調子を整えてくれることがわかっています」

大貫先生は、上記の呼吸(きほんの呼吸)ができるようになれば、たとえ心拍数が上がったとしても速やかにもとの呼吸数に戻すことができると話します。

リラックスする「きほんの呼吸」のやり方

方法は、3秒で吸って、6秒で吐き、3秒息を止める。

上記を1回当たり3分ほど、1日3回行います。すると、開始して5分後には呼吸数が減ってきているのがわかるといいます

きほんの呼吸は、即効性が高い!

「呼吸の改善は効果が出やすいことが魅力の1つです。たとえば駅の階段を登った後でも、きほんの呼吸の習慣があれば、息が戻りやすいはず。呼吸は意識すると戻りやすいので、気づいたときにきほんの呼吸で整えるのも手ですね。

あとは緊張した時に落ち着くためには、きほんの呼吸の息どめを長めにしてみましょう。呼吸が落ち着くことで副交感神経が働き、力を抜いた状態で本来の力が出せるはずです。

また、寝つきが悪い方にも呼吸が役立ちます。ふとんに入ってゆっくり呼吸を繰り返しましょう。きほんの呼吸を繰り返すうちにそのまま寝てしまう人が大半だと思いますが、ひつじの数を数えるよりも呼吸数を意識するのがおすすめですよ!」

きほんの呼吸法をマスターして、心身ともに整える

写真:屋外で腕を前に伸ばし、リラックスしたストレッチをしている様子。

きほんの呼吸ができるようになると、仕事や日常生活のパフォーマンスが下がらないようになるといいます。

慢性痛の軽減やスポーツのパフォーマンス向上などメリットが多い

「免疫力はもちろんですが、呼吸は姿勢とも関係が強いので、腰痛や肩こりをはじめとした身体の痛み全般に良い影響を及ぼします。また、スポーツであればコンディションが上がり、結果が出やすくなります。あるフットサルのプロチームからは、選手の呼吸を整えたことで過去10年間で最もケガが少なくなったという報告も。その他、競技成績の改善など多くに良い影響がありました」

何よりも、呼吸を意識することで自分の状態がわかりやすくなるといいます。

呼吸数の変化から、自分の状態を知ることができる

「わずかな緊張や動揺は、自分のことでもなかなか気づかないかもしれません。しかし、きほんの呼吸を行っている方ならば、自分の呼吸数が上がっていることに気づくはずです。もし、いつもより呼吸数が多く感じれば、きほんの呼吸を行ってみてください。副交感神経が呼び戻され、気持ちを改善していくことができます。

最後に、呼吸はいつでもどこでも何度でもできる優れものです。費用もかかりません。ですので急がず、すっきり吐き出しほしい!身体と心の両方を整えるのが呼吸ですから」

※Fournié C, Chouchou F, Dalleau G, Caderby T, Cabrera Q, Verkindt C. Heart rate variability biofeedback in chronic disease management: A systematic review. Complementary Therapies in Medicine. 2021 Aug;60:102750. doi:10.1016/j.ctim.2021.102750.

監修

写真:大貫 崇さん

大貫 崇(おおぬき たかし)

呼吸コンサルタント、アスレティックトレーナー、大阪大学大学院医学系研究科特任研究員。2006年にフロリダ大学大学院で応用運動生理学の修士を取得し、2012年よりアリゾナダイヤモンドバックスマイナーリーグアスレティックトレーナーに就任。帰国後は、「きほんの呼吸」をベースに身体の専門家を育成しながら企業との共同研究や新規事業開発を担う呼吸コンサルティング事業を展開。現在は京都にて「呼吸専門サロンぶりーずぷりーず」を経営。著書に「長生きしたければ呼吸数を減らしなさい」(アチーブメント出版)、「きほんの呼吸 横隔膜がきちんと動けば、ムダなく動ける体に変わる!」(東洋出版)など。

2026年3月25日 健康

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